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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

2020.04.28

敗北の味~商業誌の壁~

ラッシー ラッシー   パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

カミさん「これなんてどうかな?」
――「ん~、40~50代の男性だからなぁ」

カミさん「じゃあ甘いのよりしょっぱい系だね」
――「そうだね」

俺とカミさんは渋谷のデパ地下にいた。今日の大事な顔合わせに、先生は遠方から遥々やって来るらしい。俺ももう大人だ。手ぶらというわけにはいかない。

カミさん「じゃあこれどう?」
――「うん、いいね!」

あまり高すぎても気を遣わせてしまう。ほんの気持ち程度が丁度いい。

――「すみません、これ1つください」

綺麗に包装された菓子折りは、値段より少々立派に見える。

――「じゃあ行ってくるね」
カミさん「いってらっしゃい。帰りは遅くなる?」

――「うん、たぶん飲み会になるだろうから」

改札前でカミさんと別れ、俺は一人、新宿へ向かった。紙袋のヒモは今にも手汗でふやけそうだ。たしかに緊張はしているが、同じくらい期待もあった。
 

突然のチャンス。

事の起こりは1カ月ほど前。編集部から掛かってきた1本の電話だった。

――「はい、もしもし」
K「おつでーす。Kです」

Kは同じ編集部の後輩にあたるが、所属はパチスロ漫画誌の編集部員だ。

K「ラッシーいまヒマ?」
――「うん、ヒマだよ」

Kは編集歴で言えば1年ほど後輩にあたるが、年齢で言えば5つほど上なため敬語など使わない。

K「あのさ、漫画の原案書かない?」
――「え!? 漫画の原案?」

K「映像の専門学校で脚本とか書いてたでしょ?」
――「うん、書いてたね。ウチの学校は全員書くから」

K「次号で読み切りやるから、ラッシーに頼もうかって会議で出…」
――「やります!!」

K「早っ!!」

現状、漫画誌との関わりはほとんどない。たまに記事を書く程度で、編集部員のほとんどはただの飲み仲間だ。1号限りの読み切りとはいえ「書ける」と証明できれば、のちの仕事に繋がるハズ!

K「ラッシーが主役の実戦漫画じゃなくて、フィクションだからね」
――「うん、それで構わないよ」

K「もう漫画家さんは決まってるんだ。あとは実際のパチスロのネタを、そのフィクションの原案に入れ込んでほしいんだけど」
――「なるほど。ネタね…了解!」

K「じゃあネタ固めて原案できたらシナリオ形式で送って。締め切りは1週間後でいい?」
――「ちょ、ちょっと早くね?」

K「原案見て漫画描かなきゃだから、早めに用意しないといけないでしょ」
――「たしかに…分かった。1週間後に送るよ」

K「了解。じゃ、ヨロシク~」

無論、パチスロ漫画の原案など書いたことはないが、〇校生の頃から読んでいるため、基本の構成は頭に入っている。シナリオの書き方も映画と大きく違わないだろう。問題はパチスロのネタ。インパクトを与えるには、まだ誌面に載っていない新鮮なネタが必要だ。
 

最悪のコンディション。

――「クッ………なんでこんな時に」

休憩所の隅でゼリー状の薬を食らいながら、己のツキの無さを呪った。原案の依頼が来た直後に急な原稿の依頼が重なり、実戦できるのは今日1日のみという状況に陥った。そんな大事な日に限って、メニエール病が容赦ない。普段は薬のおかげでほぼ無症状だが…。

時刻はすでに16時を回っている。ネタはほぼ固まっているが、何度も試し感触を確かめる必要がある。しかし、絶えず続く耳鳴りとめまい。今すぐ帰って横になりたいが、はじめての仕事でいきなり締め切りを破るわけにはいかない。たとえ帰り道で平衡感覚を失おうとも、この実戦で決着をつけるほかない。

意を決し休憩所から台前に戻り、その独特な金色の筐体を睨みつけた。
 

5号機「アレックス7R」(アルゼ)

2008年の春に登場。BIGとREGで出玉を増やすプレーンなノーマルタイプだ。筐体上部の4thリールに、擬似リールの「ビッグリール」、そしてメインのミニリールと、文字通り7つのリールを搭載。言うまでもなく本物のリールはミニリールだが、基本的にはビッグリールを目押ししながらプレイすればOKだ

最大の特徴はBIG中の技術介入要素。BIG中にJACインすると、8GのJACゲームへと移行する。JACゲーム中は2択の押し順当て(順押しor逆押し)になっており、正解すれば15枚の払い出し、不正解なら4枚の払い出しとなる。その押し順ナビ率がリプレイハズシの成功・失敗によって変化するのだ。

レバーONで4thリールに「AREX or REXY」が停止すればJACインフラグ成立の合図。まずは中・右リールをフリー打ちし、ビッグリールのリプレイのテンパイラインに注目。
 

▲ビッグリールの配列図

中・下段テンパイなら、左リールのテンパイラインに⑥番の赤7(単独の赤7)or⑫番の羽をビタ押し! 左上がりテンパイなら上段付近に⑥番~⑫番の範囲を狙う。こちらは7コマの余裕があるため、目押しが苦手な人でもラクにハズせる。

リプレイハズシ成功ならJACゲーム中のナビ率は100%で、失敗なら0%。ちなみにハズシにチャレンジせず順押しでJACインさせた場合、ナビ率は50%となる。

ビタ押しは元々完璧ではナイが、今日の成功率は8割程度といつもに増してヒドい。加えて設定的な感触も皆無だ。もっといい店は他にあったが、まだホカホカの新台ゆえ人気店では確保が難しい。総投資はすでに2万円を超えていた。もうギャラ割れなど気にしている場合ではない。金を捨ててでも信頼を勝ちとるんだ――!!
 

ならではの楽しみ方。

ソレが起きたのは、総投資が3万円を超えた直後。通常時のレバーON時、4thリールに金のタマゴが出現。対応役は小役orボーナスで、小役成立の場合、ミニリールでの取りこぼしはナシ。ここで追い続けたネタを検証する。

既述の通りビッグリールは演出用のサブリールだ。メインリールであるミニリールで小役が入賞した際、ビッグリールで小役を取りこぼすと『修正』が入る。5コマ以上スベってムリヤリ小役が揃ったり、第3停止後に再始動して強引に小役が揃ったりして、ミニリールとビッグリールの矛盾を解消しようとするのである。この修正がアレックス7Rの面白い点なのだろうが、俺はコレをダサいと思っていた

たしかに5コマ以上のスベリは意外性があるが、コレを是としてしまうと、美しいリール制御を否定してしまう。なんでもやり放題だ。厳しい制限の中で驚くような仕組みを作ってこそ、美しいリール制御と言えるのではないだろうか。

再始動など言うまでもない。1度止めたリールが台の都合で再び動くなど、本来あってはならない。実際4号機にも同様の演出は存在したが、スロッターの反応は冷ややかだった。

だから演出用リールは好きになれない。でも、演出用リールだからこその楽しみ方もできるのでは――!?

小役orボーナスの演出発生時は、あえてビッグリールで小役をこぼしにいく。まずはメイン役の羽揃いを嫌いたい。左リール上・中段に単独の鳥と狙うと、鳥が下段に止まり、枠内に羽はナシ。成立役が羽なら、枠内まで羽を引き込んでくるハズ。

ブドウ・チェリー・2枚役は狙わない。どれも意図的に取りこぼす。途中で5コマ以上スベれば「何かしらの小役成立」と判断できるためサムい。それがなく、かつ第3停止後の再始動がなければ…。

ビッグリール上では何も揃っていない。小役揃いを避けたのだから当然だ。そして恐る恐る第3停止ボタンを離すと…

再始動はなく、チカチカとリールフラッシュが発生! 小役こぼし時に発生しやすいフラッシュだが、金のタマゴゆえ小役のこぼしはない。つまり…

次ゲームでミニリールに7を狙うと、ビッグリールでも7が揃ってBIGがスタート!


イケる! あえて小役をこぼして修正の有無を楽しむ。まさに演出用リールならではの楽しみ方だ。王道の楽しみ方ではナイが、こんな楽しみ方があってもいいだろう。このネタなら勝負できるハズだ!

この日は3万円近い大負けだったが、それに見合った収穫はあった。そして数日後。このネタを基にシナリオを作成し、締め切りの少し前に担当編集のKへ送った。漫画家先生との顔合わせは数日後に決まった。
 

夜の公園。

新宿に着いたのは19時の少し前。Kから指定されたのは、駅からほど近いアンティークな喫茶店だった。歴史を感じさせるドアを開けると、カランカランとノスタルジックな鐘の音が鼓膜を撫でた。

Kは窓際の席にポツリと座っていた。しかし妙だ。Kは昼過ぎから漫画家の先生と打ち合わせをしているハズだが、肝心の漫画家先生がいない。

――「お疲れー」
K「おう、お疲れー」

俺はKの向かいの席に腰を下ろし、隣の空いている席に紙袋を置いた。

――「あれ…先生は?」
K「帰ったよ」

――「え? 帰った?」
K「うん…そうなんだ」

これから顔合わせだというのに帰った!? Kが苦しそうな表情で続ける。

K「で…申し訳ないんだけど、今回の原案提供はなかったことにしてくれないかと」
――「は? いや、もうだって…」

K「もちろんギャラはお支払…」
――「いや、ギャラとかじゃなくて」

ギャラなどすでにネタ出しの実戦で消失している。そんな一時的な報酬より、未来の仕事に繋がるか否かのほうが重要だ。俺は大きく息を吸い、Kの言葉を待った。

K「先生が『この原案じゃ無理だから、自分が用意してた原案でいきたい』って」
――「自分が用意してた…?」

K「いや、先生もラッシーの原案でって思ってくれてたんだよ」
――「………」

K「でも今月はもう時間ないから、原案を修正する余裕はナイと」

たしかに脚本を書いた経験は何度もあるが、それは学生映画の脚本だ。あくまでアマチュアの世界。商業誌で即座に通用するわけではない。

――「そうか…まあ、俺の力不足ってわけだな」
K「でもウチの編集部も今号だけでラッシーの原案を諦めるつもりじゃないからさ」

――「うん…ありがとう」

俺は静寂に耐えきれずアイスコーヒーを注文した。特に喉が渇いていたわけではないが。

K「でさ、…先生がパチスロのネタだけ提供してくれないかと」
――「はぁ? 原案はナシで、ネタだけ?」

K「虫のいい話だってのは理解してるけど、もうイチからネタ探す時間がナイから」
――「なんだよソレ…」

身体にムチ打ち、カネも失って手にしたネタだ。「それだけ」を提供しろだと!? なるほど、俺はハメられたのか。原案提供というエサで釣られ、ネタだけ取って棄てられる…ということか。俺の心を察したようでKが続けた。

K「また原案の依頼はするから。今回はネタだけでお願い」

運ばれて来たアイスコーヒーを半分ほど一気に飲んだ。

――「もし…もし次があったら、次は絶対に降りない」
K「そうだね。そうしよう」

――「そりゃ商業誌だから、半端なものが出せないのは分かる」
K「うん」

――「修正は自分で対応するから、次があったら修正可能な進行でお願いするよ」
K「分かった。今回はごめんね」

――「いや、一発で通せない原案出した俺のせいでもあるから」
K「また、つぎ頑張ろう。…じゃあ行こうか」

Kとは喫茶店の前で別れた。地元に着くと、未だ紙袋を持っていることに気が付いた。徐々に悔しさがこみ上げる。漫画家の先生にひと目会うことすら許されなかった。なんと情けないことか。自分が主役の実戦漫画を複数持っている人気ライターもいるというのに。

菓子折りを持ったままでは帰れない。俺は人気のない公園のベンチに腰掛け、特別食べたくもない菓子折りをたいらげた。


この話には続きがあるが、それを語るのはまだまだ先になる。

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ラッシー
代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-

山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。

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