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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-
2021.03.30
とあるパチスロ実戦番組の正解と不正解~演者とキッズだった俺~
U氏「それでは、第10シーズンは私Uの優勝、そしてMちゃんの脱落という結果になりました。また次シーズンでお会いしましょう。サヨナラ!」
一同「サヨナラ~」
ディレクター「ハイ、OKです!」
一同「お疲れさまでしたー」
場の空気が一気に緩んだ。6ヶ月に亘るリーグ戦が終わり、その激闘を振り返る総集編の収録だった。例に漏れず俺の緊張も解けたが、それでも笑みは零れなかった。
念願叶ってやっと出演できたリーグ戦番組。そのデビューシーズンで、俺は早速やってしまった。
悪くない成績。
リーグ戦のルールをおさらいすると以下の通りだ。
基本ルール
・1シーズンのバトルは計4回 ・3人が1グループとなり順位を競う ・各リーグの1位が決勝へ進出 ・バトル勝敗は差枚数で決まり、 それにより勝ち点を獲得 勝利…2点、引き分け…1点、敗北…0点 ・300枚以内の差は引き分け ・その日の収支がプラスなら+2点 ・打った台の中で高設定を予想し 正解すれば勝ち点をプラス ただし設定1だった場合は-1点 ・獲得枚数が+3,000枚を超えると+1点 以降、+1,000枚ごとに+1点 ※当時は収録の翌日以降なら設定を教えてもらえた |
バトルの勝敗は単純な差枚数勝負だ。たとえばプラス収支で相手にも勝てば、1戦で4点を獲得できる。仮に収支がマイナスでも、相手に勝てば2点は獲得できることになる。あとは設定予想や枚数ポイントで、いかに勝ち点を上乗せできるかが重要だ。
出演者6人の中で、俺は1番の若手だった。先輩方は誌面やCS番組で活躍するスター揃い。そんな中で満足に戦えるのかと心配したが、戦績は意外にも悪くなかった。
4戦中、マイナス収支は1度だけ。対戦相手に負けたのも1度だけだった。俺にとっての「越えられない壁」にあたるA先輩も同リーグにいたが、2戦とも俺が勝利した。
そして最も驚いたのが総差枚数だ。シーズンを通し、最も優秀な差枚数を叩き出したのが俺だった。4戦での総差枚数+2,894枚。大した収支ではないが、4戦ともほぼ初見の店で戦った割には十分な結果と言えるだろう。
なのに、である。
俺の勝ち点はグループ内で2位に終わり、決勝への進出は叶わなかった。もちろん最下位決定戦にも出られない。言うなれば出演者として最も中途半端でオイシくないのが、この2位という立ち位置なのである。
次シーズンも出場できるという点では喜ばしいが、手放しで喜べる状況ではなかった。「なにも爪痕を残せなかった」、「居ても居なくても変わらなかった」。きっと視聴者の目には、そんな風に映っただろう。
出演のたび増えるブログへの中傷コメント。それらとIPアドレスを保存したテキストデータも、スクロールが面倒になるほど溜まり、また新たなテキストデータとして保存する必要があった。
戦績は悪くないが、イヤな印象ばかりが残る。そんな負のスパイラルが延々と続いていた。
俺はなにを間違えたのだろう。パチスロを打つうえでの攻撃と防御は、それなりに上手くいったと言っていい。当時の俺はパチスロで勝つことに対し、現在より遥かに貪欲で真摯だった。しかし………
表向きの敗因。
ウチのグループから決勝に進出したのは、やはりA先輩だった。俺に2度敗れたA先輩である。先輩は俺との初戦で-2,000枚を超える大敗。しかし、2戦目で銀河英雄伝説の6をツモり4,000枚超の出玉を獲得。一気に息を吹き返した。
A先輩「ラッシーは減点多すぎじゃない?」
――「ちょ、恥ずかしいからヤメてください!」
総集編の中で痛いところを突かれた。決勝に進出したA先輩と俺との決定的な差。それが「設定予想」だった。
設定予想にチャレンジしても、実際の設定が1でない限りは減点されることがない。まず1はナイだろうという状況ならば、4や5と予想してみるのも悪くない。
そんな考えから果敢に設定予想ポイントを狙ったが、俺が打った台はことごとく1だった。結果、何度も勝ち点を失うことに。それが致命傷となり、A先輩を決勝まで送ることとなってしまった。
そう思っていたのだが、優勝したU氏から思いもよらない指摘を受けた。
U氏「もうさ、優勝したから教えちゃうよ?」
――「はぁ、なんでしょう?」
U氏「まずさ、ラッシーとか優勝ムリだよ」
――「え…!?」
U氏「予想設定がことごとく1とかじゃなく、それ以前の問題で」
A先輩「あー、たしかに分かる気がします」
――「ええ?」
総差枚数で見れば首位だった俺。それでも決勝に進んだ2人からすれば、ハナから勝負になっていなかった―――!?
勝者の視点。
目を丸くする俺にU氏が続けた。
U氏「まずさ、ラッシーが打った青ドン極とかガメラとかなによ?」
――「いや…どっちも新装直後なんでアリかなと…」
U氏「そんなの打ってる時点でナイわ」
A先輩「まあ、リーグ戦向きじゃナイね」
――「リーグ戦向きじゃない?」
U氏「Tさんもスーパー海物語とか、なんで打った?」
Tさん「下が甘いじゃん」
U氏「甘いとか言って4万入れてんじゃん」
Tさん「それは結果論でしょ」
U氏「い~やズレてる! 甘い台とかリーグ戦に必要ナイから!」
――「必要ナイ?」
パチスロで勝ち続けるうえで最も重要なのは防御だ。長い目で見ればリスクを最大限まで減らすことこそ正義である。甘い台を狙うのは間違いではないハズだが……
U氏「ガメラとかスーパー海物語に設定使うと思う?」
――「まあ…頻度はたしかに低いでしょうね」
Tさん「でも下が甘いから最悪入らなくても」
U氏「結局なにが言いたいかっていうと、重要なのは3,000枚以上で獲れる枚数ポイントなのよ」
A先輩「あ~、それ言っちゃいます?」
U氏「スーパー海物語で3,000枚出るか?」
Tさん「まずムリだね。6でもキツい」
U氏「でしょ? 時間のムダなのよ」
A先輩「ま、まあ。ムダってことはないですけど」
U氏「4戦しかないんだから、1戦で5,000枚くらい出せばもう決勝リーチよ。2回出せばもう内定だね」
たしかにU氏の言う通りだ。4~5,000枚出せば対戦相手にも勝てるだろう。5,000枚超での勝利なら、勝ち点はたった一戦で7点だ。ちなみにA先輩は合計14点で決勝に進出している。
ルールの穴。
――「たしかにそうっスね」
U氏「だろ? で、いまどき高設定使われやすいのは?」
A先輩「やっぱ蒼天か新鬼でしょうね」
U氏「そう! 実際ホールに訊いてみても、そこらが圧倒的に入る」
A先輩「下がカラいですからね。使わざる得ないでしょう」
U氏「まさにその通り! さすがだなAは」
T先輩「ヤダよ! そんなリスク高い機種」
U氏「そんなこと言ってっから、いつも最下位決定戦出る羽目になるんだよ」
たしかにU氏の言う通りだ。下が甘い機種に高設定は使われにくい。そして間違いも起こりにくい。対して下がカラいART機の人気機種は、稼働を維持するため高設定が使われやすい。とは言われても、やはり大量投資がコワい……
U氏「そもそもさ、ルールよく見てみ?」
――「ルール…ですか?」
U氏「別にいくらマイナス叩いても減点されないのよ。50枚負けも5,000枚負けも、勝ち点は同じ0点なわけ」
A先輩「そうなんスよね! で、出玉は3,000枚から勝ち点上乗せされるから」
盲点だった。完全自腹実戦ゆえ、大きく負ければ自分の財布は痛む。しかし、それだけのことだ。いくら負けても勝ち点は減らない!
理の外の戦い。
U氏「そう。だから荒い機種で攻めていくしかないだろ」
――「な…! たしかに」
ぐうの音も出なかった。既述の通り、普段のパチスロはいかにリスクを削るかの勝負だ。しかし、リーグ戦においてはその常識が通用しない。まさに理の外! シコシコと勝ちを重ねるプライベート実戦とはまるで違うのだ!
U氏「僕は次シーズンも連覇狙って、魅せるパチスロをやっていきます!」
実際、優勝したU氏の平均投資額は俺の約2倍だった。リスクを恐れず荒めのART機を攻め続けた結果、狙い通り優勝したというわけである。振り返ってみればA先輩の戦い方もほとんど同じだった。2人には同じ勝ち筋が見えていたのだ。
なるほど、勝てるわけがない!
これまでの俺は仕事打ち以外、リスク軽減を第一にパチスロを打ってきた。しかしそれはプライベート向きのパチスロであり、リーグ戦を制するパチスロではない。俺は現代風に言えばキッズだったのかもしれない。
お利口に正解のパチスロを打てば結果は出る。差枚数勝負なら先輩方とも互角以上に戦えるハズ。そんな風に考えていたが、それは素人の思考だったわけだ。
「防御無視で大量出玉を狙うなど、俺の主義に合わない」と一蹴するのもいいだろう。理想はしっかりとした堅い立ち回りでの優勝。しかし、一撃性の高いART機が増えたことで、正攻法での優勝は難しくなってきた。
ツマラないヤツとして消えるか、
ネジを飛ばして優勝を目指すか。
俺にはU氏やA先輩ほど余裕がない。一戦ごとに5万以上を失えば、生活そのものに影響をきたす恐れもある。
しかし、ずっと目指してきたリーグ戦だ。何年も下位番組のトーナメント戦で戦い、やっと掴んだチャンスなのだ。勝負をせず、易々と撤退するわけにはいかない。このまま引き下がったら、本当になにも残せない!
パチスロ番組での優勝など、社会的に見れば意味がナイ。それでも長らく燻っている三流ライターの俺にとっては、どうしても欲しいタイトルだ。それに、俺だって視聴者を楽しませたい。たとえ爆死して笑われるとしても。
捨てよう。
目先のカネなど。
勝負したうえでの敗退なら納得もいく。せっかくここまで上がって来られたんだ。防御なんてしている場合じゃない! モタモタしていると、いつ最下位になりトーナメント戦へ蹴落とされるか分からない。次シーズンが最後という恐れも十分ある。
俺はまがりなりにも攻略ライターだ。本来、不正解の立ち回りなどしてはならない。でも出演者になった以上、不正解を選ぶことも正解なのかもしれない。
そして1ヵ月後、俺の2シーズン目が始まった――。
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- ラッシー
- 代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-
山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。
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