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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-
2020.02.04
夢のビタ押し~5号機で万枚突破~
朝の地下街は、さながら廃墟のようだった。地上を進めばアップダウンはないが、信号に捕まるのがイヤで地下に潜った。広い通路に、自分の足音だけがこだまする。大きなロータリーがあるこの駅前は、こうして地下を抜けたほうが遥かに早い。
いつもの出口から大通りに出ると、大粒の雨がアスファルトを打っていた。20mほど走って目的のホールへ駆け込んだが、その甲斐もなく、Tシャツは重みを増している。傘を持たず飛び出してきたことを、少しばかり後悔した。
店員に促されるままエレベーターに押し込まれ、抽選場所となっているフロアへ向かった。狭いエレベーターの中に、じっとりと濡れた男が7人。このむさ苦しい空間から一刻も早く解放されたい。そう願っていたが、ドアが開いた瞬間、思わず苦笑いがこぼれた。
人、人、人…。
壁はおろか、床さえほとんど見えやしない。
死にジマ。
この要塞のようなホールができたのは、ほんの1~2年ほど前である。もともと激戦区だったこの街に鳴り物入りで参入するや、あっという間に地元スロッターの心を掴み、近隣の老舗店舗を次々と駆逐していった。今や県外からも人が押し寄せるほどである。
こんなに人がいるんじゃ、パチスロに座れるかどうかも怪しい。まあ、屋内だから雨に打たれる心配がないだけマシか…。抽選の列に並びながら、そんなことを考えていた。抽選人数はざっと見て1000人超。目当ての機種はあったが、これでは座れる気がしない。
この日はいわゆる「特定日」だった。朝イチからの具体的なヒントや示唆はナイが、夜になれば高設定台が発表される。過去の例から察するに、全台系が1or2機種。そしてそれ以外のシマにも設定5or6が1~2台…といったところか。特定日のたびに客が増えていくのも頷ける。
抽選締め切りから約40分。やっと抽選箱に手を入れると、引っ張ってきたのは82番!! 選び放題とまではいかないが、これなら狙いの機種は取れるハズ!
午前9時――
いざ、開店! シマ図は頭に入っている。人の波に身を任せ、階段を3階まで下りた。ゆっくり歩いていると平気で抜かされる土地柄である。体で追い越しを防ぎつつ、目当てのシマへと急いだ。が――
誰もいない!
目当てのシマに先客が1人とていないのである!! 3階フロアの下りエスカレーターを降りて目の前。この目立つ位置にもかかわらず。
想像していなかった光景に狼狽していると、4号機時代から顔馴染みのプロが声を掛けてきた。
プロ「なにしてんすか? もうスパイダー埋まりましたよ」
――「いや、今日は赤ドン打ちたくて」
プロ「は? 先月来てないんでしたっけ?」
――「うん、仕事だったから…まさか?」
プロ「そう、赤ドンは先月の全台系」
――「マジか…」
なるほど、先客が1人もいないわけだ。早い入場番号は、ほぼ軍団(プロ)が独占している。いわゆる「引き子」を使っているためだ。そして、この店の特定日で同じシマが2か月連続全台系になった例はナイ。
プロ「戦国無双ならまだ空いてますよ」
――「いやいや戦国は…少し考えるよ」
プロ「まあ、頑張ってください」
――「いや、笑ってんじゃねーか!」
全台系の可能性は消えた。しかし、もとより全台系はアテにしていない。ここのプロ連中のヨミは正確で、彼らが「スパイダーマン2」だと言うなら、ほぼそれで間違いないだろう。俺みたいなピン打ちの客は、彼らより早い番号を引かない限り、全台系に座るなど不可能に近いのである。
加えてこの店の赤ドンは台数が多い。地域最大の約20台だ。それゆえ全台系になることはだろうと思っていた。まさか先月やっていたとは!!
しかし、俺のやるべきことは変わっていない。もとより全台系にはならないと思っていたのだ。狙うはシマに1~2台あるであろう設定6とH。台数が多いため容易でないが、確実に使われてはいるハズだ。
※赤ドン(ミズホ2007年)
設定は1・4・6・Hの4段階。BIG後に必ず突入するチャレンジゾーン中に、3種類あるチェリー入賞よりも先に三尺玉が揃えばART突入。ARTは33G継続で消化後に再びチャレンジゾーンに突入する。 3種類のチェリー入賞は、BIG中に獲得できるナビポイントにより回避可能。 |
過去の傾向からシマの中央付近と角を避け、中央通路から目につきやすい左角3に着席。他に空き台がなくなってきたのだろう。「仕方なしに」といった感じで、赤ドンに座る客も増えてきた。
赤ドンに対する熱量は俺が1番のハズ。理想は高設定の直ヅモだが、なにしろこの台数だ。あまり現実的ではない。だが、後ヅモのチャンスなら十分あるハズ! じっくり時間をかけて炙り出していこう。
全台系には座れずとも、最後に笑うのは俺なのだ――!!
妙な雰囲気。
俺は焦りを感じていた。開店から3時間が経過したが、周りの台はおろか、自分の台の設定すらハッキリしない。これといった感触はナイものの、投資8千円のままユルユルと遊べている状況だ。遊びに来たつもりはないのだが。
そんな時だ。朝のあのプロが笑みを浮かべながらやって来た。
――「わざわざ笑いに来てくれたの?」
プロ「いやいや、もう帰ろうかなと」
――「は? スパイダーは?」
プロ「スカっすね。ウチらのツレは全員ヤメました」
――「えっ!? じゃあ全台系は…」
プロ「それが分からないんすよ。リンかけも違うし」
彼らが狙いを外すとは妙だ。これまでの特定日の傾向が通用しない恐れがある。ということは、各シマに必ず入っていた1~2台の高設定も無い恐れがあるのでは…。
プロ「その台はありそうなんすか?」
――「いや…特に。まあ、赤ドン打つのも仕事だから」
プロ「ふは…さすがっすね」
――「めっちゃ笑ってんじゃん」
プロ「いやいや、それじゃお先に」
――「お疲れ~す」
こうして彼らは正午過ぎに去っていった。その判断力が羨ましい。俺にはまだ諦めたくない気持ちがあった。先月の特定日で赤ドンの全台系をやられた。その事実に対する嫉妬で意地になっていたのかもしれない。
もう少しだけ、もう少しだけ…。
俺はすでに負けた気分で、良くも悪くもない台を漫然と回し続けた。
急展開。
異変に気付いたのは16時頃。右隣の台が、いよいよ走り始めたのである! BIGとARTのループが途切れず、すでにカチ盛りで4箱を積み上げている。
はじめは「ただBIGのヒキが良いだけ」と思っていたが、もう認めざる得ない。おそらくBIG中のビタ押しで頻繁にナビポイントを獲得しているのだろう。
BIG中ビタ押し成功時のナビポイント獲得率 | |||
設定 | 獲得率 | ||
1 | 12.5% | ||
4 | 12.5% | ||
6 | 16.7% | ||
H | 25.0% |
とはいえ、俺の台も悪くはない。およそ4300GでBIGは11回。ビタ押しによるナビポイント獲得も2度確認している。設定6の目もなくはないが、BIGとARTが少しも絡まず煮え切らない展開が続いていた。
どうやら当たりは1つ隣の台だったらしい。でも狙いは間違っていなかったということだ。さあ、あとは隣の彼との我慢比べだ。これまでの彼のリアクションから察するに、赤ドンの知識はそこまでなさそうだ。もう少し時間が経てば、出玉に満足してヤメる可能性も…。
とはいっても、このART連チャンが終わるまで空くことはナイ。俺の台は急いで回す必要がナイんだ。ゆっくり回せばいい。トイレも今のうちに済ませておこう。そう思い席を立つと
――「な…なにあれ!?」
思わず声が漏れた。シマがわずかに湾曲しているため気付かなかったが、赤ドンの向こう角付近に別積みが2台もあるではないか!! とはいえ赤ドンは爆裂ART機だ。たまたま出ている可能性も…。
いや、待て!
左角が1箱。俺の左隣も1箱で、俺も1箱。右隣りは4箱で、その隣が1箱…。冷静に見てみると、赤ドンのシマの8割がドル箱を使っているではないか!! 次いでデータ表示器を見てみると…
悪くない! 赤ドンの場合、データ表示器などあまり役に立たないが、BIG出現率はほとんどの台が高設定域だ。
赤ドンのBIG合算確率 | |||
設定 | 確率 | ||
1 | 1/431.2 | ||
4 | 1/399.6 | ||
6 | 1/372.4 | ||
H | 1/348.6 | ||
そして「本日の最高獲得枚数」には2000枚・3000枚と派手な数字が並んでいる。
いや、待てよ! そういえば…朝イチからプレイヤーがほとんど変わっていない。無論、変わった台も幾つかあるが、いつもの赤ドンに比べたら極端に少ない。こんなキツい台にもかかわらずだ。
なるほど、全台ジマが見つからないわけだ。
夢。
結局、右隣りの彼はヤメなかった。いや、正確に言えば「ヤメるスキがなかった」である。4箱カチ盛りの状況から途切れることなくARTが続き、出玉は8500枚を突破。さすがにそろそろナビポイントが尽きそうな雰囲気だが…
21時、いよいよ赤ドンの全台に高設定札が刺さった。全台Hではナイため、6orHだと思われる。
札が刺さってしまえば、さすがに彼もヤメないだろう。仮に空いたとしても、残り時間で引けるBIGは2~3回。あのBIG確率だ。引けずに終わっても不思議ではない。
ちなみに俺の台はといえば、派手な展開など一切なく、ジワジワと右肩上がりを続け2600枚を獲得。すでにART連チャンも終わっているが、まだ帰る気にはなれなかった。せっかくの高設定なのだ。せめて22時過ぎまでは…。
そして22時過ぎ――
俺は出玉を大きく削られ、2箱目を崩すかどうかで悩んでいた。もう天井までは追えないが、BIGの1回くらいなら…。なにより先月逃した「赤ドンの全台系」という祭に参加していることが嬉しかった。この夢の時間を終わらせたくない。そんな気分である。
右隣りの彼も、ここに来て苦しい状況が続いている。変わらずARTは続いているが、BIG間の大きなハマリが連続し、ギリギリ9500枚を超えたところだ。
あと1発…
彼があと1発BIGを引けば…。
もはや自分の収支などどうでもよかった。投資は8000円だから、勝ちは確定している。それよりも見たいんだ! 5号機の可能性を――!!
俺はゆっくりとプレイを続けた。悟られぬよう、たまにチラリと彼の台を覗きながら。
しばらくすると、彼が大きくのけぞった!! 驚いて固まる俺。恐る恐る彼の台を見ると…左リール中段に緑のチェリーが止まっているではないか! 文句ナシのリーチ目である。彼のデータ表示器には「本日の最高獲得枚数9602枚」の文字が踊っている。つまり、これが現在の枚数だ。BIGの獲得枚数は約370枚だから…
ほぼ万枚! 少しでもナビポイントを獲得すれば万枚だ。
そして彼が親方ビッグで消化し始めると――
ほどなくビタ押し成功で告知が発生! 設定差特大のビタ押し→ナビポイント獲得で、万枚を決定づけたのである!!
俺は手を止め、下皿のメダルをドル箱に移した。
帰ろう。俺も収支はプラスだけど完敗だ。隣が彼でよかった。最後にあんなにカッコよく、Hらしく万枚を決められたら、もう何も文句はない。
おめでとう。
そしてありがとう。
これが俺が初めて目撃した「5号機万枚」だった。ここまで人のプレイに感動したことはあっただろうか。Hをツモれなかった悔しさなど完全に消え失せ、清々しい気持ちで家路についた。
パチスロは4号機で終わった。そう言われた頃もあった。だが、5号機でも万枚は出る! また万枚を目指せる時代が来たんだ!! そう思わせてくれた記念すべき一戦でした。
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- ラッシー
- 代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-
山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。
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