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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

2019.11.26

勝者と敗者~5号機の明暗~

ラッシー ラッシー   パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

都内有数の大通りにもかかわらず、人影はまばらだった。駅から少し離れているうえに、昨晩から続くこの雨だ。行き交う人が少ないのも無理はない。加えて昼時を少し過ぎた頃という、この中途半端な時間。真っ当な会社員は、みなオフィスへと戻ったのだろう。

左手でビニール傘を持ち、右手はポケットに突っ込んだまま川を眺めた。緑とも茶色とも言えない薄汚れた水。それでも心地よさそうに数羽の野鳥が泳いでいる。その様子をボンヤリ見ていると、背後に車が停まった気配がした。振り向くと黒いタクシーのドアが開いた。

編集長「おう、お待たせ」
――「お疲れ様です」

俺はタクシーに駆け寄りながらビニール傘を畳んだ。
 

変わりゆく編集部。

その日は編集長と2人での取材だった。編集長はたびたび俺を呼び出しては、こうしてメーカー取材へ連れていく。気に掛けてくれていたとは思うが、特別扱いとは少し違う。

この編集長は、俺が編集部員だった頃の直属の上司にあたる。出版業界における「育ての親」のような存在だ。今なおこうして筆を走らせる際は、編集長の教えが細部にまで生きている。編集長から見れば、俺は気兼ねなく呼び出せる便利なライターでもあったハズだ。

大手メーカーへの取材なら、古くからいる先輩ライターが行く。しかし、一般プレイヤーが名前も知らないようなメーカーへの取材には、こうして2人だけで取材に出掛けるのだ。必ずしも大手メーカーが面白い機種を作り、中小メーカーがク〇台を作るとは限らないが、やはり誌面は大手メーカーの機種に割かれがち。1~2ページの機種にベテランライターを呼ぶのは気が引けるというわけだ。しかし、ラッシーならば問題はない。

つまり俺は、悪い言い方をすれば「処理係」だ。

取材したものの、1度もホールで見掛けず消えて行った機種もある。お蔵入りになり、結局リリースされなかった機種もあった。

編集長「おう、久しぶりだな」
――「久々っすね」

編集長「どうだ仕事は?」
――「どうもこうも原稿料管理してるから分かりますよね」

編集長「ふはは、そりゃそうだ」
――「まあ、ボチボチっす。また動画にも呼ばれてますし」

編集長「ほう、前の動画はあんなにアレだったのにな…」
――「言わないでくださいよ」

編集長「まずは仕事で喰えるようになれば、だな」
――「そうですね。あとは稼働でなんとか」

編集長「だな。厳しい時代になったけど」

ちなみにタクシーで取材先へ向かうことは滅多にない。編集長がたまたま別の出先から向かうということで、途中から合流することになっただけだ。

編集長「お前から見てどう? 最近の『H』とか編集部は」

フリーライターという立場になり、改めて現状の攻略誌『H』をどう思うか…ということだろう。

――「う~ん、まあ時代が時代っすからね。前みたいに巻頭ウン十ページみたいな機種は出て来ないでしょうから」
編集長「だな…。なんか直したほうが良いトコとかある?」

――「そうっすね…誌面のコストはもっと削れそうかな」
編集長「ほう…」

本格的に5号機時代が到来し、攻略誌は苦境に立たされていた。過去にも何度か書いた通り、我が編集部は1班1誌体制で4誌を作っている。そのうちの2誌、つまり半分を外部の編プロ(編集プロダクション)に委託することとなった。

とはいっても、全く知らない編プロに任せるほど攻略誌「H」は安くない。5月28日更新の『分かれ道』で書いた通り、かつてHの編集長をしていたPさんが立ち上げた編プロである。形式上は外部委託だが、そのスタッフはつい先日までH編集部にいたメンバーだ。これにより編集部が多くの人員を雇う必要がなくなったため、人件費を削減できたというわけ。

編集長「たとえばどこを削れる?」
――「デカい機種のページは従来通りでいいでしょう」

編集長「編集がページ作って、ライターが原稿書く方式だな」
――「ええ。でも小さな機種とか1P以下の新台なら、俺みたいな編集もライターもできる人に丸投げしたほうが安くないっすか?」

編集長「なるほど。編集費と原稿料をボックスで1人に依頼するってわけな」

――「そうです。俺みたいな新人ライターはマイナー機の仕事が減るから困りますが、編集部の経費削減には有効かなと」
編集長「たしかに。毎月固定額でお願いしてもいいし」

――「そうですね」
編集長「考えておこう。ヒマな編集兼ライターもいるし」
――「耳が痛いですね」

そんな話をしていると、10分ほどで目的のビルに着いた。
 

静かな事務所。

薄暗いエントランスを通りエレベータホールへ。そしてオフィスの前で内線を使うと、広報のOさんが顔を出した。

Oさん「えらいすんまへんな、こんな雨の日に」
編集長「いえいえ!」

Oさん「ささ、どうぞ中へ」
――「失礼します」

促されるまま中に入ると、オフィスは電気が付いておらず真っ暗だった。平日の午後である。思わず編集長と顔を見合わせた。

Oさん「いやね、もうココ(事務所)もそろそろか言うて」
編集長「はぁ…」

Oさん「みな別の事務所行ってしもうてるんですわ」
編集長「…そうなんですね」

Oさん「ささ、奥のショールームへ」

俺にとっては通い慣れたショールームだ。Oさんが電気を点けると、これから取材する新台が姿を現したが、それよりも奥の段ボールが目に付いた。

――「これが新台の○○ですね」
Oさん「あ~、そんなんどうでもエエんで、まず座ってください」

どうやら今回も「捨て機種」らしい。 再び編集長と顔を見合わせ、Oさんに促されるまま、くたびれた革張りのソファに腰掛けた。

Oさん「お茶でエエです?」
――「あーいや、お気になさらず」

Oさん「飲んでくださいよ。でないと捨てるだけですから」
編集長「はぁ…」

Oさんから受け取ったペットボトルは温かった。

 

少しの光明。

Oさん「どうぞ、煙草吸うてください。僕も吸いますんで」
――「はぁ…では失礼して」

Oさんはいつもこうだ。自社が本気で推している機種なら、もちろんその良さを伝えようとキッチリ働く。しかし捨て機種となると、まともに取材させるつもりはない。取材時間は世間話に終始する。どうやら今作も後者らしい。

Oさん「どうなるんですかね…この業界は」

Oさんは窓のほうに目をやりながら吐き捨てるようにいった。首都高の防音壁しか見えない窓。いや、窓の横に積まれた段ボールを見ていたのかもしれない。

編集長「まあ…厳しい時代ですね」
Oさん「さっぱり台売れませんわ。潰れますよ」

照明の消えた事務所。この状況がOさんの社内での立場を物語っている。

Oさん「ラッシーさんから見てどうです? 明るい未来あります?」
――「まだチャンスはあると思いますが」

Oさん「さすが先生! 聞かせてもらいましょか」

そう言うとOさんは、慣れた手つきでペンとメモ帳を取り出した。これもいつものことだ。俺は横目で編集長に助けを求めたが、編集長はニヤニヤと嗤うだけだった。

――「これからはARTの時代です」
Oさん「おお~、ARTですね!」

――「そうです! 確実にARTが覇権を握ります」
Oさん「ホンマですか!? もうマーベル打たれました?」

――「いえ、まだウワサの段階ですので」
Oさん「マジカルなんとか言うのも出るらしいですやん」
 

▲左:パチスロ マーベルヒーローズ 右:マジカルハロウィン

ともに2007年の夏頃に登場したART機。それ以前にも5号機ART機は存在したが、この2機種が5号機ART機の火付け役になったことは間違いない。理由はそのスペック。設定6の出玉率は「パチスロ マーベルヒーローズ」が約119.5%、「マジカルハロウィン」が約118.4%と極めて高かった。ちなみに個人的には、その前に登場した「ダンス☆マン」が1番好みである。


――「ノーマルタイプは4号機ほど自由度がナイ」
Oさん「制御1本だけですもんね」

――「そう。だからノーマル以外に活路があると思うんです」
Oさん「たしかに! おっしゃる通りです」

――「たぶんARTだけで出玉を増やす機種も出ると思いますし」
Oさん「えっ!? ボーナス非搭載の?」

――「そうです。4号機Cタイプみたいな」
Oさん「ほ~、それはスゴい!」

Oさんは熱心にペンを走らせている。取材しに来たつもりが、取材されている気分だ。曰く開発チームに伝えるためらしいが、こんな事務所に取り残された男にそんなチカラがあるとは思い難い。 しかし、彼なりに自社の機種を面白くしたいという気持ちがあったのだろう。だから俺はイヤに思わず、いつもこの「取材」に応じていた。

Oさん「やっぱり弊社もART機を開発するしかないですかね」
――「おそらくそうだと思います」

Oさん「こんなクソみたいなノーマル作ってちゃ終わりすわ!」
編集長「いやいや…」

Oさん「こんな台に千円入れようって気なります?」
編集長「僕は…なりますけどね」

編集長が目で「お前も言えよ」と促す。

 Oさん「やっぱりデカい出玉の波作らんと、お客さん打ってくれんでしょ?」
――「そうですね、まだ4号機引きずってますし」

Oさん「ウチの開発はアカンですわ! アイツらも、もっと冒険せなアカンて」

Oさんの会社の機種は5号機になって以降、1度も当たっていない。ただの1機種もだ。
 

充満する閉塞感。

灰皿はOさんの吸殻でいっぱいになりつつある。

編集長「ART機の開発は、ノーマルよりずっと難しいでしょうからね」
Oさん「せやかて、やらな未来ないでしょ。アイツら給料ばかりもろてホンマ…」

Oさんの会社は大手ではないが老舗だ。そして俺のお気に入りでもある。出る機種全てが素晴らしいとは言えないが、それでもたまには大手のシェアを揺るがすほどのヒットも飛ばす。

――「やれますよ。俺は御社の台が好きなんで」
Oさん「ありがとうございます! 僕もね、弊社の機種好きですよ。いや、好きだった…かな」

過去形が悲しい。俺だって正確には過去形だ。それほどヒットから久しい。

――「御社にはヒットしたストック機もたくさんあるじゃないですか。それをART機にすれば、喰いつくオールドファンも多いと思います」

Oさん「だと良いですがね。それまで僕も耐えられるか分かりまへんわ」
――「いやいや、そんな…」

Oさん「僕も子どもがおるんでね。お父ちゃんがボヤボヤしてられんでしょ」
――「いや、ちゃんと会社員してるじゃないですか」

Oさん「ふはは、ちゃんとした会社員に見えますコレ?」
編集長「ははは…御冗談を」

Oさん「まあ、僕ももう歳なんでね。しっかりせなアカンなと」

老舗メーカーの広報を長く務めた人だ。歳は40代前半だろうか。彼の会社から見ればダメな広報かもしれないが、私は彼が好きだった。ろくに取材もさせてくれないが、話すと伝わってくる狂おしいほどのパチスロ愛。そして自社への愛。

編集長「あのう…そろそろ試打させて頂いても?」
Oさん「もうですか? 必要あります?」

編集長「さすがに手ぶらでは帰れないので」
Oさん「もう基板ブッコ抜いて持って帰ってもらっても構いませんがね」

――「ふはは…怒られますよ」
Oさん「ははは…では、分からないことあったら訊いてください」

編集長「ありがとうございます」
Oさん「先生もありがとうございました。ウチの開発のケツ叩いときます!」

――「楽しみにしておきます!」

その後、編集長と2時間ほどリール制御などを調べたが、案の定、面白いネタは見つからなかった。特別工夫も見られないノーマルタイプ。Oさんが焦るのも無理はない。
 

流れゆく時代。

あの取材から数週間後、俺は編集部にいた。

編集長「じゃあ資料はコレね。机は適当に空いてるの使っていいから」
――「ありがとうございます」

提言通り、俺は2誌の新台ページの編集・執筆を担当することになった。ページ数を問わずギャラは固定。もちろん新台ページ以外の原稿料や動画の出演料は別途支払われる。こうして再び編集部に出入りする生活がスタートした。

編集長「そういや聞いたか?」
――「なんです?」

編集長「Oさん辞めたらしいじゃん」
――「ええ!? 広報を?」

編集長「会社辞めて転職だってよ」
――「マジすか…他のメーカーですかね」

この業界は狭い。辞めても他のメーカーへ移るケースは珍しくない。というか、そういうケースがほとんどだ。

編集長「いや、足洗ったとか聞いたけど」
――「そうですか…」

当時はパチスロライターの引退も多かった。たくさんいたはずの先輩が、次々とカタギになっていく。そしてOさんも。またパチスロに半生を捧げた人がいなくなった。

OさんがいたメーカーのART機がヒットするのは、それから1年半ほどあとのこと。そこまでOさんが残っていれば…。

気持ちが沈んだまま適当な席に腰を下ろし、先ほど手渡された新台の資料を手に取った。どれもこれも似たようなパンフレットだ。やはりこれからはマーベルとマジハロの時代で、それを脅かす存在など…







な…
なんだコレは!!?


とあるパンフレットを目にした瞬間、雷光が走った。久々の感覚。時代が動く大ヒットの予感。この機種はきっと「来る」!!


5号機が始まった――

つづく

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ラッシー
代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-

山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。

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