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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-
2018.10.16
『鬼、来たる』~初代鬼浜~
買ったばかりコーンポタージュで両手を温めながら、各シマのデータを見て回った。寒さが和らいできたとはいえ、入り口付近はまだ冷える。少しだけフロアの奥にある北斗や吉宗を羨ましいと思ったが、設定的な手応えで言えば……。
ひとしきりフロア内を見て回り自分の台に戻ると、少しだけぬるくなったコーンポタージュの蓋を開けた。やはり「当たり」はこのシマだ。今日は長期戦になるだろう。悠長に飯を食っているヒマはない。このコーンポタージュが飯代わりだ。ありがたく閉店近くまで走りきろう。
「ブッこんでくんで よろしくゥ!!」
MAX BETを押すとお馴染みのセリフとともに前兆ステージへ。そこから8Gで連続演出に発展した。スグにドル箱へ手を伸ばし、カチカチの下皿からメダルを移す。隣のお兄さんは不思議そうに俺を見つめていた。連続演出を消化しながらドル箱を頭上に戻し、確定画面が出るやBIGを揃えた――。
★完全ノーマークの『鬼浜』
それは2005年の1月だっただろうか。編集部に入って1年が過ぎた頃だ。編集部に着いて自分のデスクを見ると、無造作に1本のビデオテープが置かれていた。言われずともスグに察しがついた。新台のPVだろう。タイトルは「鬼浜爆走愚連隊」。新台取材のスケジュールをホワイトボードで確認すると、メーカー名の欄には「銀座」とあった。知らないメーカーだ。
――「またか……」
小さく溜め息をついた。吉宗や銭形といったビッグタイトルを担当したこともあるが、どれも先輩編集の「後任」としてだ。言わば「おさがり」である。導入前からビッグタイトルを担当したことは1度もなかった。
またマイナーメーカーの新台を押しつけられた。正直このときはそう思い、期待せずにビデオの再生ボタンを押した。
A-500の準大量獲得ストック機!
自力解除「鬼メーターシステム」!
「バリバリ目」出現でボーナスのチャンス!
前兆ステージ「カッ飛びZONE」!
ボーナスの即連を期待できる「仁義なき争い」!
PVを観終えると、隣に編集長が座っていることに気が付いた。俺はこのPVに相当見入っていたらしい。
――「あ、おはようございます!」
編集長「おう、どうだ? コレの担当やるか?」
――「やります! ぜひやらせてください!」
編集長「ヒットするか分からねーぞ?」
――「これはきっとウケますって!」
編集長「単純だなお前は。よろしく頼むよ」
――「ありがとうございます!」
PVを観ただけで一目惚れした機種は、後にも先にもこの初代「鬼浜」だけ。A-500のストック機という一撃性には惹かれたが、それよりも強く印象に残ったのは「見せ方」、つまりは演出だった。ボーナスへの期待感を煽る前兆ステージ、即連の大チャンスとなる仁義なき争い。対戦カードで期待度が激変する対決演出。これはきっとヒットする。そう予感させるPVだった。
▲4号機「鬼浜爆走愚連隊」(銀座)
2005年3月に銀座からリリースされたA-500のストック機。通称は「鬼浜」。なお、販売は銀座だが、企画開発はアビリット(より厳密に言えばシスコン)である。ボーナスはBIGとREGの2種類で、メインとなるRT解除(=ボーナス放出)契機は規定ゲーム数到達時だ。
通常時には規定ゲーム数振り分けや天井ゲーム数が異なる複数のモードが存在。モードは通常・ハマリ・連チャンの3種類で、連チャンへ移行すれば128G以内のボーナス放出が約束される。 |
特筆すべきは「鬼メーター」を用いたRT解除抽選だ。詳細は長くなるので割愛するが、ベル・チェリーの一部や複合役(ベル+チェリー)で「鬼メーター」が1つ点灯。その点灯の際、累計点灯数に応じRT解除抽選が行われる。点灯数は最大5個で、5個目点灯もしくはボーナス放出でメーターはリセットされる。
【鬼メーター点灯率】
◎ベル …約 1.3%
◎チェリー…約26.3%
◎複合役 … 100%
【鬼メーター点灯時のRT解除率】
◎1個目…約0.4%(1/241.0)
◎2個目…約0.8%(1/120.5)
◎3個目…約1.2%(1/80.3)
◎4個目…約2.1%(1/48.2)
◎5個目… 25%(1/4.0)
小役解除率は小役の種類でなく、鬼メーターの累計点灯数によって変化する。5個目点灯時以外はあまり期待できないが、この鬼メーター解除が通常時の絶妙なスパイスとなっていた。
かくして俺は鬼浜の担当編集となり、同時期に導入を控えていた「鬼武者3(ロデオ)」の特集も半分担当することに。編集歴1年の俺にとって、20ページ超の編集はなかなかハード。幾度となく徹夜作業をし、満身創痍で校正段階まで漕ぎつけた。
★名機『鬼浜』誕生の予感
編集長「おい五十嵐、ちょっと来い」
――「はい……」
校正時期の編集長は怖い。
同僚F「おーこわ。耳塞いどこうかな」
――「盾も装備しとけよ」
まるで罪でも裁かれるような気持ちだ。
編集長「おい、このキャッチコピー考えたの誰だ?」
鬼浜の初お披露目となるタイトルページ。 そこにデカデカと置かれたキャッチコピーは……
不器用な俺らの青春回胴!!
――「…俺です。少し疲れてたのかもしれません」
編集長「お前か! う~ん…」
――「す、スグに直しますから…」
編集長「イイ! 意味ワカランけど、なんかイイ!」
――「へっ!? あ、ありがとうございます」
編集長「なんだろ…バカっぽくてイイ!」
――「はぁ…」
編集長に褒められた(?)のは、これが初めてだったかもしれない。こうして無事に誌面を作り終え、しばらくすると待望の導入日が訪れた。
導入初日――
抽選番号に恵まれず鬼浜取れず
導入2日目――
またも抽選でハジかれ鬼浜取れず!
導入3日目――
抽選でスカ! その後、いくら待っても鬼浜取れず!!
導入4日目――
やっぱり鬼浜取れず! シマに立ち見客が出るほどに!!
4日目でようやく理解した。これはただ事ではナイ! この頃になるとインターネットも普及しており、検索してみると案の定「鬼浜空かねー」、「鬼浜立ち見できてる」、「鬼浜はよ増台しろや!」の書き込みが多数。サミー系でもアルゼ系でも大都でもない新台で、この高稼働っぷりだ。新人編集の俺でも、ただならぬ雰囲気を感じざる得なかった。
導入から5日後には都市部での実戦を諦め郊外のM店へ。原付で50分ほどの距離だが、そこから連日通いつめ、鬼浜の立ち回り方や演出法則を探っていった。鬼浜の人気は止まることを知らず、翌月にはさらにページが増加! 解析により、内部システムや前兆パターンも明らかに。俺はますます鬼浜にのめり込み、導入から2ヵ月はまさに鬼浜中心の生活を続けていた――。
★楽しむための知識こそ
その日は、M店の名を冠した看板イベント日だった。このイベント日には必ず全台5or6と思しきシマがある。前々回は吉宗の内の1シマ、前回は北斗の内の1シマ。そろそろ鬼浜の番が来てもおかしくないハズ。確保したのは鬼浜の内角。最悪全台ジマでなくても、内角は高設定が使われやすい傾向があったためだ。
2時間後――
鬼浜のシマの立ち上がりは悪かった。しかし、俺の台のスイカ出現率は高設定を示している。恐れる必要はない。
【通常時 スイカ確率】
◎設定1…1/204.8
◎設定2…1/199.8
◎設定3…1/195.6
◎設定4…1/190.0
◎設定5…1/150.0
◎設定6…1/150.0
鬼浜の設置は5台。2台は凹んだままだが、俺を含め3台はすでに頭角を現している。やはり全台ジマの可能性が高いのは鬼浜だ。だが、確証はない。ブン回し態勢に入るには早すぎるから、今はゆっくりプレイすればいい。そう思い、4度目のBIGを消化し終えると席を立った。フロアを見て回るついでに、コーンポタージュでも買おう――。
席に戻り即連のBIGを消化し終えると、隣のお兄さんが帰り支度をしていることに気が付いた。彼のデータ表示器に目をやると…BIG1回にREG1回。俺は堪らず声を掛けた。
――「ヤメちゃうんすか?」
お兄さん「朝イチからハマって、もうナイかなと」
――「いや、設定変更後も前日の設定のモードを引き継ぐんで」
お兄さん「え? そうなんですか?」
――「ボーナス放出時に次々回モードを決定するんです。設定変更後も2回目のボーナスまでは前日の設定のモード移行率を参照してるんです」
お兄さん「ええ? 今日が初打ちだから知らなかった」
――「その台はまさに『今から』なんですよ」
お兄さん「そうなんですね」
――「あくまで予想ですが、今日の全台ジマはココじゃないかと」
お兄さん「……」
――「もちろん責任は取れませんがね」
お兄さん「…ちょっと他のシマも見てきます」
5分後――
お兄さん「たしかにほかに全台ジマっぽいのはナイですね」
――「ですよね」
お兄さん「もう少し粘ってみようかな」
――「まあ、無理はしないように」
正直に言えば全台ジマか否かをより早く判別するため、空き台になって欲しくなかったという気持ちがあったかもしれない。また、次に座ったヤツが難なく設定5・6をツモるというのも癪だった。どうやら俺は性格が悪いらしい。
しばらくすると、お兄さんの手がピタリと止まった。チラリとお兄さんの液晶画面に目をやると、主人公のライバル「コウヘイ」がバイクで通過しているではないか!
お兄さん「なんすか今の?」
――「普通のコウヘイ通過は本前兆期待度アップ。バイク通過は……たしか残りRT8G以内確定だったような」
お兄さん「ま、マジっすか?」
――「でもカッ飛びゾーン入ってないし…バリバリ目引きました?」
お兄さん「バリバリ目? …何ですソレ?」
――「チャンス目です(俺がスベったみたいになってる)」
お兄さんの台は4Gほどで連続演出に発展し、見事ボーナス告知が発生。この日3度目となるボーナスはBIGだった。
お兄さん「ホントに当たった!」
――「内部ボーナス成立時の自力解除っぽいですね」
そこからのお兄さんの勢いはスゴかった。BIG中の小役ゲーム中に主人公「リュウジ」の顔が完成すれば、BIG終了後に即連を期待できる「仁義なき争い」へ発展する。それは逃したものの、BIG終了後のBETで前兆ステージ「カッ飛びZONE」に突入した。
お兄さん「これ…アツいんですか?」
――「フェイクでも20%で入りますが、残りRT15G以内なら83%で入りますね」
お兄さん「マジすか! 結構アツいですね」
お兄さんが回し始めると、7G目に連続演出へ。思わずウンウンと頷いてしまう俺。
お兄さん「え? どうかしましたか?」
――「カッ飛びZONE突入から8G以内の発展はボーナス確定ですよ」
お兄さん「ええ!? それでさっきのアナタも当たりを確信したんですね」
――「そうそう、そういうことです」
ちょうどその頃、俺も中ハマリを抜けBIGが当選。そしてBIG中にリュウジの顔が完成し、BIG終了後に「仁義なき争い」へ。対決種目は…単車勝負だ!
――「よっしゃ!」
お兄さん「どうしたんですか?」
――「負けるときは決まって喧嘩対決なんです」
お兄さん「つまり勝ち確なんですね」
――「そう。ついでに単車勝利なら次回連チャン期待度も約60%」
お兄さん「そんな法則があるんですね!」
そう、俺が思う鬼浜最大の魅力は演出。この演出法則こそが面白いのだ!
およそ10時間後――
閉店時間まで1時間を切り、俺は連チャンゾーンの128Gを抜けたところでヤメ。出玉は4箱。実戦終盤のハマリモードでガッツリ減らしたが、納得の結果だった。
――「それじゃあ、お先に」
お兄さん「あ…お世話になりました! お陰さまで…」
お兄さんの頭上にはドル箱が5つ積まれてある。
――「お互い設定5っぽいですね。ハマリと連チャンの繰り返しだから」
お兄さん「あの…お兄さん何者ですか? スゲー詳しいじゃないですか」
――「いやいや、ただの鬼浜好きですよ」
お兄さん「僕も今日で鬼浜が好きになりました」
――「はは…それだけ出たらね」
お兄さん「いや、出玉だけじゃないっすよ」
――「え?」
お兄さん「教えてもらった演出法則に惚れました」
――「ふふ、攻略誌の丸暗記ですよ」
お兄さん「攻略誌か…僕も読もうかな」
負けないために必要なのは、打ち方と解析数値。演出法則や楽しむための打ち方は、勝つためには必要ない。でもそれらを覚えていると、実戦中の面白さがまるで違う。攻略誌をはじめとするメディア媒体は、そういった『楽しみ方』を伝えるのも仕事なのだ。そう思わされた実戦でしたね。
パチスロもやっぱりオモチャ。 楽しまなきゃ損でしょ!
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- ラッシー
- 代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-
山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。
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