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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

2020.11.10

バラエティーに咲いた花~スーパーマジカルセブン~

ラッシー ラッシー   パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

掌に衝撃が走ると同時に、「スパーン!」と小気味よい音が響いた。高架下というこの場所が、音をより大きくしているのだろう。

左手がビリビリと痛いのは、グラブが安物だからという理由だけではない。カミさんが放つフォーシームは、一般的な女子が放つソレとは明らかに違う。男子の俺が嫉妬する代物だ。

――「スゲーいい球」
カミさん「父親がアレですから」

義父は「やり投げ」の国体選手だったらしい。その強肩を受け継いでいるのだろう。男の子に生まれていれば、放課後の公園でヒーローになっていたハズだ。

負けじと全力で放った球は、大きく右に逸れて不細工にバウンドした。

カミさん「ちょ~、どんだけ走らせる気?」
――「ごめん! ワザとじゃないんだ」
 

膨らむ影。

その頃の俺たちは、2~3日に1回のペースで河川敷に通っていた。シンプルにヒマだったのである。

収入にさほど不満はなかった。不妊治療で出ていくカネは多いが、当時は各仕事の単価が高いうえ、動画出演の機会も多く、2人で暮らすぶんには困らなかった。

しかし、内心では焦っていた。「書く場所」が少ないのである。収入だけなら好調と言えるが、明らかに「攻略ライター」の出番は減ってきている。

カミさん「あと20球ね」
――「うん、もう17時だし」

カミさんが放った球は、またも小気味よい音を鳴らした。

――「あのさ…」
カミさん「うん…」

俺の放った球はやはり逸れたが、カミさんのフォローでぎりぎりグラブに収まった。

――「原稿料あるじゃん。毎月の」
カミさん「うん、あるね」

――「去年から激減したと思うけど」
カミさん「んー、でも編集費と出演料でむしろ増えてるじゃん?」

――「そうだけど…」
カミさん「なんか問題あるの?」

――「たぶん編集費と出演料は一時的なモンなんだ」
カミさん「そうなの?」

――「いまパチスロが盛り上がってるから、ヘルプで編集してるだけだし」
カミさん「そうなんだ」

カミさんはウンウンと頷きながらも、変わらず伸びのあるフォーシームを放ってくる。

――「番組出演はなんつーか…向いてないかな」
カミさん「まあ、背伸びしてる感はあるよね~」

――「おぉ、言いますね」
カミさん「旦那に気ィ遣っても仕方ないでしょ」

――「まあね。…最近、デカい機種の担当になれなくてさ」
カミさん「前の赤ドンみたいな?」

カミさんはパチスロを打たない。それゆえ機種名などほとんど知らないが、ウチに大きな富をもたらした「赤ドン」だけはハッキリと覚えていた。

――「そう。大手メーカーの機種は、だいたい担当ライター決まってるし」
カミさん「そうなんだ」

――「やっぱり…これからの時代、ライターよりタレントかなって」
カミさん「ん~、でもやりたいのは書き仕事なんでしょ?」

――「まあ、そうですね」
カミさん「仕事のことは分からないからさ、好きにすればいいよ」

「スバーン!」とひと際大きい音が鳴った。今日イチ重い球だ。

――「うん…ただなぁ」
カミさん「ただ?」

――「もうチキンレースみたいになってんだ」
カミさん「チキンレース?」

――「誰が最初に音を上げて辞めていくか…みたいな」
カミさん「なるほどね…」

本格的に5号機時代が始まる頃、複数の先輩ライターが辞めていった。しっかり次を決め辞めていった人は少数で、最後の挨拶もできずひっそりと姿を消した人が大半だった。

その当時は理解できなかったが、近ごろはその先輩たちの顔をよく思い出す。もしかしたら、あのタイミングこそが絶好のヤメ時だったのかもしれない。

チキンレースの最初の脱落者は俺なのだろうか。

カミさん「次の一球で最後ね」
――「うん」

渾身の力を込めて放った球は、カミさんの足元で勢いよくバウンドし、草むらへと消えていった。

カミさん「しまらないね~」
――「…スンマセン」

草むらへ向かうカミさんの背を追う。

カミさん「どうする? 泣きの一球する?」
――「いや、そろそろ行くよ」

カミさん「そう。じゃあ戻ろっか」

かつては憧れのアイテムだったPORTERのリュックも、今は土で汚れている。それにグラブとボールを雑に詰め、ゆっくりと商店街を目指した。

――「じゃあ、ちょっと行ってくるね」
カミさん「はーい。夕飯、先に食べてるね」

――「うん、ゴメンね」
カミさん「まあ…仕事のことは好きにしていいから」

――「うん、ありがとう……」

カミさんとは駅前で別れ、俺は近くのスロ専へ向かった。
 

脇役。

ターミナル駅から徒歩30秒。そして18時前という好条件にもかかわらず、店内には曲名も分からないユーロビートだけが虚しく響いていた。

2階に新台が入ったようだが、真っ直ぐ1階奥のバラエティーコーナーへ向かう。目当ての機種の設置は2台。空き台は1台だけで、もう1台は60代と思しき男性が楽しそうに打っていた。
 

▲5号機「スーパーマジカルセブン」(トリビー)

2010年の春に登場したトリビーのART機。基本的にはARTのみで出玉を増やすタイプだ。

ART「ドリームラッシュ」はナビ回数管理で、純増は約2枚/G。規定ナビ回数は20・50・80回の3段階で、ナビ回数は8or9枚役成立で減少する。

ナビ回数ごとの獲得枚数は…
20回…最大120枚
50回…最大300枚
80回…最大480枚

50回ならノーマルタイプのBIGと同等。80回なら500枚弱を一気に獲得できる。ちなみにナビ回数の上乗せもアリ。


空き台の「現在のゲーム数」は442G。迷わず下皿にケータイを投げ入れた。液晶にはどことなくミ〇オン〇ッドの面影。黒い服をまとった赤髪の女性キャラも、なんとなく既視感がある。しかし、ただのネタ台と言うには惜しいマシンだ。

まず、通常時のシステムからして面白い。BAR揃い=ART突入となるのだが、ヒラの通常時のBAR揃い確率は約1/8,000とかなり重い。終日打っても1度引けるかどうか…といった確率だ。

しかしCZに突入すると、BAR揃い確率は約1/100にまでアップする。まずはCZを目指すことになるのだが、ココがこの機種のいいところ。

通常時は約1/25でチャンスリプレイ(黄7-黄7-赤7揃い)が成立し、それが揃うと液晶で偶数図柄が揃いCZへ。ベースは50枚あたり約35Gなので、1,000円に1回以上のペースでチャンスが訪れる。

なお、CZは見た目上5G継続だが、実際は押し順9枚役のこぼし目が出現するまで継続する。それゆえ液晶が通常画面に戻っても、突然BARが揃ってART突入というサプライズが起こり得る。

こんな風にシステムを説明するとツマらなく見えるが、液晶上のゲームの流れは至ってシンプル。偶数揃いならCZ、奇数揃いなら事実上ART確定。そんな調子だから、詳しいシステムを知らずとも楽しめるのである。

しかし、ただそれだけの機種であれば、俺もハマりはしなかっただろう。この機種は「喰えるニオイ」がしたのである。
 

喰えるニオイ。

この機種の天井は、現代で言うところのスルー回数天井だ。チャンスリプレイ(以下、チャンリプ)が規定回数に達すると「ドリームロード」というATに突入。ATはBAR揃いナビ発生まで継続するため、AT突入=ART確定という認識で構わない。

AT中は9枚役の押し順ナビが発生。出玉は微増程度だが、出玉を増やしつつART突入を待てるというわけだ。

チャンリプ天井は最大で50回。実戦上では34回以内での到達がほとんどで、50回まで持って行かれるケースはかなり稀。まだ天井狙いの具体的な期待値は判明していないが、体感的には10回後であればプラスになりそうだ。

俺の台は380Gハマリ。液晶から現在のチャンリプ回数は見抜けないが、CZ中のゲーム数を除いても11回程度には到達しているハズだ。そして打ち出すと、わずか5Gでチャンリプが揃ってCZへ。

CZ中の液晶上部には、現在のCZ回数が表示される。つまりそれがチャンリプ回数というわけだ。12回か、悪くとも11回で―――

まさかの8回!

前任者はチャンリプを引けず苦しんだようだ。8回では期待値がマイナスのような気もするが、あと2~3回引けばプラス域になるだろう。それにこのホールには空き台もない。何より天井狙いの実践サンプルが欲しい


俺は「スーパーマジカルセブン」の担当ライターだった。正直に言うと、担当を依頼されたときの気分は複雑。

トリビーは4号機時代に大好きだった「忍者くん妖怪絵巻」を作ったメーカー(※当時の社名はエイペックス)だが、どの機種も設置台数は総じて少なめ。必然、誌面のページ数も少なめとなる。


仮に深い規定回数が選ばれていたとしても、CZ中に自力でBAR揃いを射止めればいい。そう自分に言い聞かせて打ち続けると…

投資15,000円で当たりナシ! 現在のゲーム数は1,000Gに達しようとしている。CZ回数は前任者を合わせて28回。CZ中に約1/100を引くのがこんなに難しいとは!

サンプルを集めたい。そんな軽い気持ちで座ったのが間違いだった。どうせ俺が頑張らずとも、あと数日もすれば天井狙いのシミュレート結果が上がってくる。

しかし、打たずにはいられないのが攻略ライターの性。出揃った情報ではないにしろ、一般プレイヤーより先に「喰えそう」ということに気付けるのだ! そのメリットを活かさずにはいられない。

このあとの展開によっては、スーパーマジカルセブンの原稿料がパーになるかもしれない。いわゆるギャラ割れだ。しかし、それを恐れていてはパチスロ雑誌の編集・ライターなどできやしない。

今日は捨てよう。サンプルを買ったと思えばいい。負けデータだって貴重なサンプルになる。そして、その後もCZを重ねると―――

32回目のCZ後からAT「ドリームロード」に突入! 総投資は19,000円。仮にナビ80回を射止めても半分しか返って来ないため、プラス域への浮上は絶望的。あとはどれだけ取り返せるかだ!
 

目に見えるアツさ。

ATを30Gほど消化するとBAR揃いナビが発生してARTへ。肝心のナビ回数は…

最低の20回!

1,100G強までハマって最大120枚獲得のナビ20回とは!! あとは自力で上乗せを勝ち取るほかない。が、その上乗せシステムも、この機種の大きな魅力。

ART中の液晶右端にはリプレイカウンターが存在し、リプレイが10連すればナビ回数上乗せだ! もちろんリプ連が途切れるとカウンターはリセットされる。

これが単純ながら面白い。「あと何連すれば上乗せ」と、目標を具体的に目視で確認できるのである。もちろん7~9連までリプレイを重ねても、8・9枚役が成立すれば一瞬でパーになる。しかし、そのスリルが堪らない!

どうにかリプ連を重ねて粘るしかない。鼻息を荒くし打ち始めると、わずか3Gで「上乗せチャンス」が発生! 5択の押し順に正解すればBARが揃い、ナビ回数が上乗せされる。ナビ20回など一瞬で駆け抜ける。ココは是が非でも当てたいところ……

恐る恐るハサミ打ちで消化すると、中段ラインにBARが揃って+20回の表示が出現!

これで総ナビ回数は40回へと倍増! が、これでもまだ獲得枚数は約240枚だ。全然足りない! 焼け石に水!! もっと、もっと上乗せねば―――

ナビは残り10回を切った。そろそろ大きな上乗せが欲しい! ここでリプレイが4連していることに気付く。いや、5~6連止まりは珍しくない。まだ興奮するには早すぎる。心を落ち着かせ、無心でレバーを叩き続けると―――

7連…

8連…

9連…

緊張感で息が苦しい。あと1回! たった1回リプレイを引けば上乗せだ…!! 来るなよ、リプレイ以外は来るなよッ――!!

すると、レバーを叩いた瞬間にリプレイナビが出現して10連確定! これこれこれこれ!! この10連を走りきった達成感たる………



は!?

ひっそりナビ回数が1回だけ増えているではないか!! たった1回。この「半分だけでも取り戻したい」という状況で、あれだけ苦労して+1回て! それもそのハズ。リプレイ10連達成時の上乗せ振り分けは……
 

リプレイ10連時 上乗せ振り分け
+1回 90.0%
+5回 7.0%
+20回 1.0%
+50回 1.0%
+80回 1.0%

90%が+1回。+20回以上の振り分けはたったの3%…。

結局、ナビ回数は41回のまま、およそ240枚の獲得でフィニッシュ。やれることはやった。が、まだ終わっていない。ここからさらに試すべきことがある!

攻略してる感。

ART終了後の液晶はスグに通常時へと戻るが、内部的にはまだRT中になっている。ヒラの通常時ならペナルティがあるため変則打ちはNGだが、RT中はペナルティがないためどこから押しても構わない。

ここで中押しを実践すればRTが延命し、わずかだがコイン増加とART復帰も期待できる…というウワサだ。まだ攻略効果は不明だが、試さずにはいられない。

中リール中段に青7停止→小役非入賞なら、押し順9枚役こぼし=RT終了となる。その前にBAR揃いを引けばナビ回数上乗せ=ART復帰となるが……

8G後、静かに精算ボタンを押した。

およそ14,000円の敗北。〇ページ分の原稿料は割れたが、サンプルは採れたし延命手順も確認できた。この小さな経験の積み重ねが、必ず誌面で活きてくる。この地味な作業の繰り返しこそが、攻略ライターの仕事なのだ。

ちなみに、のちに判明した延命手順の攻略効果は…

■RT転落率
順押し…1/4.9
中押し…1/7.9

■RT中の純増
順押し…0.1枚/G
逆押し…0.9枚/G

RT1回あたりの攻略効果は薄いが、ART終了のたびに実践すれば大きな差が付く。

スーパーマジカルセブンは、誰もが知っているような名機ではナイ。しかし、飽きさせる間を与えない通常時に、上乗せへの道筋がハッキリと見えるART。そしてRT延命打法の適度な「攻略してる感」。派手さはナイがバランスの取れた遊技機だ。

ホールの看板機種にはなれないけれど、バラエティーコーナーでしっかり固定ファンを獲得する。そんなところに、当時の俺は惹かれていたのかもしれない。

腕時計に目をやると、まだ19時過ぎだった。

――「もう1軒行けるか」

少し軽くなった財布をポケットに突っ込み、自宅とは逆方向へ歩いた。
 

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ラッシー
代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-

山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。

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