『レバーや抽選』を考える。

佐々木真パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

緊急事態宣言が継続され、またもお家時間が長くなっております。いくら座学が中心の物書きとはいえ、さすがにインプットはさせていただきたい。少しでも従来のような形に戻ってくれないと困るのです。そのためには一人一人が不要不急の外出を控えたりするしかありません。そして、結局インプット（情報だけでなくインスピレーションも）が少なくなるという悪循環です。

そこで今回は “レバー”を掘り下げてみようかと思います。リールはこう止まらなければならないなどストップボタン周りのことは多く語ることとなっていますが、そういえばレバーの話はまとめて書いたことがないことに気付きまして。

レバーがなければリールは回転しません。回転しなければ止めることもできません。すべての始まりがレバーといって良いでしょう。

ただ、私はメーカーの開発職の経験もありません。機種ごとの個性といったソフトの部分は、漏れ伝わることや考えることも多いですが、レバーはパチスロ機の根幹となるハードの部分です。あまり表には出ない部分なので、どこまで正確なことが書けるかは未知数です。

なので、都市伝説的なものも含む読み物と思ってくださると嬉しい限りです（笑）。

★パチスロは左、スロットマシンは右。

みなさん、パチスロ機のレバーを想像してみてください。パチ7読者の方々の大半は、左手前にある姿を思い浮かべることでしょう。ただ、その所定の位置である決まりはありません。なんなら、レバーでなくても構いません。

パチスロのルーツは、アメリカの占領下にあった沖縄に設置されていたカジノのスロットマシンです。大きなレバーが右についているのが一般的ですね。

▲アップライト型筐体

パチスロが法制化されて1号機となる前（1985年）の0号機時代。現在のような箱型筐体が登場するまで主流だったのが、アップライト型筐体でした。昔のカジノにあったような形ですね。

カジノのスロットマシンとパチスロでは決定的な違いがあります。ストップボタンの存在です。右利きの人口が圧倒的に多いので、ストップボタンも右手で操作されることが多くなります。右手でメダルを入れて、右手でレバーを操作して、右手でストップボタンを押す。右手が忙しすぎます。そこで、レバーくらいは左手で簡単に扱えるようにと今の場所となりました。

▲2号機から3号機にかけてタイヨーのみ右レバーを採用

パチスロが法制化され、箱型筐体一色となったあとも、沖縄県は過去からの流れもあり、3号機時代まで右レバーをガッシャンと引く形が主流。本土ではタイヨーのみが箱型筐体で押下するタイプの右レバーを採用していました。しかし『ガルーダ』『リスキーダック』『ミラクルユーフォー』の3機種のみで左レバーにモデルチャンジ。操作性に難ありと判断されたのでしょう。

▲レバーのない筐体も

遊技機規則にはレバーという言葉は書かれておりません。“回胴回転装置”と書かれています。レバーでなくても構わないのです。興進産業（のちのテクノコーシン・ラスター）から登場した2号機の『デートライン銀河』と3号機の『デートライン銀河II』は、レバーでなくリール回転ボタンを搭載。ただ、こちらも操作性に難ありと受け継がれることはありませんでした。

操作性を考えるとやっぱりこの形が一番ということですね。

★レバーのもう一つのお仕事。

レバーにはリールを回転させる以外にもう一つのお仕事があります。フラグの抽選です。いや、レバーと言い切って良いのか。

パチスロの抽選役（小役やらボーナスやら）を抽選するタイミングは、レバーを叩いてから全リールの回転が一定の速度になるまでと規定されています。なので、正確にはレバー以外でもできますが、大半の機種がレバー操作時に抽選をしています。

どのような抽選をしているのか。簡単に言えば超高速で回転している的に向かってダーツをする感じです。刺さったところにBIGと書かれていればBIG成立。リプレイと書かれていればリプレイです。

的は65536個に分かれており、そのうち200個にBIGと書かれていれば「65536÷200=327.68」などと計算をして、1/327.68のようなよく見かける数値となります。

では、この的はいつから回り始めるのか。電源を入れている間はずっと回りっぱなしなのか。まあ、いろいろあるのでしょうが、私が聞いた話では「メダル投入（BETボタン操作）」で動き出すらしいですね。違ったらすみません。分かったところでどうしようもないですけど（笑）。

リールの回転が一定になるまでの間にせよ、そのリールはレバーを叩かないと回らないわけでして。いずれにせよ、レバーを叩くときに気合を入れるのが正しいことになります。ただ、機種によってはレバー以外が出玉に大きく関わることも。それっていいの？

レバーで抽選されるのは、あくまでも成立役。メイン基板の管轄です。サブ基板が何でもありだった5.0号機までは、液晶演出に関してどんなときに抽選することもできました。何でもありですもん。しかし、5.5号機以降は、ATなど小役ナビ関連もメイン基板で管理されることとなりました。

では、やはりレバー周りで抽選されることとなったのか。そう思いがちですが、そのほかのタイミングでも抽選することは可能かと思います。

『北斗の拳』シリーズは、初代から最終停止ボタンを離した瞬間にこだわっています。初代なんてストックの継続抽選をしていましたからね。ストックのシステムはリプレイタイムと切っても切り離せません。リプレイ確率の変動はメイン基板で管理されます。そんな重要なものもストップボタンを離したタイミングで抽選していたのです。

最近の押し順ナビあり機は、ボーッとチコちゃんに叱られる感じでしか触っていませんが、有利区間の抽選などレバー周りで抽選をしていなかったとしても、私はまったく驚きません。こういうのは遊技機規則ではなく内規なので、どこかのタイミングでシレっと変わっている＆変わるかもしれませんけどね。

▲AKB48-薔薇の儀式

あ、そうそう。右レバーなどの話のついでに。『パチスロAKB48薔薇の儀式』のサプライズレバーは、演出用の飾りでもレバーでもなく、1BETの扱いでした。3回引けば3BETになって（普通のレバーを叩けば）回せます。

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佐々木真: 代表作：パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。