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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

2022.11.08

発想の外~パチスロ業界の裏側③~

ラッシー ラッシー   パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

※極秘の仕事を受けた経緯をぜひ御覧ください! 前編はこちらから。中編はこちらから。
 

政令指定都市へと向かう上り線の車内は、まるで貸し切りかのように静かだった。俺らは言葉を交わすでもなく、すっかり黒く染まった田園風景を眺めていた。遠くでは車の列が俺らと逆方向に流れている。

名前も知らない在来線は10分から15分間隔で停車するが、乗客は一向に増えない。俺は地元の山形に帰省しているような錯覚を覚えていた。高校からの帰り道も、こんな寂しい景色だった気がした。

K先輩「着いたらさ、飯でも行くか?」

唐突に先輩が口を開いた。

――「そっスね、一杯行きましょう」
K先輩「だな。一旦ホテルに荷物置いてからな」

――「了解ス」

ケンカ中のカップルのように弾まない会話。〝あの部屋〟を出てもなお、緊張が解けることはなかった。
 

解けない緊張。

スマホの検索で見つけた郷土料理店は、飯時ということもあり繁盛していた。

K先輩「おっ、人気店だけあってウメえな!」
――「ですね! 牛丼は帰っても食べられますから」

K先輩「さすが、いいこと言うなラシ夫は」

ホテル近くの牛丼屋でいいと言うK先輩を、どうにか説得して郷土料理店まで連れてきた。

――「しかし、今日は役に立てたかどうか……」
K先輩「ん~、まあそうだなぁ」

新システムの〝穴〟を探す。それが俺らの仕事だが、特別変わったことはしておらず、普段の新台取材と大きな違いはなかった。もちろん試打環境は大きく違ったのだが。

K先輩「初日じゃこれが限界じゃね?」
――「まあ……たしかに」

やはり会話は弾まない。別にK先輩と俺の仲が悪いわけではない。万が一にも情報を漏洩させてはならないという緊張感が、俺らの口数を減らしていた。あの部屋以外では機種の感想すら迂闊に口にできない。

K先輩「とりあえず、なにをやってるかは分かったな」
――「ですね。斬新だけど単純ではありましたから」

件の機種の肝である〝〇〇〇〇が集中する仕組み〟は理解できた。

K先輩「穴があるとしたらアレが発動してるときだろ?」
――「ですね。先方もソレを気にしてるでしょうし」

K先輩「明日はアレの発動中に、変則打ちから試してみるか」
――「そっすね。考えうる限りのパターンを試してみましょう」

機種名も演出名も口にできないため、どうしても「アレ」や「ソレ」が多くなる。こういった会話を社外でも円滑に進めるため、メーカーでは機種ごとにコードネームを使用する場合もあるらしい。

たとえば開発中の新機種が蟹(カニ)に関する機種の場合、蟹から連想するハサミから取ってパチンコなら「Pシザー」、パチスロなら「Sシザー」といった具合だ。これを社内統一しておけば、居酒屋などで話しても情報漏洩を防げるというわけである。

K先輩「しかしなぁ…明日は7時間だぜ」
――「ですね。あの息詰まる環境で」

K先輩「せめてもの救いは、まだアレが面白いことだな」
――「ですよね!?」

K先輩「通常時は平凡だけど当り中はなかなか」
――「たしかに。Kさん、300Gくらい乗せてましたよね?」

K先輩「乗ったな! まあ設定も分からんけど」
――「出玉設計は試験までに変わるかもしれないですしね」

K先輩「だな。さて、明日も早いし早めにホテル帰ろか」
――「そうしましょうか」

始業時間は一般企業と変わらないが、我々編集・ライターはフレックスタイムが当たり前。遅刻を恐れ、この日は早めにホテルへ戻った。
 

焦燥感と敗北感。

K先輩「ん~、疲れたな~」
――「午後はコレが5時間ですよ」

正午過ぎ。俺らは工場のそばにあるバイパス沿いの大衆食堂にいた。作業員は工場内の食堂で弁当などを食べていたが、俺らは精神面を気遣ってか昼時の外出を許された。

K先輩「もう無いよ~、穴なんて無い!」
――「無さそうっスね」

新システム作動中に試せることは一通りやったが、不具合や想定外の動作などは確認できなかった。

――「さすがといったところですね」
K先輩「さすがだよ! 鉄壁!」

たしかにパチスロに新システムが登場した直後は、穴のある機種が登場しやすい。思わぬ攻略法が発覚し、稼働停止になった実例もいくつかある。

K先輩「あとは〝どんなクレームが来るか〟かな」
――「クレーム?」

K先輩「世の中には俺らが想像もできない文句をいうクレーマーがいるから」
――「なるほど。新システムが原因で発生するクレーム……ですね?」

K先輩「そうそう。それもメーカーにとっちゃリスクだから」
――「たしかに。打ち手がホールにイチャモンつけまくって、ホールからメーカーに問い合わせ……みたいなケースはよく聞きますもんね」

K先輩「そうそう。それも想定しておけば、営業段階で対策法をホールに伝えられるじゃん?」
――「さすがっスね!」

K先輩「はい、クレーマーの気持ちになって!」
――「ムズっ!」

K先輩「キミは今、8万負けています。今月の生活費です」
――「困るなぁ~」

K先輩「どうにかゴネて、ホールから8万を取り戻したい」
――「ウーロン打とっかな~」

K先輩「おいヤメロ! もっとネジ外せ! 頭の!」
――「交換所の老婆オトそかな~」

K先輩「いきすぎぃ!! 少し戻ってこい!」

午後からも引き続き穴は探す。それに付随して、新システムに起因するクレームを挙げられるだけ挙げる。俺らは無い知恵を絞り、どうにかメーカーの期待に応えようと必死だった。
 

くすぶる不安。

この2日目の午後は、これまで打ってきたパチスロの中でもワースト3に入るほど苦痛だった。攻略ネタや楽しみ方を探るのとはまるで逆。揚げ足をとるような、重箱の隅をつつくような時間だった。

相変わらずハード面・ソフト面の〝穴〟は見当たらない。そして、午後からのテーマに挙げたクレームも、これといって浮かばなかった。

K先輩「これはもう、完成されてるな」
――「そのようですね」

K先輩「隙がねえよ」

マイク越しに聞かれているだろうと分かりつつ話した。初日の試打開始時に渡された紙はびっしりと埋め尽くしたが、この機種を仕上げるのに役立つことはないかもしれない。月並みの感想を並べたにすぎなかった。


そして迎えた18時―――

『お疲れさまでした』

スピーカー越しに声が響くと、少し間を置いてドアが開き課長が姿を現した。

課長「長い間お疲れさまでした」
K先輩「いえいえ、あまりお力になれませんで」

課長「いや、むしろ安心できましたので」
――「一応、気付いた点や気になる点は用紙に記入済みです」

課長「ありがとうございます」
――「たいして役立たないかもしれませんが」

課長「いえ、今後の参考にさせていただきます。今から東京まで?」
K先輩「はい。19時半頃の新幹線で」

課長「あらら、では帰り支度の間にタクシーを呼んでおきます」
――「恐れ入ります!」

無骨な鉄筋とカメラに囲まれながら打つ時間がやっと終わった。しかし達成感は1つもなく、無力感や敗北感を覚えていた。きっとK先輩も同じはずだ。

編集部がこの仕事をいくらで請け負ったかは分からないが、大人2人を2日間も拘束しているのだ。交通費や宿泊費も考えれば、相応の額を払っただろう。それを払うだけの価値が、我々の試打検証にあっただろうか。


ロッカーを開けて数時間ぶりにスマホを見ると、数件のメールが届いていた。慌てて目を通したが、どれもホールからの営業メールだった。編集部員から連絡がないところを見ると、一昨日送った原稿も問題なかったのだろう。

1階に降りて〝黒い箱〟を出ると、すでにタクシーが待っていた。

課長「それでは、2日間ありがとうございました」
K先輩「こちらこそ、お世話になりました」

2人揃って深々と頭を下げ、タクシーに乗り込んだ。タクシーはバイパスには出ず、田園に囲まれた暗い夜道をゆっくり走った。タクシー内は無言だった。クドいようだが、疲れているせいではない。

寂れた駅のホームで電車を待つ間、やっと先輩が口を開いた。

K先輩「まあ、やれることはやったな」
――「はあ、収穫らしい収穫はなかったですが」

K先輩「まあ、先方も想定通りだろうよ」
――「だといいんスけどね」

K先輩「俺らよりずっと賢い開発さんが無いように作ってんだ。1日や2日、俺らが探して見つかる穴なんて想定済みだよ」
――「たしかに」

これで万事OK。メーカー側も、この結末を望んでいたに違いない。

K先輩「あとは実際に導入されて、が見つからないといいけどな」

――「それが怖いっスよ。それだけはあっちゃいけねえ」

答えが分かるのは数ヶ月後か。半年や1年後かもしれない。それまでこの不安はくすぶり続けるのだろう。俺らの腹の中で。
 

発想の外。

東京に戻ってからの俺らは、何事もなかったかのように編集業・ライター業に戻った。編集長からも詳しい話は訊かれなかった。いや、K先輩は報告していたかもしれないが。

そして数ヶ月が経つと、件の機種のプレスリリースが届いた。俺もK先輩も何食わぬ顔でリリースに目を通し、無事に試験を通過したことを知って、ほんの少しだけ肩の荷が下りた気がした。

そこから2ヶ月ほどで緊張の導入日を迎えたが、ネットには数日経っても目立った攻略情報やキズネタは上がってこなかった。きっとK先輩も、やっと解放された気分になっただろう。

俺もK先輩も担当機種から外れていたため、積極的に打つ機会はなかった。が、導入から1ヶ月ほどが経った頃、いよいよ誌面実戦で打つ機会が訪れた。

ホールで改めて対峙すると、まるで旧友と再会したような気分になった。あまり得意ジャンルではナイが、当たり中のゲーム性は嫌いじゃない。残念ながら大人気ではないものの、サウンド面にもちょっとした中毒性があり、一定のファンはついているらしい。

後輩編集「結構キツい台らしいスね?」
――「まあ、いわゆる荒波台だからね」

胸の高鳴りを抑えつつ打ち始めると、ほどなく射止めた一発目の初当りで……

――「な、なんだコレ!?」

初期ゲーム数が200Gスタート!! 基本は数十ゲームなのに! 開店10分で大勝を予感させる展開。そして、その後に突入した特化ゾーンで爆乗せ! 出玉はあっという間に2,000枚を超えた。

後輩編集「ヤバすぎる!」
――「チョッロ!! 焼き肉屋探しとけ!」

怒濤の展開に気をよくしていると、ふと、2台隣で同じ機種を打っている若い女性が呼び出しボタンを押したことに気が付いた。対応に訪れた店員と、なにやら言い合いを始めている。

気にせずプレイを続けたが、言い合いはなかなか収まらず、女性は店員に連れられどこかへ消えていった。

………まさか!?

居ても立っても居られず別の店員を呼び止めた。

――「すみません、さっきの女性はなんて?」
店員「なんか、払い出しがないとお怒りでして」

――「払い出しがない?」
店員「ええ。小役が連続してるのに、メダルの払い出しがないと」

女性が打っている台を見ると、絶賛新システムが発動中

――「えええ!!? ……当たり前じゃん」

特定の状態に入ると小役が連続するシステムは多数存在する。レア役がすべてリプレイになったり、擬似遊技になったり。システムは違えど、払い出しのない小役が連続することなど珍しくもないが……。

店員「お金を返してほしいとのことのようで」
――「はぁ……た、大変っスね」

たしかに俺らのようなヘビーユーザーには当たり前でも、ライトユーザーから見れば納得できない事象かもしれない。俺もK先輩も、ライトユーザー目線にはなりきれていなかったということか。

後輩編集「どうしたんスか?」
――「えっ? いやなんでもない」

後輩編集「そんな出てるのにテンション低! ツマんないんスか?」
――「違わい!」

その後、メーカーからお叱りを受けるようなことはなかった。俺らは想定できなかったが、メーカー側はそのクレームさえも想定済みだったのかもしれない。

パチスロを作るのは難しい。それが新システム搭載となれば〝なおさら〟だ。それを改めて思い知らされた一件だった。それでも新たな試みに挑戦しつづける開発陣には、ただただ頭が下がります。
 

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ラッシー
代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-

山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。

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