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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-
2017.12.12
『魔王誕生』~獣王(4号機)
1つ大きく息を吐き、呼吸を整える。
そして一瞬の間を置き、
勢いよくMAX BETを叩いた。
ランプが点くや否や、血液を沸騰させるアノBGMが流れ出す。網膜がランプの光を捉えると、何かが脳内を駆け巡った。本能的に分かる。コレは稀に見るヤバい機種だ。遊技の枠を軽く超え、打ち手を一瞬で非日常へと連れて行く。それはまさに魔物だった――。
ある日のバイトの休憩のときだ。重くなった身体を事務所のソファに預けていると、バイトの先輩である常本さんが入ってきた。
常本「お疲れっす」
__「お疲れさまです!」
常本「いいよ、座ったままで」
__「すみません」
ウチの店はパチンコとパチスロでフロアが分かれており、ホール店員は各フロアに4人ずつ配置される。休憩は4時間に1回。両フロアから1人ずつ、つまり2人同時に休憩をとる形だ。
常本「今日はスロもやけに出てるね」
__「パチンコも出てるんですね?」
常本「そう。これ閉店前は地獄になるな」
__「腰、気をつけてください」
常本「ありがとう。で、パチスロは何が出てる?」
__「やっぱりアルゼ系が…」
この日は「アルゼの日」だった。ウチの店には店舗名を冠した特定日のほか、「アルゼの日」や「山佐の日」といったイベントがあった。
__「アルゼじゃないところも出てますが」
常本「獣王なんて朝イチからフル稼働でしょ?」
__「そうみたいですね。1台めちゃくちゃ出てますし」
常本「やっぱ時代は獣王だよな」
__「はぁ…」
常本「ラッシーくんも目押しできるんでしょ?」
__「まあ、人並みには」
常本「面白いよね~獣王!」
__「いや、まだ1度も打ってなくて」
常本「ウソでしょ? 今、獣王打たなくてなに打つの!!」
__「そこまでATに魅かれないと言いますか…」
常本「いやいや、鬼太郎SPのATと一緒にすんなよ!」
常本さんは大学4年生で、バイト歴は約3年半。勤務態度は真面目で、普段は口数も少ない。その常本さんが、明らかに上気している。
常本「鬼太郎SPのATとは目的が違うんだ」
__「…目的ですか?」
普段は大人しい常本さんをこれほど変えてしまうとは。それほど「獣王」とやらは面白いのだろうか。
▲4号機・初代「獣王」
回胴史に燦然と輝く名機中の名機。2001年のはじめにサミーからリリースされ、4号機AT機ブームの火付け役となった。仕様はA+AT機。後継機が現役稼働中なので、AT「サバンナチャンス(通称:サバチャン)」の名前は近年のプレイヤーもご存じだろう。基本スペックは下記の通り。
設定 | BIG | REG | 出玉率 |
1 | 1/439.8 | 1/819.2 | 94.5% |
2 | 1/439.8 | 1/809.0 | 98.5% |
3 | 1/439.8 | 1/799.2 | 102.5% |
4 | 1/439.8 | 1/789.5 | 106.5% |
5 | 1/439.8 | 1/780.1 | 110.5% |
6 | 1/348.6 | 1/720.1 | 119.9% |
確率を見れば「ボーナスで出玉を増やしていくタイプではない」とお分かり頂けるだろう。BIGの平均獲得枚数は400枚に上るが、ボーナスはあくまで「高確移行契機」程度の認識だった。重要なのはボーナスよりもAT「サバチャン」なのだ。
また、出玉率は昨今の機種と大差ないように見えるが、これは表向きのメーカー発表値。のちに判明したシミュレート上の出玉率は…
設定 | 出玉率 |
1 | 99.6% |
2 | 100.7% |
3 | 104.7% |
4 | 108.8% |
5 | 112.5% |
6 | 145.5% |
フル攻略だとこうなる。まさに設定6はエクストラ設定だ。出玉率の高さは4号機の中でも最高峰。ただし俺が打ち始めたころ、まだこの出玉率は明らかになっていなかった。
常本「鬼太郎SPのATは次のボーナスまでの繋ぎでしょ」
__「そうですね。役割的にはRTと大差ない」
常本「でも獣王のスーパーATは繋ぎじゃない」
たしかに筐体には「SUPER AT」の文字があった。
常本「ATそのもので出玉を増やすんだ」
__「ATで増やす…ピンと来ないですね」
常本「打てば世界が変わるから!」
__「はぁ、そこまで言うなら次の休みにでも…」
常本「僕が良い店教えてあげるからさ」
打てば世界が変わる――。パチスロでそれほどの驚きなどあるわけがない。きっとたまたまたくさん出て、その興奮が忘れられないだけだろう。このときは、そんな風に思っていた。
――数日後。
その日は都内まで買い物に出ていた。目的の服とマンガを買い終え駅に向かっていると、ふと、大型ホールの前で足が止まった。まだ閉店まで時間がある。これだけ大きなホールなら、獣王に空き台があるかもしれない。
店内に入ると、獣王のシマはスグに分かった。周囲のシマとは明らかに違い、いかにも「鉄火場」といった雰囲気に包まれている。スロプロらしきプレイヤーが一様に血眼でプレイしており、派手な出玉を積んでいる台も少なくない。すると、ちょうど名残惜しそうに台を離れる人がいた。その台をスグに確保し、データ表示器をチェックする。BIG出現率は設定1~5を大きく下回り、REG出現率も1/1000程度。設定はおそらく1。でも俺は知っている。ボーナス間で大きくハマると「天井」に到達し、チェリーを引けばサバチャンが発動するということを。現在のゲーム数は690G。天井はたしか…
【編注】初代「獣王」の天井 ボーナス間1136Gハマリ後にチェリーが成立すると天井状態へ。 その後、毎ゲーム約1/10でAT抽選が行われる。 AT当選後は一旦潜伏し、前兆を経て発動に至る。 |
試し打ちのつもりだし、最悪でも天井ATを取り切ってヤメればいい。大ヤケドはしないハズだ。さて、見せてもらおうか。常本さんをあそこまでアツくさせるサバチャンとやらを…
ん? ナンだこれ!?
チェリーの近くにリールシンボルがナイ! そしてヤル気のない「木」絵柄。まるで「リールが埋まらなかったから、穴埋めのためとりあえず入れておきました」と言わんばかりのデザインだ。今でこそ当たり前の「ブランク絵柄」は、当時はまだ一般的ではなかったのである。今にして思えば、木絵柄は目押しの妨げにならないようデザインされたのだろう。
ここで少しばかり「獣王」のAT「サバチャン」を紹介しよう。
通常時は超高確率(ほぼ毎ゲーム)で12択の15枚役が成立しており、サバチャンに突入すればそれを完全にナビしてくれる。とはいえ昨今流行の「押し順AT」ではなく、いわゆる「色押しAT」だ。左リールはライオンorゾウorダチョウの3択で、中・右リールはそれぞれ赤or青の2択。たとえばドットに出現したナビが上から「ダチョウ・7・ゾウ」なら、左リールにダチョウ、中リールに赤7、右リールにゾウを狙う。目押しが正確ならダチョウ・赤チェリー・青チェリーが揃って15枚の払い出しとなるわけだ。
サバチャンの継続ゲーム数は10or30Gで、振り分けは1:1。10G継続なら約110枚、30G継続なら約330枚を獲得できる。なお、初当たり時は連チャン数が振り分けられ、最大は29連だった(上乗せアリ)。
また、15枚役を含む小役やボーナスが成立していない純粋なハズレは「完全ハズレ」や「純ハズレ」と呼ばれた。通常時では、主にこの完全ハズレ時にAT抽選が行われる。ちなみに木絵柄絡みのリーチ目や完全ハズレ目も多数存在するが、それに気付くのはしばらく経ってからのことだ。
同じAT機の鬼太郎SPもリール配列は美しくなかったが、コレはそれのさらに上を行く。のちに獣王の小役狙いは変則打ち(中押しor逆押し)が主流となるが、このときはまだ知らなかった。おそるおそる左リール第1停止のチェリー狙いでプレイしていく。
――およそ40分後。
確率が確率なだけに、ボーナスは当たらない。現在のゲーム数は1060Gを過ぎたところ。投資は13Kにも上ったが、あと少しで天井だ。恐れることはなにもない。しかし、そのとき…
レバーONでドットにシマウマが出現し、第3停止でライオンのルーレット演出に発展。小役は非入賞で、もちろんチェリーの取りこぼしでもナイ。チェリー成立時に何度か似たような演出が発生していたが、まさか…。そしてライオンが「ハズレ」の肉を喰らい尽くし、ルーレットは無情にも「7」でストップ!!
__「ウソ…だろ…ウソだろオイィ~」
天井目前で痛恨のBIG!! いや嬉しいよ。約400枚を獲得できるから。でも、やっぱりサバチャンを体験したかった。もうこんなムキ出しの設定1を打ち続けるわけにはいかない。このBIGの出玉がノマれたら帰ろう。
そしてBIG終了から60Gほど経ったころ、ある異変に気付く。毎ゲームのように、ドットにマングースやシマウマが出現するのである。とは言えボーナスが当たっている様子はないし、サバチャンランプが点くワケでもない。俺を慰めてくれているのか。天井手前で夢破れた俺を…「パオォーン!!」
マングース出現からゾウのルーレット演出に発展。はいはい、十数ゲーム前にもそんな演出が発生してハズれてますから。どうせただのガセ演出でしょ…エエエ!? ゾウが3つのチェリーを全て弾き飛ばし、ルーレットは「3」or「7」or「A」だけに! そして3と7を通過し、サバチャン突入を告げる「A」にピタリ!!
__「ウソ…なんで?」
おそるおそるMAX BETを叩くと、リール窓左上のサバチャンランプが点灯し、軽快なあのBGMが流れ始めた。そう、俺は気付いていなかったが、十数ゲーム前に完全ハズレを引いており、そこでサバチャンを射止めていたのだ。なお、BIG終了後は必ず高確へ移行する。高確の中の完全ハズレはサバチャン当選のハイチャンスで、平均滞在ゲーム数は約100Gだ。
サバチャン中の目押しミスは15枚の損になる。それが怖くて、1G1Gを慎重に消化した。イケる。この程度の目押しなら難なくこなせる! そして10Gを消化したとき、ドットにAT30の文字が!! 30G継続の合図だ。
30Gを無事に走りきると、下皿には大量のメダルが。なるほど。サバチャン30GがBIG、10GがREGみたいなモノか。この出玉感。そして目押しをしているという満足感。たしかに病みつきになりそうだ。しかし、今日のところはこのくらいにしておこう。欲をかき、せっかく返って来たメダルをノマせるのはもったいない。また攻略誌で知識を蓄えてから打ちに来よう。このクレジットだけ消化して…あれ? なんかまたドットが騒がしいような…「ゴンガァ~(ライオンの声)」
不意にドットに表れた15枚役ナビ。
__「エッ!? 通常時にナビ?」
おそるおそるナビに従うと、ごくフツーに15枚役が揃った。
__「なんだ。通常時にナビされることもあるのか」
安堵しMAX BETを叩いたら、またもサバチャンランプが点灯!
__「うあぁぁぁ~! れ…連チャンか!!」
このサバチャンは10Gで終了。しかし、2度あることは3度ある。案の定ドットがザワつき、およそ20Gでライオンのルーレットに発展。食い入るようにドットを見つめていると、ライオンが肉を食べきった。
__「なんだこの台…バケモンかよ!!」
ドットに「A」が止まり、祝福のファンファーレが鳴った。
1つ大きく息を吐き、呼吸を整える。
そして一瞬の間を置き、
勢いよくMAX BETを叩いた。
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- ラッシー
- 代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-
山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。
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