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ゆる調~パチンコパチスロゆるゆる調査隊~
2023.12.17
100年後にも届けたいパチンコ業界の必須アミノ酸。書籍「偏愛 パチンコ紀行」出版記念! 栄華さん発行人さんダブルインタビュー
既に実際に本をゲットした方も、あるいはネット上のニュース等でご覧になった方もおられるかもしれませんが、あの栄華(えいか)さんが先日、ホール探訪に纏わる本を出版されました。
その名も『偏愛 パチンコ紀行』。 それしか無い、といういかにも「らしい」タイトルで思わず膝を打ちそうになりますね。
栄華さんはいわゆる「ホール探訪」をライフワークにされている方であり「人類史上もっとも多くのパチンコ店を訪ね歩いているライター」としても知られています。いや俺だって負けてねぇぜと思うパチンコ・パチスロファンの方も、もちろんいらっしゃるとは思います。栄華さんのそれはほんとに次元が違って、その愛の深さたるや「ざっくり説明します」とかそういう感じで片付けるのが失礼なレベルであります。
もし栄華さんがどんな方かは知らないけど『偏愛 パチンコ紀行』という本には興味があるんだよね! という方がおられましたら、僭越ながら以前筆者がインタビューさせて頂いた際の記事がありますのでぜひどうぞ。その愛の深さの一端は、これで知る事が出来るはずです。
優しいのめり込み。偏愛系ライター『栄華さん』のいとおしさに溢れた人生
そしてこちらの記事は、そんな栄華さんをお迎えして『偏愛 パチンコ紀行』という本が出来るまでの経緯、そしてそこに込められた想いなどをお聞きする出版記念インタビュー企画です。前回のインタビューに続き、聞き手は筆者あしのが担当しますね。あ、パチ7編集長も。
また今回、件の書籍は「釘曲げ出版」なる聞いたことがない出版社から出されております。今回はその出版社の代表もお呼びしました。が、この方は実はパチ7とは浅からぬ縁がありまして……実は筆者は、この方も以前とある企画でインタビューさせて頂いておるのです。果たして誰でしょう? 絶対わかんないと思いますけども、その辺も含めて興味がある方はぜひ最後までどうぞ。 というわけで、早速見ていきましょう!
★自家買い出版? 釘曲げ出版?
本日はお時間頂いてありがとうございます……! まずはご出版、おめでとうございます。
「ありがとうございます」
今回色々お話を伺うにあたって、栄華さんの隣におられる……。なんて表記すればいいんだろうなぁ今回……お久しぶりでございます。
「お久しぶりです。某パチンコホールサイトの元編集長……とかですかね」
いやァ長いなあそれ。X氏とかで一端書いときますね。本買ったら発行人のところに思いっきり名前書いてあるんですけども(笑) Xさん、当時のサイトの名前は出しても大丈夫ですかね?
「大丈夫じゃないですかね。……ベラジオプラス、です」
そう、Xさんには以前ベラジオプラスの編集長としてインタビューを受けていただいたことがあるんですよね。聞き手は当時パチ7編集長だったんですけど、書き手はあしので。その節はお世話になりました。
「いえこちらこそ……」
読んでいる人にわかりように最初にまとめちゃいますけど、過去にベラジオプラスっていうサイトがあって、そこの編集長だったのがXさんなんです。で、栄華さんはそこで連載を持たれていたと。
「そうですね」
それでまあ、そのサイトが終了したというか、Xさんの手を離れちゃったんですよね。ちょうどパチ7のインタビューの直後くらいだったと思うんですけど……。今回の本はその時の栄華さんの連載を書籍化したっていうことで。これ、書籍化までの流れというか、なぜ当時の連載をこういう形で本にしたのかっていうのは……これはXさんに聞いてもいいですか?
「これは……コロナ前ですよね。それまでやってたベラジオプラスというサイトがリニューアルになって、内容が消えちゃったんですよ。アーカイブも残っていない状態で。それって凄く勿体ないじゃないですか。自分でも定期的に読みたいのに。だったらもう本にして手元に置いときたいなって思ったのが、大体三年前とかですかね」
「もうちょっと後じゃないですかね。私が聞いたのがベラジオプラスが無くなって半年とか経ってからだったので、二年……?」
「……二年くらいにしときますか」
(笑) なるほど。まあ三年前にベラジオプラスの内容が消えて、栄華さんには二年前くらいに言った、みたいな感じですかね。
「はい。ただ消えたあと、結構すぐに元々ベラジオプラスに関わっていた前社長に『本にしていいですか』っていう話はしてたんですよ。そしたら結構カジュアルに『お、いいよ』って許可してくれたんですね」
結構速攻でそういう話になってたんだ……。
「速攻でしたよ。だって本にしたかったんで。それで許可取れましたよっていう話を栄華さんにした感じです」
栄華さんはXさんから『連載を本にしたいです』『許可も取れてます』って話を聞いた時、どう思いましたか?
「『え……あれを?』って思いました(笑) 整った形の、みんなが面白いって思うような本になる未来は全く思い描けなかったので」
あら。それはなぜですか?
「まず、当時ウェブ連載用の原稿を書いたのが2018年から19年あたりで、ちょっと古いんですよね。で、前にわたしがインタビューしていただいた時の『八画文化会館 Vol.7 偏愛特集:パチンコホールが大好き』の出版が2019年の4月で、なんならそれが出る前の話なんですよ。当時ってわたしの中での取材能力みたいなのが伸びてる途中の頃で、この連載をしてた頃って正直、そういう能力がまだまだだったんですね。読んで頂くと分かると思うんですけど、例えば特別なコネを使って誰かに話をお聞きしたりとか、ホールの内部も棚ボタ的に撮れたものが多くて、正式に取材依頼したようなパターンがほぼないんですよ」
今だったら全然もっと……みたいな。
「そうなんです。全然もっとなんですけど、逆に言うと、これはこの当時しか出来ないと言えば出来ない連載でもあるんですよね。これはこれで、みたいなひとつの記録にはなってるんですが……。果たして周りの人が今これをそのまま読んで、面白いのかな……って。それに元々ウェブ用に書いた記事ですからね。これを本の体裁に整えていくのってどうすればいいんだろうと、最初は途方もない気分になりましたね。だからお話を頂いた時に開口一番『自信ないなぁ……』って言ったのは覚えてます」
なるほど……。僕実はXさんにベラジオプラスについてのインタビューした時のこと覚えてるんですけど、あれが2019年の6月くらいなんですよ。その時点で『栄華さんの連載をそのうち本にしたい』っていうのはもう既に仰ってましたよ。僕あのインタビュー文字起こしもやったんで結構はっきり覚えてます。
「へぇ! そうなんですか」
「まあその時はぼんやりそういう風に思ってただけで、実際の計画とかとは違いますけどね。言ってたと思います」
ちょっとお聞きしたいんですけど、Xさんはもとからそういう、本を作りたいとか出版社やりたいとかってのは思ってたんですか?
「いや、それは全然ないッス。むしろ本を出すっていうのが、ちょっとダサいイメージがあったんですよ」
パチ7編集長 「なんでよ(笑)」
「ダサいイメージあったんですか(笑)」
あー……すみません、もしかしたらちょっと分かるかも。アレっすよね。自費出版とかで出して、名刺の裏に、アマゾンの何とかジャンルで第何位! みたいなのわざわざ書いてる系の……。
「そうそうそうそう! そういう肩書で武装するというか……」
「あ~。スノッブな感じ?」
「うん、スノッブ。だからあんま良いイメージなかったんですよ。自分で出版するってことに対してはね。だから元々本を出すのが目的じゃなくて、あくまでベラジオプラスでやってた、栄華さんの本を形にして、しかもそれを手元に置いとくのが目的だったんですね」
パチ7編集長 「えー、でもそれで出版社まで立ち上げます?(笑)」
「それなんですよ。そこ聞いてください」
自費出版とかの道は模索しなかったんですか?
「最初は出版社に話を持っていったんですよ」
「そう、自費出版のね」
「そう。そこに『お金出すんで出版したいです』って持ちかけたんですけど、ああいうのって好きなことをやらせてもらえないんですよね」
あー……一応そういうフェーズもあったんですね。
「お金は出させて頂くんで、その代わり好きな形で作って出版していただけませんか、っていうお願いをしたら『そういう形ではやっていない』ということで」
え、駄目なんですか? お金出すんですよね?
「ね、出来ると思うじゃないですか。駄目なんですよ。お話も聞いていただけず……。出版だけしていただけたらいいんであとはこっちで全部お用意しますっていうと、ピシャって終了でしたね。要は自費出版と言えども、印刷とか編集とかで色々な人の仕事があるんですよね。そこを押して全部自分でやりますっていうのは無理みたい。だから全部自分で好きにやって、納得出来るまで作りますっていうと、もう自分で出版社を立ち上げるしか無いんで、だから……作っちゃった」
パチ7編集長 「ノリ軽ッ!」
「おかげでやりたい放題の本ができました!」
パチ7編集長 「それ、『好きなことをやる』っていうのは、具体的にはどういうところになるんですか?」
「そりゃもう中身はもちろん、デザインもそうですし装丁から印刷から、紙の種類とかですね」
紙いいっすよね今回。
「はい、写真が物凄く映えるいい紙で……これ紙も選び抜きましたからね。色合いがしっかりしてるんですよね」
「やっぱり『手元に置いておきたい』っていう目的があるので、中途半端はイヤなんですよ。納得できるいい物をちゃんと作りたかった。これを自費出版とかの会社を噛ますと、多分こうはなってなかったと思います」
一冊作るのも相当お金掛かってますよね。小口までしっかり銀色で……。利益は二の次だみたいなのが凄い感じられます。
「……利益が欲しかったら本なんか出さないですよ」
「(笑)」
「利益とかじゃないからこそ、全ッ部わがままやりましたもんね」
「ISBNコード(国際標準図書番号)も取りましたからね」
「ね。別に書店流通はさせないんでISBNコードなんか要らないんですよ。でも一応そこはとっとこうと思って。だからコード取る時に『書店からの連絡……うけない。取次からの連絡……うけない』って全部チェック入れて。なんのためにコード取ってんだよっていう(笑)」
(笑) でもまあ、クオリティからするとマジで一般流通に乗っけていいと思うんですけどね……。
「ほんとに出来るんですよ。やろうと思ったら。ね?」
ついでにこの流れで出版社についてお伺いしましょうかね。今回出版社名が『釘曲げ出版』っていう、すごいインパクトのある名前じゃないですか。これって誰が決めたんですか?
「これは僕ですね」
この社名に込められた意味とか想いって何かありますか(笑)
「え~、これこの場だけでいいますけど、実は二択だったんですよ」
ほう、その二択とは……!
「『自家買い出版』か『釘曲げ出版』」
一同 「(爆笑)」
「ただ『自家買い』って純然たる犯罪だし可愛げがないじゃないですか。釘曲げってそういう意味では愛嬌があるというか。だから『釘曲げ』か『釘折れ』のどっちかだろうなって、『釘』って使うのはマストでね。最後は語呂で『釘曲げ出版』にした感じですね」
曲げてますからね。みんな
「そうなんですよ。曲げてない店なんか存在しないんで。そこを曲げといて偉そうにしちゃだめだよっていう、自分への戒めみたいなのを込めつつね。社名にしてます。だから自戒ですよね」
「自戒ですね。いい言葉ですね。決してホールにとかじゃなくて、自分への戒めですから……。あとアンチテーゼ」
「そうですね。自戒かつアンチテーゼ……」
栄華さん、これ聞いた時ビックリしませんでした?
「ビックリしましたけど、わたしはそういう攻めてるの好きなんで」
改めて色々考えたんですけど、釘曲げ出版って一番ちょうどいいですね。これ『野積み出版』とかになるとまた話が……。
「『野積み出版』(笑) あ、でも耳触りは結構悪くないかも……」
「野積みも社会問題ですからね(笑) そういう意味では釘曲げがちょうどいいです。可愛いですもん」
★発行人史上初? 完成まで内容を全く確認していない?
では次に、書籍の内容について聞いていきますね。これはお二人に対してなんですが、今回の本を作るにあたって、一番大変だった点とか、あとはこだわった点ってどこでしょう?
「わたしはやっぱりウェブ用の原稿を書籍用に直して行く所ですね。こんなに大変なんだと思いました」
やっぱ作り方とか方法論ってぜんぜん違う感じなんですか?
「全く違いますね。たとえばウェブって読む順番が決まってるじゃないですか。『この写真を御覧ください』ってなったら必ず次にその写真が来て……。スクロールしていって文字の間に写真がある感じなので、順番とかはないんですよ。ただ上から下へ五月雨式に。ところが本でそれをやろうとしたら、御覧ください、からのペラッてページを捲らなきゃいけない。これはもう全く違うんですよ。なのでもとからある原稿のスタイルをある程度残存させながら、紙に落とし込まないといけない。これが大変難しくて、そしてそれをほぼやってくださったのが、デザイナーさんなんですよね」
あとがきにありましたね。凄い方にデザインを担当して頂けた、みたいな……。
「そうなんですよ。ほんとに凄い方に担当して頂けたんですよ。初めて本を作りますって言って何の伝手もない状態で声を掛けても門前払いになるような方だと思います。お願いできた経緯としては、『八画文化会館』の編集長に紹介していただいた今回の本の編集者が、アートディレクターの尾原さんと旧知の仲で、今回の本みたいに『ウェブ原稿を本にする』というのに対してものすごく丁寧に世界観を構築してくださったり、デザインを提案してくださる方ですよというのを教えてくださったんですね。それでご紹介頂いて。運良くお願いできたという感じです」
そういう素敵な出会いというのもあって、本のクオリティに繋がったと。なるほどなぁ……。Xさんどうですか? 苦労した点とか。
「そうですね、苦労した点は……ないですねぇ……」
(笑)
「というのも、僕がやったことってひとつだけで『こんなの本にしても面白くないでしょう』っていう栄華さんの目を覚まさせるっていう……」
「あはは(笑) 『栄華さんニブいから気づいてないんですよ、これ面白いですからね』って言われてわたしは『そうかなぁ……』って首を傾げてました」
「あとはホントに何も作業に参加してないですし……」
「実はね、凄い事なんですけど、Xさんね、こないだの10月25日に出版記念会があったんですけど、その日まで、全く内容をチェックしてないんですよ」
え? そんなことってあります?
「普通は多分ないと思います。凄くないですか?」
「だから、パチ7編集長もあの記念会に来てくれてましたけど、ほとんど一緒ですよ。実際の本を見たタイミング」
パチ7編集長 「うそん(笑) それ、何故そんな事になったんですか」
「これは結構意図的にそうしたんですけど、開封の儀で完成品を見たかったんですよ」
パチ7編集長 「それは見ちゃうと口出ししちゃうから、とかですか?」
「……そういうんではなく単純に読者としての話です(笑) 作ってる最中のやつを確認したら先に見ちゃうじゃないですか、未完成のものを。そうじゃないんですよ求めてるのは。もう出来た物を見たい。『本チャンではもうちょいこうなってる予定です!』とかそういうのを見て先に知りたくなかったんですよね」
「だからってホントに最後まで確認しないの凄くない?」
……発行人史上、初じゃないですかね。
「いやホントに(笑) 快挙ですよね。それでいてこの小口の部分を銀色にしていいですか、とかそういうのを言うと『あ~ぜんぜんやってください!』って言うんですよ。それは駄目って一回も言われなかったですもん」
パチ7編集長 「何も見てないのに(笑) でもお金掛かるじゃないですか。そこは流石に見てるんですよね」
「お金はまぁ……あんまり……」
庭から石油でも出てきたんですか?
「(笑)真面目な話すると、全部売れても赤字になるとかじゃないんなら、まあ良いかなと思ってました。何回もいうけど、儲けようとおもったら本なんか出さないです。赤字じゃなきゃいいや……って」
それで、実際に完成した本を手に取った時の感想ってどうだったんですか? ずっと我慢してたわけじゃないですか。いよいよドン! って完成品を見たときの。
「これはねぇ……まだ気持ちがフワフワしてるんですよ。気持ちが舞ってるというか、沈殿してないんですね。だから漠然と、こうやって読んでて『いい気持ち』みたいなのはあるんですけど、これがちゃんと落ち着いて、気持ちが沈殿しきらないと、感情をしっかり表現できないんですよね」
沈殿するのがいつになるかちょっと分からないんですけど、『今だ!』って思ったら改めて教えてください……!
「あ~知りたいですね(笑)」
★ただ探訪するだけじゃなく、立ち止まって考えることが大切。
▲「偏愛 パチンコ紀行」実際のページ抜粋画像
これはもう前のインタビューでもお聞きしましたし、色んな人からしょっちゅう聞かれて食傷気味だとは思うのですが、栄華さん、『ホール探訪』の魅力についてお聞きしてもいいですか?
「はい。パチンコホールって、関連物件を含めてたくさんあって、それを訪ね歩いているわけですけど、わたしはみんなが見ているものと違うものを見ているんですよ」
その『違うもの』っというのが、この今回の本にあるわけですよね。
「そうですね。新しいパチンコ屋さんの見方自体を自分が『発見』してる感じです。それを見つけ出すことに、なんだろう、依存になってるくらいなんですね。発見しにいかないと落ち着かない。だってこうしてる間に無くなっちゃうかもしれない。実際そういう悲しい思いをしたこともあります。なので、単純に楽しいだけではなくて、ホールが無くなっていく哀愁であるとか、それを写真に残したい、記録しておきたいという風な『焦り』もあって……そういう負の要素もわたしをホール探訪を駆り立てる要素になってると思います」
もうちょっと単純なノスタルジーの要素が強いのかなァと思ったんですけど、そうではないんですね。
「そうじゃないですね。みんな『懐かしい』とか『レトロ』だとか後ろを向いているように捉えるんですけど、別にわたしは懐古厨だと自分の事を思っていなくて、もちろん今のパチンコ機も大好きですし、今のパチンコホールも大好きですし」
そうなんすね。今のパチンコホールの張り紙の話とかもありますもんね本に。
「はい。だからそこは分かっていただけると思いますが、特にノスタルジーだけを原動力に動いてるわけではないんですよね」
あのー、以前インタビューさせて頂いた時に『トマソン』(※役に立たない・意味がわからない建造物や不動産を『超芸術』として鑑賞するサブカル的な文化)のお話があったじゃないですか。今回の本にある『置き去り看板』とか『矢印』とかってやっぱりそれに通ずるというかとても近しいものがあるなぁと思ったんですが、それも探訪の魅力としてはある感じですかね。
「もちろん! ホール探訪って路上観察の一分野で、わたしがそれを作ってるっていう感覚が自分のなかにありますね」
趣味として、ホール探訪っていうのを定めて、それを今後やっていこうっていう方も出てくると思いますし、もう出てきてると思うんですが、そういう方にアドバイスとかってありますか?
「『新しい着眼点を見つける』ということでしょうか。あとは旅全体を『パチンコで染め上げる』というのが、ホール探訪では重要になってきますね」
一同 「(笑)」
「この本には入らなかったんですけど、ホール探訪には『パチ飯(めし)』っていう分野がありまして、例えばパチンコ屋さんの敷地内にあるグルメ。あとはパチンコ屋さんが閉業して、その土地建物を転用して営業してる飲食店。あとはパチンコ屋さんのお客さんが休憩で利用するであろう、近隣のお店。それらを利用するようにするというのが『染め上げる』というのに繋がってくるわけですね」
パチ7編集長 「『パチ飯』はいいなぁ。おもしろそうですよね。ホール探訪やってみたくなっちゃう」
ね。特にグルメはキャッチーですよね。ただ旅の間それで縛るってなるとキツそうですけど。
「やるとなると結構大変なので、ホール探訪の上級者になったら是非、その辺も取り入れていただいて……」
パチ7編集長 「ちなみになんですが、これからホール探訪をやる人にオススメの地域ってありますか。やっぱり名古屋とかになるんでしょうか」
「名古屋はパチンコの聖地ですし、数も多いのでそういうイメージもあるんですけど、実は都内もまだまだ掘り尽くされるとは言えない状況で。未だに『こんなところにこんなお店があるの!?』っていうホールがありますからね」
え、まだ都内にですか。栄華さんレベルでもまだ新しい出会いが……。
「そうなんですよ。都内の奥深さはなかなか……。実は後回しにしちゃってたっていうのもあるんですよ。例えば建物の築年数が深いものっていつ無くなってもおかしくないんです。なので優先しなきゃいけないんで先に行ってるんですけど、逆にどんなに小さいホールでも築浅の建物に入ってるところは後回しにしちゃってるんですね。都内にはそういうホールが沢山あるので、未だに『こんなホールが!』っていう出会いがあります」
なるほどなぁ。これ日本全国を色々回られて、ずっとホールを探訪されると思うんですが、いずれコンプリートする日って来るんですかね……?
「コンプリートはないですね。だって二回目三回目って……」
あ、そうか。周回要素が……。再訪で気づくことってありますもんね。
「ありますあります。一番最近行った物件の話していいですか? 京都府のお店なんですが、閉業したあとに建物が美術展に使われてたんですね。そしてさらに今年に入ってから行ってみると、建物がリノベーションされて、商業ビルとして使われてると……。毎回行くたびに表情が違うんですね。それってもうパチンコ屋さんの痕跡ないじゃん! って思うかも知れないんですけど、それでもあるっていう……。そこがいいですよね」
それってどういう部分にパチ屋の残り香を感じるんでしょう?
「もちろんシマ設備は無くなってるんですけど、その幕板とかの痕跡が残ってたり、さがせばちゃんとあるんですよ……。これがすごい。だから何回訪ねても良いわけですよ。例えば春夏秋冬ね、さまざまな表情があるわけですから」
たしかに。雪景色のホールとか……。桜のホールとか……。
「そうです。まさにそう。同じ表情の日なんか極論すると一日だってないわけですから。少しでも多く記録に残すとなると、膨大な量になるわけですよ。だからコンプリートなんかないですよね」
ほんとだ。おっしゃる通りです。俺はなんて甘っちょろい事を言ってしまったんだ……。そういえば俺が7年くらい通ってたマイホがコロナで閉業しちゃって、スーパーに転生したんですよ。浅草なんですけど、そのスーパーもたまに行くんですが、やっぱ海物語があった場所が鮮魚コーナーになってたりするとなんか嬉しいですもんね。
「そうそう! そういう事!(笑)」
「……そういう事なんですか?(笑)」
「ホントにそういう事だとおもうんですよね。わたしそもそもホール探訪を始めたきっかけが、攻略ライターをずっとやってる時に、周りが同じことばかり喋ってるように思えてきちゃったんですよね。勝ち負けの話とか、攻略の話とか、それ以外に何かライターとして語れる切り口はないかなぁって。そういう事をボンヤリ2005年とか6年あたりから考えてたんですね。それで決定的に活動を始める切っ掛けになったのは、2008年に某出版社さんから『本を出しませんか』と言われ、そのための取材なんです。なので最初は切り口として、攻略とか勝ち負け以外の側面からパチンコを語れないかなって。だから元ホールの建物がスーパーになってて、海物語が鮮魚コーナーになってたとかは、最高なんですよ」
ありがとうございます(笑) てか、ホール探訪って元々は取材ありきだったんですね。
「そうです。もちろん興味はあったんですけどもね。最初は廃墟ブームに乗っかって、パチンコホールの廃墟マップを作ったら面白いんじゃない? って思って。でもすぐに考えを改めて……」
そうそう。そうですよね。栄華さんって廃業ホール探訪のイメージがあるんですよ。やっぱり入り口がそうだったからなんだ。
「ええ、長らく『廃墟の人』って呼ばれてましたね」
一同 「(笑)」
「ちょうど前回インタビューして頂いた時くらいがピークでしたよね。『廃墟の人』『廃墟の人』って。それ心外なんだけど……! って思ってました」
廃墟って単語が出たのでちょっとお聞きしたいんですが、廃業ホールの中に入って取材・撮影をする時に、危険を感じた事とかってありますか?
「やっぱり床が腐っててベコベコになってたり、その下に玉場があったりするんで、そういうのは当然気をつけますよね」
ですよね。廃墟って、ブームもありましたけど、一方で注意喚起というか、危ないからヤメとけ! みたいなのも散々言われてるじゃないですか。それこそネガティブなニュースというか、そういうのも定期的に出ますし。
「はい。肝試し感覚で入った若い方が地下に落ちて亡くなったりとか、あと廃業したあと、二階部分のドアの向こうの、本来そこにあるべき階段が取り外されてて、それに気づかずにドアを開けてそのまま落ちちゃったりとか。そういう事故なんかもあるんですよ。なので、そういう事故に繋がる危険な探訪を助長しないように、情報の発信には凄く気を使ってますね」
そりゃもう、発信者の責任としてそうですよね。わかります。
「あまりにも廃業ホールの魅力を伝えすぎて、行きたくなりすぎないように……。毎回必ず『許可を取ってから行きましょう』っていうのと『危険と隣り合わせなので気をつけましょう』っていう話はしています」
「いま本を買ってくださった方からのフィードバックが来てるタイミングなんですね。で、栄華さんはその声に対して物凄く慎重に対応されるんですよ。これは多分生まれ持った資質だと思うんですが、こういう慎重さってのがないと、ホール探訪とか出来ないと思うんですよ」
パチ7編集長 「権利許可関係とかの手続きとかも含めてってことですよね」
「そうです。あとは発信する内容とかもですよね。全部凄く慎重にやってるのを僕は知ってるので、ああこういう人じゃないとこういう事はできないんだなぁと思いましたね。だからやりたいなって思った人でも、その辺の慎重さは持っておいた方がいい」
「発信については特にですね。それがホントに世間に出していい情報なのかどうかはしっかりと精査した方がいいです。というかするべきですよね。例えば動画コンテンツとかでも『それを上げちゃ駄目だろう』っていうのを不用意に上げてしまって、そのお店が好きな方々から全力で批判されるっていう。そういうのも見てますし。でもそれって周りじゃなくて上げた人に問題があるんですよ。やっちゃいけないことをやってるから叩かれてるだけで、周りはその店を愛して大事にしてるだけですからね」
「当たり前の話ですよね」
「はい。その辺のリテラシーがないと難しい活動でもあります」
ここ、結構大事な話だと思うので読者の方向けにちょっと説明入れていいですか? あるYouTubeチャンネルの方が有名なレトロ店舗を撮影してアップしちゃったら、お店に多大なる迷惑がかかってしまい……って事件? があったじゃないですか。多分あのことだと思うんですけど。
「そうです。それも一例ですね。わたしもそのお店には何度か足を運んでいますが、セキュリティ面に心配な部分があるホールで、写真はネットに上げたことがないんです。YouTuberさんは取材許可を取ったと言っておられたんですけど、年老いた店主がYouTubeのなんたるかを理解できていないのは明らかで。県外から急に沢山のお客が訪れて不安な思いをされたようです。なので一回立ち止まって、それがどういう影響を及ぼすのかっていうのを、考えすぎるくらい考えるのが大事なんですよね。じゃないと、愛してるから追いかけてるのに、その愛してる対象を殺す事になっちゃう。そんな事って、本末転倒というか……悲しいことですよ」
「そういう判断を含めて、ただ探訪する行動力があればいいってもんじゃないんですよね。実は幾つかスキルセットがないと出来ない事だと思います。簡単なように見えるけどかなり難しい」
「というか、そこまでわかった上で本の中身を一度もチェックされなかったのはちょっと凄いなと、今あらためて思いました(笑)」
「信頼してるからですよ……?」
「そう。その信頼に答えなきゃと思って、高まる部分もありましたね」
「というのも、僕なんかだとスルーしちゃう部分とかも、栄華さんはめちゃくちゃしっかりチェックしたり、確認したりする人だというのを見てきてるんですね。だからこそ信頼してるし、その栄華さんがあれやりたいこれやりたいって言うんであれば、それはこっちにとってもプラスでしかないんですよ。だからもうどうぞどうぞと」
パチ7編集長 「最後までノーチェックで」
「うん、ノーチェックで(笑) なんなら考えてすらないですよ。言われた事をそのまんま『OKで~す』って」
すごい信頼関係だなぁ……。
「あとちょっと上の話に補足すると、ああこれは後世に残る宝になるなあって思えるような素晴らしい画像とか映像を、もうちょっとライトなノリで発信されている方も結構おられますし、それはそれでわたしは全然いいと思っています。ただ、発信する時には一度立ち止まって『大丈夫かな?』って考えることだけは忘れないようにしていただければみんな幸せです。……っていうのを、ちゃんと発信しないといけないんですよ。ホール探訪をライフワークにして発信してる側の責任として」
「ね、めっちゃ慎重でしょ? ここまでしっかり気にするから信頼できるんですよ(笑)」
★『偏愛 パチンコ紀行』はパチンコ業界の必須アミノ酸。
この本を一番読んでほしい読者さんってどの層になりますか?
「んー……これは作ってる時に、特にどういう人用に絞ったとかがないんですね。パチンコをやる・やらないであるとか、あとは年齢性別といった属性もなんですけど、誰でも読めるように作ってます。なので、誰に読んでほしいかというと、これはもう『みんな』ですね。なんなら後ろに英訳ページもつけて、外国人の方にも読んでいたけるように……(笑)」
パチ7編集長 「読んでいただきたい読者さんは、全人類」
「そうですね! 全人類。時空を超えて、オールですね。まだ生まれてない、未来の人にも読んで欲しい」
自分ちょっと本を読む時に結構嫌な読者というか、ヘンな癖があって、事前情報とかを全部知らないテイで読むようにしてるんですよ。特にルポ本なんかそうなんですけど、知ってる話でも『へぇ!阿部サダっていう女がいるんだ!』みたいな。で、今回も『パチンコを知らない』っていうテイで読んで……!
「へぇ! そうなんですね。どうでした?」
普通におもしろかったです。パチンコ良く知らないけど、そういえば故郷にこういう佇まいの建物があって、ああ、中はこうなってるのかぁ。とか、こういう建物が日本中にたくさんあって、営業したり閉業したりしてんのかぁ……みたいな。なんかワクワクもあり物悲しさもあり美しさもあり、なんか伝わりづらいかもしれないんですが『をかし』と一緒で、色んな意味があるみたいな。だから多分、知らない人が読んでも面白いんじゃなかなぁって
「ありがとうございます。聞いてみたいですよね、打ったことない人の感想」
そのうち絶対、そういう人の声もくると思いますよ……。で、今はそういう本を読んだからからのフィードバックがどんどん来てる頃だと思うんですけど、読者の方の反応で、特に印象に残ってることってありますか?
「ええと……『普段全く本を読まないんですけど、夢中で一気読み出来ました』っていうのと、あと『読みやすかったです』っていう意見は印象に残ってます。わたし自分が読みやすい文章を書く人間だとは思ってないんですけど、それって多分レイアウトとかデザインとか文字の組み方が影響してると思ってて、そういう意味でも嬉しいですよね。あとは『次のページを捲るのが楽しみでした』て、これも嬉しい感想だなぁと思って覚えています。あとは『保管用にもう一冊欲しくなります』とかね。……最高ですよね。こんなこと言われる本を作れたんですよ!」
冥利に尽きますよね。一番うれしいだろうなぁそれは……。Xさんはどういう人にオススメとか読んでもらいたいとかあります?
「え、僕っすか。僕は……あ、でも『パチンコ屋さんで働いている人』ですかね」
あー! なるほど。面白い。
「パチ屋のスタッフさんて日々売上を作って粗利を上げて、ってやってて『今』のホールは知ってるんですよ。でもこの本にあるみたいなロマンだったり、ワクワクするような部分って知らないわけですよ。働いてると分からない、摂取出来ない必須アミノ酸みたいなのがあると思うんですね」
「必須アミノ酸……?」
「9種類の必須アミノ酸って身体のなかで作れないので、外部から取り入れるしかないんですよ、生きていく上で必要なんですけど、どこかで入れるしかない。パチ屋さんで働いてて生活したり家族を養ったりしてても、この成分は勝手には作られないんです。だからこれはこの本を読んで取り入れてほしいですね」
「(笑)」
パチ7編集長 「新人ライターとかにも読ませたいなぁ……」
「そうですね。温きょう知新ですよ」
「……きょう? どんな字ですか」
「狂ってるの狂(きょう)」
「あはは(笑) 温狂知新!」
「栄華さんの狂気を温めて、新しきを知りましょうと(笑) 温狂知新ステッカー作りますか。これメモっとこ……」
(笑)
「それもよく言われるんですよ。狂気狂気って。『わたしはこれが好き』っていう話を延々としてるだけなんですけどね」
パチ7編集長 「栄華さんって押し付けがましくないじゃないですか。そこが凄いなと思いますし、読みやすさにつながっている部分だと思います。パチンコは大切な文化だから残すべきだ! とか、そういう主義主張ってないじゃないですか」
「残すべきだとは思わないですね。勝手に残すんです。写真を勝手にね」
これちょっと失礼にもなっちゃうかもしれないんですけど、この本は今回栄華さんの狂気とか偏愛とかがギュッと凝縮されてこういう形になってるじゃないですか。なんか俺、この方法論というか雛形ってあらゆるジャンルに応用できると思うんですよ。つまり他の業界バージョンも読んでみたいなって思ったんですね。映画館とか……。
「あ、映画館いいですね! あとデパートとか」
「洋食屋とか?」
「あー! いいですね! 洋食屋はすごくいいですね! あと純喫茶とかでやってる方とか、ラブホテルでやってる方もおられますね」
ラブホはいま外国人に人気なんですよね。ジャンルとしては実はアツらしいですな。
パチ7編集長 「洋食とかでやると太るだろうなぁ……。それでいうとラーメンとかは追いかけてる人は多そうですね」
あ、ラーメンはめちゃめちゃ多いかも。ただ、『廃業ラーメン店』とか『ラーメン店の置き去り看板』とかにフューチャリングしてる例ってないんじゃないですかね。いや、このシステムはかなりアツいと思うんですよね……。
「ただ、そこまで狂気を持って偏愛して、しかもそれを慎重に慎重を重ねて作れる人がまずいないので、水平展開はなかなか難しいでしょうね」
★想いが形になった『感動』について。
本が形になって、それを手に取った時。Xさんはまだ気持ちがフワフワしてて沈殿してないっていう風な回答だったんですけど、栄華さんはどうでした?
「完成品っていう意味では先日の出版記念会でなんですが、当日は色々忙しくて浸るヒマがなかったんですね。ただそれでいうと、デザイナーさんの事務所に何度かいって、打ち合わせする場面というのがあったんですよ。その時、まだ箔(表紙にある銀色の箔の水玉模様のこと)は入ってなかったんですけど、カバーデザインの案が出来ましたって、見せてもらった事があったんですね。中身は真っ白な束見本(つかみほん)っていうんですけど、それに簡易印刷のカバーを掛けて『こちらです』って持ってきてくださって……その時がねぇ……。すごい感動的だったんですよね……。すっごい丁寧なんですよね」
それは嬉しいですね……。宝物みたいに頂いて持ってきてくださるわけですね。
「そう。それがねぇ、今思い出してもグッときますよね。……あ、だめだ。ホントにグッと来ちゃう(笑) とにかく、デザイナーさんが本の事を丁寧に大切にしてくださって、著者であるわたしに初めてそれを見せる。もちろん緊張もされてたのかもしれないんですけど、わたしの顔をじーっと見て」
それは印象深いですね……。
「もちろんそこから、今度はそのデザインをミリ単位で修正する、っていうターンが始まるわけですけど、その時に『あ、ホントにわたしの本が出来るんだ』っていう実感が湧きましたね。まだ真っ白なんですけど、現実感がいきなりグッと。その時の気持ちを反芻しながら今でもこの本を読んでますね」
やっぱ束見本だとしても、カバーが出来ると一気に気持ちが入るだろうし、本気で全力で作ってるなら感動もひとしおだろうなぁ……。
「そこでグッと来ちゃったのもあったし、単純に忙しかったんで、完成品を見た日はそうでもなかったです(笑)」
(笑) 水玉の箔の部分ってパチンコ玉と同じサイズですよね。これって栄華さんのアイデアですか?
「いや、違うんですよ。アートディレクターの尾原さんのアイデアだと思うんですが、わたしも出来上がってこれを見た時『なるほど……!』『こういうことか!』って」
読者さんからの質問にもあったのですが、これタイトルを決めたのはどなたですか?
「お、来た。ここはXさんの出番ですね……!」
「はい、タイトルは2人で考えましたね」
「決まるのが凄く遅かったんですよ。グレート巨砲さん(必勝ガイド)からも『え、まだ決まってないの?』っていわれるくらい、まあまあギリギリまで決まってなかったですけどね。最終的にはLINE会議で……」
「その話になると僕も手柄取りたいタイプなので。『そこは僕が決めたんすよ』ってなっちゃうんですけど……これ良くないんですよね?」
いや事実は事実で全然いいんですけども(笑)
「出ていいんじゃないですか別に(笑)」
「いやほら、僕は主役じゃないんで今日。だから、相談には乗りました。最初はちょっと違ったみたいなんですけど、色々あって『旅』っていうテーマを元にデザインや内容を組むってなってたんで、だったら『紀行』? って」
「案は色々あったんですよ。『探訪記』とか『旅行記』とか『風土記(ふどき)』とか」
風土記(笑)
「そのなかから最終的に『紀行』にしたと」
「そう。『紀行』のご提案と……それから栄華さんが『パチンコ偏愛紀行』って案を出されていたんですけど、頭に『パチンコ』ってワードがあったらその他のパチンコ本に埋もれちゃうんで、『偏愛』を先に持ってきた方がいいですよって。そういう提案をしました」
「その時に、偏愛、半角スペース、パチンコ紀行、みたいなイメージって。だからカバーデザインのタイトルも『偏愛』で改行が入ってるんですね。であとは実際に足を運んだホールの数から『3000軒で見つけた宇宙』で。で、ここに宇宙ってつけたらデザイナーさんがそれを元にこのカバーにしてくれて。これはテーマとしては宇宙感を表してるんですって。あとついでにいうとカバーをとると表紙が赤なんですよ。これはわたしの情熱を表してるそうです。だから、実は全部意味があるんですよね」
そこまでガッツリ意味があると、嬉しいでしょうねやっぱり。意図が伝わってるってことだから、やっぱデザイナーさんは凄いなぁマジで。
★2人の狂気が生み出した『偏愛 パチンコ紀行』
じゃあちょっと、売上の話とかも聞いていいんですかねコレ。大丈夫ですか?
「僕は全然。全部話しますよ」
いや、そうなんですよ。Xさん前のインタビューもそうなんですけど、全部言うじゃないですか。
パチ7編集長 「そう(笑) だからこっちサイドで駄目なラインを見極めないといけないんだよね」
じゃあ差し支えない範囲でいいですからね。今日(2023年11月中旬)の段階で、販売数って何冊くらいですか?
「今で1300冊とかですかね」
金額ってこれ3000円すよね。申し訳ないんですが、これ俺は最初『高ッ』って思ったんすよ。内容見ると写真一杯だしフルカラーだしで『あ、これは3000円だわ』って納得したんですけど、これ決まった経緯ってあるんですか?
「これは大崎一万発さんにお会いする機会があった時に相談させて頂いたんですけど、『本なんか今は買うヤツいねぇんだから3000円くらいにしとけばいいんだよ。その代わり価格に見合う良いものを作らないと駄目だよ』って仰ってて。その通りだよなぁと思いましたね。んでそれがあったんで、実際にみんなで動き出して予算とか価格とかを決める話し合いの時に、3000円で考えてますっていったら『いや、それは高いよ』みたいな感じで……」
「最初、『八画文化会館』の編集の方とかがアドバイザー的についてくださってたんですけど、みなさんは『1500円くらいが良いんじゃないか』っておっしゃってましたね」
「プロの方がそういうんであればそうなのかと思って、一旦それで進めたんですね。ただ進めると、結局アレもコレもってなって制作費も販売価格もドンドン上がっていって、結局大崎さんが最初に言ってた『3000円』に落ち着きましたね」
「ドンドン上がっていきましたね。箔を押すだけでもドンッて(笑)」
これ、今刷ってる分が全部売れちゃったら重版するんですか?
「しないっすね。僕の手元に置くっていう夢と目標はもう達成してるんで。僕はもう正直売れようが売れまいが……」
一同 「(笑)」
「ただ、今回はプレゼントキャンペーンみたいなのもあんまり積極的にやってないんですよ。高いですけど、これは欲しい人はご自身でお金を払って買うべきだと思ってるから。身銭を切らない人は持たなくていいものだと思ってるんですね。言われるんですよ。プレゼントキャンペーンやんないんですかとか、誰々の本のときは配ったのにとか。何でやらないんですかみたいな。そういう本とはちょっと違うんですよ。大々的に表に出て、消費されるジャンルの本ではないじゃないですか今回。性質が違うので。だから『高くて買えないんで、ください』みたいな人は持たんでよろしいと思います」
かっけー。そんな言われるんだクレクレ……。ああでも言いそうだなぁ、なんなら俺も言うし……。今回ちゃんと買いましたよ?(笑)
「(笑)」
てか、みなさんお腹空きましたよね? すみません長々と。次、最後の質問にしたいんですけど、栄華さん。ライフワークとしてホール探訪をやってて、これはもうコンプリートも何もないと。
「はい、ありませんね」
となると、永久に続くと思うんですよ。もちろん身体が動く間とかそういう生物学的な天井はあるんですが、精神的にはずっと続くじゃないですか。ゴールがない。それで新しい発見とか、フィールドワークの成果がどんどん蓄積していくわけですけど、その発表。つまり『新・偏愛 パチンコ紀行』とか『続・偏愛 パチンコ紀行』みたいな、いわゆる『おかわり』ってあるんですかね?
「あー……これはですね、今回、本を作って発見したことのひとつに、わたしの発信したいことはやっぱり紙が似合うなっていうのがあるんですね」
一同 「おお~」
「これ、元はウェブ原稿なので。無料で読めてたものじゃないですか。で、当時それで読んでた人もいるんですよ。そういう人が今回読んで『同じものだと思えない』って、そう言ってくれるんですね。たしかにウェブ魚拓とかで見比べてみると、同じことが書いてあるんだけど同じ事にみえないんですよ。あとこの本の最後の方にある『パチ壁英語』とかも雑誌とかでもやったことあるしウェブでもやったことあるんですけど、誰かに響いた手応えとかはこれっぽっちもなかったんですね(笑)」
(笑)
「わたしは面白いと思うんですけどね。全然伝わらねぇなコレ! 何回発信しても無理だ! って思ってたんですけど、ところがこの本を読んだ方とかが『イヤァ、パチ壁面白いですよねェ』って……あ、響いてるって(笑) なので、どうもわたしがやりたいことって本が合うみたいです」
あとやっぱ、記録っていう意味では雑誌とかウェブよりこういう形の本だと思うんですよ。残るじゃないですか。栄華さん先程『未来の人にも読んで欲しい』っておっしゃってましたけど、雑誌に書いても未来の人は多分読まないというか、読めないんじゃないかなぁ。
「その通りです。これ、国会図書館に納本する予定なんですけど、これからも一冊でも多く納本したい。だから質問の答えとしては、もちろん今後も本を作りたいですし、死ぬまでに何冊つくれるかな? と思っています。本を通して、パチンコがこんな風に愛されていたってことを100年後にも伝えたいです」
うわ~。最高ですわ。一番いいですその答え。応援します!
「ありがとうございます!」
パチ7編集長 「ちょっと横からすみません。釘曲げ出版さんは……会社としての活動は続けられるんですか?」
「一冊きりって思ってたんですけど、例えば『八画文化会館』を越えるような、栄華さんの写真集は興味があります。僕としては今回の本の続編っていうのは全然思ってないんですけど、そうじゃなくてホールの写真集とかは見てみたいかなぁって」
「Xさんがその本を欲しい!って思ったら動くんですよ(笑)」
「ただ、僕の中でもこないだの出版記念会とかも凄く大切な思い出になっていて、あれはもうやりたくないんですよ。もし何かあってまた同じことをやるとして、同じ方々にオファーしたらおそらく快諾いただけると思うんですけど、それやると思い出が薄まっていきそうで……」
「あ~わかる。それありますね! わかるわかる。Xさんぽいですね」
「例えば今回の本を読んだ方が、僕も私も本出したいですって僕に逆オファーしてきて、それで僕が『うわそれ読みたい』ってなったら動きますよそりゃ。本にして手元に置いときたいんで。ただ、ちょっとやそっとじゃ動かないかんな? って。甘くみんなよ? って思いますね」
一同 「(笑)」
パチ7編集長 「だって、この本書けるのって世界でただ1人、栄華さんだけですもんね」
「いやホントそうですよ。十年以上ホール探訪して……狂気。いい意味でですよ?」
いやぁでも話聞いて、前回のベラジオプラスの時も思ったんですけど、Xさんからもなみなみならぬ狂気を感じますよ。
「そうですか?(笑)」
「そうですよ! そもそもこれを本にしようって思うのが狂気で、でそのために出版社作って名前が『釘曲げ出版』ですからね? 狂気ですよ。大丈夫なのかなってずっと思ってたんですけど、出版してみたらみんなが面白い面白いって……。え、Xさん凄くない? って今やっと思ってます」
だから、結局『いい狂気』なんですよね?
「いい狂気(笑) そうそう。そういうことです」
お2人ともいい狂気で、その……いい狂気といい狂気がこう、マイナスとマイナスが掛け合わされて……でも『いい』ってついてるからマイナスでもねぇのか。なんだろう。狂気と狂気でパワーも2倍だ、みたいな感じで出来たんですかね、唯一無二の本が。ちょっと自分で何言ってるか分からないですけど……」
「(笑) でもホントに、当然ですけど1人じゃこんな本は作れなかったですし、そもそもこんな自由になんでも自分の意見が通る制作環境、ってなかなか無いはずなんですよね。そういう意味でもXさんの狂気にかなり助けられてというか、狂気が反映された本になってると思います」
小口どころか、天も地も箔押ししてありますからね……。ホントにお疲れのところ、長々とすみません。インタビューは以上になります。ありがとうございました!」
「いえ! こちらこそ。ありがとうございます……!」
「ありがとうございます。……ちょっとみなさん、ご飯いきません? 僕朝から食べてないんですよ……」
以上が『偏愛 パチンコ紀行』の著者・栄華さんと発行人・X氏へのインタビューでした。 文中にもありますけど、この本は過去、ウェブ上に公開されていた記事を元に作られています。んで筆者はその記事を全部読んでたんですが、本になって改めて読むとたしかに同じものと思えない。というよりも、より面白く新しく生まれ変わってるな、というのを凄く感じました。 あとやっぱり栄華さん自身の人柄の優しさもそうなんですが、パチンコへの深い愛情が、美しい装丁・デザインに引き立てられてより胸に迫る感じになってます。
本というのは読んだ人がそれぞれ色々自由に感想を持つべきだと思うので、あんまり事前にレールを敷くようなことはしたくないんですけど、筆者は写真の補正の方向性やらモチーフの雰囲気なんかもあって、どうしても全体的に物悲しい、哀愁に近いものを強く感じました。ただ、パチ7編集長も言ってましたけど、それが全然押し付けがましくない。むしろ斜陽や滅びの美しさとか優しさみたいなのがあって、純粋に「いい本だな」と思った次第。これは独特の読後感だと思います。
X氏によると重版の予定もないとの事。現在ある分が完売したらもう手に入らないので、気になる方はお早めにどうぞ。いつまでも、あると思うなホールと「偏愛 パチンコ紀行」です。
★プレゼントしないって言ってたけど、します(笑)
インタビュー内でX氏から「プレゼントとかではなく、自身で購入してほしい」という言葉がありましたが、少しでも多くの人に読んでみてほしいということで、無視します(笑) あ、いやちゃんとご両名の了承はいただいております。
・ご応募いただいた方の中から抽選で10名様にプレゼント
・当選者様のみにご連絡させていただきます
・応募締切:2023年12月31日(日)
ご応募は上記応募フォームからお願いいたします!
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- あしの
- 代表作:インタビュー・ウィズ・スロッター(稀にパチンカー)
あしのマスクの中の人。インタビューウィズスロッター連載中。元『セブンラッシュ』『ニコナナ』『ギャンブルジャーナル』ライター。今は『ナナテイ』『ななプレス』でも書いてます。
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