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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-
2023.07.04
明確な違い~主役は銭形2②~
前回のあらすじ
高設定を使うホールなど存在しない。ライターは仕事で良い店に行っているだけ。そんなひねくれた思考に陥っている編集部員の目を覚まさせるため、ラッシーは彼を引き連れて都内の某店へ。そこで高設定を掴ませ意識を変えさせるつもりだったが、肝心の後輩編集は苦しい展開が続く。
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――「ちょっとジュースでも飲もうか」
編集N「はい……」
出口の近くにある自販機で缶コーヒーを2つ買い、Nくんを店外に連れ出した。ほんのり設定の良し悪しが見えてきたが、まだ開店から2時間だ。良い台が空くとしても、まだしばらく先だろう。
開店前は大勢の人で賑わっていた店裏の喫煙所も、まるで廃墟のようにガランとしていた。遠くから繁華街の喧騒が薄く聞こえてくる。俺とNくんはドカリとベンチに腰掛けた。
――「Nくんの台は良くなさそうだね」
編集N「まあ、こんなもんスよ。ハハハ」
――「はは…」
さも当然といった風に冷めた笑い声を上げる彼を見て、俺もつい笑ってしまった。よっぽどの重症らしい。彼もパチスロそのものは好きなハズだが、高設定をツモって勝つという王道の楽しみかたは、すっかり忘れているらしい。
我慢の時間。
――「でも今日は悪くないと思う」
編集N「ホントすか?」
Nくんはニヤケ面で、気だるそうにタバコの煙を吹きだした。俺のことを、いやホールのことを少しも信用していないのだろう。
――「高設定使ってないと、もっと立ち上がり静かだから」
編集N「まあ、たしかにCZ多い台はチラホラありますけど」
――「今はどこの店でもそうだけど、銭形2が本命って客はそう多くない」
編集N「今日もそんな感じでしたね。本命取れなくて仕方なく銭形2に来たみたいな」
――「そうそう。だから良さげな台も空くと思うんだ」
編集N「良さげな台…ね」
〝良さげ〟なだけで、高設定ではナイんでしょ?…と、彼の顔が言っている。
――「とりあえず今の台を判別しながら、良さげな台が空くのを待とう」
編集N「はい」
――「俺のはまだ可能性あるけど、Nくんのは厳しそうだから、判別続けながらなるべくゆっくり回して」
編集N「はあ……ヤメたらダメなんスか?」
――「あまり良くないね」
Nくんの台も高設定が投入されやすい位置にあるため、まだ〝下〟と断定するには早すぎる。周りの台の挙動もチェックしてほしいし、隣の本命台が空いたらスグに移動できる位置にいてほしい。
もちろんシマ外から様子を伺うのもアリだが、空き台待ちの人間がいると、どうしてもプレイヤーの警戒心が強くなってしまう。「ヤメたらカマを掘られるのでは?」と慎重になり、我慢比べのような状況になって余計に空きにくくなってしまう恐れがある。
移動する気がないように装いながら打ち続ける。これが理想。
――「まだ判別続けながら周りの台も見といて」
編集N「分かりました」
――「空き台ができたら、移動するかどうするかサイン出すから」
編集N「了解です。ではゆっくり打っておきます」
そして2人でシマに戻り、打ち続けること約2時間。遂に待ち望んだビッグチャンスが訪れる。朝イチから快調に高設定挙動を見せていたNくんの隣の台(奥角台)が空いた!! 俺のほうをチラリと見たNくんに、すかさず「移動しろ」のサインを送る!
が………
まるで諦めたように、首を横に振るNくん!!
――「はああ? な、なんで!!?」
思ったより重症。
たまらず立ち上がりNくんの元へと駆け寄った。
――「ちょ、まず移動して!」
編集N「え~? イヤっス」
――「いやいや、そういう約束でしょうが!」
編集N「そうですけど」
――「これ企画の実戦だからね!」
編集N「分かってますけど……」
すぐさまNくんのデータ表示器を確認したが、前回BIGからのゲーム数は200G少し手前。天井が近いのなら理解もできるが、そういった状況でもない。
――「マジで移動して! ほら!」
編集N「……分かりましたって」
渋々奥角台へと移動するNくん。移動後、再び外へと連れだした。
――「どういうこと? なんで移動したくなかったの?」
編集N「だって、ムダですって」
――「ムダ……???」
意味が分からない。たしかに隣の奥角台は自分で直接回して設定推測をしているわけではないので正確なCZ当選契機は分からないが、CZ出現率は明らかに他の台を圧倒している。もう、体感でも分かるくらいの高設定挙動だ。
――「え? どういうこと?」
編集N「どうせ1ですから」
――「ええ? いやいや、あれが1なわけが…」
編集N「1なんですって。それが現実」
――「……………(あ、これは重症だ)」
前回お伝えした通り、彼はホールへのアンケート調査で散々見てきたのだ。設定5・6が投入されない惨状を。『設定5・6というものは、そう簡単に入らない』。そんな現実の厳しさを、毎月毎月、繰り返し目にしているのである。
しかし、ホールへのアンケートは全国の全店に行っているわけじゃない。たしかに平常営業では厳しいが、そうでなければ高設定を投じるホールは確実にある。高設定を狙うプロはもちろん、俺らライターも自分の目と足でそういうホールを見つけているのだ。
たしかな実績と自信がある! ここは強気に行くっきゃねえ! それに、そもそも彼と俺とではパチスロとの向き合い方が違いすぎる。まずはそこの意識から変える必要がある。
意識改革。
――「まずさあ、奥角台の挙動見てたでしょ? 隣なんだから」
編集N「ええ、たしかに良さげに見えました」
Nくんも銭形2の担当編集だ。設定推測要素は完璧に頭に入っている。
編集N「良さげですけど、どうせ1ですって」
――「じゃあ、キミの言う通り1だとしよう」
『ほらな』とでも言いたげに、得意気にゆっくり頷くNくん。
――「じゃあ、Nくんの台はどうなの?」
編集N「そりゃもうゴリゴリの1っスね。これは自信あります」
――「だね、自分で推測してるから自信あるわけだ?」
編集N「当たり前じゃないっスか。レア役ごとのCZ当選率まで細かくチェックしてるんで」
――「だから移動一択なんだよ」
編集N「え? いや、でもどうせ移動しても……」
――「い~や違うね! 移動以外ありえない」
編集N「え? なんでです?」
――「自分の台は設定1と見切った。対して隣は1の恐れもあるけれど、まだ分からない。さて、この2台で高設定の可能性が高いのは?」
編集N「そんなの隣の台に決まって……」
――「でしょ? 仮に空いた台が絶不調だとしよう。それでも移動すべきなんだ! 自分の台の判別が1で決着したのなら」
編集N「……たしかに」
――「『確定の1』と『1かもしれない』は明確に違うんだよ」
編集N「たしかにそうかもしれません」
自分の台を「確定の1」と断定したら、どんな台にでも移動したほうが高設定をツモる可能性はアップする。たとえ1から1への移動だとしても、自分が判別を終えた「確定の1」よりはマシなハズだ。
今朝のようにシマナカで空き台を待たなきゃいけない場合は別だが、空き台があるのであれば、もちろん移動したほうが僅かでもツモる可能性はアップする。より高設定っぽい台が空いたなら、もちろんまた移動すればいい。
――「移動してもどうせ1。その気持ちも分かるけど、空き台があるなら確定の1を打ち続ける理由なんてナイんだよ!」
編集N「少しでも高設定をツモる可能性を高めろってことですね?」
――「そう! 確定の1を打ち続けても高設定に変わることなんてナイんだから」
編集N「………仰る通りかもしれません」
もちろん自分が「確定の1」と断定した台も、実際は高設定というリスクは残る。しかし、それは台が設定通りの挙動をしてくれなかったと思えば諦めもつく。その不確実性もまた、パチスロの面白いところだ。
攻めた結果、高設定を逃してしまうなら仕方がない。攻めずに座して負けることこそ愚かなのだ。もちろんゾーン狙いや天井狙いなら話は別だが、高設定をツモりたいなら諦めずに移動したほうが絶対にいい!
――「ここからもやることは一緒だから」
編集N「判別しながら周りの台もチェックですね?」
――「そう。最優先は自分の台の判別ね。今、シマイチの本命台がソレだから」
編集N「了解です!」
Nくんとともにシマに戻り実戦再開。Nくんの総投資はすでに28K。ここからまた投資することを考えると厳しくはある。しかし彼が移動した奥角台が〝ホンモノ〟なら、十分マクるチャンスはあるハズだ。
生まれ変わり。
2時間後――
――「どんな調子?」
編集N「ホントに高設定っぽいです!」
細かく設定推測の数値を聞くと、すべてとはいかないが、ほとんどの要素が設定5以上を示していた。
編集N「いつもの銭形2とは、まるで感触が違います!」
――「ふはは、いい感じだね」
さらに2時間後――
Nくんの頭上には1箱半の出玉が積んである。
編集N「これ間違いないっス! 絶対、上あります!」
――「ほら、だから言ったでしょって!」
Nくんの表情は数時間前と全然違った。あの悟ったような冷めた顔は消え、パチスロを覚えたての少年のようにイキイキしていた。
パチスロを覚えたての頃は、少し調子よく出ただけでスグに「5だ!」、「6だ!」と友達とハシャいでいた。きっとみんな似たような経験があるだろう。それから低設定ばかりだという現実を知り、そこで踏みとどまれるかどうかだ。
自分にはツモれないと諦めてしまったら、もう高設定は運でしかツモれない。勝ち続けるヤツはそうじゃない。どうやったらより高確率でツモれるか、より効率的にツモれるかを考えて実行する。とにかく腐らずに高設定を探す努力をすることが重要なのだ。
午後10時半――
俺とNくんは眠りつつある繁華街を駅に向かって歩いた。
――「いや~、もっと勝つかと思ったけど」
Nくん「いやいや、16Kも浮けば十分ですよ」
Nくんの総投資は2台合わせて4万円を突破。そのせいで勝ち額は16Kとやや少なかったが……
Nくん「金額じゃないっスよ。今日の収穫は」
――「な? だから〝ある〟って言ったでしょ?」
Nくん「ええ、僕ちょっと感動しましたもん」
――「ハハハ、30過ぎのいい大人がパチスロで感動って」
Nくん「いやまあ、たしかに大袈裟ですけど。本当に高設定ってあるんだなって」
――「あるところにはあるし、ツモるチャンスもあるのよ」
Nくん「みんな、こうして勝ってるんだな~」
――「ふはは、何をいまさら! 編集部のKもMも、よくここ来てるし」
Nくん「なんでみんな教えてくんないんスか!」
――「まあ、キミいっつも負けてるから見てらんないし」
Nくん「ヒドいな~。そういうラッシーさんはいくら勝ったんですか?」
――「ん~~~、8K………マイナスです」
Nくん「負けてるじゃないっスかwww」
――「ち、違うの! 設定は上だったんだよ? たぶん」
Nくん「たぶんてw」
――「CZクッソ入るのにクリヤーできないんだもん」
Nくん「ちょ~、感動薄れるじゃないっスか」
――「うっせえわ! 勉強代3万払え!」
たしかに高設定の絶対数は少ないし、ツモったとしても勝てるとは限らない。だからといって腐ってしまえば、さらに高設定が遠くなる。勝ちたい、楽しみたいと願うなら、面倒でも勝つ行動を選択しなければならないのだ。
パチスロは、ただの〝運ゲー〟じゃない。だからこそ俺も、こんなに長く飽きずに遊べているのだろう。
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- ラッシー
- 代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-
山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。
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