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ゆる調~パチンコパチスロゆるゆる調査隊~
2019.08.01
日本一予約の取れない『合コン集団:中嶋塾』に潜入してみた。
パチンコ・パチスロ業界。と一口に言っても、そこには色んな人がいます。ホール関係者もそうだし、メーカーの人もそう。広告代理店だって多分業界人だし、筆者みたいなライターだって、たとえ飛沫みたいなもんだとしても、一応は業界人の範疇に収まっておるそうです。
色々です。ホントに色々。 そして「色々」だからこそ、何をやってるか良くわかんない業種というのもあります。特に我々みたいなユーザー側からするとその活動実態なんかが見えにくい「裏方」の人だと、なんか色々悪い想像が膨らんでみたり。誤解を恐れず言うなら、何となくうさん臭かったり。 個人的には、その代表格が「ホールコンサルタント」だと思います。
筆者はこれまで2回にわたり、そんなホールコンサルタントの方々の実態を探るべく取材を実施して記事にしました。以下の記事がそれです。
■『ホールコンサルタント(コンサル)』って一体なんじゃ?
■『ペタピンで利益が出るのは何故悪いのか』並ばせ屋山本さんのユーザーミーティング『山会議』に潜入してみた!
──結果、最初は正体不明だった「ホールコンサルタント」という職業の実態が、薄ぼんやりと見えてきた次第です。ただ、ホントにおぼろげ。まだ理解が追いつかない。理由は簡単で、上記2回の取材時は両者とも、実際の業務ではない所での邂逅だったからです。つまり、ゴリゴリのコンサル業務の現場を取材したとはとても言い難いものでした。(それでも話自体はすげー難しくて面白かったですけども)
取材以外の場所……、例えばセミナーだったり、そういう実際の業務の現場では、実はもうちょっとエグい事をやってたり。生臭い何かがあるんじゃなかろうか。もちろん、ホールも生きていくためには利益を上げないとイカンのでそういうのも有って然るべきなのですけど、問題はそのやり方で。ゲスの勘ぐりかも知れないのですが、「どうやってユーザーから徹底してぶっこ抜くか」の地獄のベタピン会議みたいなのが、もしかしたしたら連日繰り広げられてるのかも。
みんな、こう……、薄暗いところで車座になって包丁とか研ぎながら『折角なんでもうちょっと太らせてから頂きましょうぜ……』みたいな。なんで包丁研ぐか知らんけども、とにかくこの辺の確認は全然できてない。これで「ホールコンサルタントの仕事を理解した」とはちゃんちゃら可笑しい。ヘソがティファールになって一瞬で茶を沸かすレベルです。
というわけで今回はより理解を深める為、ホールコンサルタントさんが行っている勉強会会場に潜入し、その内情に迫ってみました。 取材させて頂いた勉強会はコチラ!
『日本一予約が取れないコンサルタント・中嶋優』さんによる合同コンサルティング。月一度、業績向上に役立つノウハウ・業界動向・トレンドなどの情報を、ホールのスタッフ・店長・経営陣に向けて講義しているそうな。講師陣の中には代表の中嶋さん以外にも以前お話を伺った『並ばせ屋山本』さんの姿もあり。さらにパチンコ・パチスロ業界以外からスペシャルゲストが参加することも……! ちなみにヨミは「なかじま」ではなく「なかしま」なので注意!
はい中嶋塾! コレをご覧の方で、ホールにまつわる仕事をされてる方はもしかしたら聞いたことがあるかも知れません。筆者は不勉強にも割と最近になって知りましたが、よくよく思い出してみると随所でこの勉強会の名前を耳にしたことがあるような気がします。
内容としてはザックリ言うと「ホール関係者向けの勉強会」です。一方通行のいわゆる「セミナー」とは違って、個別面談時間も設けられているので「合同コンサルティング」という呼び方になるようです。ちなみに公式サイトによると合同コンサルティングの略称は「合コン」との事。たくさんテキーラ飲みそうですね!
ちなみに取材に伺ったのは6月22日。場所はTKP御茶ノ水カンファレンスセンター。そしてその日のスペシャルゲストはなんと我らが(?)地獄警備員、兎味ペロリナさんでした。おお、ペロリナさん色んな事やってんなァ……! 編集長は『ペロちゃん、仕事選びなって(笑)』って言ってました。
というわけで果たしてコンサルタントとはどんなお仕事なのか。ホール「合コン」中嶋塾を通じてその実際の現場をあらためて探って来ました。今回はそのレポートになります。 どうぞ!
(なお、実際の勉強会中はかなり細かい『実際のホールの数字』などがバンバン出てきておりました。それらを細かくレポートするのは、果たして読み物としてどうなんだろう……という葛藤の元、難しい部分は意図的にカットしております。それを踏まえて以下をお読みくださいまし)
当日は小雨がそぼ降るあいにくの天気でしたが、会場には約100名ほどの参加者が詰めかけておりました。もちろん全員がホール関係者。しっかりスーツで来て熱心にメモを取りながら参加されてる方がほとんどで、そこが馴れ合いの場所じゃなくて日々の業務の延長線上──「勉強会」であることが、否が応でも感じられました。
勉強会のスケジュールは、まずは中嶋塾・理事長の小森氏による業界講話からスタート。 やっぱり業界関係者ばかりなので積もる話も有って当然。それまで和気あいあいと周りと名刺を交換したり談笑していた参加者の方々も、講話が始まった瞬間から真剣な表情で聞き入ってたのが印象的で、なんとなく、学生時代の夏期講習の雰囲気を思い出しました。
▲理事長の小森さん
理事長・小森氏の講話は、最近の業界のトピックについて、所感を交えながら簡単に紹介していく形でした。メインの話題は旧基準機が設置期限を迎える2021年に向けた、例えばこんな感じのものです。
「キコーナさんは既に160店舗を越えています。少し前に某ホールを買収するまでは75店舗くらいだったと思うのですが、なんと4年間で2倍以上になってる。ホール全体の売上の中では今は5位。売上金額は2700億円くらいですか。これはこれで凄いのですが、分析してみると、キコーナさんは今は売上よりもひたすら店舗数を増やしてるように思います。店舗数に於いてはやがてガイアさんを追い越すんじゃないかな──という勢いで。なんでこんな事をしてるかというと、私が思うには2021年に向けての動きなんですね。旧基準機が無くなった後に備えて、店舗数でロケーションを作っておきたい。そういう狙いがあってやっているように思います」 と。
実際のホールの出店成功例などについてのお話をされたり。あるいは参議院選挙の話やIRなどに関しても触れておられたので、ここはガッチリとした勉強というよりも、本番前の肩慣らしの意味合いが強かったように思いました。とは言えそこはやはりホール向けの勉強会。出てくる固有名詞の半分くらいは筆者の知らない名前で、他の参加者の方がウンウンと頷きながら聞いているのを見ると、なんとも言えない孤独感を覚えた次第。しかし、ここはまだ序の口。
▲塾長の中嶋さん
さて、理事長のお話が終わったあとはいよいよ今回の合同コンサルティングのメインキャストである中嶋さんが登壇されました。ここからは事前に配布された資料を見ながら、より実践的な講座になります。講座の内容は7章に分けられていましたが、中嶋氏の担当されていた箇所を羅列するとこんな感じ。
1:お盆のリニューアルについて
2:効果検証済みの集客施策について 3:9月以降の集客の下落率について 4:設定付きパチンコについて 5:まどか☆マギカ3について 6:ディスクアップについて 7:牙狼・仕置人について |
おお──。興味深い。皆さんどれが気になりますか? 流石に頭から最後まで全部具体的にレポートするのは文字数の関係で無理なのですが、個人的にグッと来たのは4.の『設定付きパチンコについての話』でした。
筆者はパチスロをメインで稼働しているのでパチンコに関してはあんまり詳しくないのですが、それでも近年の「設定付きパチンコ」にはめちゃくちゃ辛いイメージを持っています。漏れ聞こえてくるユーザーさんたちの評判もあんまり芳しくない。筆者が穿って見てるだけかもしれませんが、少なくとも「設定付きパチンコ最高だぜ!」みたいな声は、今の所聞いた覚えがありません。 果たしてどうなんでしょう。その辺。
「メーカーは設定付きパチンコを訴求したい。でもホールは抜きやすい所なんでしっかり抜きたいと思っています。例えば資料の数字では全国の設定456の投入率が、良い機械で15%。悪い機械だと5%しかないんですね。これはガチ抜きしてる数字です。パチスロだとある程度設定の使い方が明確化されていてここまで酷い数字にはならないのですが、パチンコはまだみんな分かってないのでこういう事になってしまっています」
456が5%。こう聞くと筆者のような養分体質の人間は「ワンチャンある」と思ってしまいそうになるけど、逆にしたらその恐ろしさがよく分かる。つまり95%が3以下なのだ。パチスロで考えたらそんな店に筆者は行かない。やっぱりドギツイんだ……。
「だからこそ設定付きパチンコはユーザーからのニーズが少ないんです。しかもこれが登場して、ホールとしても色々と手間が増えている。管理すべき数値が複雑化してるんですね。だから僕は以前から設定付きパチンコに関しては専任のスタッフを用意した方が良いですよと提案しています。早期に『適正利益』と『客滞』と『スタート(250玉/回転数)』のバランスが取れた運用のポイントを見つけて。そうして、その台を育成していけると思ったら設定は幾つでスタートがこれ……とか。逆に育成が無理だと思ったら低レートに落とすか、あるいは売却するか。すぐ決めないと利益ロスが積み重なっていってしまう。そういう判断を素早くやるには専任スタッフはやっぱり必要だと思います」
なるほど……。専任スタッフ。全部店長で見るのは無理だもんね。しかしそうまでして設定付きパチンコを無理して使う意味はあるのだろうか。その疑問に関しては、中嶋氏の以下の言葉がそのまま答えになると思う。
「今年はお盆が9連休なので9月以降がキツイ。おそらく何もしないとGW以上の下落率になると思います。そこを落とさないための『他店との差別化』の一つに『設定付きパチンコ』はありだと思います。多分『あの花』くらいから設定付きパチンコの状況も変わってくると思いますし。……現に店舗によっては平均稼働が設定付きパチンコの方が高い所も既に出てきています。これは大きな差別化です。どちらにせよ設定付きパチンコは避けては通れないので、せめて導入した時に『利益の為に使うのか』『売却するのか』は素早く見極められる程度にはなっておかないと、今後厳しいと思います」
つまり、導入しっぱなしで動いてない機種が多いので、せめて使えるようになるか、あるいは売却するかどうかの判断は素早くできるようになりましょう……ということだろう。それにどの店も設定付きパチンコを使いこなせていない分、使えるようになると大きな武器になる。差別化ができる。集客につながると。そういう話だ。
中嶋氏の講義内では度々『Re:ゼロ』話が出てきていました。コレに関しても気になる読者の方が多いと思うので触れておきましょう。
「『Re:ゼロ』の支持率はどんどん下がってきていて、今は絆と同等か少し低くて140%くらいです。(5月の)増台後で明らかに変化しているのが低設定域のアウトで……特に1が顕著に下がっているんですね。設定2でも14%くらい減少しています。逆に判別が容易な4は下落率が低い。分かりやすく言うと『設定入れないと稼働が上がらない』ようになっています。全国的には今は4~7%くらいの利益率でみなさん運用されていますが、とは言えまだ絆と同等の支持率なので、低設定でも他の機械より抜けるんですね。なのでここは視点を切り替えてもいいと思います。例えば6台以上あるお店はアウト貢献を考えて毎日高設定を入れた方がいいです。それでも利益転換は充分できます。放出予算が無いなら思い切って低レートに移設して来店動機の為に使うのを視野に入れてもいい。5円スロットでも粗利8000円以上の抜けます」
設定を入れるなら毎日入れる。入れないなら低レートに落としてもいい。なかなか極端だけど、言われてみれば『Re:ゼロ』はお店によって客付きがぜんぜん違う。店によっては常に満席に近い稼働だけども、筆者のマイホの某店なんか、人が座ってるのをほぼ見たことがないレベルで過疎っている。使い方によって、店舗ごとに明らかな差が出てきているように見えます。
「『Re:ゼロ』の特性として『設定を使わない店』と認識されると、非常に厳しくなる台だというのがあります。下手したらゼロ稼働の可能性すら出てきますよね。なので使うならしっかり設定を入れていかないと駄目だし、使わないなら低レートに落とすのも考えてください」
確かに。今のユーザーがその店を見る指針の一つとして『Re:ゼロ』に設定を使ってるかどうかというのが間違いなくあると思う。人気があり、かつ判別しやすいだけに。利益のために動かすにせよ、ゼロ稼働は店全体の評価を著しく落とす事にもなるので、ならもう視点を変えて低レートで動かすのもありですよと、筆者はそう解釈した。
「あとお盆以降で大切なのが、6号機の集客を作っていくことです。優遇されてるという印象づけ。例えば東京だと○○線沿いのお店……何店舗かあるんですけど、見た事無い人は一度でいいから見て欲しいんですよ。6号機バラエティがすごく稼働してます。印象づけが成功してるんですね。これが出来てると、今後例えば番長や吉宗が出た後に大都コーナーで差別化をしたり。他にもアニメコーナーを作って二十代のスロットユーザーの囲い込みをしたり。こういう事ができる。どちらにも『Re:ゼロ』は使えます。なので僕は『Re:ゼロ』は増やせるタイミングで増やしていった方がいいと思っています。ただ、増やすなら特性を理解してちゃんと使いましょう」
1時間以上にわたる中嶋氏の話は、他にも『中国10億人に向けたビジネスの話』や『店舗SNSの活用方法』。さらには『球を出すことへのこだわりと難しさ』の話。あとは『旧基準機がない1000台規模のお店のオープンを担当された際の地獄のような体験談』などがあり、それらを時折ジョークを交えながら立て板に水のような調子で淀み無く話されているのが印象的だった。
さすがホールコンサルタント。話が上手い。というか今までお会いしたコンサルタントは全員やたら話が上手でした。考えても見れば自分の考えをしっかりと相手に伝えて、納得させ、そして動かすのがコンサルの仕事なわけで。当たり前と言えば当たり前。 そしてそんなコンサルタントの中でも「日本一予約が取れない」とまで言われる中嶋氏の話の中で、この日一番会場が温かい笑いに包まれたのは、こんな話の時だった。
「もうディスクアップはお客さんが上手くなりすぎて利益が取れない。パチスロ自体が上手くなっちゃっている。じゃあその分どこで抜くかというと、何も考えない店長は抜きやすい所から抜く。で、甘デジがキツくなる。目押しのレベルが高いお客さんが集まる店は、なぜか甘デジがキツくなっていってるんですね」
さあ続いて登壇したのは山本氏。ご存知「並ばせ屋」さんだ。山本氏が拘るのは徹底した定数計算。
データに基づいた分析と提案なのは既に知ってるのでそんなに驚かなかったのだけれど、氏が登壇された直後に放ったこの言葉が何か凄い印象に残った。
「良くある事なんですが、会議で数字を出す時に、みんな言い訳しながら目標対比を出すんですよね。要らないんですよ。目標とかどうでもいい。社内的には必要な事かも知れないけど、目標は設定次第で甘いとか辛いとかどうにでもなっちゃう。大事なのは現状を正確に知ること。そのために使うのは推移なんですよ。だから僕は推移を知りたいんです」
山本氏の話の内容は主に利益を出すための機械選定の基準やその使い方。実際のホールのデータを例に出しながら、計算式を用いてかなりテクニカルに解説されていた。BAやBOA。SAやTIY、スペック玉利など。下手したら一回も聞いたことないような単語(※ホールコン用語らしいです)がバンバン出てきて筆者は早々に理解を諦めたのだけど、中でも衝撃だったのが確変中に上皿を切らさない為の計算式についてだった。そ、そんな事まで意識しているのか! みたいな。
ただ、具体的な式については流石に配布資料までは貰えなかったので未だに分かんない。コレを書きながらICレコーダー聞つつ色々調べてみたけど無理でした。
これ皆さん、考えた事ありますか──? 確変中に上皿の玉が切れやすい機種か、切れにくい機種か。ユーザーとしては当然「切れない方が気持ちいいし楽しい」のだけども、一方で切れた時には絶対に「ガチガチやんけ!」とお店のせいにしちゃうと思います。特にあんまり打ったことない機種だと。
山本氏の話では、実はお店は上皿の大きさや消化時の減りなんかまで計算して、なるべく切れないように意識すべきなんだそうです。切れた方が嬉しいんじゃないですよ。切れないほうが、お店も嬉しいんです。 要するに「お客さんに気持ちよく、楽しく打って貰える」為に、そういう計算をしてるんですね。
これねぇ、今回の一番の収穫かもしれない。少なくとも筆者は目からウロコでした。要するに、当たり前の話なんですけども、ホールも企業なわけで、利益を上げないと食っていけない。社員やその家族を含め、養って行かないと行けない。だから利益を取るのは当たり前──。筆者はそこで立ち止まってるので、ぶっちゃけ確変中に玉が減ろうが何とも思わないし、そういう作りだと思って納得しちゃう。そして上皿が切れたら「ガチガチやんけ」と怒る。思考停止です。
だけどホールコンサルは「減るのは仕方ないとして、せめて上皿が切れにくいようにしようぜ。計算すれば分かるから」と、ユーザーのストレス軽減を指標の一つにして、時間を取ってレクチャーしてるんですね。 そりゃあ、全員が全員じゃないと思います。コンサルだって色々なんだから。これを「おためごかし」であるとか、「無駄な努力」みたいに、一笑のもとに伏す人も、もしかしたらいるかも知れない。それは分かんない。でも、ここまで考えてるコンサルもいるという事実を筆者は知らなかったので、軽く衝撃を受けました。この辺はもう、完全にユーザー寄りなんです。考え方が。そのロジックが。寄り添い方が。
そんな中で、参加者の方々はノートパソコンで(明らかに関わったお店のリアルのデータだと思しき)ワークシートを開いて、熱心にメモを取りながら計算しては頷いてらっしゃって。そこはもう、少なくとも筆者が今まで体験した中で、一番『パチンコ・パチスロ偏差値』が高い空間だったと思います。
……そしてもちろん、コンサルはユーザーに寄り添ってばかりじゃない。あくまでもホールに利益の出し方を指南するのが仕事なんだから。
「仕掛ける時は仕掛ける。仕掛けない時は利益を貯める。利益を取ってもお客さんは急激には居なくならない。その代わり出す時はしっかり出す。ホールの営業はターン制なんです」
だからこんな事も言っちゃう。ターン制。これめっちゃスッと入ってきたけど、そう言えば前回の取材のときも同様の事をおっしゃってました。利益を貯める時と還元する時。メリハリだ。そしてそのメリハリをどのレベルで無理なくつけるのかは、やっぱり定数計算、定量データ。その蓄積と分析だろう。そして「分析」のやり方こそ、まさしく今回の「中嶋塾」で実演された、難解な計算式たちでありました。
ああ……。やっぱホールコンサルタントってデータと経験を武器に「利益の出し方」をホールに教える、プロなんだなと思った次第。
冒頭でも少し書いたけど、この「中嶋塾」では毎回コンサルタント以外のゲストを呼んで、その人が持つ特性や特技、技能や理念などをホール経営に活かすべく、特別講義が開かれている。誰が来るかは毎回ランダムで全然読めない。なんと次回はセクシー男優の「しみけん」氏まで来るみたいだし。 しみけんさん……!? マジかよ……! 一体しみけんがホール営業役立つ何を語るのかは非常に興味がある所だけど、とりあえずそれは置いといて、今回登場したのはこの方だ!
▲もはやアイドル。兎味ペロリナさん。
そう。兎味ペロリナさんだ。参加者全員による暖かな拍手に迎えられて登場するや主催側から「トップインフルエンサーの兎味ペロリナさんです!」という紹介を受け、めっちゃ恥ずかしそうに一礼されておりました。
今回ペロリナさんが呼ばれた目的はに広告規制やイベント規制で「発信することが無くなってしまった店舗のTwitterアカウント」を、どう有効活用すれば良いのか。どうやってフォロワー数、インプレッションを増やせば良いのか。それをホール関係者に教授するためだ。
パチンコ・パチスロ偏差値がハーバードとかケンブリッジみたいなレベルでブチ高い空間。果たして悪魔が何を語るのか。筆者は思わずつばを飲み込んだ。
「えー……。ご紹介頂きありがとうございます。現役JK・兎味ペロリナと申します。普段は地獄を警備する地獄警備員を務めておりますが、なぜ人間界に居るのかと申しますと、地獄警備に飽きて来ました頃、人間界に出られるルートを発見しまして。で、来てみた所、日本の食事でしたり、娯楽でありますとか、素晴らしい文化に触れ、悪魔として刺激を受けまして、更にですね、折角なら、人間界で悪の布教も広めようという事で、そのためにこう、タレントというですね、お金も稼げて悪の布教もしやすい、このジャンルを選び、あくまでも悪の布教として、こういう活動をしてます。本日はよろしくお願いします」
暖かな笑いに包まれる会場。さっきまで必死にノーパソと睨めっこしながらキーを叩いていた参加者が、みんな親戚のおっちゃんみたいな笑顔で拍手している。まさかのホッコリ展開だった。とは言えここは勉強会。本題はあくまで「どうやったらフォロワー、インプレッションが増えるのか」についてだけれど。それに関して挨拶もそこそこに、ペロリナさんはこう答えた。
「やっぱり自分、悪魔なので。思ったことをズバズバ言い、毒のあるような形でやっていきたいな……キャラというかコレが素なんですけど、その方向性が良かったのかなと。あとはですね、元から知名度がある方に拾っていただく、いわゆる売名行為ですね。その恩恵は受けました。それで2年くらい前まではフォロワー数も3000人とかだったんですが、ジャンバリ.TVに出たくらいから急激に増えて──」
このクローズドな空間でもまだ悪魔設定。いや、彼女の場合設定とかじゃなくて悪魔なんだけども、なんていうか、見ててハラハラした。ちなみに彼女の講義のみレジュメに沿って話すのではなく、主催側との一問一答形式だったのだけど、売名行為という単語を受けて出た「ついついリプを返したくなる絡みってどんなものですか?」という質問に対するペロリナさんの答えが印象的だった。
「正直な所、一番目につくコメントというのはやはり批判なんですね。自分的には頂きたくないコメントなんですが、目についちゃう。返しはしないんですけど、例えば『本当はファンなんだけど敢えて』みたいな批判は気になっちゃいます」
講義の内容はその後「アンチについて」「影響力について」「ゆるきゃらについて」などを経て「炎上について」の話になった。
「誰かが燃え上がったりしてるとき、それをリツイートしたりコメントして中に入っていくのも、まだフォロワー数が少ない時は全然いいと思うんですね。逆にそれを取り込む……みたいな。でも多くなると全然変わってきて、自分のもつ影響力が悪い方に向かう事もあります。例えば自分で一番有名な炎上の話だと『マジレス業界○○虫事件』だと思うんですけど──」
これはホール関係者よりもライターの方が詳しい案件なので思わず大きく頷く筆者。あった。ありました。あれはもう筆者もハラハラして見てた。
「あれの正確な内容を話すと……。自分悪魔なので、規制が厳しくなっていっても関係ないと。私悪魔だから関係ないよねェ、みたいな冗談をツイートしたんですよね。そしたら『良いわけないだろ!』みたいなのがどんどん飛んで来るわけですよ。いやいや……みたいな。そんなマジレスされても……。本気で言ってるわけないだろ、みたいなマジレスにマジレスで返すみたいな面倒くさい流れにはなってしまったんですが、まあいいや、みたいな感じで終わって。それはそれでプチ炎上だったんですけど。ある時別のホール関係者さんから『悪魔なんだから規制関係ないんですもんね!』ってリプが来て。乗るじゃないですかそんなの。『そうだ! 俺様は悪魔だから規制なんか関係ないのだ!……っていうとまたマジレス業界○○虫が沸くから辞めときましょ』って返したんですよ。そしたら『ペロリナが業界人を虫呼ばわりしてる!』って大炎上して」
つまり、ペロリナさんが言った『マジレス業界○○虫』という言葉は「業界人なのかどうかも分からない、ただただ批判する時にだけ業界人を名乗って現れるアカウント」に対しての呼称であって、そう言われたアカウントが勝手にカンカンに怒って炎上したらしいのだ。
「あれもまとめサイトさんの影響がかなり大きくて、『○○虫』の前にわざわざ『業界』って付けたのって、批判する時にだけ現れる良くわからない人に対する揶揄なんですよね。でもまとめサイトさんでその発言を知った方ってそういう流れとか文脈抜きでそのツイートだけをいきなり見るんで、『あ、ペロリナが業界人を批判してる!』ってそういう風に広まってしまい、そして炎上……。みたいな。もちろん自分の書き方が一番悪いしフォロワー数が持つ『影響力』というのを軽視してたのもあるので、それからは気をつけてます」
ちなみにまとめサイトに関しての質問もあったので付記しておく。
「まとめサイトは自分でも拝見させていただいてますし、少し困ることはありますけど、さっきの炎上に関しても『それで知った方』というのはすごく多いですし認知効果はあると思います。炎上中は減る事もあったんですけど、結果的に増える影響が強かったですし──」
その後は参加者からの「SNSツールの活用方法」などについての質問が続き、ペロリナさんがそれに対してどんどん答えていく、という流れになった。持ち時間はきっかり1時間だったけど、気づいたらあっという間に閉会の時間になっていた。
最初は緊張でガチガチだったペロリナさんも後半は徐々に余裕が出てきたのか笑顔も見られるようになり、一瞬これがホールコンサルタントの勉強会である事を忘れるくらい、会場も和気あいあいとした雰囲気になっていた。ただちょっと面白かったのが、こういうやや緩めの雰囲気の講話も、参加者の方々はメモを取り頷きながら聞いてた事だ。勉強するぞ、という姿勢はギリギリまで崩さない。やっぱみんな、根が真面目なんだなぁと、思わず感心してしまった。
さて、全スケジュールが終わった後は主催・参加者全員による懇親会が行われた。ペロリナさんの撮影会もそうだけど、中嶋氏や山本氏の周りに人だかりができてたのが印象的だった。やっぱりお二人と直接話すチャンスなので、吸収できる部分はギリギリまで吸収したいはず。片手にビール。片手にメモ帳持って話してる人が居たのが個人的にツボだった。超真面目だ。
筆者は次の予定が押してたので残念ながら最後まで居ることができなかったけど、懇親会はその後二時間ほど続いた模様。お酒を飲んでる方々は泊りがけで来てるのだろう。なんせ「中嶋塾」の参加者は関東圏だけではなく、日本中から来ているらしいのだから。
さて。 以上が謎につつまれし合同コンサルティング『中嶋塾』の内容だ。本当はもっと堅いというか……難しい話がバンバン出てきていたのだけど、そこは割愛。気になるホール関係者の方は実際に参加されてみると良いかもしれない。参加人数は100名程度だけど、なんと当日はリアルタイムでUstreamにてWEB配信も行われていたので、実際の参加者の数はもっとずっと多いのだろう。遠方でスケジュールが厳しい方はそっちで参加するのもアリだと思う。
参加してみて思ったのが、ホントに小学生並の感想で申し訳ないけど、ホールコンサルタントって真面目に仕事してるなァという事だった。これは前回も前々回も思ったことだけども、単純に儲かりそうだからとか、それしか出来ないからみたいな志の低い理由じゃなくて、ホールコンサルタントという仕事に夢と情熱を持って取り組んでおられるのがひしひし伝わってきた。
繰り返しになるけど、やっぱりホールは利益を上げないと駄目だ。それはもう企業として当然だし悪いことじゃない。でもユーザーを軽視してひたすら利益を追求するとか、そういうイメージは少なくとも今回の「中嶋塾」に関しては全然なかった。上皿の玉切れの話じゃないけども、少なくともむしろ、ちゃんとユーザーのことを考えて、その上でどうやって利益をとるか。そのバランスを取るのに、懸命になってらっしゃるように見えた。
よくカジュアルなノリで「ホールコンサルタントになりたいです!」みたいな話を聞く事があるけど、生半可な気持ちじゃあ、これは出来ない。ほんとに。 ホールコンサルタント。まだ完璧に見えたとはいい難いけど、少なくとも当初感じていた「うさん臭さ」みたいなのは、実際の現場をみてかなり払拭されたように思います。あとは色んな人の話を聞いてから判断するしかないのだけども、少なくとも、この空間に於いては、決して地獄のベタピン会議とじゃなくて。しっかりとユーザーの存在ありきの、健やかで偏差値が高い空間でございました。
なお最後に! 中嶋塾に実際に参加された某ホールの現役店長さんにアンケートを実施してみましたので、その結果を付記いたします。取材に来たライターでも主催したコンサルでもない。お金を払って参加した店長さんの、生の声です。 どうぞ!
「中嶋塾メリットとして、短期中期的な見通しがある程度しっかりつく、というのがあると思います。成功事例の紹介だけでなく、過去の流れから、未来起こりうる事(外的なもの)の短期・中期・長期の見通しを出し、その運用方法を提示してくれる。しかもここ数か月見ている限り、その予想が大きくずれた事がありません」
「また他業種の先駆者の話を聞くことができるのもメリットです。エンリケさんや大崎一万発さんなど。パチンコホールではない方の方法論を吸収し、自社での運営に活かせる。営業のヒントにできる。今回のペロリナさんによるSNSの運用法などもそうですね」
「あとは人との出会いにも繋がっています。他の法人との出会いは間にこういうクッションが無いと難しい。実際に参加するうちに他法人との情報のやり取りができるようになっています」
「そして、実はコレが一番美味しいかもしれませんが、懇親会など空いた時間で個別の質問などをじっくり答えてくれるのが有り難いです。スロットの運用など、配置など細かい所、講義で疑問などに思った事もお答えいただけます」
敢えて冒頭で書かなかったけども、実はホール側は会費として月額125,000円を支払っているそうです。最初見た時、筆者は「高杉くん!」と思ったのですが、それに関して聞いてみると、その店長さんはこう言いました。 「メリットの方が大きいですね」と──。
……以上! 中嶋塾潜入記事でした。今回はここまで!
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- あしの
- 代表作:インタビュー・ウィズ・スロッター(稀にパチンカー)
あしのマスクの中の人。インタビューウィズスロッター連載中。元『セブンラッシュ』『ニコナナ』『ギャンブルジャーナル』ライター。今は『ナナテイ』『ななプレス』でも書いてます。
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