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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

2021.06.22

非現実的な風景~3.11~#02

ラッシー ラッシー   パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

収容台数が200台を超える広大な平置きの駐車場は、ほぼ空っぽだった。店舗入り口のスグ脇には5階建ての大きな立体駐車場があり、お客さんの大半がそこを利用しているためである。

余震は断続的に続き、そのたびカメラマンが三脚をギュッと抱きかかえる。ふと技術会社にお世話になっていた頃を思い出した。

「カメラは命より大事」

無論「いざ」という局面になればカメラを置いて命を優先すべきだが、それほどカメラは高価で、カメラマンにとって大切な物だ……という意味である。

あの頃お世話になっていた先輩方は、今ごろカメラを持って走り回っているだろう。地震が発生すると、深夜であっても局待機になるハズだ。

U先輩と並び、いつでもカメラを回せる態勢で待っていると、ほどなく白のセダンが駐車場に滑り込んできた。
 

プロの仕事。

白のセダンが停まるやスグにドアが開き、レースクイーンのような衣装の女性が3人降りてきた。そのうち1人は明らかに怯えきっており、ほかの女性に支えられている状況である。

U先輩「おぅ……まあ、こんな状況じゃ無理もねーか」
――「……ですね」

恐怖で泣きわめく女性を、他の女性やスタッフがなだめながらリハ開始。しかし、流れを確認している間にも小さな余震が断続的に襲いくる。その度に上がる悲鳴。

これは本格的に我々が経験したことのない災害なのでは? もはやCM撮影などしている場合ではナイのかもしれない。


いや、そんな今だからこそCMを撮らねばならない。状況によっては明日以降の再撮影ができない恐れもある。局から請け負った仕事なのだ。納期になって「準備できませんでした」では済まされない。

D「それじゃあ本番回して行こう!」
U先輩「よし、いこう!」

D「みなさん、元気に笑顔でお願いします」

カメラを回し始めたあとも小さな余震が続いた。その度に中断し、揺れがおさまるのを待った。 女性の1人は余震のたび悲鳴を上げ、その場へしゃがみ込んだ。それをみんなでどうにか励ましながら、幾度も撮り直した。

そして15分後――
D「ハイ、OKです! お疲れ様でした」
出演者一同「お疲れしたー」

どうにかCM撮影が終了。スグに撤収作業に入るスタッフ陣。まずは女性3人を先に帰らせる必要がある。

P「電車、たぶん止まってんだろ?」
D「おそらく。Tくん(AD)、ちょっと来て」

P「駅まで行って電車止まってたら、お前が彼女たちを家まで送り届けて」
AD「分かりました」

P「渋滞で引き返せない恐れがあるから、お前はそのまま直帰で自宅待機」
AD「はい、また連絡します」

P「ほかのスタッフ・演者はメシにします」

さすがは現場を長く回しているプロデューサーである。こんな不測の事態が起ころうとも、慌てることなく指示を出す。

U先輩「俺は帰るよ、飯は家帰って食うわ」
P「そうか。みんな無事だといいな」

U先輩「ええ、ではお先に」
――「お疲れ様でした!」

U先輩は足早に立体駐車場へと消えていった。人気者になり久しいU先輩。プライベートは謎ばかりだが、やはりご家族を想う気持ちは普通の人と変わらないのだろう。久々にU先輩の人間らしい一面を見た気がした。

P「ラッシーはレシート交換まだだろ?」
――「あ……はい、たしかに」

P「どうなるか分からねーけど、一応聞いてこいよ」
――「はぁ……」

地震ですっかり忘れていたが、メダル1,291枚ぶんのレシートだ。非常時とはいえ捨てるには惜しい枚数である。

P「交換してもらったらスグ裏の食堂来い。そこで待ってるから」
――「はぁ、分かりました」

憂鬱なのは、あのお客さんでごった返す人だかりの中に入ることだ。ホール側の対応次第では荒れていてもおかしくない。スタッフ陣と離れ、1人正面入り口へ向かった。
 

店舗側の対応。

「では、希望者の方はこちらに記入してくださーい」

人だかりに近づくにつれ、拡声器を通した声が聞こえてきた。店員が対応を発表しているらしい。

店員「レシートは店内が片付き次第、すべて交換いたします! 残高ありのカードも、もちろん精算いたします!」

なるほど。どうやらレシートは無効にはならないらしい。しかし、まだ遊技中だった人も多いハズ。レシートに交換していない出玉はどうなるのだろう?

店員「繰り返しまーす! 遊技中で出玉があったお客さまは、お名前と電話番号を……」

発表された店側の対応は以下の通り。

①補償希望者は名前と電話番号を紙に記入
②次いで打っていた機種と台番を記入
  (台番が分からない場合は位置でもOK)
③ホールが防犯カメラとホルコンを確認し、
  IN・OUT枚数から出玉を補償

なかなか良心的な対応と言える。「もうすぐ天井だったから期待値ぶん補償しろ!」などといった要求は通らないが、店内がグチャグチャになっている状況下での対応なのだ。概ね納得できる内容と言えるだろう。

もちろん中には店員に詰め寄るお客さんもいたが……。

たびたび遠隔の道具と疑われるホルコンだが、こんなときには役に立つ。ホルコンが1枚単位で正確なIN・OUT枚数をカウントしているからこそ、こういった対応が可能となるわけだ。


しかし、高設定をツモっていた人たちの心中はどうだろうか。プロならまだしも、そうでない一般客が緑ドンVIVAの6をツモれる機会など、そう多くはないハズだ。やっとツモった6が、地震によって稼働停止に……。どれだけ悔しいだろう。

さっきまでは羨ましく思っていた右隣の設定6。それをほんの1時間後に気の毒に思うとは。

レシートの交換までには時間がかかりそうだ。俺は一旦ここを離れ、スタッフが待つ食堂へと向かうことにした。
 

未曽有の大災害。

食堂の中は混乱もなく静かだった。スグにスタッフ陣を見つけ近づいたが、俺に気付く者はいなかった。そう、全員がテレビに釘づけだったためである。当然、俺もテレビを見上げ、ここでやっとことの重大さに気が付いた。

――「うそ……これ現在の映像ですか?」
P「おう、ラッシー……大船渡の様子だとよ」

――「そんな……」

津波が街を飲み込んでいく。所々で火の手も上がっている。まるでパニック映画ではないか。これが現実の映像なのかと目を疑った。必然、 食欲は一瞬にして失せた。

P「大変なことになったな」
D「アイツら大丈夫ですかね?」

P「連絡が取れねぇんだよ……」

この日は八王子でも収録があり、制作会社のスタッフの半分は、そちらに行っているらしい。

P「まあ連絡が取れねえんだから仕方ない。今は無事だと信じよう」
D「そうですね」

P「そうだ、レシートどうだった?」
――「あとで換えてくれるそうです」

P「おう、よかったな。とりあえずなにか食え」
――「はぁ……」

P「なんだ、食欲失せたか?」

察したようにプロデューサーが言った。フィクション以外でこんな映像を見たことがない。そりゃ食欲も失せるだろう。

P「分かるけどしっかり食っとけ。次いつ食えるか分からねえから」
――「え?」

いつ食えるか分からない??? ここは埼玉で、これから東京に向かうのだ。被災地じゃあるまいし、食事にありつけないはずがない。

P「もう高速は通行止めだとよ」
――「ええっ?」

P「鉄道なんて、もちろん止まってる」
――「マジすか……」

聞けば都内の交通網も完全にマヒ。主要な道路は歩いて帰宅する人で溢れているそうな。

――「そんなことあります?」
P「どうする? 家まで送ってほしいか?」

本音を言えば送ってほしい。しかし、自宅は神奈川だ。スタッフにも家庭がある。神奈川まで付き合せるわけにはいかない。

――「いえ……都内まで連れてってもらえれば、あとは自力で」
P「そうか。まず都内に着いてから考えよう」

――「はい、ありがとうございます」

ケータイは何度試しても繋がらなかった。飯がしばらく食えなくなるなど信じがたいが、たしかに都内の飲食店が営業を続けているかは分からない。プロデューサーに言われるがまま、半ば無理矢理しょうが焼き定食を腹に入れた。
 

第三の故郷。

遅めの昼食を終えレシートを交換してもらうと、すでに17時前になっていた。店内にはパチンコ玉が散乱していたが、景品カウンターの周りだけは綺麗に整理されていた。

ホールの外にはまだ対応を待つ人の姿がある。レシートまで交換できていた自分は、まだ幸運なほうなのだと思い知った。特別扱いを受けたわけではないが、この状況から比較的早く脱せることに、少しばかり後ろめたさを感じた。

機材車に乗り込み東京を目指す。高速の入り口は情報通り閉ざされていた。駅は見るまでもないため立ち寄らない。そして都心に近づくにつれ、徐々に現実が見えてきた。

これは簡単に帰れそうもない。

東京都へと入った途端、これまで経験したことがないような大渋滞。歩道にはうつむき加減で歩く人、人、人……。その列が途切れることなく続いている。「帰宅困難者」という言葉を知るのは、この数時間あとのことである。

P「どうすんだラッシー? 笹塚まで一緒行くか?」
――「う~ん、とりあえず新宿スかね……」

編集部がある新宿に通い続け、もう十年ほどになる。実家がある山形、自宅がある神奈川に次ぐ第三の故郷と言えば大ゲサだが、それでもやはり落ち着く街の1つだ。

P「新宿行ってどうすんだ?」
――「う~ん、ビデボにでも泊まりますよ」

D「はっはっは! そんなのとっくに満室だよ」
P「そうだな。漫喫も全部埋まってるだろう」

帰宅を諦めた人々が、すでに漫喫やカラオケに押し寄せているとの情報もあるらしい。

P「それにライターがビデボで生き埋めなんてなったら、預かった俺たちが編集部に言い訳できねえよ」
――「……はあ、すみません」

たしかに笑い話にしても笑えない。

P「まあ新宿までも時間あるから、ゆっくり考えろよ」
――「……はい、そうします」

ケータイは相変わらず「光る文鎮」と化している。仕方なくヘルメットをかぶって歩く人の波を眺めていた。
 

クソみたいな現実。

練馬の近くに着いたのは、ホールを発って3時間ほど経った頃。普段であれば有料道路を使わずとも1時間15分ほどで新宿に着くハズだが……。渋滞は変わらず続いている。

P「も~ダメだな。おい、ちょっと脇道入れ」
AD「ここ右行っちゃいます?」

P「そうしよう。動かねえ大通りよりマシだろ」

脇道に入って200mほど進むと、高架下にコンビニがあった。

P「おう、ちょうどいい。みんなトイレ借りてパンでも買って来い。金は出すから」
D「了解です。みんな行こう」

スタッフと連れだってコンビニに入ると――

――「な、マジかこれ……!?」
D「うわ~、もうこんな状況になってんの?」

弁当の棚は見事に空っぽ! 菓子パンやスナック菓子の棚も空っぽという状況である。30年ほど生きちゃいるが、これほど商品がないコンビニを見たのは初めてだ。

そのときである。二十歳くらいと思しき男女4人組が、それぞれの両手に大きな買い物袋をぶら下げながら入って来た。

男A「おっしみんな、食えそうな物どんどん持ってこい」
女A「え~、もうほとんど無いじゃん」
男B「とりま飲みモンだけ買って、次のコンビニ行こうぜ」
女B「そうしよ~!!」

なるほど、事は思っていたより遥かに深刻らしい。俺らが渋滞に巻き込まれている間、都内ではすでに食糧の買い占めが始まっていたのだ。

「次いつ食えるか分からねえからよ」

プロデューサーの言葉を思い出した。 まさかこんなに早く思い知らされるとは。

さらに俺をイラつかせたのが、その男女4人組の表情だった。まるでこの危機的状況を楽しんでいるかのようにヘラヘラしてやがる。いつも飄々としているU先輩でさえ、帰り際には父の顔を見せた。責任ある者の顔だった。

俺はどこかで日本人に期待しすぎていたのかもしれない。美化していたと言ってもいい。日本人は理性的で、かつ道徳的な民族なのだと。しかし実際はどうか。東北で地震が起きると、スグに東京で買い占めが起こる。

これが現実なのだ。


P「おう、どうだった?」
D「トイレ借りれませんでした」

――「お茶とアイスコーヒーだけは買えましたよ」
P「そっか……じゃあ新宿向かうか」

――「お願いします」

ハイエースは再び細い裏道をゆっくり進んだ。

どうやらカミさんの顔を拝むのは、そう容易ではないらしい。きっと無事でいるハズ。そう信じてはいるが、オンボロのマンションだ。間違いが起きてなければいいが――。

車は再び大通りに出た。

きっと長い夜になる。俺だけじゃなく、東日本に住む全員にとって。そんなことを考えながら、また途切れず続く人の列を眺めた。


つづく

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ラッシー
代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-

山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。

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