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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2022.05.03
パチスロライターに“なってしまう”まで。episode.13(非ユニバーサル系の逆襲。『イプシロンR』)
1999年のパチスロシーンは、ユニバーサルの一強となっていました。ここまでの振り返りで、私もそればかり打ってきていますもんね。
ユニバーサル系は、技術介入効果が高いだけでなく、設定判別もあり、狙い台を失敗した時に摑まされる低設定域のスペックも甘め。無職のスロッターでしたら“打たないわけにはいかない”存在となっていました。しかし、前回の最後で少し触れましたが、勢いに陰りが見えてきつつもありました。
簡単に言えば、ここまで神台を連発しすぎ。シェアを守るために多くの機種を開発するものの、良いアイデアは既に使ってしまっている状態となっているように見えたのです。素人の上から目線で申し訳ないですが(笑)。
そんなユニバ系が少し停滞したかのように見えた時期に、各メーカーとも売れ線を参考にしたスペックを開発してきました。1998年頃の内規変更(CT機のデビューもこの影響)も重なったこともあって、その当時主流だった技術介入機をベースに、新しい発想を加える開発競争が始まったのです。
▲『花月』(山佐:1999年1月)『ピンクパンサー3』(山佐:1999年3月)
その反転攻勢の一番手が山佐だったでしょうか。このあたりは、近くの強めのホールに、どのメーカーの機種が入りやすいかによって印象が左右されるので、完全に私個人の主観ではありますけど(汗)。
4号機の最初に『ニューパルサー』が大ヒットして時代の覇者となりましたが、その後継機があまりヒットしないことが続き。そうこうしているうちユニバ系に抜かれてしまった。素人目線ではそのような時期でございました。それが、この辺りから変わってきたんですね。パルサーの後継機を作る呪縛から解き放たれたというか。いや、重ね重ね個人の主観です。
「山佐で主戦となる機種ができたら面白いな」
稼ぐ気はあまりない・ものぐさなタイプだったからこそ、そう思ったのかもしれません。ユニバ系の機種は、手練れのライバルが多すぎたのです。勝ちにうるさい目押し自慢の若者はそればかりを打ちますが、そうした環境で打ちたくない主に年配層は、避ける傾向がありました。つまり、ユニバ系以外のシマであれば、狙い台を取るための並びも、立ち回りのスピードなど、ライバルが少ない分だけちょっとラクになるのです。
準大量獲得の『花月』や、爆裂CT仕様だった『ピンクパンサー3』もありましたけどね。設置店の兼ね合いや、設定状況などで主戦となるまではならず。
▲『イプシロンR』(山佐:1999年5月)
そんなところに登場してきたのが、ノーマルA400の『イプシロンR』。率直な感想を言えば、ユニバ系のファンに向けて山佐が作った機種となるでしょうか。私にピッタリの台ですな(笑)。通常時に小役をハズしながら打つことは多くなりますが、設定判別あり。技術介入効果も高く、大量リーチ目タイプとユニバ系の機種のような特徴を持っていました。
これがまた面白かったんです。いわゆる小役告知演出ですね。レバー操作時に予告が発生したら、セグの窓枠をチェック。その表示によって「小役以上確定」のものや「ハズレを含む」ものも。ここで変則押しをすると簡単に1確や2確を作れました。今では演出によって変則押しで……というのは当たり前な時代ですが、この当時としては画期的。
また、リプレイの次のゲームでボーナス絵柄がテンパイしたら2確(順押し時)という唯一無二なリール制御も兼ね備えておりました。
どうやってそれを実現していたのか書いてくれた雑誌はなかったと記憶しております。おそらく、ボーナス未成立時はリプレイ入賞で1GだけのRTに突入させて、そこではハズレでボーナス絵柄がテンパイしないリール制御にしていたのでしょう。……と、今では推測できますが(正解かは知りません・笑)、この当時はまだRT機も登場しておらず。説明できなくて当たり前だったような気がします。
さらに、左リール赤7上段側で押しているとリーチ目マシン。逆側で小役狙いをしているとスベリ重視のリール制御となったり。これは後『タイムクロス』シリーズの特徴としても引き継がれていきますが、一台でいくつもの楽しみ方ができたのです。ね、奥深さもユニバ系みたいでしょ?
この『イプシロンR』との出会いは、5月の全国発売の最初で、渋谷の道玄坂のオーケストラ(後にコンサートホール)というホールでした。今は撤退してユニクロになってしまっていますが。その時は一通りリーチ目や最適手順を調べたりする程度でしたが、そこから数ヶ月経って地元の7枚交換の優良ホール(M店)に導入されましてね。ざっと計算したら行けるのではないかと。
そこから1年近く、ユニバ系の機種に混じって主戦機種となってくれました。当初の目論見通り、ライバルが少なめで助かりました(笑)。
▲『シーマスターX』(山佐:1999年7月)
1999年の山佐といえば『シーマスターX』を祖とするテトラリール(4thリール)元年でもあります。こちらも革命的なマシンではありましたが、あまり設定状況がよろしくない等価交換のホールに入ってしまいまして。『イプシロンR』ばかりを打っていて、実はそこまで手が回らなかった次第であります。ん〜逆押し右下段青7。
▲『ビッグウェーブ』(山佐:1998年7月)『ドクターA7』(山佐:1998年10月)
と、これだけですと山佐がユニバ系の作り方をパクったという印象を持たれてしまうかもしれませんが、ちゃんとオリジナリティを加えていたこと。
『ビッグウェーブ』や『スピード』のように全設定BIG確率が同じであったり、『ドクターA7』では、多ライン機でBIG確率が高いもののパンク上等だったりと。新たな楽しませ方を模索しまくった機種も作っていたということは忘れないでいようと思っております。設定判別のできる技術介入タイプは、時代が求めていたことから、そうでなければ土俵に上がれないだけだったとも言えますし。
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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