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名機のそこ~マコトのメーカー開発インタビュー~
2019.07.30
【名機のそこ】全国のディスクアッパーに捧ぐ。ディスクアップ開発者ロングインタビュー!
初打ちはサミーのショールームだった。 そっとBETボタンを押し、レバーを叩き、ハサミ打ちでリールを止めた。コイン投入音、スタート音、リール停止音、それらの音を聞いてディスクアップが約19年という時を経て復活した事を実感した。
リールを空回ししてみては、初代を再現した左リールにうっとりしたし、初代とは少し異なる配列の中・右リールにも新たな可能性を感じた。ノスタルジックな気持ちに浸りながらディスクアップと対峙していると、左リールと右リールでリール消灯が発生。目の前には中段ラインでスイカがテンパイしている。所謂スイカハズレ目が止まっていた。
中リールに赤7を狙うと、消灯音が鳴ったと同時にスイカがハズれてボーナス確定。たったそれだけの事なのに鳥肌が立っていた。ディスクアップが帰ってきたんだという思いが溢れてきた。
そして、その瞬間に思った。この台は間違いなく流行ると。 その後、ディスクアップが増台に次ぐ増台で回胴界を席巻したのは皆さんご存知の通り。
今回は5.9号機、いや、5号機で最も完成度が高く、最も面白いと言っても過言ではない『ディスクアップ』の開発秘話をお届けしよう。
▲左:ベテランAさん 右:若手Bさん
今回はインタビューに応じて頂き、ありがとうございます。ディスクアップの質問の前にまずはお二人の経歴を伺ってもよろしいでしょうか?
「ええ、構いませんよ。私は開発に入って14~5年ですかね」
5号機初期の頃ですね、懐かしい。Bさんはいつから開発に携わっているのでしょうか?
「僕は5年ぐらいです。作った機種でいうとディスクアップが2作目になります」
ディスクアップが2作目とは驚きです。ちなみに、1作目の機種は何でしょうか?
「初めて作った機種は『火曜サスペンス劇場』です」
これまたコアな機種ですね(笑) 火サスからディスクアップってなんだかものすごいギャップがあるように感じますね。かたや完全告知マシンで、かたやリーチ目マシンですし
「たしかに、ものすごいギャップはありました(笑) でも、火サスで5ライン機を開発したのが、ディスクアップの開発で生きたという実感はあります」
なるほど。リール制御やリーチ目という部分では共通するところがありますもんね。
では、早速質問に移らせてもらいます。まずは、ディスクアップを開発する際のコンセプトやテーマを教えて下さい。あと、とにかくここは拘ったというところがあればそれも教えて下さい
「まずは技術介入機を作ろうというのがスタートでした。5号機のボーナス搭載機は基本的に枚数調整以外の技術介入がないので、そういった概念を超えた機種を作ろう、というのがテーマでした。あとはボーナスで出玉を増やす機種というのが自分の好みなので、そこに新たな技術介入を取り入れて、進化したボーナス搭載機を作りたいという思いがありました。で、かつ、技術介入といっても目押しが上手いから勝ちます、下手だから負けますという技術だけじゃなくて、運の要素も取り入れたかったというのがあります」
運と技術。ダンスタイムとDJゾーンですね
「そうですね。運と技術で掴み取れというコンセプトを立てました。あと、他社さんが持っているノーマルタイプのシェアを自分達で取っていきたい、という目標もありました」
そこは見事に成功したと言ってもいいんじゃないですかね
「手応えは感じています。あと、拘ったところで言うと、やっぱりBIG中のビタ押しとリール制御です。ディスクアップはリーチ目でプレイヤー自身がボーナスを察知するところに楽しみの重点を置きたかったので、リール制御やリーチ目に関してはひたすらBに注文しました。逆に演出のバランスもリールでボーナスを察知する楽しみを邪魔しないというか、極力引き立てるような頻度や法則にしました」
メインは出目であり、予告音やドットによる演出はサブというか盛り上げ要素ということですね
「そうですね。ただ、オールドファンというか、コアなプレイヤーになる程、ボーナス成立時の演出発生割合を抑えてほしいという声があると思うんですが、今回は初代ディスクアップを知らない層にも打ってもらいたい気持ちが強かったので、演出頻度は敢えて高めに設定しています」
俺もそうですけど、特にノーマルタイプを好きな人って、演出搭載機でも演出ナシでリーチ目が出現する、サプライズ感みたいなものを好みますもんね
「そのあたりのバランスは悩みましたけど、サミーとしてこの手の機種が1発目だったというのもあって、若いプレイヤーにも打ってもらうためには、ある程度、演出発生率を高めた方がいいのではないかという思いがありました」
なるほど。とはいえ、演出ナシでもリーチ目が出ないワケではないので、この演出バランスでも十分サプライズ感は味わえると思っています。では、次の質問なんですが、5.9号機というタイミングでディスクアップを作られた意図を教えて下さい。あと、5.9号機以前にもディスクアップを作ろうという話は挙がっていなかったのでしょうか?
「ディスクアップは会社として計画されていたタイトルではなくて、開発の現場から話が挙がった機械なんです。そもそも最初はディスクアップを作ろうという話ではなくて、先ほど話に出たように技術介入機を作ろうというコンセプトが先だったんです。で、ウチでやるならディスクアップがそのコンセプトに合うから…という理由でディスクアップをチョイスした感じです」
そうなんですね。これだけ完成度が高いから、てっきり最初からディスクアップの後継機を作ろうという話があったのかと……
「あと、5.9号機でという質問についてですが、これはたまたま5.9号機という環境下で作り始めただけであって、敢えて5.9号機でとか、5.9号機だから作ろうという感じではなかったです。逆に途中で6号機に切り替わりそうなタイミングに差し掛かったので、慌ててスピードアップしました。やっぱり、6号機だとゲーム性も変わってきてしまいますしね」
ディスクアップのゲーム性が5.9号機の規則にマッチしていると思っていたので、敢えてこのタイミングで作ったのかと思っていたんですけど、そういうワケではなかったんですね
「最初は5.5号機の時期にディスクアップの案が上がっていたんですけど、時間的なリミットがあったので、結果的に5.9号機になった感じです。5.9号機の規則でも障害はないゲーム性ではありました。ただ、5.9号機じゃなかったら異色BIGは搭載していなかったかもしれません」
あー、なるほど。異色BIGは設定差を設けるための存在ですもんね
「そうですね。有利区間の移行には設定差を付けられませんから。5.9号機でリリースするという話になってから異色BIGを搭載しようという話になりました。5.5号機であれば単純に同色BIG確率に設定差を付けていたと思います」
「でも、結果的に5.9号機の方が良かったよね。同色BIGに設定差がないっていうのが、空き台でもとりあえず打ってみようと思いやすい要因でもあると思いますし」
「それはあると思います」
たしかに。設定を意識せずに打てるというのも魅力ですし、同色BIGに設定差があると、BIGを引いてない=低設定という判断をされて稼働が伸びないケースもあったかもしれませんし。5.9号機だからこそ、ディスクアップの今があるのかもしれませんね。
次の質問に移りたいと思います。ディスクアップの低設定をこれほど甘い設計にした理由を教えて下さい。あと、完全技術介入時の出玉率を103%にした理由も併せて教えて下さい
「実は103%という数字は結果的にそうなっただけで、最初から103%にしようと思っていたワケではないです。むしろ、もっと高くできるのであれば上げたかったです」
これは意外でした。でも、もっと高くですか?
「はい、新しい技術介入要素を取り入れている機種なので、プレイヤーにやってみよう、打ってみようと思ってもらいたかったんです。4号機時代であれば技術の差で得をしているという感覚があったと思うんですけど、最近は技術介入をしないと損をするという風潮があるじゃないですか。そうなるのは嫌だったので、ビタ押しを少しミスっても100%は超えそう、というかなり甘めな設計を目指した結果ですね。それに101%あたりだと他社さんの機械でも有ったので、後発のディスクアップが101%だとどうしても埋もれてしまいます。なので高めに設定したというのもあります」
でも、設定1で103%もあったらホールが買わないかも、という葛藤みたいなものはなかったんでしょうか?
「ありましたよ(笑) 全てのプレイヤーが目押しが上手いワケではないので、トータルで見たら100%前後になるという計算をして、それを営業段階でホールさんに伝えてもらうようにはしていました。ある意味、客寄せというか、甘い機種でも入れるよというホールさんに買ってもらおうという方針でした」
で、その結果が今は…?
「3万台ぐらいかな?」
「そうですね」
すごいですよね。ちなみに、最初は何台ぐらい導入されたんでしょうか?
「1500台とかじゃなかったっけ?」
「そのぐらいでしたね」
当初は導入しているホールを探しましたもんね。近所に全く設置がなくて…。結構遠くまで打ちに行ったのに、抽選が悪くて打てない事が多々ありましたし、打っている人が初代ディスクアップを打っていたであろう層ばっかりでしたね。みんな目押しが上手かったのが印象的でした
「そうですよね。30代後半から40代以上の人達が打っていましたね。でも、実は初週、2週目はそれほど稼働が良いわけじゃなかったんです」
初耳ですね。てっきり初週からフル稼働だったと思っていました
「稼働が上がったのは数週間経ってからですね。今って昔と違ってホールでの出玉率も調べられるじゃないですか。その数値を見た人たちが本当に甘いかも、と思ってくれたのも有るかもですね」
やっぱり、設定1でもしっかり打てばペイアウトが103%あるというのは、打つ動機になりますよね
「…あと、これは開発だけの意見なのかもしれないですけど、ディスクアップって結構面白いと思っているんですよ、自分達は」
いやいやいや、今ディスクアップを打っている誰もが思ってますって(笑) めちゃくちゃ面白いですよ!!
「ありがとうございます。まぁ、だからというか、勝っても負けてもその面白さを体感してくれた人達が、リピーターになってくれているのかなとは思っています」
次の質問に移りたいと思います。BIG中についてなんですが、ビタ押し成功時の上乗せゲーム数はどのタイミングで抽選しているのでしょうか?
「上乗せ抽選のタイミングはART中か否かで変わってくるんですが、ノーマルBIGならネジる価値はあるかなって感じですね。ハイパーBIGはレバーON時に上乗せゲーム数が決まっています」
ノーマルとハイパーで上乗せゲーム数を決めるタイミングが違うんですね。ノーマルBIGのネジる価値というのは、つまり第3停止を離した瞬間、ということなんでしょうか?
「ええ、そういうことです」
これはネジっちゃうなぁ。中押しでビタ押ししたあと、残りのリールをパンパンって止める人が多いと思うんですけど、第3停止をネジる人が出てくるかもですね。
演出をドット・消灯・サウンド系のみにして、液晶演出を搭載しなかった意図を教えて下さい
「前の質問でも触れてはいるのですが、出目でのボーナス察知を主役にしたかったというのが一番の理由です。そこを見せたかったので、演出はなるべくシンプルに分かりやすくしたいというのがありました。液晶演出をもっと多彩にした場合、出目との絡みが複雑になって、アツさがぼやけてしまう事ってあると思うんです。あと、液晶があると作り手もいろいろこだわりたくなってしまうので、敢えて液晶は非搭載にしました」
初代も消灯とドットと遅れぐらいでしたもんね、演出と言えば
「そうですね。ラジカセとスベリ音なんかは新規で搭載したものです。自分達が打っている時に『今、左リール3コマスベったんじゃない?』とかそういう話で盛り上がったりするのが好きでしたし、そういう部分に気持ち良さを感じるので、スベリ音を搭載したという経緯があります。スベリ音が鳴れば目押しがそれほど正確じゃない人も、スベリコマ数を意識してアツくなれるかなと思ったんですよね。ちなみに、私がスベリ音演出の案を出したから、リーチ目役B+青BIGというフラグが生まれた……なんて裏話もあったりします」
リーチ目役B+青BIG成立時は漏れなく左リールがスベりますもんね。なるほど、スベリ音という演出を搭載するから、その演出を生かすために左リールをスベらせる制御を採ったんですね
「そうなんです。スベリ音ありきで制御を考えたりはしました」
「出目に演出が絡むんじゃなくて、演出に出目が絡んでくるパターンですね(笑)」
開発者ならではの発想ですね(笑)
「リーチ目役B+青BIGは左リールがスベる制御なら、それが成立した場合の半分はスベリ音を発生させよう、みたいな感じで出来上がっていきましたね」
リール配列と制御の質問に移らせてもらいたいと思うんですが、配列や制御を作るうえで苦労した点を教えて頂きたいです
「これはBの担当だな」
「はい。まず、5号機の規則のなかで初代の左リールを再現するという点だったり、RTの状態維持をする押し順リプレイを搭載した点。RT状態を転落させるリプレイフラグやリーチ目リプレイの出目だったりを構成するのが大変でした。転落させるリプレイフラグはハズレ目っぽい出目なので、ハズレ時にそれらの出目が使えないという点は苦労しました」
リーチ目マシンの場合、リーチ目の法則だったり、ボーナスのフラグによって、どういったリーチ目が止まるかといった制御部分で苦労されているのかと思ったんですが、ハズレ目の幅が狭くなるというのも出目演出を考えるうえで大事なんですね
「もちろん、リーチ目も大変でしたけど、初代の法則を踏襲する事でベースの部分は作りやすかったですね。あとはそこにリーチ目リプレイを搭載することで、出目に今作ならではの独自性も出せたのかなとは思っています。ちなみに、赤7・赤7・チェリーの1枚役Aが右リールで赤7を蹴っているのに赤BIGの可能性があったり、BIG確定役だったりするのは初代を踏襲している法則ですね」
リーチ目役AはBIG確定目を出したいがために作ったフラグ、という感じなんですか?
「そうですね。右リールのゲチェナを使ってBIG確定目を出したいというのがありました」
ちなみに、変則押しについてはどうでしょうか?
「変則押しもネックでした。例えば、チェリー成立時に逆押しでBARを下段に押してゲチェナが止まった場合は出目的にREGを否定しているのに、実際はREGと黒BIGのどちらかが確定して、赤BIGの可能性はないんです。これってユーザーからすると矛盾っぽく映ってしまうと思うのですが、5号機の規則上こうせざるを得なかったんです」
やっぱり、赤7を引き込んでいるから赤BIGが確定するという仕様の方が好ましかったということですか?
「そうですね。ゲチェナですしね。REGとチェリーが重複している場合はBARを下段に止めたかったというのはありますね。規則を守るうえでは仕方ない部分ではありますけど…」
「まぁ、そういうのも味わい深いんじゃない。ディスクアップに関しては左第1停止の制御とか配列にものすごく注文を出していたので、変則押しはその犠牲になったところはありますね」
「あとは、変則押しでも星が揃わない制御にしたいとも思っていたんですけど、さすがにちょっとそこまではできなかったですね。そこも多少は妥協した点ではあります」
それも規則上できなかった感じですかね?
「そうですね。他の要件を満たしつつ星揃いさせない制御にするのは不可能でした」
変則押しから話が逸れてしまうんですけど、順押しとハサミ打ちだとリーチ目が変わる点は何か意図があるんでしょうか?
「制御を変えたくなかったりはするんですけど、成立し得るフラグの数がとにかく多いので、変えざるを得なかったというのがあります。打ち方を問わず、リーチ目になる停止形という法則を持たせつつ、順押し、ハサミ打ちならではリーチ目を楽しんでもらえたらと思っています」
打ち方次第で2倍以上の法則を楽しめますますもんね
「そうですね。そうやって楽しんでもらえたら幸いです」
話は変わりますけど、Bさんはまだ20代ですよね。となると初代ディスクアップの世代ではないと思うんですけど、初代を打たれたことってあるんですか?
「過去に1回だけゲーセンで打ったことはあったんですけど、ディスクアップを開発するという話が出た時に、社内にあった初代を打って勉強した感じです」
どのぐらいのゲーム数打たれたんですか?
「えーっと、1万Gも回してない気が…」
「うん、それほど打ってないよね」
まさかの1万G未満! それでこの完成度! でも、先ほどもおっしゃってましたけど、赤7がズレてもBIGの可能性があるという法則なんかはやっぱり先輩に教わったりしたんですか?
「一応自分でも4号機のリーチ目について詳しく語っているサイトを見たりはしましたけど、多くは諸先輩方にいろいろ聞いて、リーチ目の法則なんかを学んでいった感じです。最終的に出目はいろいろ変わりながら完成したんですが、初代を踏襲しながら、ここはこうした方が面白いんじゃないか、という自分なりの意見も混ぜられたかなとは思います」
なんだか壮絶だ。でも、制御に関しては基本的にBさんから始まり、他の方の声が入って完成したということですよね
「そうですね。まず自分が作ってみて、それを打ってもらって、改善していく感じでした。それこそ、もうちょっと左リールがスベるリーチ目役B+青BIGの比率が多い方がいいんじゃないのとか。例えば左リール中段赤7からハサんで、右リール枠下ゲチェナの赤7で、中リール中段リプレイの分かりづらい系のリーチ目より、スイカテンパイハズレの分かりやすいリーチ目の比率を増やした方がいいんじゃないのとか、いろんな意見がありました。実際、そのあたりの比率は最後の方まで調整しました」
そうなんですね。それにしてもこんなに若い方がリール制御を作っていたというのはものすごく驚きました。意外でした。いや、意外中の意外でした
「自分も抜擢してもらったという感じで……。それこそ、リーチ目機って5号機で少し打ち始めたくらいだったので、そんなにリーチ目機に精通しているワケでもなく、ディスクアップのプロジェクトに携わるようになってから深いところを先輩方に教えてもらった感じです」
でも、リーチ目機のノウハウを知らなかったのにディスクアップのリール制御を作り上げたって、めちゃくちゃセンスがあるってことじゃないですかね。ちなみに、Aさんにお聞きしたいんですけど、Bさんを抜擢された理由って何かあるんですか? 若い方の発想を入れたかったとか?
「たまたま空いてたんですよ」
一同「爆笑」
「まぁ、自分もそうなんですけど、たまたま手が空いていた人が他のプロジェクトをやりながら、ディスクアップも…って感じなんですよね。でも、最初はリーチ目機を全然知らなかったのに、自分とかその他の4号機おじさんが毎回のように『これは違う』とか、『これは初代でリーチ目だったからダメ』とか言っても頑張っていましたね」
「最初は本当に大変でした」
「『B、心折れる』っていうのが一時期流行語になりましたからね」
「そうでしたね(笑)」
「ただ、心折れた割に次の制御をすぐあげてきてくれましたね。そういうスピード感も良かったですし、理解するのも本当早かったと思います」
「多くの先輩に助けられたおかげです。あとは先程も話しましたが、火サスで5ライン機を経験していたのもよかったと思います」
火サスがディスクアップの制御に生きていたなんて誰も想像してないと思います(笑)
次の質問に移らせて頂きたいのですが、通常時に共通9枚役をカウントできないか考えているのですが、消灯・ラジカセ・スベリ音を伴った9枚役は共通フラグでしょうか? また、9枚役入賞時に共通9枚役だと完全に見抜く術はあるのでしょうか?
「それらの演出を伴った9枚役は共通9枚役濃厚です。ただし、通常時に共通9枚役を完全に見抜く方法はないですね。演出なしでも共通9枚役は出ますし、揃う形も同じなので見分けられません。」
なるほど。では、次の質問です。チェリー・スイカ・共通9枚役後のフェイク演出発生率と、フェイクとして発生し得る演出を教えて下さい
「これはですね、チェリー・スイカは1/4、共通9枚役は1/8で1Gないし、極稀に2Gのフェイク演出が発生します。その演出は予告音のみ・1消灯・ラジカセ・僅かに3消灯→DUルーレット発展ですかね。もちろん、1消灯はリプレイか共通9枚役が成立している場合に限りますけどね。ただ、正直これはもうちょっと減らしてもよかったかなとは思ってます」
やはり、期待度と比較するとフェイク演出が発生しやすいってことですかね?
「もともと演出が発生しないフラグを引いたゲームの演出発生率を上げているだけなので、気にする必要ないと言えばないのですが、もうちょっと静かにしておけばなって思ってます」
たしかにそう考えれば、気にはならないかもですね。今度はDTにまつわる質問です。DT初当たり時の1G目にゲーム数カウントがゼロのままだとキャラ反転が確定するという法則は意図したものなのでしょうか?
「意図したものです。パチンコ・パチスロって、昔から知っている人だけがイチ早く気付ける法則ってあるじゃないですか。あれを作りたかったんです。まぁ、私は見ないことの方が多かったりしますけどね」
自らが作ったのに(笑)
「どちらかというと、DT継続時のキャラが出現してワンテンポずれて反転するタイミングの方が好きです」
次の質問に移りたいと思うのですが、開発にかける時間が足りなくてマイスロを搭載できなかったという話を耳にしたのですが、事実でしょうか? また、マイスロ以外でも時間があればこうしたかったという部分があれば教えて下さい
「6号機になる前に申請する必要があったので、急いだというのは事実です。マイスロも無理をすれば搭載できたかもしれないですけど、それよりも演出バランスとか、成立役の確率とかそういったことに時間を割きました。もしマイスロを搭載できていれば、自分の戦績以外にリーチ目ミッションだとか、いろいろやれたら楽しかったなとは思いましたけど、今回は諦めています。あと、時間があったらこうしたかったらというのも、いろいろ思うことはあるんですけど、結論的に今のバランスもひとつの形だと思うので、後悔はしていないですね」
ひとつの完成形ですもんね。完成形だからこそこれだけプレイヤーに支持されているワケですし。
次の質問なんですが、ユーザーさん主催のディスクアップ大会などの企画が行われていたりしますが、これらの企画にどのような受け取り方をされていますか?
※ディスクアップ大会についてはこちら。
「営利目的ではないと思うので、ありがたく思っています。純粋に楽しそうだなとも思いますし、自分も嫁と子供が許せば、こそっと参加したいぐらいですね」
開発者がこっそり参加する大会とか超アツいじゃないですか。実は参加者が開発者だったとかディスクアップ好きな人からしたら悶絶するレベルの喜びですよ。あと、大会とは話が変わるんですけど、BIG中のビタ押しポイントが左リール右リールにもあると発覚したのもユーザー投稿動画だったと思うんですが、これについてはどのような印象があったのでしょうか?
「ビタ押し箇所発覚というよりは、逆押しで目押ししてないのに上乗せするというようなニュアンスの動画だったと記憶しているんですが、それについては正直ちょっと困惑しました(笑) やっぱり、攻略みたいに思われてしまうのは誤解がありますし。ただ、左・右のビタ押しポイントについては、攻略法ではありませんし、公式でやっている開発ボイスでいつ公開しようかな、と思っていたところだったので、ちょうど良いタイミングだったかなとは思いました」
この左・右リールのビタ押しポイントというのは、規則上設けないといけないものなんでしょうか?
「この仕様に関して言えば、中押しだけしかビタ押しポイントがないと、中以外から押すと損しちゃうじゃないですか。でも、BIG中にデデデンって鳴った場合も別に押し順をナビしているワケじゃないんですね」
たしかに、そうですね
「ナビしてないのに中押しだけ有利になってしまうっていうのは、規則上アウトになりかねないので、左・右リールにもビタ押しポイントを用意しておこうという感じになりました」
中押しだけビタ押しポイントがあると、指示機能として捉えられる可能性があったということですか?
「そうですね。でも、これに関しては初期の開発ボイスで、押し順による損得は発生しないようにしていますって触れているんですよ」
いやー、そこには気付けないです。それに中リール以外からは押せないです。ディスクアップは中リールのリプ・星・星をビタ押しするもんだと思ってますから(笑)
続いての質問なんですけど、開発のお2人が好きなボーナス察知パターンや出目を教えて下さい。この質問は完全に俺の趣味です
「この手の質問は毎回同じ返答になってしまうのですが、私の場合は左リール上段赤7からハサんで、右下段にゲチェナじゃない方の赤7テンパイの2確目ですね」
「どれもこれも捨てがたいのですが、左リール上段BARからハサんで右リール中段赤7、そして中リール中段リプレイのBIG確定目ですかね」
Bさんが挙げた出目は小冊子にも載っている出目ですね
「ただのハズレ目に見える出目が実はリーチ目っていうのが気持ち良すぎますし、小冊子にも載せるほど大好きな出目なんです」
小冊子のリーチ目も開発の方が選んでいるんですね。ちなみに、お2人のビタ押し成功率なんかも聞いちゃっていいですか?」
「私はディスクアップの収支が-2万枚を超えたところから、細かな数値を取り始めたのでそこからの累計ですが、最近は89%まで落ちてしまいました。でも、成功率89%ですから出玉率的には余裕で100%は超えているんですけどね。なかなか思うような結果になりません」
「僕は初打ち時からずっと数値を取り続けているのですが、ビタ押し成功率は81%ほどです」
「でも、どうして出玉率が103%あるディスクアップで勝てないんですかね。自分、日本一ディスクアップに詳しいんですけどね」
これが最後の質問、というよりお願いですね。まだ未公開のネタで、教えて頂けるものがあれば是非!
「そうですね。ではこんなのはどうでしょうか。DT中のイコライザ演出はボーナス単独当選では発生しない、という法則が存在します。もちろん、当該ゲームのみの法則ですけど」
そんな法則が!! では例えば、左リール中段に赤7を押して、1コマスベった場合はその時点で1確ですけど、その多くは単独当選である可能性が高い。でもDT中かつイコライザ演出発生時の1コマスベりの下段赤7はリーチ目リプレイ+BARBIG or REG、もしくはリーチ目役B+青BIG確定ということになるんですね」
「そういうことですね」
なるほど。最後に素敵な演出の法則を教えて頂き、助かりました。本日はありがとうございました
「こちらこそありがとうございました」
今回も実りのあるインタビューだった。
ディスクアップが開発された経緯を知れたのも、その過程を知れたのもそう。それに加えて、リール配列や制御を作ったのが4号機のディスクアップを知らない世代の人だったというのも衝撃だった。
もちろん、彼1人のチカラで出来上がったものではないのだけど、先頭に立って秀逸な配列や制御を生み出したのが若いチカラだということを知れたのも大きな収穫だ。
なぜならば、彼らがパチスロを作り続けてくれれば、仮にディスクアップが無くなったとしても、いずれまた出目演出を堪能できるリーチ目マシンが必ずや現れるという確信が持てたから。
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- マコト
- 代表作:名機のそこ~マコトがメーカー開発インタビュー~・【回胴の探り手】マコトの味変(あじへん)回胴
岐阜県出身。3本のリールが織り成す出目演出に魅せられて、当時読者だったパチスロ必勝本に携わる仕事ができたらなという気持ちで履歴書を送付。無事、ライターとして採用してもらい、ほぼパチスロライターという仕事しか経験したことのない男が生まれてしまう。現在はパチスロ必勝本などを中心に執筆しているほか、DVD・CS番組・ネット動画などにも出演中。とにかく出目でアツくなれる機種が好き。
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