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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2017.11.07
5号機の発展を名機で振り返る(2009年編)
ニュースです。私、久々にパチンコで数字が揃いました!
11月3日は、パチ7の3周年オフ会が開催されまして。軍資金1万円を支給される代わりに自腹禁止ということで、全員が低貸しに直行。ふと気付いたらパチスロに空き台がなかったのです(笑)。
こんな機会でもないと腰を据えて羽根モノ以外のパチンコを打つこともなかろう。そう思って座った『海物語IN JAPAN with桃太郎電鉄』。ST当たりや時短連チャンなど一通りは楽しめたのかな。アツそう? とボタンを押して演出ステージが変わるだけということも多々ありましたけど。
しかし、ねえ。どうもパチンコを打つと頭の中がオカルトっぽくなってしまうのです。さっきから海ステージにするたびハマってるから避けておこうとか。もちろん、それで抽選確率が上がることはないとわかっています。でも、下がることもないんだからどちらでもいいじゃん。そんなことばかりを考えていました。ええ、必死に自制してカギ穴を抑えるのだけはヤメましたよ!
と、パチンコの話を書いてもボロが出るだけなので、さっさとパチスロの話に。今回は、振り返りの2009年編です。2008年を冬の時代と書きましたが、一気に春がきます。パチスロが今の形となった元年ではなかろうか。この年に始めたり復帰した人も多いと予想します。
冒頭から名機登場!
『忍魂』(2009年1月:大都技研)
これまで書いてきたように、ボーナス終了後契機のRTを利用したART機が2006年から長らく続いてきました。ボーナスをヒカなければチャンスなし。そんな不満を解消したのが『忍魂』です。
ここまで主流だったボーナスからのARTに加え、通常時のチャンス目(ベル揃い)でもARTを抽選。高確・低確の概念もあり、出玉のスランプグラフだけを見ていれば、最近の機種とまったく変わらなくなりました。
ちょいと技術的なことを書きますと。通常時契機でリプレイ確率を変動できるのは、特定出目が必要となります。その特定出目からは“決まったRT”に入らなければなりません。この通常契機RTには2種類あります。1つはゲーム数が固定されたもの。もう1つは固定されていないものです。
固定されているものは、ボーナス成立とゲーム数消化以外にリプレイ確率を変動できません。固定されていないものは、もちろんゲーム数がありません。そこで、新たに特定目が出現した場合にRTを書き換えるということになりました。
こう書いている時点で、法律には書かれていないことです。うーん、どういうタイミングで「これができる」となったかはわからないんですけどね。書かれていなかったけど2008年の規制緩和あたりかしら。最初から許されているとしたら、もっと早くどこかしらのメーカーが作っていたと思うのです。
とにかく、通常時からもARTに突入できる。新しいゲーム性が生まれることとなりました。
それだけじゃありません。通常時からARTに突入させられるということは、うっかりパンクさせてしまっても復帰できることになります。終わったかに見えての再突入という見せ方もバリエーションも増えます。これ実に大きいんです。ゲーム数上乗せは、ボーナス後ARTでもありましたが、うっかりパンクさせてしまうと次回の(RT付き)ボーナスまで待たなければなりませんでしたからね。それでヤメてしまった台のハイエナとかもあったくらいです。
なんかこう書くと、通常時からARTに入れられるだけを評価しているように見えてしまうかもしれませんね。そんなことはありません。
まずはジャブから。まだ押し順小役ではなく要目押し小役となっていて、その取りこぼしでRTがパンクする仕組みとなっていましたが、密かに初心者対策もなされていました。目押しミスでも運が悪くなければRTは継続します。取りこぼした形の一部がRTを0Gに書き換えるようになっていたのです。
本命はコチラ。ボーナスからもARTに突入しますが、いきなりはART開始目(リプレイ確率アップの特定目)が出ないようになっていました。これは保通協対策です。ボーナス終了後すぐにARTが始まってしまうと、コイン増加が早すぎて短期出玉率に引っかかる恐れがあります。この対策がないと、全体的な初当たり確率を下げなくてはなりません。今までのボーナス後RTを使ったART機は、これができないがために確率が重めのものも多くありました。
通常時からも突入できるARTだけではなく、今にも通じている短期出玉率対策まで。押し順小役ではないため初心者には難しかったことくらいかな。それを除けば、いきなり完成型が出て来てしまったと思わされる機種でした。
きっぱりと言って、2008年までのART機とは一線を画すものだと思います。すげーよ『忍魂』!
2009年でもう1つハズせない機種
『パチスロ交響詩篇エウレカセブン』(9月:サミー)
ついに、押し順小役とARTが融合した大ヒット機種が登場します。すげーよ『エウレカ』! って、説明する前から盛り上がっちゃっていますが。ART機で神と思えるシステムを1台だけ挙げろと言われたら『エウレカ』を選びます。
「リリベ」でRTモードを上げて「リリチェ」(いすれも特殊リプレイ)で50GのARTに突入。固定RTなのでゲーム数の上乗せはできませんが、その代わりに連チャン数をストックしてくれます。
このゲーム数固定RTにしているところが絶品。押し順小役を採用しているのでパンクのリスクも……と思うかもしれませんが、RTモードを下げるのはダメ特殊リプレイとSINです。ARTの権利を持っている場合、特リプのほうは回避するナビが出ますが、SINはそうもいきません。成立したらアウトです。
このSINさえなければ、ゲーム数を固定する必要もありませんでした。では、なぜ搭載されているのか。『忍魂』にもあった短期出玉率対策です。ボーナス後は、リプレイ確率の上がらないボーナス後RTに突入して、SIN成立から「リリベ」が成立するようになります。
まあね、邪魔なのよ。何度「リリベ」から「リリチェ」を待つ間に成立してしまってやり直しになったことか。短期出玉率対策をしてあるから遊びやすいスペックにできたと、何度も自分に言い聞かせましたとも(笑)。
でも、単に邪魔なだけではありません。ボーナス後にSINがなかなか成立しないと、ARTの権利を持っていても発動してくれませんが、このSINハマリにも天井が設けられていてARTストックを獲得できました。獲得するまでハマったことはないですけど。こういう心配りも当時はまだ珍しかったのです。
と、ゲームの流れはわかりましたよね。ここまでのを含めてRTモードのみ書いてみたいと思います。
●RT0:ART終了後
ゲーム数固定RT後は、純粋な通常時にしか移行できません。「リリベ」も成立する可能性あり。SIN後もこの状態!?
●RT1:「リリベ」後
それほどリプレイ確率がアップしない不定RT。ここでは「リリチェ」と陥落リプを抽選。
●RT2:「リリチェ」後
50Gのゲーム数固定RT。消化中は、SINが成立してもリプレイ確率の変動なし。
●RT3:ボーナス後
ゲーム数不定のボーナス後RT。「リリベ」の抽選は、SIN成立でこのRTを終わらせる必要あり。
これだけ理解できれば、5号機のRTの法律はバッチリです。全部が詰め込まれているんです。というか、最初にして完成型。完成度合いは『忍魂』より上かも。
このようなゲーム数固定ART+ストック上乗せ型は、後にも『コードギアス』など出てきましたが、初代を超えるヒットというか。全国的な稼働率なども含めて上回る機種は出てきていないように感じます。
『スカイラブII』(2009年4月:SNKプレイモア)
ゲームバランスも親しまれた偉大すぎる初代を持つと後が大変だな……というのは『スカイラブ』も同じ。これも2009年の登場でした。RTのループ率が1/3になってボーナス頼みになりすぎたのがウケなかったんですかね。個人的には、もうソコしかイジれないじゃないと思いましたが。あと、BIG中の歌は2のほうが好きだったりもします。
2009年パチスロシーン
『甘ぴかっ』(2009年2月:オーイズミ)
ボーナス非搭載のART機。1Gあたりの純増は約1.9枚。ART突入はチャンスゾーンに期待。ART終了後も最大90%でループする可能性あり。
2015年あたりの機種ではありません。2009年初頭です。早くもこのような機種が作られていたんです。ただ、あまりにも早すぎました。4号機のAT機がなくなってから4年ほど。ボーナスのない機種に対する違和感があったからか、ヒットしたとはいえませんでした。オーイズミは時代が追いついていないことがたまにありますね(笑)。
『ツインエンジェル2』(2009年3月:サミー)
いまでもシリーズ機が登場しているほどの人気を確立したのは、この2ではないでしょうか。小役は押し順などないもののゲーム数固定RTの権利をストックし、権利獲得時はRTに突入する押し順ナビが発生してくれました。ま、そのナビが出るので厳密にはART機ということになるんですけどね。
『ドラキュラ』(3月:ネット)『シーシー』(4月:コルモ)
もの凄い勢いでボーナスが連打する“ネオストック機”。いまどきの方には『リノ』の原型と思ってもらえれば十分です。連チャンゾーン中は、高確率で普通のボーナスを抽選。ダメボーナスが成立してしまうと小役やリプレイに邪魔をされて、なかなか揃ってくれません。これでハマリを生み出します。
このボーナスを隠す方法は、のちのち5号機版AT機にも役立てられることに。同時期にコルモからも『シーシー』が登場しました。こちらは、さほどボーナス確率がアップするわけでもなかったですが。
『マジックスパイス』(2009年10月:岡崎産業)
ART中に成立した一部ボーナスは、通常時に成立したときよりも枚数が取れる! そんな(当時は)ビックリするシステムで登場しましたが。導入が少なすぎてビックリできた人が少なかったという罠。
第二種特別役物(2種BB・MB・CB)というジャグ系やハナハナ系のREG扱いのボーナスは、内部的にリプレイが成立しているとリール制御を変化させられます。多くの枚数を払い出したほうが、終了の規定枚数に早く到達する。これを利用しての枚数差実現でした。このアイデアは、のちに“純増加速型(ギャップ方式)”として一般化することになります。
『リノNo.5』(9月)『タイムレスキュー』(11月:いずれも山佐)
2008年に唯一ノーマルで気を吐いたといっても過言ではない山佐は、通常時契機のART機の開発を裏で進めていたのでしょう。『機動戦士ガンダムIII』などを除き立て続けにノーマル機をリリースしていました。
中でも好きだったのは『リノNo,5』。獲得枚数が多くないものも含めて3種類のボーナスがあり、高確率の“甘スロ”タイプとなっていました。逆押しで同時当選役だけでなく単独成立を察知してご満悦。今日はボーナス100発目指すぞというときは、中押しでプチRTすら拒否してのボーナス察知などなど。気分によって押し位置を変えられる機種でした。うん『エウレカ』よりも打ったのはここだけの話(笑)。
『タイムレスキュー』は、天井救済機能(リプレイ確率アップ)付きと、それがないかわりにボーナス確率が高めの2スペックが販売されました。いまのアクロス系などを見てもわかるように、天井よりも確率重視。それがまだ浸透していなかった時期でした。導入されるのは天井アリばかり。逆押し手順が小役奪取もボーナス察知も優秀すぎて、ほぼ左から押せず。そんなのもありますが、好みでないスペックしか見かけなかったのが残念でした。「ホールよ、ノーマル打ちの気持ちを推し量れ」そう思っていましたな。
ほかにも『緑ドン』などのヒット機種を割愛するほど、過去2年と比べて書くことが盛りだくさん。未来が拓けるような新しいアイデアの素も出てきました。
しかし、この1年。私は恐怖を覚えました。『忍魂』に『エウレカ』。あまりに完成型に到達してしまいすぎることです。『スカイラブ』のような自力ループ式RT機にリプパン方式のRT機。そして、ボーナス終了契機のART機もそう。完成型が登場した後は、劣化コピーとなる危険の高い類似機種が多く登場し、また冬がやってくるからです。
2010年に続く。
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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