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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

2021.04.13

フリーライター家を買う!? #01~売れるもんなら売ってみな~

ラッシー ラッシー   パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

いつもより時計の音が大きく聞こえていた。机上に敷かれたレイアウト用紙は、少し丸みを帯び膨らんでいる。きっと手に汗が滲んでいるためだろう。

チラリと壁掛け時計に目をやった。午前10時30分。そろそろ『鳴る』頃合いである。とはいえ、ペンを止める余裕はない。再びレイアウト用紙に視線を落とし、定規を当てて線を引いた。

「テッテレッテレテ テテッテレテテ♪ アー(ダチョウ)」

そろそろとは思っていたが、大きなサバチャンBGMに思わず肩がビクンと跳ねた。液晶を見ずとも、電話の相手は分かっている。大きく溜め息をついたのち、覚悟を決めて通話ボタンを押した。

――「おはようございます」
Kさん「おはようございます、〇〇のKです」

Kさんはいつも冷静だ。おそらく心中は穏やかではないだろう。はらわたは煮えくり返っているハズだ。それでも声のトーンはいつもと変わらない。

――「お世話になっておりま~す」
Kさん「えー、本日朝までに10ページのお約束だったと思うのですが…」

――「ええ。仰る通りで……」

今日もまたツラい1日になる。そもそも締め切りに間に合わないのは俺のせいではなく、1日が24時間と短すぎるからではなかろうか。電線で羽を休める名前も知らない鳥を見ながら、地球の自転速度を憎んだ。

 

バブルの陰。

Kさん「いつ頃になりそうですか?」
――「えー…18時までにはたしかに」

Kさん「んー、とりあえず、できているところだけでも先に頂けませんか?」
――「あー……なるほどですねー」

簡単に引き下がらないところを見ると、どうやら本当にピンチらしい。それに、この「できているところだけでも」が本当に怖い。

編集やライターという人種がラフ(ページの設計図)やネーム(文章)の納品を渋る際は、概ねまったく進んでいないと思っていい。Kさんはそれを十分知ったうえで、プレッシャーを与えてきているのである。

Kさんは大手デザイン会社の人物だ。俺が編集部員になった頃から担当してもらっているので、およそ7年の付き合いになる。こちらの手の内など、すべて把握済みというわけだ。

――「んー、今スグ送るとなると…よ…4ページですかね~」
Kさん「4~(笑)」

――「す、すみません」
Kさん「では4だけスグに頂いて、引き続きお願い致します」

――「はい、宜しくお願い致します」
Kさん「失礼しま~す」

――「失礼しま~す」

通話を切り、ケータイを握りながら机に突っ伏した。

――「くっそ…なんで俺だけこんな…」

仕事があるのは喜ばしいが、この頃の俺はいささか働きすぎだったように思う。ライター業の傍ら、編集としてもそこそこのページ数をこなしていた。

この日は攻略誌「K」のラフ作成。「K」は「H」の兄弟誌的な存在で、しばらく休刊となっていた。しかしART機の登場で市場が活気づいたため、増刊本として復活を遂げたというわけである。

休刊中のため「K」編集部は存在しない。それで俺のようなフリー編集がページを作成しているというわけである。当然、月刊化まで復活すれば専門の編集部が編成されるのだが……。

担当していたのは「パチスロ交響詩篇エウレカセブン」の特集。基本から解析までのすべてを掲載するため、ページ数はトータルで18Pにも及んだ。

時はまさにライターバブルの真っ只中。自称・ライターやタレントが、来店で荒稼ぎしている時期である。幸いというべきか「H」の先輩には来店に消極的な人物も多いが、それでも仕事1本あたりのギャラがピークに高かった時期だ。

来店仕事などほとんどない俺でも、恩恵は受けたと言うべきだろう。仕事は多いし、ギャラも十分なほど貰えた。ただ表で活躍するライターと違い、家に籠り黙々と作業をする時間が圧倒的に多かった。

「なんで俺だけこんなケタ違いの労力なんだよ」

正直に言えば、そんな気持ちもたしかにあった。この数ヵ月、休みといえば月に1~2日あるかどうかだ。徹夜の回数も数え切れない。

今にして思えば見苦しいただの妬み。誌面やCS番組に出演してもなお、人気を獲得できなかった自分の甘さが招いた結果である。

今さら嘆いてもラフは仕上がらない。小指から手首にかけて黒く汚れた手で粒ガムを二~三掴み、乱暴に口に放って再びシャープペンシルを握った。
 

急展開。

カミさんが帰ってきたのは、午後3時を過ぎた頃。午前から婦人科に出掛け、その後、友人とランチをしてきたらしい。

カミさん「ただいまー。お昼食べた?」
――「いや、まだだよ。余裕なくて」

カミさん「そうなの!? ごめんね、遅くなって」
――「いいよ。このまま6時まで休めないし」

カミさん「じゃあ、おにぎりでも握るね」
――「ありがとう」

話ながらも、ラフを切る手は止められない。朝の電話から、まだ2ページも進んでいない。ラフを切るという作業は、それだけ時間のかかる面倒な作業なのだ。現代ならイラストレーターで簡単に作れるが……。

カミさん「でねー、ちょっと聞いてよー」
――「うーん、なにー?」

台所から聞こえるカミさんの声は軽く弾んでいる。やっと……やっと待ちに待った朗報が聞けるのだろう。自分の鼓動が早くなるのを感じた。

カミさん「今ねー、マンションの下でー」
――「マンションの……下?」

婦人科に行っていたのだ。朗報といえば1つしかない。思わずペンを握ったまま席を立った。

――「ちょっと待って、婦人科は?」
カミさん「あー……」

視線を外し、ゆっくりと首を横に振る。それだけで十分だった。

――「そっか……で、下で何だって?」
カミさん「そうそう、下で不動産屋さんに会ったの」

――「不動産屋? ウチのマンションに空きが出たの?」
カミさん「そうじゃなくて。ほら、そのテーブルの上のチラシ」

カミさんはおにぎりを握りながら、ダイニングテーブルを指した。チラシを手に取り開いてみると…

――「分譲新築マンション入居者受付中?」
カミさん「そう!」

――「よくあるチラシだね。これがどうしたの?」
カミさん「いや、だからマンション買おう」

――「は? マンションを……買う?」
 

迎える準備。

カミさんが何を言っているのか理解するのに4秒ほど要した。マンションを買うなど、これまで1度も考えたことがなかった。

カミさん「そう。私、考えてたんだ~」
――「ん? なにを?」

カミさん「このマンション、ボロボロじゃん?」
――「まあ、築30数年だしね」

カミさん「そりゃ赤ちゃんも、こんな家に来たくないなって」
――「ん~、そう言われると……」

4年ほど住んでいる賃貸マンションの間取りは2DKだ。駅からは徒歩で8分。子どもを育てられなくもないが、たしかに「ここがキミの実家だよ」と言われたら少しイヤではある。

カミさん「お家買って準備を整えてあげたら、赤ちゃんも『よし行こう』って気になってくれるんじゃないかな」
――「ん~………」

不妊治療に苦しんだ経験がないならば、鼻で笑うような話だろう。しかし、数年苦しみ続けていると、藁にもすがりたくなるのである。

――「でもさ…歳の近い先輩は、誰も家なんて買ってないよ?」
カミさん「そりゃ先輩方は、みんなひとり身でしょ?」

――「まぁ…たしかにそうだけど」

秒で論破された。攻略誌「H」の近しい先輩・後輩の中で、既婚者は俺1人だけ。歳の離れた既婚の先輩は、みんな揃って持家だ。

カミさん「で、明日時間ある?」
――「はぁ? 明日ァ? いや、そんなあるわけ…」

カミさん「さっき不動産屋さんと話したんだけど、明日来てくださいって」
――「えっ? えっ? いや、だって明日も締め切りが8ページも」

カミさん「お願い! もう2部屋しか空いてなくて、明日説明してくれるって」
――「いやいや、そんなムリだって!」

どうやら今日も徹夜らしい。
 

知らない街。

翌日の昼過ぎ。俺らはほんの少しだけ電車に揺られ、知らない駅へと降り立った。改札を出ると、スーツ姿の不動産屋2人が出迎えてくれた。

男A「どうもご主人、お忙しい中すみませ~ん」
――「……いえ」

さっそくモデルルームで説明したいということらしい。いや、話が早すぎるだろ! 俺は決めていた。買わない! そもそも買えるわけがない!! 仮に買うとしても今日じゃない!!

男B「どうですか? いい街でしょう」
カミさん「思ったより都会ですね」

男A「商店街もたくさんあるんですよ。もちろんスーパーも」
――「うっ……」

陽光が目に刺さり頭痛がした。2日連続で徹夜した者には厳しすぎる眩しさである。

男B「これから子育てするにはいい環境ですよ」
カミさん「近所の友達からも、ここはいいって聞いてます」

たしかに街の雰囲気はいい。ホールの数も多い。が……

「マンション建設、断固反対!」
「これ以上、人を増やすな!!」


待て待てぇ~~~い!! ショールームの隣の家に、思いっきり抗議の横断幕掲げられてるじゃねーか!! ぜんっぜん歓迎されていない!

男A「ああ、どこもそんな感じです。お気になさらず」
――「はあ…」
 

とっておき。

言うまでもなくショールームは綺麗だった。キッチンや風呂場も、これまで住んできたアパート・マンションとはまったく違う最新設備。

男B「キッチンの高さは自由に選べます」
男A「換気扇の高さも指定できますよ」

カミさん「わ~!私、普通のサイズ合わないから助かる~」
――「ホントだね~(買わんけど)」

カミさんの身長は俺とほぼ同じ172cm。昭和に建てられたアパート・マンションのキッチンだと、腰を折って料理することになる。それが相当苦痛らしい。

男B「お風呂もファミリー用にゆったりと」
カミさん「わー、今のお風呂と全然違う」

――「そうだね~(買わんけどな)」

イカン! カミさんは完全に買う流れだ。ここはどうにか俺が踏みとどまるしかあるまい。だが心配は無用。俺には伝家の宝刀がある―――

収入が超不安定!
パチスロライターとかいう
最強の伝家の宝刀が!!


買えるわけがねえんだよ! 売れっ子の先輩ライターだって買ってないんだ。俺みたいな脇役ライターが、この都会で家を持つなどあり得ない!

適当に不動産屋の話に相槌を打っていると、ポケットの中でケータイが震えていることに気が付いた。案の定、液晶にはデザイン会社の名前が浮かんでいる。

そりゃそうだ。13時に約束した4ページを送らずに出掛けてきたのだから。

男A「おやご主人、お仕事の電話ですか?」
――「いえ…まあ、あとでかけ直します」

男B「じゃあ、お話は手短に済ましたほうがいい」
男A「商談スペースへどうぞ」

キタ! 一蹴してやる。パチスロライターとかいう、世にも珍妙な職業を聞いて震え上がるがいい!! 誰がカネを貸すよ? そんな得体の知れない職業に。俺なら貸さない。絶対貸さない!!

商談スペースに移動すると、男Aが席を外した。どう見てもBよりAのほうが上司だが、そのAが茶を淹れに行ったらしい。

男B「一軒家でなく、マンションをご希望で?」
カミさん「はい、もう一軒家は……」

カミさんも俺も、田舎の実家は一軒家だ。一軒家はメンテナンスにカネが掛かる。俺の実家の場合、庭の手入れにも相当なカネが掛かった。それにすっかり懲り、将来はマンションにと決めていた。買うとは考えていなかったが。

カミさん「マンションなら、ゴミもいつだって出せますよね?」
男B「もちろんです。それも分譲の利点です」

――「ちなみにセキュリティーは?」
男B「もちろん充実しています。防犯カメラも多いし、何かあったら警備会社がスグに駆けつけます」

――「なるほど……(買わんけども)」

こんな職業だ。ホームセキュリティーは外せない。家族を守るためにも、一軒家の選択肢はなかった。

2分ほど男Bと話していると、盆を持ったAが戻って来た。

男A「お待たせしました。では、ここから契約の話ですが…」
――「はぁ…(まあ買わんけど)」

男A「まずご職業は…奥さまから伺っても?」
カミさん「今は専業主婦で」

男B「なるほど。いざとなれば働けると…前職は何を?」
カミさん「いや、まあ…役者です」

男A「は~、どうりでスタイルが! で、ご主人は…少しいいですか?」
――「え? はぁ……」

何だ? 今まさに伝家の宝刀を抜こうというときに……

男A「私の部下数名がご主人を見るなり、ご主人のことを『知っている』と言うんです」
――「は…はいぃ!?」

男A「人違いなら申し訳ないのですが、何かお心当たりはありますか?」
――「はあ……まあなくはないです、はい」

俺は宝刀の柄を掴んだまま、抜くこともできなかった。

つづく

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ラッシー
代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-

山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。

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