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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2017.02.01
2017年1月段階でのパチスロ5.9号機考察
私がパチスロを始めたのは、1991年1月の終わり頃でした。当時の身分は予備校生。大学入試シーズンが始まっているのに、なんてことでしょう。自分の子供がそんな生活態度だったらブン殴ります(笑)。26年ほど経ったわけですね。途中でブランクがあったりもしましたが、人生の半分以上はパチスロと共にある感じとなっております。
当時は、板張りの床に有線で演歌が流れるところも多かったですね。設備投資をして、カジノのような雰囲気となっていったのは、ここ15年くらいの話。正直ね、昔の“パチ屋”のほうが好きなんですよ。パチ7が誇るガチ勢の鬼くんに言わせれば“パーラー”ですね。私、使ったことのない単語でしたけど。
パチスロを覚えて、早い段階で通うようになったのが“グリンピース新宿本店”です。私が見た初めてのスロ専。シマの配置は変わっていますが、建物は現在も同じ。その当時、トイレにこんな張り紙がありました。「狭いトイレで申し訳ありません。新台入れ替えが少なくて申し訳ありません。すべてはお客様の出玉のために」。立派な建物だし新台もバンバン入れているからお金持ち。だから出してくれるだろう……という打ち手側の見方もわかります。設備投資をして集客できれば、売上が出る分だけ還元もしやすくなる。そういうホール側の戦略もわかります。ただ、やっぱり“人肌くらいの暖かさ”が感じられる昔の“パチ屋”のほうが好きかな。
それでも思うのは、量産型の椅子の進歩に感謝したいということ。昔は、台の高さと椅子が合っていないことも多く。しかも、椅子は横に回るくらいで高さの調節はできませんでした。姿勢を変えることくらいしか、目押ししやすくする方法がなかったのです。パチスロを始めた頃に見えたのは赤7のみ。しかも、座り心地を良くするスプリングもなし。そんな環境で打ち続けていたら、そりゃ体に負担がかかってきますね。若いうちは良いにしても、年を重ねるごとにガタがきます。ということで、腰痛につき絶賛引き籠もり中(笑)。
打ってわかるネタなどを作れず。あと……現行の5.5号機でも革新的な機種が見当たらないので、今回は5.9号機の話でも。以前に書いた「パチスロ5.9号機への規制の流れ」が好評のようでして。Google検索で“5.9号機”と入れると、一番上に表示されます。ありがたや、ありがたや。その割に、その次の回で書いた続報のアクセスが上がっていないという悲しさ(パチ7内の人気記事推計から予想)。そんなわけで、改めてもう少し詳しく書いてみます。
5.9号機になって突然変わる部分もありますが、5.5号機までの規制というか基準もそのまま生きます。なので、こちらを先に読まれた方、読んだけど忘れたという方は、もう一度「パチスロ5.9号機への規制の流れ」に目を通してくださると。
『パチスロ5.9号機への規制の流れ』
先にお詫びしておきます。かなり詳細な資料を元にしておりますが、自信がない部分はお茶を濁すのであしからず。
有利区間と通常区間
ユーザーの皆さんが、もっとも難しいと感じるのが“有利区間”でしょう。2016年6月16日の回胴式遊技機製造業者連絡会で5.9号機の概要が発表されましたが、その前から予告音はありまして。予告音の段階では、私も意味がわからず解釈を間違えました(苦笑)
『通常区間』の特徴 |
・基本的にARTを抽選しない区間 ・有利区間への移行は全設定共通 |
有利区間を知る前に、まずは“通常区間”から。簡単に言えばARTを抽選しないゾーンのこと。“基本的に”と加えているのは「有利区間突入=ART即発動」という確定役も作れるからです。あとで解説しますが、意外に有利区間は自由度が残されています。
問題となるのは、有利区間への移行が全設定共通ということですね。トータルの確率が同じであれば良いというわけではなく、1つ1つの事象ごとに全設定共通でなければなりません。つまり、設定差のある小役やボーナスでは、抽選することができないということ。
実際に起こりそうなケースを元に、どのような時に有利区間移行への抽選をできるか解説していきます。
有利区間への移行抽選(通常小役編)
『有利区間移行』の特徴 (通常時) |
・有利区間は必ず報知しなければならない ・有利区間移行はあくまでも抽選 ・必ず何かしらの成立役で抽選する ・その抽選も全設定共通 ・有利区間の内容は複数持てる |
有利区間に突入した場合は、払い出しのドットなどでプレイヤーに必ず告知しなくてはなりません。従来の機種では、液晶のステージなどで「高確にいるかも!?」とドキドキさせ不安にさせ、余計な追加投資をさせられることも少なくなかったかと思います。それは少しだけ減るのかな。ま、その有利区間がどの程度期待の持てるものかまではわかりませんけど(笑)。
まずは、通常時のスイカを例にしてみましょう。弱スイカの抽選確率は設定差あり。強スイカは設定差なし。この場合、強スイカで有利区間への移行を抽選できます。それはわかりますね?
ちなみに、強スイカと弱スイカの停止形を同じにしてしまうことは可能です。今は平行揃いや斜め揃いなどでわかりやすい傾向となっていますが、特定の押し順で特定の押し位置を押さなければ見抜けない。そんな作り方も可能です。いずれにせよ、有利区間に突入した場合は告知してくれるので、お知らせが来たら強スイカだったということはわかります。
ただし、有利区間に突入しなかったから弱スイカ確定とは言い切れません。全設定共通の対象役成立時に有利区間を抽選できるということは、抽選の結果ハズれることもあるのです。もちろん、対象役成立時の有利区間当選率も全設定共通でなければなりません。
全設定共通であれば何でも良いというわけではありません。有利区間への移行抽選は、成立役に紐付けられなければならないので、規定ゲーム数到達などの天井機能はなくなることに。有利区間か否かの差はありますが、基本的にどこからでも打てる機種を目指していることがわかります。
うわっ、ノーマルとさほど変わらぬ単調なものになりそう。そう感じる方もいらっしゃることでしょう。有利区間突入で即ART発動となる機種だらけならそうかもしれません。ほぼ第3のボーナス扱いですもんね。いやいや、この有利区間。それなりに自由度はあるんです。
結論を書いておきましょう。有利区間とは、ART中+通常時のチャンスゾーンです。有利区間は、複数を用意することが可能となっています。今の機種のチャンスゾーンでも種類によってART突入率が変わりますよね。それと同じです。
例)強スイカ当選時
50%……通常区間のまま
30%……1/500でARTとなる有利区間
15%……1/50でARTとなる有利区間
05%……ART即発動
数値は適当ですが、こういった作り方になるかと思います。もちろん、移行比率は、成立役によって変えても問題なし。ね、意外に自由度はあるでしょ? ART関連の抽選もメイン基板でやらなければならず、ROM容量次第なところもありますが、もっと複雑に作れることでしょう。「その有利区間がどの程度期待できるのかわからない」と最初に書いたのは、こういうこと。時間が経てば黄金比率が見つかるのでしょうけど、それまでは状況によって捨てても構わないケースが出てくると予想しています。
それと、通常区間は一発役でしかARTに突入しないので、ほぼ無抽選ゾーンとなりますけどね。今までの爆裂機では、そういうのもありましたね。初代『獣王』の奇数設定とか、低確からサバチャンに入れるのは無理ゲーでした(笑)。
有利区間への移行抽選(ボーナス編)
『有利区間移行』の特徴 (ボーナス) |
・ボーナス成立時に有利区間抽選も可能 ・全設定共通のボーナス中も抽選可 ・ボーナス内部成立中は抽選不可 |
有利区間関連が全設定共通なので、5.9号機はボーナスで設定差を作っていくことになります。設定差を作りたい箇所での全設定共通。ほんと大変そうですが、ボーナス絡みでも有利区間の移行抽選をすることは可能です。手っ取り早いのは、ボーナスの種別を変えて全設定共通のものを作ること。従来機では、プレミアムボーナス的な扱いになっていることが多いですね。
それ以外にも方法はあります。例えば、赤BIGに設定差がある場合も、強スイカ+赤BIGなど、当選契機が全設定共通ならば、成立時に抽選することは可能です。また、全設定共通の契機でのボーナス消化中も、全設定共通の小役などであれば移行を抽選することができます。
ただし、ボーナスが成立してから揃えるまでの間は、有利区間関連の抽選は受けられません。それが全設定共通の契機であっても。成立したボーナスは、さっさと揃えましょう。これがパチスロの基本であることは、1号機時代から変わりません。というか、揃えられないコインロスだけでなく、有利区間も消費されてしまうかと思います。ボーナス内部中だけでなく、全設定共通・そうでないものも含め、ボーナス中も同様に処理されるかと。このあたりはまだ確信が持てないのですが、有利区間の報知はされ続けるものでして。
有利区間に滞在できる最大ゲーム数なども決められています。数値関連は、あとでまとめて解説しますね。
有利区間内も全設定共通
ART発動となる条件 |
・どれもこれも全設定共通 ・対象小役成立時の抽選 ・抽選役に関わらず処理できる |
ART発動に関しても、全設定共通というのが大前提。ただし、通常区間からの移行とは異なり、くじの結果および遊技の結果によらず同一の処理を行うことも許されます。くじは、抽選役。遊技の結果は取りこぼしなどのことです。つまり、有利区間滞在時のART発動条件は、成立役に紐づかなくても良いということがわかります。有利区間に滞在したまま500G消化でART突入というのも可能かもしれませんね。
そんなことはどうでも良い。どれだけ出るんだよ! という声が聞こえてきそうですね。有利区間への移行率に自由度があるように、ART中もある程度は自由となっています。もちろん、全設定共通ですが。上乗せ特化ゾーンの設置なども可能ですよ。規定の数値以内で収まれば。ということで、次の項目では数値関連です。
有利区間の数値関連
・有利区間は最長でも1500Gまで ・有利区間の滞在比率は70%未満 ・有利区間への移行役は1/17500以内 |
まずは、最長1500Gから。1Gあたりの純増がボーナス込みで2.0枚未満というのは5.5号機から引き継がれます。「2.0枚×1500Gで3000枚規制」ということ。言葉だけを捉えて、3000枚で打ち切られると勘違いされている方もいらっしゃるでしょうが、そうではありません。ARTが1500G続いたとして、その間にボーナスがヒキ強であれば3000枚を越えることもあります。
もちろん、今までのように一撃で万枚とかは難しくなりますよ。その分は、初当たり確率に回されるはず。私は、遊びやすくなると思っています。
次に、有利区間の滞在比率は70%未満という項目。複数の有利区間を持てると解説しましたが、常にほぼ有利区間に滞在させておけば、全設定共通と1500Gの上限はあるにせよ従来のような機種を作れる。そう感じた方は素晴らしい。設定差をどこに作るのかは難しくなりますが、ボーナスなしの完全ART機も作れますよね。ただ、この項目が引っかかります。
ARTはオマケ。あくまでもボーナスを中心としてゲーム性を作りなさい。そういったお上の姿勢が感じられます。ちなみに、この滞在比率も保通協での型式試験の検査項目に。また、設置機種のすべてに役比モニタを搭載することで違法改造機を見抜こうとする狙いも感じます。ま、思うことは前に書いてしまったので、役比モニタに関しては割愛します。よろしければ、こちらを。
「パチスロ5.9号機への規制の流れ」
最後に、有利区間への移行役は1/17500以内という項目。簡単に言うと過激な一発役はヤメなさいということ。この17500とは、保通協の型式試験での長期出玉率検査のゲーム数。これを引かれたらアウト。引かなければ世に出せる。そんな誤摩化すような機種は作るなということです。
パチスロ機の乱数の総数は、65536個で作られるのが一般的ですが、これに合わせると「1/16384」が最大となることでしょう。なお、その後の処理は含まれていないので、その「1/10でART1500G。残りは通常区間に」というのも可能。あまり意味がないのではないか、そう思っています。
その他の有利区間関連
・有利区間終了条件も全設定共通 ・有利区間終了時は必ず通常区間に ・設定変更時は通常区間から ・有利区間終了時にナビの権利は喪失する ・基本的に有利区間滞在中に1回は押し順ナビが発生 ・押し順ナビ対象役も全設定共通 |
ここでは、有利区間が終了する条件や処理について解説しておきましょう。有利区間が終了すると、そのまま通常状態に陥落します。通常状態から有利区間への移行は、全設定の小役などが必要となるので、有利区間のループはできません。ARTがループするようなゲーム性は作れますが、それはあくまでも1つの有利区間内の話。見せ方になります。
有利区間終了時点において、その時に持っている権利も喪失します。残っている権利が、次回の有利区間で発動するならば、ハイエナ行為もできたでしょうけど。なので、有利区間が残り30Gのところで100G確定役を引いても、ARTは30Gとなります。悲しい写真がネット上に出回りそうですな(笑)。
また、設定変更でも有利区間は終了します。店員さんが回さない限り、朝イチの特典はないということに。ま、有利区間からスタートしたら設定据え置き濃厚となります。
1500G消化と設定変更以外の有利区間終了条件も全設定共通が求められています。全設定共通の小役からの抽選、もしくは消化ゲーム数などの処理です。それと同時に、有利区間の告知も終了します。
もう1つ、ついでに書いておきますと。押し順ナビ対象役の抽選確率も全設定共通でなければなりません。共通ベルはレア小役扱いとして。押し順ベルまでもが全設定共通。つまり、ART関連で設定差は何もないということです。
この有利区間終了までの間に、必ず1回は押し順ナビが発生するというのも面白いですね。これも、もちろん全設定共通の処理。ただし、有利区間中にボーナスが成立した場合は、ナビが出ないこともあります。
ふう、疲れた。今のところわかっている有利区間(ART)関連の軸は、これくらいです。押し順ミス何回かでARTが強制終了するのはNGとか、コインの減少枚数からARTを発動させるのも禁止など、細かいのもまだありますけど。
有利区間関連以外の項目
・小役優先制御でも揃えやすいように! ・2種BB中に適当打ちで取りこぼしなしはNG |
噂の段階で出てきていましたが、小役優先にもメスが入りました。小役が成立しているばかりに、ボーナスがなかなか揃えられない。それを禁止しています。簡単に言うと、リール制御を小役優先とする場合は、小役よりもハズレの確率を高くしなさいということです。
これにより、『リノ』や『セブンスビート』は、完全に終了のお知らせとなりました。いや、それは仕方のないこととして。ボーナス成立後のリプレイ確率アップで、連続演出を見せるのも難しくなってしまいます。また、ハズレ確率を上げると小役の確率が下がります。そうすると、小役の払い出し枚数を増やさなければなりません(役物比率とか、ほかの要因が絡む)。設定差次第なところもありますが、確率分母が大きくなるほどバラツキが生まれます。設定推測が難しくなることが予想されますね。ただ、液晶画面などによる設定推測は禁止されていないので、そういった楽しみ方は残されます。
ちなみに、小役よりもボーナスを優先する機種に関しては、問題ありません。プレイヤーがボーナスを揃えたい時は揃えやすいように。これが基本理念です。私は、ボーナス優先のほうが好きなんですけどね。揃える時にベルを考慮したりするのが楽しみなんで。
もう1つは、第二種特別役物(2種BB・MB・CB)について。『アイムジャグラー』系のRBを想像してくださると早いですが、順押し適当打ちでも取りこぼしが発生しません。そういった技術介入要素のない2種BBが禁止されました。ある意味、これも『リラックマ』殺し(汗)
完全告知系でも一方の『ハナハナ』系は「スイカ・白7・スイカ」のところを押すと、残りリールでスイカを取りこぼすことがあります。なので、問題なし。
ジャグ系もこのようなリール配列に作り替えるか、もしくは左リールを0コマスベリに変更するかと思います。1箇所だけ中段赤7停止でブドウがないので、それだけで対応は可能です。
私は楽しみ!
告知される有利区間をどのように扱うか。有利区間からARTに突入する割合なども含めて、バランスの模索はゼロからのスタートとなります。
「将棋の必勝法が確立されたらどうしますか?」このような質問に、羽生善治さんはこう答えたそうです。「駒の動かし方を1つ変えればいいんです」と。ルールが変われば、新たなスタートが切れます。5号機初期もそうでしたが、各メーカーがいろいろ悩んでいる時のほうが、いろいろ個性のある面白い機種が増えるんですよ。きっぱり思ってますもん。早く5.9号機が登場しないかなって。
アイデアもそうですけど、また新たな勝ち方を考えるのも楽しくないですか? 出玉性能が落ちると言ったって、パチスロなんぞ元から出玉率120%未満でなければならないのです。4号機の一部と裏モノを除けば。1回の勝ち金が減るならば、勝てる確率が上がる。そういうことです。
ま、爆裂しにくくなる分は、低設定域の出玉率を上げてよ。ホールも今までと同じように新機種をバンバン入れるのではなく、大事に扱いたい機種だけ厳選して入れてよ。なんては思いますけど。
あとね……。大きく変わるのは、押し順ナビの搭載だけです。押し順ナビが出ないのであれば、いろいろ設定差は作れますよ。RT機とかね。5号機中期移行からすっかり廃れてしまったRT機の続きも見てみたい気がします。
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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