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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2017.06.06
5号機を通して『ストック機』を考える
前回、6号機の概要やスケジュールが決まらないと、メーカーもホールも方向性を決められなくて困るという書き出しにしましたが。テーマが“ゆるゆる”になっていくのをご覧になってわかるように、私も苦しむハメとなっております(笑)。
“ゆるゆる”といえば、「ゆるゆる調査隊」のコーナーで、パチンコ・パチスロ依存症について少し書かせていただきました。コーナータイトルに似合わず、まったくゆるくないんですけどね(笑)。よろしければ、ご一読くださいませ。
「パチンコ・パチスロ依存症問題対策のセミナーに行ってみた」
そこにも書きましたが、今年は“ギャンブル依存症対策”の年。2014年から始まったパチスロ規制も、IR関連法案(いわゆるカジノ法案)に連動したものでした。もちろん、6号機への規則改正もその一環。なので、依存症対策が固まらないうちは、表に出てきにくいのかもしれませんね。議員立法にするとかで、なんか時間がかかりそうな気配もしていますけど。ま、このあたりは素人の推測。いずれにせよ、さっさと決めてもらいたいものです。
ということで、今回は4号機のストック機を考えてみたいと思います。実際のところ、私も4号機時代は、法律・規則からシステム推測をすることはありませんでした。
大量獲得機・CT機・RT機・ART機・爆裂AT機・ストック機……いずれも遊技機規則には書いていないもので、言ってしまえば「何でもあり」。羅列しましたが、たった5年くらいの間に、ですよ。一気にいろいろ出てきたこともあって、考えも追いつきません。また、サブ基板も大活躍。役構成など外見でわかることも少なかったというのもあります。実際、ストック機の本当の凄さにちょっと近づけたのは、5号機時代になってからでした。そうなんです。実は、5号機の規則とストック機には、密接な関係があるんです。
ストック機ってどんな機種?
我々、中年ライターの悪いクセですが、ついつい「皆さん、ご存知」というテイストで書いてしまうことがあります。最後のストック機がハズされて、もう10年。5号機世代にはなんのこっちゃ……ですよね(笑)。
1990年代までのパチスロは、いわゆる付加機能が搭載されておらず。ボーナスだけでコインを増やしていく機種ばかりでした。リール制御もまだ成熟しておらず。大量リーチ目タイプも少なかったです。ま、単調といえば単調。なので、メーカーが意図しないチューンナップが施されてしまうこともありました。いわゆる“裏モノ”というヤツです。
ボーナスが完全確率でなくなり、ガンガン連チャンしてくれます。刺激的ですね。3号機はそういう機種ばかりになってしまって「不正改造できないようにしろや、ゴルァ」と4号機に変えさせられたのでした。ま、4号機になっても裏モノは普通にありましたけど(笑)。
ただ、その数は激減しました。裏モノを合法的に再現するストック機の登場によって、リスクを犯す人が減ったからです。合法だろうが、違法だろうが連チャンすれば同じですもんね。
『ブラックジャック777』(ネット:2000年)
ストック機の元祖は『ブラックジャック777』。ボーナス終了後、ストックタイムに突入すれば(33G or 777G)、その間はリプレイ確率が大幅に上昇(ね、RTでしょ)。ボーナスをうっかり揃えないように気をつけながら消化し、最後にその間に貯まったボーナスを一気に獲得できるものでした。出玉推移としては、自家発電というか。枚数変動型のノーマルに近いですかね。
ストック機が疑似裏モノに変貌していく契機となったのが『キングパルサー』です。通常ゲームは隠れRTとなっています。リール制御によってリプレイ確率も抑えられ、ボーナスも隠される。それを消化している間に、シレっとボーナスを貯めていきます。
ボーナス放出契機は、主にボーナス終了時に決められたゲーム数テーブルに到達したとき。意図的に、ハマリと連チャンを管理するシステムの完成でした。128Gまでが連チャンゾーンというのは、この『キンパル』の影響です。プログラムを組みやすいとかもありますけど。
ちなみに、この直前にも『スーパーリノ』が出てきましたが。こちらは設定変更をすると、ストックが全部消えてしまうという問題点がありまして(『キンパル』はストック1個消費して、再度ゲーム数を決定)、爆発的なヒットとはなりませんでした。連チャンも5Gと早かったので、けっこう切れちゃってましたね。
のちにストック機全盛となるが、基本システムはほぼ同じ
爆裂AT機が封じられてからは、完全にストック機の天下となりました。各メーカーからいろいろな機種が出てきましたね。その中には「RTを使ってなくてリール制御だけで……」と噂されたものもありますが、それが本当なのかも今となっては、ユーザー目線で確かめることは困難です。
いずれにせよ、ボーナスを隠すのも、天井など決められたゲームで放出するにも、RTを使って組み立てるのが一般的でした。そう、5号機でも使われているRTです。
ちなみに「白<青<黄<緑<赤<虹」というどのメーカーも使っている期待度は、初代『パチスロ北斗の拳』のオーラから。ほんと凄いですね。こればっかり。私は辞書登録しています(笑)。
5号機の規則をおさらい
5号機の法律は、二度とストック機を作らせないために生まれてきたものです。警察庁からくる専門的な文章にはまったく書かれていませんでしたが、ちょっとライトなものには「いわゆるストック機能の禁止」と明言されていた記憶があります。
一番わかりやすいのは、複数のボーナスを同時に持てない部分ですが、それ以外にもストック機で使われていた要素にも指摘が入りました。リプレイとRTです。「リプレイの取りこぼし厳禁」は、リプレイを成立させ、リール制御で取りこぼさせることによって、ボーナスも揃えないのを利用していました。
そのリプレイの集合体であるRT。5号機では明文化されましたが、4号機時代の法律には書かれていなかったんです。内規という形で運用されていて見えなかった部分が、5号機になってくれたからわかったのです。
詳細解説は「5号機の華、リプレイタイム」をご覧くださいませ。
リプレイ確率を変動できるタイミングは、以下のように定められています。
1)ボーナス内部成立時(BIG中のJACイン成立時)
2)ボーナス開始時
3)ボーナス終了時
4)特定出目出現時
5)規定ゲーム数終了時
ちなみに、規則に書かれていない大前提も一応書いておくとすると。
6)一つの契機から異なる種類のRTを発動させてはならない
7)決めた契機では必ずRTに突入しなくてはならない
簡単に言えば「リール上で起こった事象ですべてわかるように」ということです。ブラックBOXを廃すようなニュアンスですが、まあ、これもストック機対策なんですかね。というか、二度とストック機を作らせないために、何重にもロックがかけられている印象を持ちました。それでもRTを残してくれたのは優しさです。
また、AT機が問題視されて規制されましたが。5号機当初には、作れても、たいしたことはないと思われていたんでしょう。たかだか純増3.0枚ですからね。その当時は10枚超えが当たり前でしたし。で、ブラックBOXにならないようにメイン基板管理にしてみても、フリーズとかを使って、やはりサブ基板のような見せ方が主流に。程度の大小はあれども、イタチごっこは永遠に続くことでしょう。って、脱線しましたな。
4号機の内規を推測してみる
5号機の法律が、いきなり出てきたと考えるのは不自然で。4号機時代にも内規などの形で運用されていたものの応用だと予想されます。じゃ、どんなものだったんでしょうね?
1)ボーナス内部成立時(BIG中のJACイン成立時)
JACイン成立時は、5号機では『新吉宗』や『B-MAX』などで使われていますね。4号機では、そういった凝った使われ方はしていませんでしたが、BIG中にもリプレイが揃う『ザンガスII』とかも、JACゲーム中はリプレイが揃わなかったです。ま、当時からそうだったんでしょう。
それ以外の内部当選時。これはストックされたボーナスが1個もない状態を想像してみてください。そこからハマらないと、連チャンするだけのボーナスを貯められません。ほとんどの機種は、初ボーナス成立時では深いストックに持っていっていました。4号機時代にも変わらず使われていた証明です。
2)ボーナス開始時
3)ボーナス終了時
この2つは、ボーナス中にリプレイを抽選しない。終了後は通常ゲームに戻って抽選する。そのためのものなので、現在と同様です。
4)特定出目出現時
初代『押忍!番長』で言えば「弁当解除」。『吉宗』ならば「松解除」。『北斗の拳』ならば中段チェリーは、低確でも1/4でバトルボーナスへ。若干の前兆も経由しますが、これらも特定契機によるRTモードの移行です。
5号機初期(いまでも使う人はいるけど)に、ボーナスと小役の同時当選を「○○解除」という人がやたらと多かったですね。なにを解除しているのか、私にはさっぱりわからなかったんですけど。ええ、ハマリや現金投資からの解放という意味での解除なんでしょう(笑)。
ただ、5号機のRTとは異なります。5号機では、特定出目なんですね。契機と出目の違いです。ART機では、うっかり押し順ベルを取りこぼすとリプレイ確率が下がることもありますよね。ベルの成立ではなく、最終的な停止形だけを見ることになります。
『旋風の用心棒』(ロデオ:2003年)
ただし、4号機は出目ではなくて成立役契機のみというわけではありません。『旋風の用心棒』は、ほぼ完全ハズレがない押し順タイプの小役やリプレイまみれとなっており、小役7連続入賞でボーナスを放出してくれました。成立だけでOKなら、7Gごとにボーナスが出てきてしまいますよね(笑)。いずれにせよ、この項目は、4号機時代のほうが自由度は高かったです。
5)規定ゲーム数終了時
こちらは解説不要でしょう。ボーナス終了後などに決めたゲーム数到達でRTが終了し、ボーナスを放出してくれました。ただ、連チャンしたりハマったり。そういうのをなくすため……
6)一つの契機から異なる種類のRTを発動させてはならない
7)決めた契機では必ずRTに突入しなくてはならない
この項目が生まれたのかもしれません。松解除の期待度などがあったように。多くの機種で、解除率に設定差があったように。これらの項目は4号機ではありませんでした。
最狂のストック機?
『パチスロ鉄拳R』(山佐:2004年)
なんだ、理屈を聞いてみれば、それほど難しくないではないか。そう思ってもらえたら嬉しいのですが。この頃のメーカー開発者さんたちは変態すぎます。中でも私が最狂だと思うストック機が『パチスロ鉄拳R』です。良い思いをしたことは、ほとんどないんですけどね(笑)。
天井はありませんが、RTでストックシステムを作っています。完全ハズレや小役成立時のRT解除抽選に当選すると、ボーナスを放出。ここまでは普通です。これだけでは、ノーマルと変わらない出方になってしまいますね。
その連チャンを生み出す方法が変態なのです。「鉄拳チャンス(以下、TC)」という高確ゾーンに入ると、10〜19G継続して1/11.1でボーナス放出を抽選します。RTモードが通常と異なっている状態ということがわかりますね。で、このTCで不発だった場合。シレっと通常ゲームに戻ってしまいます。
5号機の知識では、ゲーム数固定RT終了後は、必ず純粋な通常時に移行。特定役もなく次のRTに移行することは不可能です。ということは、TC消化中は、その奥に、通常のRTもパンクさせずに眠らせながら走っているように見えるのです。5号機の知識では推し量れないでしょ?
いやいやいや。このTC。それに高確率で入る「TC高確状態」ってのもあるんですよ。で、発動時も10G〜40G(だったかな?)の前兆RTあり。もうね、一度にどんだけのRTを走らせているのよ。第一報で送ってきた解析人、発狂していましたとも(笑)。
私が説明できる中でもっとも難しいのがコレというだけで。こういう捻った作り方をされた機種も多かったです。なので、当時は深く考えられなかったというのもあるかな。
山佐が『モンキーターン』(2011年)を作ってきたときには、妙に納得しちゃいましたよ。『キンパル』のようなゲーム数管理に、『鉄拳R』のように同時進行させる、RT中のフリーズの抽選状態や処理の推移。というか『鉄拳R』を覚えていなければ、芸の細かさに気が付くのは遅れたでしょうね。
その『モンキーターン』を思い浮かべてもらえればわかるように。ここ7〜8年のART機やAT機って、作れなくなってしまったストック機の幻影を追いかけているんですよ。それなのに、ストック機を封じるために作った5号機の規則が、逆にストック機の考え方を示してくれたのは、なんか不思議な感じがします。6号機の規則には、フリーズの規定も細かく書かれたりして(笑)。
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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