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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-
2018.02.20
『トビラ-前編-』~PSメディア業界へ
――「短い間でしたが、お世話になりました」
店員I「ラッシーさん、お疲れ様でした」
店員M「これからはお客さんとして遊びに来てください」
――「ありがとう」
マネージャー「なにも辞めることないのによ」
副店長「仕方ないですよ、学業が忙しくなるんなら」
――「ご理解ありがとうございます」
ブンちゃん「う…う…達者でな、ラッシー」
――「んな大ゲサな! 今生の別れじゃあるまいし」
ブンちゃん「お兄ちゃんは遠くから応援してるよ」
――「近所だからいつでも会えるでしょ」
俺のホールバイト生活は9ヶ月ほどで終わりを迎えた。新学期が始まると、またスグに実習に入り、しばらくシフトに入れなくなるためである。前にも述べた通り、俺が通っていた映像の専門学校は少し特殊。実習で数週間から数か月のあいだ家を空けることも多く、同じバイトを長期に亘り続けるのは難しかった。
バイト先のホールは職場として最高だった。パチンコのイベント日は出玉を流す作業でヘトヘトになり、またパチスロの新台入替では実機を抱えて何度も階段を往復した。肉体的にはかなり大変だったが、社員もバイトも優しい人が多く、居心地が良かった。よく求人情報誌で目にする「アットホームな雰囲気」とは、まさにこのような職場を言うのだろう。
――「今度は客として遊びに来ます」
マネージャー「知ってるだろうが、半年は来ちゃダメだぞ」
――「分かってます。半年経ったら遊びに来ます」
ウチのホールには「辞めてから半年は客として遊びに来てはならない」というルールがあった。それはそうだろう。つい先日まで店員として働いていた人物がドル箱を積んでいたら、あらぬ誤解を生んでしまう。常連客が「あの店員はとっくの昔に辞めた」と認識するまでの時間が必要なのだ。ちなみに「ホール店員の家族は入場禁止」というルールもあった。これも同じく客から疑われないためである。
バイトを辞めた頃、俺の生活は大きく変わった。専門学校では2年生に進級し、漠然とした「映像科」から「録音ゼミ」へ。映画・テレビ業界の「音声さん」を目指すコースだ。映画監督になりたいという夢は変わらずあったが、1年生のときの担任の「監督なんて、なろうと思ってなれるものじゃない。まずはスタッフとして現場に入れ。信用を得られたら監督にだってなれる」という助言を受けての選択だった。かく言う担任の先生も、映画の監督・プロデューサーだ。たしかにこの頃の日本映画界は異業種から監督になる人が多かったから、担任の言葉に偽りはなかったと思う。この録音ゼミ入りが、のちの人生に大きな影響を与えることとなる……。
プライベートでは引っ越しも経験。最寄駅は変えず、4畳半のワンルームから2Kの広い部屋へ。とは言っても築年数は30年以上の木造アパートなので、駅から徒歩5分でも家賃は65000円。親からの仕送りと奨学金で十分払える額だ。貯めたバイト代は引っ越し費用で消えたので、1学期の実習を終えたら、また短期のバイトを探す必要がある。
そして新学期が始まって数週間後……
ブンちゃん「いや~、昨日は忙しかったわ~」
――「お疲れ様です。新装ですか?」
ブンちゃん「そう。常連なんて前日の夜から並んでたんだぜ」
俺はブンちゃんと駅前のファミレスにいた。つい数週間前、今生の別れのように俺を送り出したブンちゃんと早くも再会である。この日はお互い休みだった。
――「やっぱAT機の新装ともなると並びますね」
ブンちゃん「それがATじゃないのよ」
――「エッ!?」
ブンちゃん「AR機のハードボイルド2。雑誌で見てない?」
――「ああ、ディスクアップみたいな?」
ブンちゃん「それ。『獣王を超える破壊力』なんて謳い文句だからさ、そりゃ新装から並ぶよな」
――「獣王を超える破壊力!?」
▲4号機「ハードボイルド2」
2001年の春にサミーからリリースされたA+AR機。ARとは、ズバリART(アシストリプレイタイム)のこと。当時はまだARTという呼び方が一般的でなく、ARと呼ばれていた。 ボーナスフラグはBIGとREGの2種類だが、BIGはさらにハイパーとノーマルに分けられる。両者の違いは15枚役ナビの有無。BIG中は頻繁に3択15枚役が成立する。 15枚役は『赤7-ボトル-ボトル・白7-ボトル-ボトル・BAR-ボトル-ボトル 』の3種類で、それぞれの確率は均等だ。
ノーマルBIG中はナビが発生しないため、左リールの3択を自力で当てる必要がある。対するハイパーBIG中は3択を完全にナビするため、目押しさえ完璧なら成立した全ての15枚役を獲得できる。また、リプレイハズシ手順は両BIGとも一緒。液晶にリプレイ絵柄が出現したら中・右リールを適当打ちし、左リール中・下段に2連BARの上のBARを狙えばOK。なお、ノーマルBIGでリプレイハズシに成功すると、最大4回の15枚役ナビを獲得する。フル攻略時の獲得枚数はハイパーが約546枚で、ノーマルが約399枚だ。
それだけではない。本機最大の特徴は「ビッグボーナスバンク(BBB)システム」だ。ノーマル・ハイパーを問わず、BIG終了後は1/2で完走型ARTに突入。ARTの継続ゲーム数は基本的に150Gだが、1000Gの可能性もアリ! なお、ART中に成立したボーナスは一旦ストックされ、ART完走後に放出される。 5号機の完走型RT機と決定的に違うのは「ストックできるボーナスの数」だ。
5号機の完走型RT機は1つだが、ハードボイルド2は上限ナシ。つまりボーナス成立後も、変わらずボーナス抽選が行われているのである。それゆえ1度のART中に複数個のボーナスをストックすることも可能なのだ。
また、ART中に成立したBIGは必ずハイパーBIGとなる。もちろんそれらBIGもART突入率は1/2なので、BIG→ART→BIG→ART…といったループが期待できるわけだ。
これら仕様を見ただけでも、とてつもない一撃性を秘めていることは十分理解できる。しかし……
――「さすがに獣王超えの破壊力はナイでしょ」
ブンちゃん「たぶんね。出玉速度は獣王のほうが圧倒的に高いし」
――「昨日の新装では出てたんですか?」
ブンちゃん「5台中2台が5千枚オーバーで、うち1台は7千枚」
――「マジすか!」
ブンちゃん「あと2台が2千枚オーバーで、1台だけ撃沈」
――「なかなかの祭じゃないですか!」
ブンちゃん「メダル補給、大変だったんだから」
――「今からどこか打ちに行きましょうよ!」
ブンちゃん「新装直後なのに空いてるわけないだろ」
――「くぅ~、朝から打ちに行くべきでしたね」
ブンちゃん「昼まで寝てたくせに」
――「すみません」
ブンちゃん「明日から忙しくなるの?」
――「実習の合間で軽く打つことはできますが」
ブンちゃん「じゃあチョイチョイ打って予習しときなよ」
――「そうすね。実習が終わったら一緒に打ちに行きましょう!」
ブンちゃん「オーケー! 俺は遅番の日に朝から打ちに行くけど」
――「ク…羨ましい」
そのときだ。ズボンの右ポケットでケータイが震えだした。
――「ちょっと電話出ていいですか?」
ブンちゃん「おお、どうぞ」
ケータイの液晶には「山さん」と表示されている。山さんは録音ゼミの講師であり、プロの映像現場で活躍する現役の音声さんでもある。
――「お疲れさまです」
山さん「お疲れー。ちょっと今大丈夫?」
――「ええ、どうかしました?」
山さん「五十嵐さ、よくパチスロ打ってるってホント?」
一瞬で頭が真っ白になった。学校側から素行不良と判断されたのだろうか。もし奨学金を打ち切られでもしたら…。
――「あ~、バイト代で軽く遊ぶ程度に…」
山さん「そうなんだ。パチスロ詳しい?」
――「はぁ、まあ機種とかメーカーのことはひと通り…」
山さん「僕、スカパーのパチスロ番組の音声やっててさ」
――「パチスロ番組?」
山さん「その制作会社がAD探してるんだよね」
――「AD…ですか?」
山さん「で、もし良かったらバイトしてみないかと」
――「俺がですか?」
山さん「そう。音声の仕事じゃないけど、映像の現場を経験できるし」
――「でも、もう明日から実習始まりますけど」
山さん「スグに行けってわけじゃない。たとえばお試しで夏休みだけでも」
――「はぁ…」
山さん「制作会社の社長に会ってみない?」
――「えっ!? は、はぁ…」
山さん「急ぎじゃないから考えててよ。面接も実習終わってからでいいからさ」
――「分かりました。ありがとうございます」
山さん「じゃあね。お疲れさまー」
――「お疲れさまです」
ブンちゃん「誰?」
――「学校の講師」
ブンちゃん「パチスロ番組がどうとか言ってなかった?」
――「そう、パチスロ番組のスタッフやらないかって」
ブンちゃん「ええっ! いいじゃん!」
――「そうすか? 俺、パチスロ番組なんて観たことないっすよ?」
当時は無料動画など無く、パチスロ番組はCS放送だけだった。もちろん学生の身分の俺が、CS放送になど加入しているわけがない。
ブンちゃん「○○○○○とか、有名ライターに会えるんじゃね?」
――「え…ま、マジで!?」
この頃、愛読していた大手パチスロ攻略誌は2つ。当時のPSメディアは今ほど華やかでなく、パチスロライターという職業もメジャーな存在ではなかった。まさにアンダーグラウンド。だからこそ、かもしれない。ガキだった俺は、どこかアウトローな印象すらある「パチスロライター」に惹かれていた。もちろん憧れのパチスロライターもいた。ひょっとしたら彼らの番組のスタッフになれるかもしれない。
業界に新風を吹き込んだAR機「ハードボイルド2」。そしてパチスロ番組のAD。眼前に突如現れた2つに対し、俺の胸は高鳴った。
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- ラッシー
- 代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-
山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。
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