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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-
2020.05.12
新台入替自粛中のビタ祭り【前編】~名機ウーロン~
濃密な3日間のはじまりも、やはり1本の電話だった。
K氏「今ヒマ?」
――「ええ、大丈夫です」
すかさずCtrl+Sを押し、書きかけの原稿を閉じた。担当機種が2つあるため、実際そこまでヒマではない。しかし、拾える仕事は1つとて逃したくなかった。
K氏は攻略誌「H」の副編集長だが、誌面作りにおいては実質的に編集長の立場を担っている。
K氏「しばらく新台出ないじゃん?」
――「そうすね、サミットですもんね」
入替自粛の影響。
【北海道洞爺湖サミット】
第34回主要国首脳会議は、2008年の7月7日から7月9日まで北海道の洞爺湖町で開催された。通称は「北海道洞爺湖サミット」。それに伴い全国のホールでは新台入替が自粛された。 |
ご存じの通り新台入替には警察官(生活安全課)の立ち合いが必要。しかしサミット期間中は警備・警護にあたるため、全国から多くの警察官が派遣される。そういった警察機関の事情を考慮し、各都道府県の遊技業組合が入替を自粛するのである。
入替できないホールだけでなく、新台をリリースできないメーカーにとっても大きな痛手となる。そして、我々メディアにとっても……。
こういった国際的な会議やスポーツ大会があるたび、パチンコ・パチスロメディアは打撃を受けるというわけだ。とはいえコロナ禍の自粛と比べれば遥かにユルいのだが。
K氏「巻頭で特集する機種がないから、特別企画をやろうかと」
――「いいじゃないですか。どんなです?」
K氏が語った企画内容は以下の通り。
【タイトル「ガチのりBATTLE」】
■3人一組で3日間ノリ打ち実戦を行う
■打てる機種は各チーム1機種のみ
■4チーム(4機種)でのバトル形式
■勝敗はシンプルに総収支で決定
■立ち回りに制限はナシ
※店移動アリ、ゲーム数ノルマなし
K氏「これで今1番勝てる機種を決めるんだ」
――「なるほど。シンプルだけど面白そうですね」
K氏「どう? 参加してくれる?」
――「もちろんです!」
K氏「よかった。実はもうチーム編成を決めていて」
――「はぁ…」
K氏「ラッシーにはチームリーダーをやってもらおうかと」
――「は? 俺が…リーダー?」
K氏「そうは言ってもまとめの文を書くくらいだけど」
――「はぁ、それくらいなら。…メンツは?」
K氏「Gさんとマコトくんなんだけど」
――「は!? 2人とも圧倒的に先輩じゃないすか!」
K氏「いや、だから面白いかなって」
――「なんでですか! さすがに畏れ多い」
G先輩は攻略誌「H」を読んで育った我々からすれば、まさにレジェンド的な攻略ライターだ。エロ本の編集長からパチスロライターになったという異色の経歴を持ち、パチスロのシステムに対する知識量も並みのライターを大きく超えている。ビタ押しの精度も極めて高く、攻略ライターのお手本のような人物だ。
K氏「いやね、実戦で1番活躍できないのラッシーだと思うんだよね」
何だって!? たしかに立ち回りでは先輩方に劣るだろう。しかし、俺も毎月そこそこの収支を上げている(※2008年当時)。収支で負ける気はしないが…!?
K氏「ラッシーたちにはウーロンを打ってもらおうかと」
――「なっ! ウーロン!?」
▲5号機「パチスロ格闘美神ウーロン」(サミー)
2008年の春にサミーから登場したノーマルタイプ。基本的にはBIGとREGだけで出玉を増やすオーソドックスなゲーム性だが、当時としては珍しいバリバリの技術介入機だった。完全攻略時の出玉率は設定1でも100.9%とかなり甘め。加えて演出バランスやBGMも秀逸で、5号機ノーマルタイプを語るうえで欠かせない名機だ。ちなみにBIG後999G消化、REG後777G消化で天井RTに突入するが、これはあくまで救済機能としてのRTである
|
ボーナス確率&出玉率 | |||
設定 | BIG確率 | REG確率 | 出玉率 |
1 | 1/397.2 | 1/736.4 | 100.9% |
3 | 1/366.1 | 1/668.7 | 104.6% |
5 | 1/341.3 | 1/601.2 | 108.4% |
F | 1/309.1 | 1/541.6 | 113.1% |
肝心の技術介入は要ビタ押し。BIG中のレバーON時に予告音+カットインが発生すれば単独チェリー成立の合図だ。
BIG中 小役確率 | |||
単独黒チェリー(15枚) | 1/4.03 | ||
単独赤チェリー(15枚) | 1/4.03 | ||
共通チェリー+スイカ(14or15枚) | 1/8.19 | ||
ベル(15枚) | 1/2.62 |
単独チェリーは黒or赤の実質2択で、2つを同時にフォローすることはできない。ここでビタ押しが必要となる。
予告音+カットインが発生したら、中リール中段に赤7をビタ押し。ビタ止まりすれば赤チェリー、黒BARが中段までスベって来れば黒チェリーと判断できる。なお、ビタ押し成功時は出目だけでなく、液晶とランプでも狙うべきチェリーの色がナビされる。対してビタ押し失敗時はノーヒントとなるため、勘で左リール枠内にいずれかのチェリーを狙うこととなる。ちなみにビタ押し成功時はお馴染みの効果音「ジュワ~ン♪」が発生。
――「マジすか! ウーロンか~」
K氏「あれ? ウーロン嫌い?」
――「むしろ大好物です! でもビタ苦手だからなぁ~」
K氏「そう。だから実戦で活躍できないぶん、リーダーとして働いてってわけ」
――「なるほど…」
G先輩とマコトさんは、我が攻略誌「H」において最もビタ押しが達者な2人だ。そんな2人がウーロンを打つのは卑怯だから、あえてヘタクソな俺を投入し、他チームとのバランスを取ったのだろう。つまり俺の存在はハンデ。完全なるオチ要員である。
――「…分かりました。ちなみに他の3チームは?」
K氏「打つ機種は『キン肉マン』と『エヴァまご』と『パワフルアドベンチャー』で、各チームのメンバーは…」
聞けば聞くほど膨れ上がる重圧。俺を除く出場者は、全員が誌面やCS番組で活躍するスターばかり! 完全なる場違いである。もしもウーロンという「絶対的安パイ」で負けてしまえば……。
K氏「実戦日と実戦店はメンバーと話し合って決めて。僕も同行するけど」
――「分かりました。先輩方と調整して、また連絡します」
K氏「オッケー。じゃあヨロシク」
――「お疲れ様です。失礼しまーす」
こうして俺は形ばかりのリーダーに就任し、3日連続実戦を取り仕切ることに。先輩に恥をかかせるわけにはいかない! 焦った俺はスグに先輩2人と連絡をとった。
マコトさん「どうせ負けないし、実戦店はラッシーが決めてよ」
――「ええ!? …分かりました」
G先輩「ラッシーがリーダーなんだから、決めた店に文句は言わないよ」
――「はぁ…そうですか」
おおおいぃぃぃ! 全然参考にならない!! たしかにウーロンはビタ押し成功率が50%を超えていれば出玉率100%超と言われている。つまり等価店で打てば理論上は負けない。しかし、それでは不十分だ。
いくらビタ押しの達者な2人がいるとはいえ、他チームも相当な手練れ揃いだ。優勝を狙うには、やはり1以外の設定が必要となるだろう。しかし、激甘マシンのウーロンに高設定を使う店など存在するだろうか。
いや、アノ店なら……。
勝負開始。
およそ1週間後――
通常営業にもかかわらず、ホールの前は開店待ちの客で溢れていた。その客の多さが、この店の信頼度を物語っている。実戦店に選んだA店は、その名を全国に轟かせるほどの名店だ。看板機種以外にも高設定を使う印象があるうえ、通常営業でも何度か高設定と思しき台に座った経験がある。
問題は台を確保できるか否かだ。設置台数は6台と、ウーロンにしては多いと言える。しかし、一部プレイヤーから熱狂的な支持を得ている機種だ。朝イチから狙ってくるライバルがいてもおかしくはない。
が、その心配は杞憂に終わった。3人とも入場抽選の結果は散々だったが、どうにか並びで3台を確保! とはいえ選び放題ではない。シマに人が雪崩れ込んできたため、データをじっくり見る余裕はなかった。
それでも我がチームの優位に変わりはない。設定1でも理論上は負けないのだ。設定がいくつであれ、とにかく1Gでも多く回す! そのため、あえて小役は数えない。あわよくば1以外の設定を…。その程度の心持ちがちょうどいい。
そして、いざ打ち始めると――
G先輩「お、1KでBIG当たった」
――「マジすか? 早っ!」
マコトさん「あ、こっちも2KでBIGだわ」
――「ええ!? 早すぎぃ!!」
先輩2人が好スタート! 設定1のBIG確率はかなり低めなので、これだけ早いと少しばかり期待してしまう。
Gさん「やば、ビタ2回もミスった! もう引退かな」
――「ちょ、1回目のBIGで引退考えないでくださいよ!」
マコトさん「あ、俺も2回ミスっちゃった!」
――「ちょ~、先輩方が頼りなんですから!!」
2人のミスにより、俺の緊張がほぐれたのは言うまでもない。さあ、次は俺の番だ! 収支はノリ打ち。俺も早くBIGを引いて貢献しなければ――!!
立ち込める暗雲。
1時間半後――
リール上でREGが揃うや否や、俺はイスの背もたれに崩れ落ちた。データ表示器には「886」の数字が浮かんでいる。そう、朝から元気に886GハマってREGである…。
G先輩「まあ、気にすんなって」
――「す…すびばぜん…」
マコトさんは目を合わせてくれなかった。無理もない。こんな展開のヤツに掛ける言葉などないだろう。感触的には言うまでもなく設定1。しかし、移動しようにも空き台がない。出玉はスグにノマれ、再び追加投資が始まった。が……
レバーを叩いた瞬間に強カットインが発生! ウーロンにおいて、最もアツい演出の1つだ。
Gさん「おっ、ココは当てておきたいな!」
――「小役否定ならボーナス確定ですけど、どうかな…」
左リールを止めた時点でチェリー・スイカを否定! まだベルやリプレイの可能性はあるが、強カットイン発生時はそれらが揃っても十分アツい。
中リールは場所を選ばずフリー打ち。すると、ズルッとスベってリプレイがテンパイした。
マコトさん「お、リプっぽいな? 期待度4割あるよ」
――「く~~~、お願いします!!」
予想通りリプレイが揃い、次ゲームでボーナス判別を実践。右リール枠上・上段に黒BARを狙うと、ズルっとスベって青7が下段に停止した。文句ナシのBIG確定目である。
G先輩「おめでとう。やっとBIGだな」
マコトさん「頼むよ、リーダー」
――「…頑張ります」
そのまま青7を揃え、ようやく1回目のBIGがスタート。この時点で投資はすでに20,000円に達している。ここはミスできない状況だ。先輩方に比べればビタ押しの精度は低いものの、俺だってライターの端くれ。ノーミスで完走し、少しでもドハマリで失った信頼を取り戻すんだ――!!
緊張の初BIG。
台「プァ~ン♪(予告音)」
――「あっ…」
台「プァ~ン♪(予告音)」
――「ギャァァァァ~」
台「プァ~ン♪(予告音)」
――「………(悟り)」
台「プァ~ン♪(予告音)」
台「プァ~ン♪(予告音)」
台「プァ~ン♪(予告音)」
台「プァ~ン♪(予告音)」
台「プァ~ン♪(予告音)」………
――「鳴りすぎぃぃぃ~!!」
BIG1回あたりの平均的な技術介入機会はおよそ14回。なのに、この初BIGでイキナリ20回である! よりにもよって1番ビタ押しがヘタな俺の台で…。
――「す…すみません。3回ミスりました」
マコトさん「うん、見てた」
G先輩「上出来でしょ。むしろ少し安心したわ」
――「…ありがとうございます」
その後も打ち続けたが、スグに別の台が空いたため台移動。その台も総ゲーム数541GでBIG3回、REG0回と微妙だったが、ほぼ設定1と決した俺の台よりいくらかマシだろう。
風向き激変。
台移動後6,000円を投じたところでREGが当選。その後、さらに1,000円を追加したところでようやくこの日2度目となるBIGが当選した。技術介入は14回で、ビタ成功は12回。俺の実力では、どうやらこのあたりが限界らしい。その後しばらく追加投資ナシで遊べているが、当たるのはREGばかりで出玉は伸びない。
それでも1つだけ希望があった。やたらコイン持ちがいいのである。台移動後は1,000円あたり50G程度のペースだ。1台目とは明らかに異なる感触である。
50枚あたりの平均ゲーム数 | |||
設定1 | 47.2G | ||
設定3 | 48.6G | ||
設定5 | 50.1G | ||
設定F | 51.2G |
設定1ではナイのでは!? そんな期待を胸に打ち進めると、遂に俺のターンが訪れた!
147 BIG
7 BIG
39 BIG
149 BIG
46 BIG
143 BIG
82 BIG……
150Gすらハマらず、1時間弱で7連続BIG! BIG1回あたり2回のペースでビタ押しをミスしたが、それでも出玉は急激に増加。優秀なコイン持ちにも助けられ、収支は一気にプラス域へ!
先輩方も負けてはいない。2人とも1台目は設定的な感触がイマイチだったらしく、すでに2・3台目へ移動済み。ビタ押しの精度をメキメキと上げ、数時間に亘りほぼノーミスの状況が続いている。
特に目立ったのがマコトさんの活躍。実戦終盤では17連続BIGという離れ業をやってのけ、ドル箱が驚異的なスピードで積み上げられていった。そして3人全員が閉店時間まで粘り倒し、大事な初戦を終えることに――。
バケモノの巣窟。
ジュ~ッと食欲をソソる音が鳴ると、スグさま甘辛い香りが広がった。
Gさん「やっぱ勝った日は肉だな」
マコトさん「気持ちイイほどの圧勝でしたね」
閉店まで打ちきった俺らは副編集長のK氏を伴い、A店のスグそばにある焼肉店に入った。
――「いや~、先輩方には力の差を見せつけられました」
Gさん「いやなに、衰えを感じた実戦だったよ」
マコトさん「いやいや、まだ初日ですから。明日からもっと精度を上げていきましょう」 ――「はぁ…気が重い」
Gさん「ハハ…でも初日の収支は俺らがダントツだろうから、そんな気負わなくていいだろ」
マコトさん「そうっすね!」
3人の収支…+126,000円
1人あたり… +42,000円
俺とマコトさんは設定1ではなさそうな台に辿り着き大勝ち。特に凄かったのがマコトさんの3台目。投資わずか3,000円で、獲得枚数は驚愕の5,646枚! くどいようだがウーロンはノーマルタイプである 。
K氏「気持ちよく肉焼いてるとこ申し訳ないんですけど」
Gさん「おう、Kくんも食えよ」
K氏「はい、いただきますが…1戦目を終えた他チームの結果が届きまして」
マコトさん「お、2位にどれくらい差付けれたかな」
K氏「キン肉マンチームが+132,000円、エヴァまごチームが+93,000円、パワフルチームが-30,000円で…ウーロンチームは暫定2位です」
一同「は?」
――「ウソ…コレで1位じゃないの?」
Gさん「マジかよ、みんなヤルな」
マコトさん「なんでキン肉マンそんな出たんすかね?」
K氏「6を2台ツモったらしいよ」
――「マジかよ!! やりすぎでしょ!」
K氏「エヴァまごチームも6を2台ツモったって」
――「え? なにソレ…コワいんですけど」
大量出玉で気分がよくなり、すっかり忘れていた。他チームも相当な手練れ揃いだということを。まさか初日から設定6をツモられまくるとは!
Gさん「まあ、焦ったってしょうがねーよ」
――「はぁ…」
Gさん「やっぱウーロン打つには今日のA店がベストだと思う」
マコトさん「あの状況ならそうですね」
Gさん「あとはブン回して、ビタ押しをキメまくる。俺たちがやるべきはそれだけよ」
――「そうですね。また明日頑張りましょう!」
たしかにGさんの言う通り。立ち回りのバリエーションが少ないぶん、稼働量でカバーするしかない。稼働量で捻じ伏せるっ!!
そしてここから俺たちは、ますますウーロンの光と闇を知ることとなる――。
つづく
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- ラッシー
- 代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-
山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。
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