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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2021.11.02
パチスロライターに“なってしまう”まで。episode.2(プロと言われることの葛藤)
「今日は、テクノポリスが開店サウンドの日か」
1992年の暴力団対策法の施行から数年の時を経て、パチンコホールは大きく様変わりをし始めていました。それ以前は、開店時には軍艦マーチ。閉店時には蛍の光が定番サウンドでしたが、他店とはセンスが違うことをアピールするためか、ポップさを出すためか。そのホール独特の選曲をするところが増えていったように思います。
私が通うようになったA店もそうで、開店時はいずれもYMOの“テクノポリス”か“RYDEEN(ライディーン)”。閉店時の追い出しは、テレサテンの“Good Bye My Love”が流されていました。
もう少し後から(ホールを巡れるようになってから)の考察ですが、フジテレビのF1中継でお馴染みT-SQUAREの“TRUTH”を流しているところが多かったように思います。煽られまくるわけでもないフュージョン系は相性が良いですね。思い思いの台に座り、缶コーヒーでも買ってタバコに火をつける。心が整ったところで1G目を始められます。
1997年になると、A店の音楽の好み(CDをかけるスタッフさんもいた)まで把握できるくらい、長い時間を過ごすことになります。ここでほぼ唯一の技術介入をする人間。そのアドバンテージは予想以上に大きく「勝っている記録を取りたい」と、収支表をつけるようになっていました。右肩上がりに伸びる数字。楽しくないわけがありません。
「青7を狙ってもらわないと困ります」そう話しかけてきた以来、そのスタッフさんは私をイジってくるようになりました。当時は、マイクパフォーマンスが当たり前。「◯◯番台のお客様、BIGボーナススタートおめでとうございます」これが普通です。ところが、ハマってのREGでガックリしている私を見つけては「◯◯番台のお客様、待望のREGボーナススタートおめでとうございます」といった具合に。ひどい(笑)。
自然と笑いが起きる、自然と人の輪ができる。そんなコミュニティの中心的な役割を担えるスタッフさんでした。その彼にイジられることで、他の常連客にも存在が認められ、話しかけられるようになったのです。朝イチ、先にBIGを引いた人が、顔見知り全員分のジュースをご馳走する。そんな常連の輪に私も加えられました。それほどお客さんが多くない店だから、そんな風習となっていたんでしょうけど。
A店も慈善事業ではありません(オーナーが某メーカーの創業者で、緩いほうではありましたが)。私が勝つ分は、この一緒に笑っている常連さんたちの負け額から賄われている。プー太郎でもわかることです。
この人たちのほうが、圧倒的に輝いて見えませんか? 自分のなすべき仕事をして、その中から趣味に各々決めた範囲でお金を使っているのです。負けても楽しいと思うから。対価に見合った楽しさを見つけられているから来ているのです。少なくとも、コツコツ働ける、私のような人種にはない才能を持っています。
いつの時代も「パチプロ・スロプロでこれだけ勝っている」と格好をつけて言う人をアホかと思います。上手いから勝っているのではありません。勝たせてもらっているだけです。
通常時の小役狙いの概念を理解したところで、攻略誌の読解も加速しました。前に読み飛ばしていた部分もスラスラ。メダルが減少していくスピードが一定になるよう力が働いており、その基準以上に減っていれば小役は揃いやすく。基準以下であれば、小役が揃いにくい状態となること。雑誌に書かれている通りの手順を実行すれば、高設定と特定できる機種まであることを知ることができました。
初期4号機で三大攻略法とされる「リプレイハズシ・設定判別・小役狙い」が揃うこととなりました。端折っているように見えますが、追々と。その最低限が揃っただけです。タカが知れている(パチスロ生活者にとって初歩的な)レベルでしたよ。
低交換率の営業が中心なので、高設定は当たり前のようにあり。狙いを外したとしても、設定1の出玉率が100%超えとなる機械が多数。交換ギャップの負けを減らすべく、持ち玉があればひたすら粘るのがセオリー(時と場合によりますが)。無尽蔵に時間のある私には実に優位な時代でした。
そんな知識を持ってみると、 A店はアマすぎると判明します。10台あった『ゲッターマウス』だけでも、設定5以上が少なくとも3台程度。おまけに設定を入れるのは店長一人で、木曜日午後から金曜日の午前中は必ず休み。金曜日は据え置き確定です。いや、普通に『クランキーコンドル』も設定6がありました。
右肩上がりに伸びる数字が楽しくて仕方ない時期ゆえにやりすぎます。自然と設定もカラくなっていきました。間違いない。私が、あの人(常連客)たちの笑顔を減らしている。あの人たちに、こんな私でも加えてくれたこのコミュニティに、私は何をお返しできているのだろう。自分で自分の首を絞めているだけではないだろうか。
私でなくとも誰かが出し切るでしょうし、時間の問題だったかもしれません。しかし、私の存在が彼らの収支に悪影響を及ぼしているのは確かです。平均設定が下がれば、それだけボーナスの確率も下がります。彼らの打つモチベーションが下がればホールの売上も下がり、私が得られる還元も小さくなっていきます。ホール経営側の方々からは、考えすぎと言われそうですが。
いきなりではなく徐々にですが、私の行動が変わりました。「××さんが見落としやすいリーチ目一覧」などの手書きしたものを渡したり(今から思えば、渡されても困っただろうね)。これが私の初原稿かもしれません(汗)。その月の収支が危うい人のBIG中を代打ちしたり。据え置き確定の金曜日の前は、自分が打つためではなく、青くなっている人にお勧めするためのリサーチとしてみたり。ヤバい状況なら自分で打ちますが。
それから常連のお客さんに対して、勝ちは小さく負けは大きく見せていましたね。お店側はホールコンピューターで、ほぼ正確に把握していたでしょうけど。
常連のお客さんからプロと呼ばれることはありましたし、否定はしようがない存在とは思っていました。ただ、自分からプロと名乗るには抵抗がありました。ただ勝っているだけの人をプロと呼べるのか。技術的な目標を見せるなり、ゴルフのレッスンプロのように教えられる存在となって、初めてプロと胸を張れるのではないか……と。
ホールというコミュニティに対しての行動も変わりました。一見のお客さんがいる時は、ドル箱を足元(棚がまだなかったのでね)ではなく、隣の席や膝に抱えてプレイ。少しでも見せ玉に貢献します。ボーナスを揃える目押しサービスも率先。ここで飼っていただきたい。そんな気持ちでございました。パチスロ生活者なんぞ、ホールに嫌われれば簡単に干からびさせられます。
他の常連のお客さんに迷惑をかけるような人は、威嚇とか排除しましたけどね(笑)。前日の晩にハマりまくった台をわざわざチェックしにきて、翌朝その人がいるのに上げ狙いで座る奴とか。せっかくのお客さんを私が選ぶ権利はないので、ほどほどにしていましたが。まあ、そんなバトルは当時そこらのホールであったかと思います。プロ的な先客がいるアピールとか。
そういうことができるようになったからといって、私の給与(A店からの還元)が増えるわけではありません。売上に対しての還元ですから限界があります。体の調子とともに稼働時間も増えましたし、この右肩上がりがどこまで伸びるかも見てみたい……。
結果的に、違うホールでも打つことを視野に入れるようになりました。たまにA店に来るようになった若者の中に、他店の店員さんもおり、いろいろと外の情報も少しずつ耳に入るようになっていたからです。「どこどこのホールは、時間関係なくスタンプ30回目のBIGで設定6にしてくれるイベントをやっているよ」なんて。
基本的に常駐するのはA店。必要あれば遠征して収支をブースト。気が付けば電車にも乗れるようになっていました。
そんな1997年の年末。常連客の一人である蕎麦屋のオジサンにこう頼まれます。「大晦日、ウチで年越し蕎麦のバイトしてくれないかな? 1日のアガリとしては打つより安いかもしれないけど」。
この人たちの笑顔を考えていたことが伝わっていたんだ。号泣しました。パチスロを打っているだけの私を信用してくれ、必要としてくれて。この時にいただいたアルバイト代は、この年のどんな大勝ちよりも重たかったです。
★収支に新機種は必要ありません。
▲これら4機種しか知らないといっても過言ではない状況でした。
ずっとここまで打っている機種は変わっていません。なぜならば、A店のラインナップが変わらなかったから。確かに『クランキーコンドル』限定のスロッターもおりました。私もそんな“機種限定スロッター”と同じに見えるかもしれませんが、そうではありません。“ホール限定スロッター”だったのです。
勝てるホールがあるのに、わざわざ他店に出かける必要性は感じません。勝てるホールにある機種を打つのみ。
それ以上も以下もございません。このホールが入れるんだから、良い機種なんだろう。この新台、稼働イマイチだから設定を使ってくるだろうな。そんなことを考えられるのが、もっとも幸せかと思います。どのホールも信用できないから、設定1でも楽しいと思えるあの機種だけ……。その場凌ぎですよね。これからの時代、原点に帰ってホール自体の魅力が大切だと思いますですはい。
このホールの雰囲気をもっと書きたくもありますが、さすがに機種という見栄えが変わらないので、ぎゅっと濃縮しました。スタッフさんと常連さんについて、今でも50人くらい人となりやエピソードを書けます(笑)。
保証はないので、勝てる時に勝つべき……という風潮も分かります。私は、1度の万枚よりも5回の2000枚のほうが好きかな。5日分の見せ玉効果が得られますから。そのホールが盛り上がって、そこで末長く地元の人に遊んでもらえる状況こそ、多くの方面で笑顔が生まれるでしょう。
ホール数の減少は、打ち手がドライになった。余裕がなくなったことにも起因していると思っています。「そのホールがどうなろうが知ったことではない。地元でもないし、恨んでくる人もいない。勝てなくなったら次に行くだけ」と、後腐れなく出すほうがラクですし、強いのです。私もそんな打ち方をしたホールありますけどね。
さて、次回から大海原へ。
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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