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- 『ベタピンホールより、設定を使ったホールの方が利益が出てなきゃいけない』並ばせ屋山本さんのユーザーミーティング『山会議』に再潜入してみた!
ゆる調~パチンコパチスロゆるゆる調査隊~
2020.02.28
『ベタピンホールより、設定を使ったホールの方が利益が出てなきゃいけない』並ばせ屋山本さんのユーザーミーティング『山会議』に再潜入してみた!
普段からSNSなどで情報を集めている方なら絶対に耳にしたことがある『並ばせ屋山本』さん。最近はYouTubeで動画による情報発信もされているのでそっちの方でピンと来る方もいらっしゃるかもしれませんが、一応ご存知ない方のために説明しておくと山本氏はいわゆる「ホールコンサルタント」を生業にされている方です。
ホールコンサルタント。
言葉通り捉えると「ホールの運営のコンサルティング」を行う方々ですね。これは分かります。とはいえ現場のスタッフさんや店長さんみたいに普段からホールで見かける人じゃないので、我々ユーザーからするといまいち正体がはっきりしない存在でもあります。果たしてホールコンサルタントってどんな活動をしてるの?
パチ7ではそんな謎の職業「ホールコンサルタント」について、過去に何度か取材をおこなっています。例えばこんな記事。
●『ホールコンサルタント(コンサル)』って一体なんじゃ?
●日本一予約の取れない『合コン集団:中嶋塾』に潜入してみた。
上から順番にざっと見ていきますと、まずは『株式会社Attain(アテイン)』の糸柳さんに「ホールコンサルタントってなにやってんの?」と直球で聞いてみた記事。次が「日本一予約が取れないホールコンサルタント」として知られる中嶋優さんが定期的に開催されている勉強会「中嶋塾」への潜入取材の記事です。合コンってなんじゃい、と言いますとこれは「合同コンサルティング」の略ですね!
そして、今回取材させていただいた並ばせ屋山本さんもまた定期的に「山会議」という名のユーザーミーティングを開催されておられるのですが、こちらは去年の4月に名古屋にて第一回が開催されています。そちらにもお邪魔して記事にしていますので良かったらどうぞ。
『ペタピンで利益が出るのは何故悪いのか』並ばせ屋山本さんのユーザーミーティング『山会議』に潜入してみた!
ユーザーミーティング『山会議』とは!
並ばせ屋山本さんが定期的に開催しているユーザーミーティング。いわゆるセミナーとは違いみんなで語り合う事が主題になっているのが特徴。もともとは就職先としてのぱちんこ業界について考えるというテーマなのだが、飛び出す話題はそれに限らずホールの日々の運営についてやあるいは業界全般についてなどノンジャンル。会話すること。コミュニケーションをとること。それ自体が主な目的になっている。
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さてさて。今回の記事はその第二回目。TKP御茶ノ水カンファレンスセンターにて2019年11月25日に開催された山会議の模様をお伝えするものです。
果たして「ホールコンサルタント」と呼ばれる方々は普段どんな事をやっているのか。常日頃から疑問に思ってらっしゃる方の、理解の助けになればこれ幸い。山本氏自身がどんな人なのかも、おぼろげながら見えてくるかもしれません。
それではいってみましょう。第二回山会議の模様です。
さて写真をご覧頂くと分かりますように、当日は食べ物・飲み物大盤振る舞いのビュッフェ形式となっていました。一般のセミナーとかだとレジュメやサブテキストとにらめっこしながら、ガッツリ話を聞くぞみたいな流れが普通。山会議はユーザーミーティングの側面が非常に強いので、会場の雰囲気は非常に砕けており和気あいあいとしていたのが印象的でした。
まず最初に主催・並ばせ屋山本氏からの開会宣言。そして乾杯の号令(!!)
てっきり業界動向などの話からスタートするのかな、とばかり思い込んでいた筆者は思わず笑顔で「いきなり飲むんかーい」と髭男爵の如き所作でグラスを掲げた次第。
会場に集まった参加者はホール関係者やライター、メーカー、それからコンサルタントの方々など。あとは山本氏のファンというユーザーさんもおられたと思います。同じ業界の仲間とは言え、職種が違うのでこういった集まりは名刺交換の大チャンス。それぞれまずはビールを注いだり注がれたりしながらバンバン名刺交換を重ねておられました。
▲ヤッさんもバッチリ参加!ちゅんリサメンバーも居たぜ。
会場には『天草ヤスヲ』さん。それと『鬼くん』を始めとしたちゅんげーリサーチメンバーの姿もチラホラ。以前名古屋でお会いしたホール関係の方々やホールコンサルタントの方々もおられたので、人見知りな筆者、ホッと胸をなでおろす。
▲ひげ揉まれる。
山本氏はそれぞれのテーブルの間を行き来しながら雑談にも気さくに応じておられました。これはその時の一枚。早速酔っ払ってます筆者。あ、遅れ馳せながらこれ書いてるのあしのです。宜しく哀愁! というか取材に来といて、ただただお酒を飲むのもあれなんで、ひげを揉まれつつも山本氏に軽くインタビューしときましょう。
「山本さん、お久しぶりですあしのです!」
「どうも。お久しぶりです」
「なんか前回と全く違いますね今回! フランク!」
「今回はね。せっかく東京でやりますし、お酒飲みながら楽しくみんなで話そうって。そういうコンセプトで──。今回も記事にするんですか?」
「はい。書きます。勉強させていただきます!」
「わかりました。今はちょっとこんな感じですけど、後半はまた変わった感じになると思うので──。よろしくお願いします」
「こちらこそです!」
そう。今回は「立食パーティ」と「ディスカッション」の二部構成になっていて、本題はもちろん後半のディスカッションです。もうお分かりかと思いますが、要するにここまではアイスブレイクなのです。アルコールと雑談でリラックスしながら参加者に打ち解けてもらおう、ということですね。
──パーティの時間は約一時間ほど。それぞれしっかりお酒も入ったところで、いよいよ本番。ディスカッションです。
▲ディスカッションでは一気に気が引き締まる。
それまで雑談を交わしながらお酒を飲んでいた参加者一同でしたが、山本氏が登壇してマイクを握ったところで一気に真面目な顔になりました。まずは全員で拍手。傾聴モードに入ります。
「さて。それではみなさんしっかりリラックスしていただいたところで、これからディスカッションですね。今回は事前にいくつかご質問を頂いていますので、まずはそれに答えて行こうと思います。最初は──『ホールが思う6号機の運用方法について教えて下さい』という質問ですね」
6号機の運用。これはいきなり核心を突く最重要トピックです。筆者みたいな人間からすると『甘く使ってくれるとうれしいなぁ』くらいのカジュアルな感想しか出てこないのですが、果たしてホールコンサルタントの立場からはどんな回答がでるのか。
固唾を飲んで見守る筆者の耳に、意外な言葉が飛び込んでまいりました。
「良い質問ですね。実はこの場所には現役のエース店長さんがいらっしゃいます。ホールの立場からという事だったので、まずは現場の声を聞いてみましょう。○○店長、よろしいですか」
なんと、最初の回答者は山本氏ではなく参加されている店長さん。そう。これはセミナーではなくユーザーミーティング。
冒頭部分で触れた『山会議』の主題。会話する事、コミュニケーションを取る事。ホールに対する質問で、それに応える事ができる店長さんがおられるなら回答を任せた方が、より実態に近いものが出てくるはず。いろんな業種・職種の参加者がいるのなら、それぞれ答えるのが効率的だし分かりやすい。考えてもみれば当然ですが、いわゆる「一対他」のセミナーしか経験してない筆者にとっては、これは膝を打つような思いでした。
早速、指名された店長さんがマイクを取ります。自己紹介。店舗名と簡単な経歴について触れたあと、軽く喉を鳴らし本題。気になる回答はこうでした。
「6号機の運用についてですが、現状はかなり厳しいです。運用できないに近いくらい厳しい。果たしてどうやって使うのが正解か僕自身皆さんにお聞きしたいくらいで──。例えば、機種によっては6が別格で分かりやすい。そうなると『6じゃないと駄目』となってしまう。『Re:ゼロ』も最初は良かったんですね。4でも納得して打ってくださるお客様が多かった。でも今は『6じゃないとイヤ』と、打って貰えない。そうなるとまず利益が取りづらい。そういう状況が続いてしまっているんです。なので今のご質問に対しては『現状では運用が厳しい』というのが答えになります」
実際はもうちょっと柔らかくお話されていましたが、キュッとまとめると以上のような感じでした。
うーん、なるほど。6号機で利益が取れなくてホールが大変なのは薄々分かってはいるのですが、実際に現場の店長さんが言うとちょっと深刻な感じがします。特に『運用できないに近いくらい』という表現は胸に迫るものがありました。
これに対して、次に山本氏がマイクを握ります。
「はい、ありがとうございます。そうですね。『Re:ゼロ』『北斗天昇』あたりはまだホールも設定を入れ慣れてる機種ですし、ユーザーも狙い慣れてる機種なので、設定環境を作っていく上ではこれらを軸にしていくのが普通かなと思います。あとは5号機ですが『番長3』なども同じですね。ただしこれらの機種はおっしゃる通り、下が動かないので利益を取るのは厳しい。そしてそれ以外の機種に関しては設定を入れてもアピールにならないので、使い方に困っているホールが多いと思います」
んー。なるほど。やっぱり厳しい。『Re:ゼロ』や『北斗天昇』、それに今だと『エウレカ3』あたりはホールである程度の稼働がついているのを見ます。ですがそれ以外の6号機となると、売上に対する貢献期間がゴリゴリに下がって行っているのが、筆者みたいなホール経営に何の関係もない人間から見ても一目瞭然です。
これ先週新台で入ったばっかりなのにもうガラガラじゃんか……。みたいな。これ一台入れるのに中古車くらいするんだろ……的な。明るい話題はなにか無いのだろうか。
「──これはもう6号機自体がまだ未成熟な部分があるので、仕方ないと言えば仕方ないんですね。ただその一方で『劇場版まどマギ』なんかは昔で言うと『ギアスR2』みたいに、辛いからこそ設定を入れやすい機種になっていますね。それでユーザーさんに遊んで貰えている。もうちょっと出玉力さえあればさらに良かったのですが、この未成熟な状況の中でこういう機種が出て、さらにデータ上でも設定をまだ入れてるお店がある、というのはちょっと救いになってるかと。あくまで現状の6号機で言うと、ですね」
ふむ。未成熟、という単語が出てきましたが、6号機の初出はご存知「HEY!鏡」です。あれが2018年の10月なので、まだ6号機の時代は1年と少ししか経ってません。
5号機時代でいうと初代の『エヴァ』の1年後に登場したのはSNKプレイモアの『球児』です。そう。6号機ってまだ『球児』とどっこいどっこいの時代なのです。『球児』を打って「5号機に先は無い!」と嘆いてる人がいたらどう思うかですよね。その人はまだ『バジリスク』も『モンキーターン』も『番長2』も『凱旋』も何も打ってないんです。
木を見て森を見ず。それで5号機の何を語るのかと。
……なので6号機もきっと今後に期待。もうそれしかないです。ちなみに山本氏が今後期待する機種に挙げられたのは『沖ドキ』との事でした!
▲当日マイクは二本。一本は山本氏で一本はぐるぐる回す。
続いては参加されたユーザーさんからのご質問。「広告規制の問題にも絡んでくるとは思うのですが、何もない平日に、ホールはどうやってユーザーを呼べば良いのでしょうか」との事。
うーん永遠の命題。これはまさしくホールコンサルタントの領分というかこれを為してこそ、みたいな部分ですね。山本氏の本領が存分に発揮される部分だ! と思ったのですが、質問者の方が天草先生のファンだという事で、回答権が天草先生に。おお! では我らがヤッさん、ガツンと答えちゃってください!
「これは……。そうですね、僕が山本さんと最初にお会いした時の話をするのが一番良いかもしれないですね。何年前かな……。当時、都内がまだほとんど等価交換の頃でした。ただしベタピンのお店が多数、という状況。その頃いわゆる『ハイエナブログ』が流行ってまして、PVの上位が全部それでした。てつさんのブログくらいかな、ハイエナブログ以外は。そういう状況において『パチスロってつまんないな』って思っちゃったんですね。僕は設定が良い台を打ちたくて、パチスロを打ってる。パチンコじゃないんだから確変引いてナンボじゃなくて、良い設定を探して打つ。……ここが面白いから打ってたのに。ハイエナハイエナって、時代がそういう風にいっちゃってた。
それで自分の中でモヤモヤが残ってたんですけど、5.6枚に変わる頃に『これから設定状況どうなるの?』これに関して山本さんとお話する機会があったんですね。僕も当時色々メモりながら聞いて……。今でも覚えてるのが『これからは絶対に設定が使われるようになる』って。そういう風におっしゃったんですね。これ当たってますよね。次です。その後に『だけど、それでお客さんが増えるかどうかは怪しい』って。そう言われたんです。なぜなら、ユーザーは設定あんまり分からないからって。設定使うだけで人が来るなら、こんな楽な商売ないよって」
確かに。これに関しては前回の記事でも触れられていました。実際に設定狙いでお店に来るお客さんは1~2割。残りの8~9割のお客さんはそもそも設定を推測しようとしていない。そして痛恨の一撃が広告規制。設定入ってるよ! と能動的に発信できないのです。
なので『そもそも入ってるとも思っていない』『設定6なんか都市伝説』と思っているユーザーすらいる。そしてその範疇には筆者もまたすっぽりと入る。これはもしかしたら、ベタピンが当たり前だった時代をくぐり抜けてきた、10~20年選手ほど陥りやすいトラップかもしれない。
「その時にね。山本さんから言われたのが『天草さんはね、設定が入ってたら人が来るような、そういう循環に変えていかなきゃ駄目ですよ』って。ベタピンホールより、設定を使ったホールの方が利益が出てなきゃいけない。みんなが少しずつ負けても良い。薄利ですよね。でもそっちのほうが人がいっぱい来て、みんなが楽しい。だから人が集まる。この循環。これが、目指すべき所じゃないかなって。僕は結構目が覚めた部分があるんです。それで協力できる事があったら協力していこうって。そう思ったんですね」
天草先生が率いる『ちゅんげーリサーチ』はまさしくその「循環」のための活動だ。さらに天草先生はこう続けた。この25年間の中で、ホールは今が一番設定を使っている。この環境で打てる我々はとてもラッキーだと。
「だけどさ、色んな人に話を聞いてると、みんな『4号機の方が良かった』とか言うんですよね。嘘でしょと。そりゃいい思いをした人もいますけど、一方で消費者金融があれだけ叩かれるくらい、みんな借金しながら打ってたりしたわけで。ちょっと思い出が美化されすぎなんじゃない? って。だから分かってないんですよ。今の方が絶対いいって。
それをまずは知ってもらうこと。知ってもらってから、ホールに足を運んでもらうこと。そのためにはベタピンホールを失くすのはもちろん、ユーザーさんのレベルも上げないといけない。もちろんメディアもです。
赤字になるくらい出してるのに『出てない』って言ったら、お店が設定使う意味を失っちゃうよ。みんながそれぞれ役割を果たして良い循環が生まれれば、設定使う店は生き残るし、駄目な店は勝手に潰れていく。僕はそう思います。だから何もない平日にお客さんを呼ぶには、全員の努力が必要だと思います。お店も努力します。お客さんもちゃんと店を選びます。僕らも伝える努力をします。目指すべきはそこですよね」
▲「循環」の大事さを説くヤッさん。
拍手を受けつつ退場する天草先生に続いて、山本さんがマイクを受け取る。
「そうですね。その循環。玉を使うホールが利益を出して、そこにお客さんが集まるように。そういう風に行けばいいなぁと思っています。あの、今天草さんの話を聞いて思ったんですけど、7~8年前くらい前ですかね。特に等価の時代はホントに設定状況がキツかったんですよね。全国平均で玉利47銭とか。こんなのベタピンじゃんって。
事例としても実際にベタピンホールの方がお客さんが集まっていたというのがあるんですね。ただデカい箱を作って機械を突っ込んでればいいみたいな。ホールとしても幾ら玉を出しても人が集まらないんなら、そういう風にならざるを得なかったんですね。それが3年くらい前から状況が変わって。お客さんも流石に耐え切れなくなって玉をちゃんと出すホールに集まり始めています。
それで『設定を使う』という話の中で、じゃあいつ使うのかというのが大切で、例えばピークに13割出します、そうじゃない日にその分を抜きます、というのではやっぱりお客さんが寄り付かなくなるんですよ。僕とか天草さんとかが言うのは、出すにしても平常営業を壊さないようにしましょうと。そうしないと普段来て下さっているお客さんの為にならないです」
曰く、山本氏がコンサルタントとして関わるお店では、氏が全ての設定を見るとの事。お店が盛り上げようとして設定表を組む際によくあるミスが『6を見つけて貰えず利益を取りすぎる』『分かりやすい所に稼働が集中して大赤字を食らう』あたりがメジャーだそうです。この中では『大赤字を食らう』というのがイコール、通常営業を壊す事、につながりますね。
「ただシュミレーションの数字を並べて入れても、その通りにはならない。お客さんの動きを予測して、こういうストーリーでここの台が動くとか、ちゃんと理由がないと上手な出し方というのはできないです。これが出来てないと折角予算を組んでも無駄になってしまう。
逆に上手く出来てると、据え狙いで翌日の稼働も伸びたりする。たとえ6が動かなかったとしても、全リセで一台だけ据え置きがあったら6だったなって気付いて貰えるじゃないですか。そうやって普段からちゃんと使ってるっていうアピールをしていきましょうよと。そういう前後日のやり方のアドバイスなんかは、僕もよくやりますね」
ただし、と山本氏は続けた。
「それをやったとしても、気付いて貰えない事だってあるんですね。それに関してはいつもお祈りするような気持ちでお客さんの動きをみています。気付いて貰えなかった時はやっぱり悔しいです。それを防ぐためには努力しかない。天草さんがさっきおっしゃったように、僕らも努力してます。なのでユーザーさんにも、設定には敏感になって欲しいなと思います」
▲全員で参加。全員で考えるディスカッション風景。
次にユーザーさんからの質問。これは筆者も気になる「禁煙化」についてです。特に既存のユーザーというよりも新規顧客の呼び込みへの影響について。この辺はどうなのでしょう。
ちなみにこちらのユーザーさんは、とある禁煙団体に関係があられる方ということで、ぱちんこホールの全面禁煙について役に立てる事がもしかしたらあるかも知れない、との思いから今回参加されたとの事でした。わお。こういう方がいらっしゃるのもまた、広く門戸を開いたユーザーミーティングだからこそだなと。そう思った次第です。
こちらの質問に対する回答は先程と別の店長さんより。
「うちの店は今の所静観しようと思っています。もちろん店内を全面禁煙にはします。が、ブースを作るかどうか……。ですね。変な話かもしれませんが実はぱちんこ業界って先に対応した方が損をする事が結構あります。今回の全面禁煙の話もそうなのですが、これに関しては助成金を貰ってブースを作ったらその瞬間、店内は全面禁煙になるんですね。なので敢えて今の所はつくらず静観です。
4月1日を迎えて全面禁煙になったら店内はもう禁煙。ただしブースはつくらず、駐車場に二箇所、喫煙所を用意しようと思っています。これが出来るのは駐車場がある郊外店だけで、都内のお店とかでは出来ないのですが、うちは出来る。そうやって様子を見ながら、今後の対応を考えていく、という風にすすめています」
これに関しては「うちもそう!」という店長さんが他にもおられたので、もしかしたら郊外店では一般的な対応なのかもしれません。
ちなみに禁煙化に関して、国によっては「室内がOKで路上がNG」であったりあるいはその逆だったり。または両方OKだったり、NGだったりと対応がまちまちです。本邦においては長らく両方OKだったのですが、10年ほど前から路上喫煙NGの自治体が増え、2020年の4月1日をもっていよいよ「(パチンコ店を含む)飲食店等の屋内施設が原則禁煙」となります。前述の質問者さんによると、路上・屋内で時差があったのは屋内禁煙に抵抗する政治力というのがあったからであるとの事。それがオリンピックを前にいよいよ抵抗できなくなり、今回の流れになったそうです。
なるほど、政治力。これに関しては続けて別の方からこんな質問に飛び火しました。
「政治についてなのですがよろしいですか? 2019年は色々と『ぱちんこと政治』が騒がれた年でした。選挙もありました。彼は惜しくも落選してしまいましたが、個人的には落選の原因は『良くわからない人だったから』だと思っています。私もぱちんこユーザーですが、やっぱり旗振りをするのは、ぱちんこ業界に根差して活動している人が良いと思います。そこで率直にお伺いしますが、山本さんは選挙に出ないんですか?」
笑顔で首を振る山本さん。質問者さんが続けて「天草先生でもいいですよ」と言うと、ヤッさんは「僕は若い頃ヤンチャしすぎて無理!」と即答しました。温かい笑いに包まれる会場。ちょっと政治の事はまだ良くわからないのですが、と前置きしつつ、山本氏がマイクを取ります。
「ぱちんこに関しては独立法が必要かなと思っています。きちんと反対派の意見も盛り込んで、規制の範囲や営業許可の範囲などを議論の俎上に載せないといけない。今の風営法の範囲だとざっくりしすぎてるんですね。これに関してはホールの運営目線になるのですが、例えば所轄の担当官の気分次第みたいなのが未だにあるんですよ。
この辺は意外と知らない方も多いかも知れないですけど、トップに国家公安委員長がいます。その下にブロックがあって県警があって、最終的に所轄の生活安全課の担当官がいると。その担当官が全権を握っているので、スッ飛ばして上に直訴は出来ないんです。なのに、聞いた話では気分次第のとんでもない担当官もいたり。あ、ほとんどの人は良い人ですよ?(笑) 稀にですね。そういう人がいたり。めちゃくちゃな理論で営業停止させたりと。そういう個人の裁量が入る余地があると良くないので、ちゃんと枠組みを作って、一回作り直した方がいいんじゃないかなァと。それは非常に感じております」
ちなみに現状の風営法の枠内に於ける、いわゆる『風俗第四号営業』を独立法化しようという動きも実際にあるそうです。なので山本氏はこのトピックの締めくくりにこう言われました。
「僕は独立法賛成派なので。自身が政治に関わるというよりも、それを目指してる方々を応援したり。そういう風にしていきたいなと思っています。旗振りは……。誰が適任かというのは今の段階ではちょっと分からない(笑) 色々話してみないとですね。ただメーカーはまた別の話になりますが、ホールにとっては死活問題になる部分なので、ここは真剣に考えて行きたいなと思っています」
▲当日の参加は約30名ほどでした。
「ええと、次の質問ですね……。ユーザーはぱちんこ業界にどんな事を求めているのでしょうか……。なるほど。壮大ですねこれは……(笑) ぱちんこ業界というかホール、という事ですかね。では詳しく聞いてみましょう」
こちらの質問はホール向けの広告代理店を営む方からでした。質問者さん自身もホールでかなり遊ばれている方だそうですが、やっぱりお仕事としてホールとユーザーを繋ぐ立場である以上、常にバランス感覚を意識するのは大切なのかもしれません。今の時代にユーザーさんがパチンコ業界に何を求めているのか。確かにこれが分かれば広告にも活かせるかも……?
これに関しては会場におられたユーザーさんが回答されました。
「極論は出玉ですよね。もちろん設定推測とかは僕らも出来る範囲の所ではやっていこうと思うんですが、お店が使ってくれてないと推測もできない。ちゃんと使ってくれてるホールで、ユーザーも知識を付けた人がしっかりツモッていけて……。お互いウィンウィンでいければそれが一番良いので。極論するとやっぱり出玉だと思います」
周りのライターやユーザーさん、それにホール関係者の方々もこの答えには深く頷いていた次第。ここで「接客」とかそういう単語が出てくるのはやっぱり違うと思います。もちろんそれも大事なのですが、ユーザーがホールに求めるものはなにか、という問いに対しては大前提として「出玉」はあって然るべきです。
続けて山本氏が回答者さんに対し問いを重ねます。
「ちょっとお聞きしたいのですが、そういう玉を出している良いお店で打ってるユーザーさんというのは、周りに発信したいと思っていますか。それとも隠したいと思うんですかね?」
「仲間内では拡散しますね」
「仲間内、というと──」
「自分のですね。友達とか──……。何故かというと、例えば『軍団』とかに嗅ぎつけられたりすると……、言葉は悪いですが荒らされたりとか。そういうのがちょっとイヤなので、仲間内での拡散に留めるというのはあると思います。別にシマだとか縄張りとかがあるわけじゃないのですけど、普段来ない人達が良い時だけいっぱい来てそうじゃないときは来ない……というのは『荒らされてる』みたいな気分になるのでイヤな気分というか……。もちろん、山本さんや天草先生みたいな発信する側になると、もっと大きく拡散しないといけないと思うんですけど、ユーザー目線ではそういう風に思っちゃうというのがあります」
「なるほど、ありがとうございます。軍団……というのは定義が難しいのですけど、いわゆる大勢でやってきて、お店を荒らす、みたいな所まで行ってしまっている人の事だとすると、そういう人が来なければ、どんどん拡散する……という考えでいいですか?」
「──そうです」
「ですよね。軍団に関しては、これは実はお店の対応次第なんですね。実は今の話はとても大切で、お店の対応が甘いから拡散を渋っているユーザーさん、というのがこうやって存在するんですよね。良いサイクル、循環、連鎖が止まってるんだよという話で」
「はい。常連をないがしろにするというか……。軍団に甘い店舗というのがあって。確かに軍団の方も法律や条例に抵触しているわけではないので難しいとは思うのですが、それにしても甘い……。例えばそういう人が来なくて、そして拡散することがお店のプラスになるのであれば、もっと積極的に声を大きくして教えていく人が増えていくんじゃないかな、と思います」
核心を突いた話だと思います。と言ってから、山本さんはとあるお店の店長さんをさらなる回答者に指名しました。質問は「出している所でもなぜ軍団が来る店と来ない店があるのか」というもの。気になる回答は……。
「軍団って必ず来るんですよ。絶対に来ます。大切なのは来た時の対策──軍団が自由に出来ない環境を作っているというのを、まずはしっかり発信してるかどうかですよね。例えば『当店の禁止事項』とかをしっかり作って、掲示して、守っていただかなければ一発出禁ですと。これだけでも違います。あと私はお店の秩序は常連さんの協力もあってこそだと思っていて、それこそ毎日来られていてスタッフとのコミュニケーションも取れてるお客様には『守ってない人がいたらすぐに言ってくださいね、すぐ連れ出しますから』と。私とか山本さんがやってた時代だと、軍団のリーダーを見つけたらちょっと来てくださいって言って、メンバーを全員並ばせて……あれ、並ばせ?」
「……はい。そこから来てるんですよ僕の『並ばせ屋』って」
「絶対違いますよね(笑) とにかく、並ばせて、ちゃんと防犯ビデオを見せて。これが当店では禁止ですからと。で、一方的に帰らすんではなくて、ルールを守って頂けるんなら打っていいです。守れないのなら出禁にします。選んで貰うんですね。ここまでしっかりやっていれば、そういう人たちって増えないんですね。逆にそういう軍団の人も、ルールを守って遊技してくださるようになっていくんですよ」
軍団を軍団として排除するのではなく、お客様として店で遊技をしてもらう。筆者もこれは単純な排除よりも全然良いと思います。ちなみに軍団と『連れ打ち集団』を分ける一番のポイントって『引き子を使っているかどうか』だと個人的には思っていますが、それに関してはこんな話が。
「引き子って100%バレるんですよ。本人たちがバレてないと思ってるだけで。全員バレてます。それを容認せず、駅前まで行ってお金の受け渡しをしてる所をメってやればいいだけなんですね。でもお店のレベルによっては引き子が分かっていても、その対策が出来ない。やる所が増えてはいるんですけど、まだ甘い所もある。僕が見ているホールではこの辺りは徹底してもらってます」
▲ホールがしっかりしていれば、軍団もルールを守って遊技するようになります。
以上! 第二部のディスカッション時間は1時間。会場の予約が21時までだったのですが、終了したのが20時59分だったという部分に会場の白熱ぶりが伺えるかと思います。ちなみに当日はこの他にもいくつかトピックがあったのですが、全部書いてるとめちゃ長くなりすぎるので、大事な所のみピックアップさせていただきました。
さて、ここまでご覧になっていかがでしたか。実際にその場にいた自分としてはいわゆる「業界セミナー」とはかなり毛色が違う感じを覚えました。僭越ながら似たムードを挙げさせていただきますと、大学時代に研究室でやったセミナー。先生が一人いて、それぞれ意見を述べながらああだこうだ話し合うみたいな。あれに近かったです。知り合いが多かったのもあるかもしれませんが、場の雰囲気が極めて明るかったので、みなさん積極的に意見を述べられていたのも印象的でした。
そして「ホールコンサルタント」という仕事について今回さらに分かったこと。
今回特に思ったのが「ホールコンサルタントって単純にホールの運営支援をするだけじゃないんだな」という事です。それこそ、使い古された表現ではありますが「人と人とのハブ空港」というか、必要な人材に必要な意見を聞いて採り入れる。あるいはつなげる。そういう能力もまたとても大切なんだなと、そう思った次第です。
コンサルタントというのは直訳すると「助言役」「相談役」になるそうですが、それを行うのには独りよがりの知識じゃ駄目だと思います。いろんな意見を聞いて、見識を広げ、バランスを取る。もちろん根底に「将来こうしたい」「こう変えたい」というビジョンありきのものだとは思いますが、押し付けるのではなく話し合う。意見を述べ合う形の今回の「山会議」は、参加者の身としても大変に面白かったです。
さて、以上が第二回「山会議」の模様でした。今後も第三回、第四回と続けていかれるという事なので、興味のある方は参加されてはいかがでしょう。もしかしたらホール運営に対するイメージが、ちょっとだけ変わるかもしれませんね。
●並ばせ屋山本公式ウェブサイト
●並ばせ屋山本YouTubeチャンネル『並ばせチャンネル』
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- あしの
- 代表作:インタビュー・ウィズ・スロッター(稀にパチンカー)
あしのマスクの中の人。インタビューウィズスロッター連載中。元『セブンラッシュ』『ニコナナ』『ギャンブルジャーナル』ライター。今は『ナナテイ』『ななプレス』でも書いてます。
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サンキュー! 参加資格に制限無しだったんで、次回はぜひどうぞ! 面白かったですぜ!
ちょっと覗いて見ようかな?と思う距離でも無いんで(汗)それに今、これからの機械に魅力をそれほど感じていないってのもデカイ。現状、6号機を打てる環境は地元には無いんですが、だからといってわざわざ遠出をしてまで打ちたいとも思えないんですね。
そういったことを自身で鑑みても「努力」ってことで言えば全くやってないわけじゃないんですが、まぁ怠っている。
打ちたい機種には全力なんですよ。そこかな、大事なの。それがなけりゃ自分の中で始まらないんですよね。
あたしも参加してみたくなった♪