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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

2021.08.17

大いなる敗北~ライターの陰の仕事~

ラッシー ラッシー   パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

ドアノブは体温とさほど変わらなかった。例年通りならエアコンの風を受け冷えているのだろうが、この年ばかりは事情が違った。

東日本大震災から始まった極端な電力不足は徐々に解消されつつあるが、節電ムードは終わりが見えない。いや、むしろこの節電ムードこそ日本社会の本来あるべき姿なのかもしれない。

――「失礼します」

そう言いながらドアノブを捻った。

編集長「おう、時間ピッタリだな」

すぐに編集長が目に入った。ニコニコと笑っているが、緊張を含んだ笑顔である。案の定、その横には知らない人物が立っていた。

小柄な男性で、年齢は50歳前後といったところか。

男性「暑い中、ご足労いただきスミマセン」
――「いえ………」

俺は名刺入れを取り出そうと右のポケットをまさぐった。
 

突然の呼び出し。

「名刺だけ持って編集部に来い」

編集長からそんな電話をもらったのは4日ほど前だった。名刺は取材に行く際や、同業者と合う機会でもなければ携帯しない。誰かが俺を訪ねて編集部に来るのだろう。

――「要件はなんです?」

と訊いたが、「来たら説明するから」のひと言である。……怪しい。それでも俺は訊くことを諦めた。理由は2つある。1つ目は編集長の性格だ。

編集長「なんで俺がお前に説明しなきゃいけねーんだよ」

この編集長は、俺を編集・ライターとして育ててくれた人物だ。もう何年も一緒にいるため、互いの性格は熟知している。『カイジ』に出てくる利根川よろしく、素直に質問に答えてくれるタイプじゃない。

とはいえ、ただイジワルをしているわけではない。こういった含みを持たせるときは、良い話か悪い話の2択だ。声のニュアンスからすれば前者。ならば、詳しく訊いて時間を取らせる必要もない。

2つ目はドッキリの可能性。

パチスロ雑誌や番組の企画は、年々バラエティー化しつつある。ライターをハメるドッキリ企画も少なくない。ドッキリにノッてあげるのも我々の仕事………なのだろう。

俺に合わせたい人物……。まるで心当たりがない。まさかファンではナイだろうし、警察のお世話になるようなこともしていない。となれば、やはりドッキリの線が濃厚だ。
 

男性の正体。

応接室は不思議なほど静かだった。薄い壁を隔ててパチスロ漫画誌の編集部が置かれているが、その声は聞こえない。緊張のせいかもしれない。俺はチラチラとカメラを探しつつ、例の男性に近づいた。

編集長「ラッシー、こちらDさん」
――「Dさん……はじめまして。ライター・編集のラッシーと申します」

名刺を差し出し、D氏の名刺を受け取る。

D氏「はじめまして。Dと申します」

すぐさまD氏の名刺を見ると――

株式会社〇デザイン
デザイン部 部長


デザイン会社!? いくつかのデザイン会社となら繋がりもあるが、聞いたこともない会社だ。まだ話は見えてこない。

編集長「どうぞ、おかけになってください」
D氏「では失礼して」

俺はD氏と向かい合ってソファーに腰かけた。

編集長「では、Dさんからご説明いただいて」
D氏「はい、それでは……」

D氏がビジネスバッグから先月号の攻略誌「H」を取り出し、テーブルに載せるや付箋が付いたページを開いた。そのページを見た瞬間、一気にイヤな汗が噴き出した。

D氏「こちらのページを作られたのがラッシーさんだと伺ったのですが、お間違いないでしょうか?」

間違いない。俺が作った新台紹介ページだ。文章だけではない。ラフから責了までの編集作業も、すべて俺が担当したページである。なにか怒らせてしまったのだろうか……。

――「はい、私ですが……なにかありましたか?」

このデザイン会社とメーカーの関係は分からないが、書いてはいけないものを書いてしまったのだろうか。それともキャラのイラストを「使ってはならない形」で使ってしまったのか……。
 

陰の仕事。

パチスロに登場するキャラのイラストを誌面やWEBメディアに載せる際、版元が厳しいルールを設けるケースもある。

色味や縦横比を変えないことは当然だが、「少しでも切れてはダメ」とか「キャラを重ねる場合、必ず〇〇より〇〇を前に」というような細かいルールも存在する。

それを破ってしまうと大変だ。怒られる程度で済めばいいが、最悪の場合は訴訟沙汰もあり得る。言わずもがなパチスロのキャラも著作権で保護されているからだ。版権モノのキャラを扱う場合は、とりわけ注意が必要となる。

問題のページで扱った機種は、ゴリッゴリの版権モノだ。いよいよ土下座する日が来たか。そう覚悟しゴクリと唾を飲んだが……

D氏「いや~、とても素晴らしい記事です」
――「………はぁ!?」

ニコニコと笑みを浮かべるD氏。俺は頭の整理がつかず、素っ頓狂な声を上げてしまった。

D氏「書店にある攻略誌をすべて買って見比べさせていただきましたが、この機種のゲーム性を咀嚼して伝えているのはこのページだけでした」

――「は、はぁ……」

怒られないことに安堵したが、未だにこの男性が何を言いたいのか分からない。たった1ページの機種紹介だ。特別チカラを入れて作ったページではない。褒められる要素などナイはずだが……。

編集長「この機種の営業資料を作ったのがDさんの会社なんだって」
――「は~~~、なるほど」

メーカーが新台を発表すると、メディアに向け一斉に資料が配られる。資料はメディア向けに作られることもあるが、ほとんどの場合はホール向けの営業資料だ。メーカーや販社の営業マンが、その営業資料を持ってホール法人を回るわけである。

営業資料の内容は基本的なゲーム性や仕様について。概ね小冊子と同じで、詳細な解析数値などはほとんどない。「今度の新台はココがウリですよ」とアピールするための資料だ。近年は「CV.〇○」と声優推しの資料も多いが………。

これまで営業資料を作った人に会ったことなどないし、そんな人がいることを意識したことさえなかった。たしかに印刷物なのだから誰かが作成しているハズだが、まさかこうして顔を合わせる日が来るとは!
 

意外な提案。

D氏「この機種の資料、どうでしたかね?」
――「どうって………」

D氏が前のめりに俺の顔を覗き込む。

編集長「ラッシー、正直な意見が聞きたいそうだ」
D氏「ええ、厳しい意見でもぜひ」

――「はぁ……なら1点だけ困ったところがありました」
D氏「困ったところ!? それをぜひ!」

――「ARTのカギとなる“ドリンク”の説明が無かったんです」
D氏「あ~、そこです! それを聞きたかったんです」

この営業資料が印象に残っていたのは、致命的な欠陥があったためだ。機種を特定されたくないため例を挙げると、資料にあるゲーム性は概ねこんな感じだった―――

〇ART中はドリンク獲得を目指せ!!
〇ドリンク獲得の高確率状態も!!
〇ART中は周期到達で上乗せチャンス!!


これら文言から読み取れるのは「とにかくドリンク獲得が重要」ということと、「ART中は周期抽選で上乗せがある」ということくらいだ。しかし、肝心のドリンクについての説明が1つもない。

もしドリンク獲得時も上乗せするのであれば、そんな重要なことを書かないわけがない。つまりドリンク獲得=上乗せではナイ。

また、状態がドリンク獲得率に影響するということなら、上乗せの状態が別に存在する可能性は薄そうだ。もし上乗せ当選率を左右する状態もあるのなら、そちらを優先して書くだろう。

上乗せ契機についてほかの記述がないため、周期到達が唯一の契機と予想できる。そうなるとドリンクの存在意義が分からない。獲得時にどんなメリットがあるのか。

――「だから考えたんですよ」
D氏「ええ、ええ」

――「周期到達で上乗せするなら、ドリンクは周期までのゲーム数を短縮する役割じゃないかって」
D氏「おおっ! そうですそうです」

ドリンク獲得で周期短縮という表記も一切なかったが、そう解釈すれば資料の内容もすべて辻褄が合う。確証はないものの「まず間違いないだろう」と思い記事にしたが……。

――「メーカーさんからもご指摘はないので、合ってますよね?」
D氏「おっしゃる通り。そういった説明ができる方を探してたんです」

――「探してた?」
D氏「資料作りにお力をお貸しいただけませんか?」

――「え? 私が資料を……!?」
編集長「そう、スタッフに加わってほしいそうだ」

D氏「そうなんです。当社にはパチスロに詳しい者がいないので」
――「はぁ、なるほどですね」

デザインするだけであれば、パチスロの知識など必要ない。ラフ(設計図)を基にデザインすればいいのだから。しかしパチスロのゲーム性が複雑になり、いよいよ知識が必要になってきたのだろう。

編集長「どうだ? ラッシー、最近忙しそうだけど」
――「ええ、お陰さまで……」

震災から日が経つにつれ仕事は増え続けている。ライティングはもちろん、増刊本の編集作業も多くスケジュール帳は真っ黒だ。それでも、営業資料を作れる機会なんてなかなかない。

――「外部の仕事ですが、編集部的には問題ナイすか?」
編集長「当たりめーだろ! うちが紹介してんだから」

当時、外部で仕事をするライターは少なかった。我が編集部では知り得る限り1人くらいか。

――「なら、お願いします! お役に立てるか分かりませんが」
D氏「ホントですか!? ありがとうございます!!」

こうして俺は、とあるメーカーの営業資料作りに携わることとなった。
 

知らない世界。

D氏「甲は乙に対し………、また乙は甲に対して………」
――「……はい………はい………」

営業資料作りは極めて機密性の高い仕事だ。まだ世に出ていない資料を扱うため、守秘義務が課せられる。それゆえしっかりとした契約が必要となる。

D氏「では、クライアントさまとの打ち合わせに行きましょう。その後、弊社を見学していただいて……」

資料作りの流れは、これまで何度か経験している「小冊子作り」と大きくは変わらなかった。簡単な仕様書を見て、実際にプレイする。そして分からないところは開発の方に質問……といった運びだ。

ちなみに資料作りに携わった機種を攻略誌「H」で担当することは許されなかった。まだ世に出ていない情報も知っているためである。まあ、攻略に繋がるような数値の類は1つも目にしていないのだが。

なお、俺が資料作りに携わっていることを知っているのは、編集部でも編集長と副編集長の2人だけだった。

打ち合わせの内容からラフを作成。デザイン会社で形にしたページをメーカーに持ち込み、何度も何度も修正を重ねていく。

別件で会議に出られない際は、メーカーの許可を得て録音してもらった。その音声データを聞きながら、また資料に修正を加えていく。

ほかの編集やライターにも話せない秘密の仕事。それを昼夜問わず黙々とこなす。売れっ子ライターなら、まず通りはしない裏方の仕事だ。それでも大好きなパチスロが仕事に繋がっている。その事実が嬉しかった。

俺のようなフリーライター・編集も、ユーザーと同じ「パチスロ好き」だ。ただ可能であるなら「受け手」ではなく、少しでもパチスロの役に立ちたい。そんな気持ちがあったから、小冊子作りや営業資料作りに「やりがい」を感じていた。
 

大いなる敗北。

数週間におよぶ作業が終わり、営業資料は俺の手を離れた。クライアント(メーカー)の修正にもすべて対応し、あとは間違いがないかの最終確認と納品を待つだけ。

そして2~3日が経ち、別の仕事に夢中になっている頃。いよいよ納品完了の知らせが届いた。スグにデータ共有サイトにアクセスし、納品データを確認すると………

――「ウソ……なんだコレ!!?」

つい先日まで作っていた資料とは似ても似つかない、まったくの別物が納品されているではないか!! すぐさまD氏に電話を入れる。

D氏「いや~、上層部の判断で全部ひっくり返りまして」
――「ええ? ……開発さんのOKも頂いてたのに?」

D氏「ええ、でも最終決定はさらに上の方々なので」
――「はあ……そうですか」

D氏「落ち込まないでください。いつもこれの繰り返しですから」
――「はあ……そうなんですね?」

D氏「ギャラは月末に振り込んでおきます」
――「……ありがとうございます。失礼します」

圧倒的敗北!! 数週間の作業が、最後の最後ですべて水泡に帰した。いや、すべてがムダになったわけではない。要所要所の文言やデザインは、多少引き継がれたハズだ。

小冊子作りも開発トップの最終確認でひっくり返ることはある。メーカー案件の動画だってそうだ。完成直前で「やっぱ1番最初の案に戻して」と言われるケースも珍しくない。

それでも、ここまで一気にひっくり返ったのは初めての経験だった。やはり俺は攻略誌サイドの人間。ゲーム性やシステムの解説に長けていても、メーカーの立場からホールに機種をアピールするという視点においては素人だったのかもしれない。

以降、D氏と仕事をすることは1度もなかった。

攻略誌の人間を入れれば変わるだろうと期待し、わざわざ訪ねて来てくれた。なのに俺は応えられなかった。手間と金をムダに使わせただけかもしれない。

この大いなる敗北は今なお忘れることができない。それでもD氏には申し訳ないが、俺にとってはいい経験になったと今でも思う。 小冊子作りは未だに好きだ。自分が作ったモノが全国のホールに並ぶなんて、これ以上の喜びはなかなかない。

この業界の主役は間違いなく機種そのもの。新台がリリースされる陰には、それを支える人たちがたくさんいるのだ。
 

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ラッシー
代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-

山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。

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