複雑な気持ちになる朝の風景(2005→2017remix ver.)

　ぼくが通っているパチ屋は、朝イチの客数が非常に多いため、抽選で入場順を決める。

　そこには常連のスロプログループがいくつかあり、なかのひとつが毎回ちょっと面白いやり取りをしている。

　5～6人の集団で、全員が整理券をもらった後一度全て回収し、仲間内でもう一度振り分けを行なうのだ。

　それを仕切っているのが、通称“リーダー”。見た目は若干23歳といったところ。
　眼光鋭く、デキる男という感じだ。
　先日も、彼が全員分の整理券を回収していた。
　裏返しにして、シャッフル。
　皆が順番に引いていく。
　そして、最後に残ったのがリーダーと通称“おじさん”。

　そう、平均年齢20歳程度のグループの中に、推定年齢45歳のハゲ散らかした親父がなぜか混じっているのだ。

リーダー「おじさん、右と左、どっちがいい？」
おじさん「右！」

　整理券をもらったおじさんが「あちゃー」と叫ぶ。
　どうやらとても悪い番号だったらしい。
「おじさん、またかよー！」
　全員笑いの渦に包まれる。
　おじさんもニコニコとしている。
“また”ってことからわかるとおり、これはいつもの光景。

　そう、ぼくが見たところによると、おじさんは彼らに食い物にされている。
　おじさんが引く順番はいつも最後から２番目。
　リーダーとの一騎打ちだ。
　それまでの間に、いい番号はすべて他の連中が引いてしまう。
　どういうやり方をしているのかはわからないが、手先が器用なリーダーが上手くシャッフルしているに違いない。

　そして、おじさんはなぜか毎回「右」を選んでしまうのだ。

　ぼくが見てない日もまったく同じことが繰り返されているのか？
　そもそもこの軍団のどこからどこまでがノリ打ちなのか？
　詳しいところはわからない。

　その日、ギリギリで狙い台が取れず『鬼武者3』を打つおじさんは朝から1200ゲームハマっていた。

　それでもおじさんはいつも楽しそうだ。

　幸せのヒントは、意外とこんなところにあるのかもしれない。

出典：マスクド･モリタ「ぱちんこなめんなよ」（Amebaブログ、2005年10月04日）


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