あなたの人生を変えた機種『北斗の拳転生の章』：「名機のそこ」の産みの親。（マコト）

マコト私の人生を変えた機種：ライターリレーコラム

【ライター情報】
書き手：マコト年齢：40代前半パチンコ・パチスロ歴：22年初めて打った機種：ビートザドラゴン

自分の人生を変えた機種って何タイトルあるんだろうか。

10代でパチスロの、リーチ目の魅力を知ってしまったから今の自分がいるわけで。そう考えたらパチスロを打ち始めた時期に触っていたリーチ目マシンがそれに当たる気もする。初めて打ち込んだ機種「ドンちゃん2」は人生を変えた機種、いや、人生を決めた機種という言い方が妥当かもしれない。攻略誌の面接を受けた際、BIG中のベルをビタ押しでハズしてみせてよと言われて打った「ネオプラネット」も、捉え方によっては人生を変えた機種に値するかもしれない(1発目のベルをハズして安堵していたら、あと5回ハズしてって言われた時の緊張感エグかったな)。

今から15年ぐらい前の話だけど、攻略誌の編集長が何事にも熱のない俺に発破をかける意味で担当させてくれた「初代リングにかけろ」も人生を変えた気もするし、編集部に籠って演出のサンプルをひたすら集めるハメになった「2027」も人生を変えた機種だったりもする。

とはいえ、このあたりの機種での出来事なんかは過去にいろんなところで書いたり話したりしてきたので、今回はちょっと別の角度から見た「私の人生を変えた機種」について書かせてもらおうと思う。

時は2013年。ボーナス+ART機の人気に陰りが見え、新台はAT機一色。どの台も通常時は左第1停止が基本で、BARの下にチェリーが置いてあるのが当たり前。内部的に(揃えても増えない)ボーナスが成立している状態を消化しているわけだから、リーチ目マシンのように出目でアツくなれる瞬間はどうしても少なくなる。

出目演出を犠牲にすることで出玉性能は向上したけれど、個人的にはそれを受け入れられないでいた。たしかに出玉は大事。いつの時代も人を呼ぶのは高い出玉性能を持っている機種だ。そう頭で理解していても、それらの機種を打ち込みたいと思うことは少なく、リーチ目という出目のアトラクションが存在しないパチスロの魅力を見出せないでいた。

▲パチスロ北斗の拳転生の章（2013年/サミー）

そんな最中に出会ったのが「パチスロ北斗の拳転生の章(以下、北斗転生)」だった。歴代北斗シリーズとは一線を画す勝舞魂システムを搭載し、それを持っている数だけATの継続抽選を受けられるという斬新すぎる仕様で登場したのは記憶に新しいと思う。

黙っていても売れるタイトルであり、ある程度の稼働が見込めるコンテンツであえて勝負を仕掛けてくるあたり、メーカーとしての意気込みは相当なものだったんだと思う。その反面、北斗らしさが欠けてしまったこの仕様はどうなんだろうと、イチ打ち手として要らぬ心配をしていたんだけど、それが杞憂に終わったのは誰もが知っているハズ。北斗転生はその斬新な仕様と、出玉性能の高さも手伝って長い間ホールのメイン機種として動き続けた。

なるほど。それまでのAT機はどうにも性に合わなかったけど、北斗転生はしっくりきたんですね、わかります。

……となるのが基本の流れだと思うけれど、正直に言えば北斗転生も好きではなかった。たしかに、昨今で言うところの時にはコンプリート機能が働くこともある出玉性能は魅力だし、ちょっとやれてる時の自力感だって強烈だ。レバーを叩いて出玉を勝ち取る感覚に“生”を感じることだってあった。

でもね、やっぱり出目は単調だし、ちょっと試しに打ってみようという軽い気持ちでは座れない出玉設計が苦手だった。

そんな個人的な感情はよそに稼働を伸ばしていく北斗転生は、その年の人気投票企画(年始によくある攻略誌のアレ)で1位を獲得した。納得の1位だった。北斗シリーズでといえばモード管理のゲーム性という完成されたものがありながら、リスク覚悟でゲーム性を一新し、その結果打ち手だけでなくホールからも支持されたのだから。

なるほど、その年の最高評価を獲得した機種だから意見が変わったんですね、わかります。

……とは普通ならないし、当然俺の気持ちは変わらなかった。この結果は素直にすごいと思うけど、やっぱり北斗転生は好みではなかった。苦手なものは苦手。ただ、その人気投票企画にはちょっとした続きがあって、1位を取った機種の開発者インタビュー(もしくは開発者の声)を掲載するのが通例だった。北斗転生の担当ライターだった俺は、そのインタビュー記事も担当することになったというワケだ。これが初のパチスロ開発者インタビューだった。

今から約10年前の話。当時はまだ開発者が表に出てくるようなことは滅多になかったし、試打の時に開発の人と話す機会なんかもなかった。パチスロの開発者はベールに包まれた存在だった。そんな人達に自分の疑問を直接投げかけることができる。めちゃくちゃテンションが上がった反面、めちゃくちゃ緊張もした。失礼な質問はできないし、相手の機嫌を損ねてもいけない。とはいえ、変に褒め倒すのも違うだろうという感情のもと、事前にいくつかの質問を考えて当日を迎えた。

新台の試打の時とは違うちょっと広めの部屋に通されると、そこには3人の開発者がライターである俺と、同行した担当編集を待ってくれていた。いつもはにこやかな広報の方も真剣な表情でこちらを見ていた。今までに経験したことがないピリピリとした空気が漂っていた。とはいえ、別に敵同士じゃない。まずは、人気投票企画で北斗転生が1位に輝いたことを伝えると、開発者は声を揃えて「ありがとうございます」と笑顔で返してくれた。その表情を見たら少し緊張がほぐれた記憶がある。

インタビューの全てを覚えているワケじゃないけれど、なぜ歴代北斗シリーズとは全く異なるシステム・ゲーム性の台を作ったのかと聞いてみたら、今までの北斗とは違う全く新しい北斗を作ってみたかったという答えが返ってきた。

その他、開発当初はATの継続バトル『神拳勝舞』中は高確率で赤7のカットインを発生させ、赤7が揃ったら継続という仕様だったとか(その仕様だと高確率で赤7を狙わないといけないからテンポが悪くなるから不採用にしたとのこと)、同じく神拳勝舞中、ジャギの倒れる姿が尻餅をつくようなちょっとダサい絵にしたのは、ジャギが強敵と書いて『とも』と呼べる存在ではないから、などといった話を聞かせてくれた。ただただ楽しい時間だった。パチスロ開発の裏側を聞けることに喜びを感じた。その機種自体は好きじゃなくても、ある程度打っていれば自然と機種にまつわる疑問は浮かぶもの。それを解決できるって素敵だなって。しかも、それを記事で発信できるってもっと素敵だなって。

北斗転生の開発者インタビューが、パチ7で書かせてもらっている「名機のそこ」にも生きているんだと思う。そういう意味で、北斗転生は俺のパチ7ライターとしての人生を変えた機種なんだとも思う。あの時の経験が無かったら、編集長が提案してくれた名機のそこという企画も、おこがましいという感情から俺自身が受けられなかったかもしれないからね。

★同一テーマお題帳への投稿お待ちしてます！

▲『あなたの人生を変えた機種』お題帳への投稿はこちらから！

2022年～2023年年末年始企画としてお題帳を実施します。今回はちょっと変わってましてパチ7ライター陣も今回のお題と同じテーマでリレーコラムを執筆・公開します！

そう！ ライターもユーザーの皆様も同一のテーマ『あなたの人生を変えた機種』で作品を作って、公開・投稿しましょう！ という1度やってみたかった企画です。

機種数にも制限はありませんし、人生を変えたの観点・切り口も自由。パチンコでもパチスロでも可。文字数制限もなし。テーマだけは統一してあとはフリー。もちろんマンガ形式でも問題ありません。

投稿はコチラから！また受付期間は2023年1月31日中になります。皆様の投稿、お待ちしております！

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マコト: 代表作：名機のそこ~マコトがメーカー開発インタビュー~・【回胴の探り手】マコトの味変（あじへん）回胴

岐阜県出身。3本のリールが織り成す出目演出に魅せられて、当時読者だったパチスロ必勝本に携わる仕事ができたらなという気持ちで履歴書を送付。無事、ライターとして採用してもらい、ほぼパチスロライターという仕事しか経験したことのない男が生まれてしまう。現在はパチスロ必勝本などを中心に執筆しているほか、DVD・CS番組・ネット動画などにも出演中。とにかく出目でアツくなれる機種が好き。