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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2019.05.07
平成のパチスロを作った10機種ランキング
令和が始まりました。平成の始まりは昭和天皇の崩御という自粛ムードでしたが、令和は祝賀ムードでいっぱいのスタートとなりました。皆さんは10連休となったのでしょうか? 私は毎日が休みのようであり、1日も休みがないような生活なので特に変わらなく過ごしていましたが。ただひとつ言えるのは、世の中はお休みだったので、パチスロ関連のニュースを持ち合わせていないということです(笑)
そんなネタに困っている折り、編集長から「平成の振り返りをやらないですか?」というナイスなアイデアをいただいたので、乗っかりたいと思います。“令和を占う機種”だった前回と順番が逆だろとか、1号機からめっちゃ振り返っておったやんけ……なんて声も聞こえてきそうですが。難しくなさ過ぎる程度かつ、マニアックに“平成のパチスロを作った10機種”としてランキング形式でお届けします。
と言っても、ここは思考ルーチン。普通のランキングではございません。“代表する”ではなく“作った”なのです。画期的なアイデアなどが高評価。その機種に対する私の好みも関係なく順位付けしました。好きな機種を並べるユルいのは、また別にやります(笑)
ということで、10位からカウントダウンっ!
10位:4号機の未来を暗示した機種。
▲平成3年『ミラクル』(1991年:尚球社)3号機
平成元年(1989年)のパチスロは2号機時代。クレジットやウェイトが搭載されるなど、現在の形に近付いた時期でもありますが、初の2号機は昭和63年に登場してしまっているので対象範囲外。平成2年から導入された3号機は、2号機と遊技機規則はほぼ同じで、出玉設計だけ抑えられた劣化版でした。華麗にスルーしようかと思いましたが、この機種は画期的すぎました。尚球社の『ミラクル』です。
BIGは期待値方式で純増枚数は約377枚〜約605枚の5段階。ほかの機種のBIGは純増350枚程度の中、この機種の存在は際立っておりました。また、初のMAXBET搭載機でもあります。操作性の追求と大量獲得のBIG。この流れは4号機に引き継がれていくこととなります。
9位:初期5号機の可能性を提示した機種。
▲平成18年『小麦ちゃんマジカルて』(2006年:JPS)5号機
初期5号機は、ボーナスとボーナス後のRT程度のゲーム性しかありませんでした。その中で人気となっていったのが、パンク役を回避してRTを延命させる“リプパン方式”です。後に『リングにかけろ1』(銀座)や『スパイダーマン3』で人気を博しますが、原型となったのはこの機種。サミーも直後に導入された『ボンバーマンビクトリー』を発表していたので、パクリではございませぬ。
『小麦』には、ボーナス中の技術介入で獲得枚数をアップさせる手順も存在していました。これも5号機としては初。合わせ技一本で『小麦』に軍配。以降、RTの使い方と、ちょっとした技術介入が5号機序盤を引っ張っていくことになります。
8位:有利区間の使い方のスタンダードに!?
▲平成30年『HEY!鏡』(2018年:大都技研)6号機
皆さん、記憶に新しすぎるかと思いますので手短に。6号機は緩い内規となって5号機版AT機が復活。その業界全体で一発目の機種でありながら、初期6号機のスタンダードとなりそうなシステムで大ヒットとなったことを高く評価します。これがコケていたら……ゾっとします。
押し順などナビを出せる“有利区間”の使い方がオーソドックスかつ秀逸。天井救済も作れましたし、旧基準ATを上回る純増速度も実現。AT機の射幸性の高さが指摘され、規制の連続から6号機になったことを考えると、ちょっと複雑ではありますが(笑)
7位:のちにマニアを生み出したネオストックの概念。
▲平成21年『ドラキュラ』(2009年:ネット)5号機
後にスマッシュヒットする『リノ』システムのベースとなった機種。通常ゲームは、常にボーナスを隠し持った状態で進行し、そのボーナスが入賞・消化したあとは、連チャンゾーンへ。ここでは、成立しても通常ゲームに転落しないボーナスも超高確率で抽選。意図的なハマリと連チャンを生み出す仕様は“ネオストック”システムと名付けられました。
『リノ』のような熱い打ち方がなかったこと、大連チャンするもののボーナス純増枚数が物足りなさ過ぎたため、市場評価はイマイチとなってしまったのは致し方なし。ただ、このボーナスを隠し持つシステムは、同じくネットの『ココナナ』を経て5号機版ATに繋がっていきます。
6位:今なお受け継がれるノーマル機。
▲平成5年『ニューパルサー』(1993年:山佐)4号機
平成5年は4号機元年。BIGの純増枚数が固定されない期待値方式となり、リプレイも搭載されるようになりました。当時、パチスロのシマはホールの一角に過ぎず、設置台数も50万台程度だったかと思います。そんな状況で約22万台の大ヒット。
この機種が普及させた大量リーチ目を楽しむ概念は、現在までノーマルタイプに受け継がれています。右リール下段チェリー付き赤7など、リーチ目の作り込みはユニバーサル系にも大きな影響を与え、技術介入機の大ブームに繋がっていきます。『ニューパル』がなければ『クランキーコンドル』も『ハナビ』もなく。巡り巡ってアクロスのAプロジェクトもなかったことでしょう。
作り込まれたのはリーチ目だけではありません。FM音源を採用し、オリジナルメロディを鳴り響かせました。パチスロサウンド生みの親でもあります。
5位:春の到来を告げたART機。
▲平成21年『忍魂』(2009年:大都技研)5号機
平成19年(2007年)の完全5号機時代到来から、パチスロの総設置台数は減少の一途に。再び増加傾向になったのは平成22年(2010年)。『パチスロ交響詩篇エウレカセブン』(サミー)と『新鬼武者』(ロデオ)が揃ったあとのことでした。
初期5号機は、ボーナスを契機に突入するRTやARTをどこまで伸ばすかだけでした。そんな幅の狭い刺激から脱却したのが『忍魂』でした。通常時のどこからでも突入し、どこまで続くかわからないART。まだ押し順ナビではなく、色目押しが必要だったので、幅広いユーザー層に支持されたわけではありませんが、この機種の出玉設計はほぼ完成型。『新鬼武者』もこの機種のマイナーチェンジと言って差し支えないでしょう。
4位:画期的すぎるアイデア。
▲平成23年『エージェントクライシス』(2011年:エレコ)5号機
ボーナスはコインを増やすもの。1号機どころか、パチスロが法整備される前の0号機からの既成概念をぶっ壊した機種が『エージェントクライシス』です。
純増0枚のボーナスを搭載(ゼロボ)。これはコインを増やすためではなく、型式試験の出玉検査でコインを増やさせないためのもの。そこで生まれた余裕は、AT・ARTの純増速度に回されました。普通にボーナスなしでART機を作ると1Gあたりの純増は2.4枚が限界。それに対して、ゼロボを搭載したことによって、当時の自主規制の3.0枚まで作ることが可能になりました。
この後、ゼロボを上回る“減るボーナス”を搭載した『激闘!西遊記』(KPE)の“アクセルAT”でさらに進化。純増枚数の自主規制がなくなった6号機は、この方式で高純増を実現しています。
3位:ゲーム数テーブル生みの親。
▲平成13年『キングパルサー』(2001年:山佐)4号機
パチスロ打ちは、連チャンが大好き。1号機時代は“吸い込み方式”が。3号機の違法改造機が人気となりました。それを合法的に再現したのが4号機のストック機です。
いつボーナスが貯まったかわからない。どれだけ連チャンするかわからない。その基本形は『スーパーリノ』(山佐)で既に提示されていましたが、設定変更で貯まっているボーナスが消滅してしまう欠点があり、それを解消したのが『キングパルサー』となります。4号機後期に主流となったストック機のシステムを確立した機種と言えるでしょう。
この機種の連チャンゾーンは128Gまで。5号機でも多くの機種に採用されている数字です。パチスロ機に限らずプログラムは馴染みのある10進法ではなく、2進法や16進法を採用しています。『沖ドキ』などよく使われる32Gは“2の5乗”。128Gは“2の7乗”。この機種のゾーン設計が受け容れられたので、後々の開発者が面倒から少しだけ解放されたと思っております(笑)
2位:時代の分岐点。
▲平成13年『獣王』(2001年:サミー)4号機
コインが増えないボーナスを持った『エージェントクライシス』も画期的でしたが、そもそもボーナス以外でコインを増やせる区間があるから成り立つ話です。ボーナスを引いていないのにコインがモリモリ増える。4号機版ATの魅力をまざまざと見せつけたのが『獣王』です。最初に見たとき「なんじゃこりゃ?」しか言えませんでした。ええ。カルチャーショックです。
AT「サバンナチャンス」は、1Gあたりの純増は約10枚で。10Gor30G継続。高確(この概念も初)からの当選は連チャン性もあり。音楽も秀逸で、多くのホールがサバチャンの曲を開店時に流しておりました。
この機種の登場で、万枚が身近になり、演出基板(サブ基板)が出玉推移の大部分を占めるようになり、初当たりの重さから等価交換が主流となり……。パチスロは大きく変わりました。その射幸性の高さからAT機は実質禁止されましたが、5号機中期以降にARTやATとしてゲーム性は復活しています。
1位:平成パチスロの象徴。
▲平成8年〜『ジャグラー』シリーズ(1996年〜:北電子)4号機〜
ここまで挙げてきた9機種は、パチスロという食材の調理の仕方を褒めていたようなものです。現実的な確率と戦い、当たったときにホッコリする。その食材の醍醐味を、平成の一桁年度からそのまま伝え続けているのが『ジャグラー』シリーズです。
完全告知のボーナスのみ。この土俵に上がった機種は数多くあれど、定着した機種は一部地域のハイビスカス系を除いて皆無と言って良いでしょう。これを作るのが最も難しいのではないでしょうか? 一部の亜流はあっても、初代の基本を踏襲し続ける姿も変わりません。このブレなさも凄すぎます。
シンプルがゆえに、細かな努力を積み重ねているのも見逃せません。『クラシックジャグラー』では、初代に合わせてGOGO!!ランプの光源を豆球にしてみたり。誰も気が付かないような筐体の微修正も積み重ねています。
初代の導入当初は、技術介入全盛期。ファミコン世代からは敬遠され気味でしたが、2号機や3号機に親しんでいた客層の受け皿となりました。5号機になって、初代を敬遠していた層もジャグ系に流れるようになりました。若いうちは味付けの濃いものが好きですが、年をとるにつれシンプルな味付けを好むようになるものです。私が携わっていた大昔のサイトでは、こんな格言がありました。“四十を越えたらジャグラー”。私は三十路からよく打つようになりましたが(笑)
設置台数×稼働日数。これを計算できたら、ジャグ系が圧倒的なのは間違いないでしょう。ということで、北電子のジャグラーシリーズには金一封。平成のラス打ちで既に贈呈済みです……。
☆なんであの機種が入ってないの?
言われるだろうな〜。パチスロ史上もっとも売れた『パチスロ北斗の拳』(初代:サミー)を入れていませんもんね。私も自宅に置くほど好きな機種は『小麦』しか入れていませんから。万人から面白いと思われるのは難しいですし、なんせ出玉は大したことないですが、時代の先駆者だったのは確かです。
『北斗』は、ストックとATの融合で、ここからバトルシステムが生まれたと言えます。バトルシステムも出玉の見せ方の一環なんです。そういうククリであれば、周期抽選を一般化した『シンデレラブレイド』(ネット)か『麻雀格闘倶楽部』(KPE)あたりが入るかもしれません。そうでなくて、作り方の根本で凄いと思った機種ですから。
さて、令和の時代。そういう見せ方は画期的な機種が出てくると思いますが、作り方の根本がすぐ変わる気はまったくしません。7号機で遊技機規則が大きく変わることを期待しています(笑)
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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