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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2018.10.23
21世紀のパチスロへの布石(2000年)
1999年までスロプー生活を送っていましたが、その頃に覚えたのがパソコンです。Windows95がブームになったものの、2chどころか普通のHPも少ない時代。インターネットに繋ぐのはLANではなく電話線でした。たかだた20年前の話ですよ。
人生なにが起こるかわからないものです。とあるパチスロ掲示板に新機種のリーチ目候補やら実戦日記を書いていたら、それを読んでいた人から「私の作った番組に出てくれないか?」と。BiGチャンネル(現パチテレ!)のプロデューサーさんでした。さらに「知り合いの編集プロダクションがパチスロ雑誌をやることになって、やるかどうかはさておき、話だけは聞きに行ってくれないか?」というオマケ付き。
当時、私より凄かった打ち手なんてそこら中にいたことでしょう。必然の如く」無職だった。それなりにパチスロを打てた。パソコンで文字を書けた。こうして、履歴書に空いた大きな穴が埋まることとなりました。
20年生まれるのが遅かったら、モーニングでリスクなしにパチスロを覚えることもなかったですし、設定1でも出玉率104%の台で、モラトリアムを満喫することもできませんでした。そして、インターネットで文字を書く人も大勢います。
なんにせよ、一介の打ち手から雑誌の攻略ライターへ。パチスロを見る視点が変わったのは、この2000年です。
☆2000年のユニバーサル系。
1998年にユニバーサル販売からアルゼに社名を変更していますが、2009年にユニバーサルエンターテインメントに社名を再変更。当時はアルゼ系と呼ばれていましたが、ユニバ系とさせていただきます。いまでもアルゼ系と言ってしまうのは『ハナビ』世代。ユニバ系と呼ぶのは、最近の世代か古すぎるオッサンたちです。ようやくアルゼという言葉に慣れたら戻りましたとも(笑)。
1999年12月に登場した『大花火』がスマッシュヒットとなりましたが、出す機種のほぼすべてが名機とされた1998年以前のようなヒット率ではなくなってきた……と前回書きました。その傾向は2000年も続きます。そして、ユニバ系の一強時代が終わったのもこの年かと思います。
▲『デュエルドラゴンR』』(アルゼ:2000年2月)『グランシエル』(アルゼ:2月)
ユニバ系初の液晶搭載機として大量獲得タイプの『デュエルドラゴンR』とA400タイプの『デュエルドラゴン2』を発表。それと同時に鳥の系譜として『グランシエル』の全国発売がなされました。
全国発売という言葉からもわかるように、ロケ店舗で稼働状況などを確認することが増えてきたのもこの時期。“陰りが見えてきた”ように書いてしまっておりますが、いまから考えれば努力を怠ったのではないということがわかります。あまりにリールのみで魅せる手法をやり尽くしてしまっていたんですね。
そして、ユーザーに変化が表れたのもこの頃でした。『グランシエル』を難しいと思うユーザーが実に多かったのです。リプレイハズシは2コマ目押し。特殊15枚の獲得は、中リールと右リールに同色の7を狙わねばなりませんでした。それならば『大花火』の方が難しいじゃない。その通りです。
技術を持つユーザーも、そうでないユーザーも。大量獲得の夢を追い始めたのです。同時導入した店舗では『デュエルドラゴンR』から埋まり、ちょっとライトな層が空き台となっている『グランシエル』へ。そういったミスマッチがあったのも否めません。
▲『マリーンバトル』(ミズホ:2000年4月)『NJ-CT』(エレコ:6月)『タロットマスターR』(メーシー:7月)
続いて登場したのは、これらの鉢巻リール(筐体上部の演出用4thリール)。『グランシエル』と同様にロケ店舗でチェックされており、そのまま登場したのは『マリーンバトル』のみ。『NJ-CT』は演出が少々変わったくらいですが、大量獲得タイプの『タロットマスターR』は、リプレイハズシが1コマだったのを廃し、赤7目安の5コマ目押しと難易度がグッと下げられました。これぞロケ店の効果。とはいえ、これらも前年の『アステカ』『大花火』の前では霞んでしまいました。
どうでもいいことですが、私の初担当機種は『NJ-CT』です。前身の『NJ』を当時あった直営店まで打ちに行きましたとも。『アステカ』のようなハイスペックのCT機でしたが、変則押しがなにも目印になるものがないところなど、かなりコアな路線でした。
▲『ドンちゃん2』(アルゼ:2000年11月)『リアルボルテージ』(アルゼ:9月)
液晶タイプも秋から年末にかけて発表。大量獲得タイプの『リアルボルテージ』とA400タイプの『ドンちゃん2』。5号機でも大活躍した緑ドンシリーズの初代です。『ドンちゃん2』は大ヒットといえるでしょう。ただ、あまりに『大花火』と『アステカ』のインパクトが強すぎまして……。
☆2000年は他のメーカーも躍進。
ユニバ系の一強時代が終わったのは、前年の機種が強かったからだけではありません。他のメーカーも面白い機種を多く作れるようになったからです。
▲『アラベスクR』(山佐:2000年5月)『タイムクロスA』(山佐:7月)
1999年からユニバ系を意識したような作り方をし始めた山佐からは、良質なノーマルタイプが多く登場しました。
前年の『シーマスターX』と『コングダム』から続くテトラリール(筐体右の演出用4thリール)の集大成として『アラベスクR』が登場。リール出目と毎ゲーム動くテトラリールとの絡み、特にチャンス目テーブル選択時のドキドキ感は秀逸でした。このテトラの流れは準大量獲得タイプの『ハイパーラッシュ』にも引き継がれます。
また、山佐初の液晶搭載機として『タイムクロスA』が登場。演出用ステージによってリール制御が異なるなど、いまの感覚でも目を見張る技術が使われておりました。
当時はチンプンカンプンというか、そこに興味もなかったですが(笑)。ま、RTですね。RT中だけリール制御を変化させていると考えるのが自然です。リール制御の変わる原始ステージはゲーム数固定でしたし。今も昔もゲーム数をコントロールできるのは、RTが筆頭です。
▲『ルパン三世』(平和:2000年3月)『ホットロッドクイーン』(オリンピア:2000年3月)『ターミネーター』(IGT:2000年6月)
平和から登場した『ルパン三世』は、BIGがシングル揃いだとリプレイハズシが1コマ目押し必須。ダブル揃いはリール制御が変化して4コマハズシになるというユニークなもの。オリンピアの『ホッドロットクイーン』は、TYPE-B(BIG中のJACインを2回)とすることによってボーナス確率を高く設計し、それでいて大量獲得機という変則スペックで人気に。
また、IGTの『ターミネーター』は、ドット演出をキャンセルするほど演出頻度が下がるという賢さを見せてくれました。あ、出目でわかるから大丈夫(笑)。
☆眠れるサミーが動き出す。
CT機の『ウルトラマン倶楽部3』で存在感を示したサミーですが、それ以外は設定判別と変則押しで『祭』がマニアに人気だったくらい。その『祭』のリール制御を何機種か流用したものの(手順が同じでねえ)、ヒットに恵まれていなかったのも事実です。そのサミーの目が輝き出したのも2000年です。
▲『ゲゲゲの鬼太郎』(サミー:2000年1月)『ゲゲゲの鬼太郎SP』(サミー:5月)
パチスロ初となる液晶搭載機『ゲゲゲの鬼太郎』は、ボーナス確率を高めるために8ライン機とする意欲作。
そして、5月には初のAT機『ゲゲゲの鬼太郎SP』が登場します。ATはBIG終了後の1/2で突入し、100G継続もしくはBIG成立で終了。上乗せも一切なし。純増枚数も高くなく、ボーナス主体のゲーム性に色をつけた程度のマイルドなもの。
しかし、この機種からパチスロは大きく変わっていくことになります。型式試験(パチスロを世に出すための検査)では、サブ基板(小役ナビを含む演出)を一切考慮しないということがわかったのでしょう。
▲『ディスクアップ』(サミー:2000年9月)『キャッツアイ』(サミー:11月)
小役ナビによってコインが増加するATに加え、当時としては画期的だったリプレイ確率アップ区間のRTを組み合わせることに成功。いまでは当たり前にARTと呼びますが、当時はARと名付けられておりました。
当時のRTは5号機以降と異なり、リプレイ確率の変動が許されるタイミングが遊技機規則に書かれておりません。内規扱いだったんでしょうね。ただ、それをベースに5号機で明文化されたとも考えられます。違う部分は、特定出目を必要とするか……のみかな? 4号機時代は同じ出目でもRTに入ることや入らないこと。そして、同じ契機でもRTの長さが異なることもありました。おそらく、内部成立した役に紐づいており、それでどう停止するかは関係がなかったと推測しております。
そんなこんな。液晶搭載機だけでなく、ATやらRT(初は岡崎産業の『ニュートラッド1』ね)など、5号機にも繋がるような要素が登場し始めたのが今回振り返った2000年。20世紀最後の年にして、21世紀の楽しみ方をチョイ見せさせられた年でした。
個人的には『グランシエル』ばかり打っていましたね。中盤から『タイムクロス』、のちに『キュロゴス』。仕事のデータ採りで、いろいろ打ちたくもな……ゴホンゴホン。そんな感じでしたが、意外と仕事でも普通に勝っていた記憶。スロプー時代に回っていたホールの観察が活きたのかもしれませんね。
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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