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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2020.08.11
パチスロ『消えていったシステム』(3号機以前編)
長梅雨が開けた(東北地方は開けてないんでしたっけ?)と思ったら、酷暑がやってまいりました。熱中症には気をつけたいものです。水分補給はこまめにしましょう!
私としては珍しい書き出しですが、妻がやらかしたことあるんですよ。まだ結婚する前で、私も無職時代でしたが。いつものホールに来ないどころか、連絡もつかない。オカシイと様子を見に行ったら熱中症で倒れていた……と。発見が遅れていたら取り返しのつかないことになっていたでしょう。自宅にいても要注意です。
特に今年は、新型コロナウイルスもあってマスクな日々を送っているかと思います。マスクをして顔を触らないようにとか考えていると、水分補給を忘れがちとなります。また、自宅待機が多すぎて運動不足となり、体力も落ちている方が多いかと思います。私は自粛を早めに始めたので、自分でもヤバいと思っておりますが。まあ、できる限り注意したいものです。
さてさて。今回のテーマは、編集長と話していて出てきたもの。過去の振り返りは1年単位でやっていて、その時々のシステムについて大事なものは書いていたりしますが、調べたいシステムの説明がどこにあるのか分からないのは確か。ということで、2回に分けて書いてみたいと思います。分ける理由? 1回で書くには膨大な数のシステムがこの世を去ったからです(笑)
★吸い込み方式(1号機のみ)
▲代表機種『ニューペガサス』(パル工業1.5号機:1987年)
抽選で決められた“純減枚数”に到達しないとボーナスを抽選しないシステムのことです。パチスロが法制化された1985年から始まった1号機で認められていました。簡単に言えば4号機ストック機の元祖と言えるでしょう。
ポイントは“純減枚数”ということ。小役として払い出したメダルは、飲み込まさなければなりません。小役を揃えてしまうとボーナス当選となるゲーム数が先延ばしされるので、時間効率のために敢えて小役を取りこぼす“小役ハズシ打法”が基本となっていました。写真の『ニューペガサス』ならば逆押しをして小役を拒否したり、払い出し枚数が少ないチェリーとするのが狙いでした(小役はすべて同一フラグだったため)
パチスロ創成期のシステムですが、モードの概念もありました。良いモードに移行すれば浅い枚数が選ばれやすく連チャンする。高設定ほど良いモードへの移行率が高くなる……など。この連チャン性が問題視されて短命に終わってしまいました。これを合法的に再現したのが、4号機のストック機ですね。
ちなみに、1.5号機と書いているのは「パル工業からの1号機の2機種目」だから。現在はレギュレーションの変更などで小数点以下が付きますが、1号機に限っては2機種目という意味になります。3号機までは各メーカーから3機種までしか販売できないことになっていました(といっても、各メーカーとも2機種しか出していない)
★等倍返し(1号機〜3号機まで)
▲代表機種『アーリーバード』(アークテクニコ1号機:1985年)
ボーナスが成立した時点の差枚数をキープしようとする初心者優遇機能。5号機以降のボーナス成立後にリプレイ確率を上げられるのと似ています。ただし、リプレイは4号機以降に搭載されたものなので、3号機以前は小役による払い出しで賄っていました。
上記の“吸い込み方式”と“等倍返し”のセットがゲーム性の特徴となっていたのが『アーリーバード』。当時は小役の概念が今とまったく異なっていました。この機種の場合、15Gの周期で必ず15枚役が成立したのです。もちろん吸い込み方式なので、その15枚は飲み込ませないとボーナスは抽選しませんけどね。
この15Gの周期が崩れたとき。“何らかの機械の意志”があって周期が崩れたことになります。そう、ボーナスの成立です。正確にはボーナス成立後に減らしたメダル分の補填です(笑) 3号機以前の機種はリーチ目がないことも多く、こういった等倍返しや高い確率の成立後小役でボーナス成立に気付くことも多々ありました。『ニューペガサス』もそうですね。右→中で小役がテンパイせずに左でチェリーとか(例外もあります)
この等倍返しがなくなったのは、いろいろ攻略されてしまったからですかね。小役が高確率で成立することを利用して、REGを揃えずにビタビタ押して小役を抜かれてしまう機種もありました。通常時からハサミ打ちすら禁止される機種もあったくらいです。
★フルーツゲーム(2号機のみ)
▲代表機種『スーパーバニーガール』(オリンピア2号機:1990年4月)
ここからは2号機時代に。大きく変わったのは吸い込み方式が廃止されたこと。現在と同じように確率抽選方式のみとなりました。
フルーツゲームとは、2号機でのみ認められていた付加機能です。私もそうですが“小役の集中”と呼ぶ人も多いですね。最大60G(短くても構わない)小役確率をアップさせられ200枚程度を増やすことができました。
ポイントは通常時の一種ということ。フルーツゲーム中もボーナスを普通に抽選します。成立したボーナスがREGならば継続。機種によってはBIG成立だけでも終了してしまいますが、少なくともBIGが「入賞してしまうと」その時点で終了します。
ここまでの説明をすべて体感できるのが、割とスロゲーセンでも見かける『スーパーバニーガール』です。BIG終了後は天国モード。ここでフルーツゲームに当選するとほぼ60G。地獄モードに陥落した後だとほぼ5Gになってしまいます。設定6だけ地獄モードでも70%は60Gとなってくれるように優遇されていましたが。そんなモードや設定差の概念も作れたのです。
フルーツゲームの当選はいきなり小役の連続で気付くパターンでした。機種によって特殊小役が揃えば確定など、入り方も個性を作ることもできたのです。この辺りで、スロッターの好みが分かれたところでした。
なお『スーパーバニーガール』は、フルーツゲーム消化中にBIGが成立してしまった場合も60Gまで完走させることができました。左リールにチェリーが付いていないSUPER絵柄(BIG絵柄)を狙って、残りリールでSUPERを避ければ、成立後のプラムを獲得できたんですね。
▲『スーパープラネット』(山佐3号機:1990年6月)
このように程良い攻略感と設定推測に繋がる面白さを作ることもできた機能ですが、3号機になって廃止されてしまいます。しかし『スーパープラネット』のBIG終了後はフルーツゲームまでは増えませんでしたが、小役高確率状態から開始されるんです。この扱いに関しては、私にとっていまでもナゾです。まあ、別物だから認められたんでしょうけど。
★SINボーナスの集中(2号機〜4号機まで)
▲代表機種『アラジン』(ニイガタ電子2号機:1989年5月)
フルーツゲームを“小役の集中”と呼ぶ人が多いのは、“SINの集中”があるからです(笑)
SINというと、5号機以降では0枚役のように特殊な出目を出すことがメインに思われるかもしれませんが、4号機以前はまったく異なっていました。主に1枚がけで15枚を払い出す1G限りのボーナスだったのです。5号機以降のものは“普通役物”。4号機以前は“役物”が正式名称でした。ということで、役物そのものが廃止されたとも言えます。
2号機から認められた“SINの集中”は、BIG成立かパンクフラグ成立まで継続するもの(REGは継続)。展開に恵まれれば一撃で大量獲得を見込めた射幸性が問題視され、2号機から3号機となった際に、パンクフラグの確率を上げさせられてしまいました。
1G限りとはいえ、1枚がけで15枚を払い出すのだから瞬発力は凄いのだろう。そう思われるかもしれませんが、爆裂機の代名詞ともなっている『アラジン』の初代、元祖アラジンチャンスは1Gあたりの純増が3枚程度でした。SINの集中単体であれば『ソレックス』の約6.8枚が最高峰でしょうか。実は6号機のATと大差なかったりします。
というのも、無尽蔵にSIN確率を上げることができなかったのです。SINの集中の正式名称は“十倍役物”。文字通り「通常時の役物=SINの確率の10倍」でなければなりませんでした。通常時が1/64ならば、集中時は1/6.4となります。元が高すぎるとベースも高くなり、さらに15枚などの払い出しはボーナス扱いとなるので、役物比率などほかの規定との兼ね合いも出てきてしまうのです。多分(笑)
SINを使った純増の速い機種が4号機に多く登場しましたが、集中の有無よりもATとの相乗効果に頼っていたというのが私の印象です。なので、ATやARTが作れるなら問題ないのかとも思います。そもそも5号機以降は役物の形も変わってしまいましたし。
▲集中+ATの爆裂機『ナイルパニック』『極』『クラブロデオ』
これらの機種を思い出していたら、4号機で消えたシステムがたくさんあることも思い出してしまいました。いかん、2回で終われるのか。5号機でなくなったものもあるので3回になりそうですね(汗)
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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