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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2018.11.20
パチスロ “NEXTバブル” の序章(2001年)
先日のことですが、パチ7ナンバーワン決定戦というものが開催され、私も4号機の『大ガメラ』で参戦してまいりました。それこそ、いま振り返っている2001年の登場機種です。
17年も経っていて忘れていることが多いと思いきや、通常時の手順などは完璧に覚えているんですね。どのパターンがアツいとか。順押しでプチRT突入目が出た際に演出が発生していなければリーチ目に昇格とか。ただ、BIG中の手順は一部忘れていました。チェリーの時に2つのうちどちらを押せば角停止で15枚取れたんだったかな……という部分のみ。
私にとって、当たりを消化している時間は作業なんです。語弊ある言い方になりますが、多少つまらなくても問題ありません。それよりも長く消化させられる通常時が楽しいかどうか。大事なのはソコでした。極論すれば当たらなくても楽しめるか。楽しめていたから覚えていたんだろうな。
前回書いた『獣王』もそう。楽しんでいたのは、ATを抽選するハズレから初当たりになるかどうかの演出推測のみでした。というか、それがほぼすべての機種だったので、それも楽しめていた証拠。そういや、最近のパチスロがおざなりになっているところかも。そんなことを思ってみたりして。
出玉の方面ばかり重視するとそうなりがちですね。当たっているところから、さらなる上乗せでドキドキさせる。それが好きな方も多いのはわかります。ただ、既に当たっているんで。私にとっては作業の延長線上なんですよね。
と、なにが言いたかったのかわからなくなったところで、2001年の続きに移ります(笑) ま、こういう自分の好みの分析も大事ということで。
☆『ストック機』の誕生も2001年。
▲『ブラックジャック777』(ネット:2001年1月)『ドラキュラRX』(ネット:2001年4月)
『ブラックジャック777』に搭載されていた画期的なシステムは、その後の4号機に大きな影響を与えることとなります。ボーナスのストック機能です。最大の特徴は、ボーナス成立後にもボーナスを抽選することでした。
3号機以前や初期4号機では認められていないというか、そんな発想がなかったのでしょう。こんなん作れます? とお上に打診したらOKと言われてビックリしたに違いない。そんな妄想すらしてしまうほど斜め上の発想です。とはいえ、まだ一発目。4号機を知っているベテランさんが思いを馳せるような出方ではありません。
まず、BIG成立時に33Gか777Gのストックタイムにも当選します。BIGを揃えてしまわぬよう(揃えると終了)規定ゲーム数を消化。この間は、リプレイ確率が大幅にアップして、1Gあたり約0.5枚を増やしながらボーナスのストックチャンスとなります。そして、ストックタイム終了時に最初のBIGを揃えて消化。その後にストックしたボーナスを1G連で吐き出すものでした。要は、短期的な自家発電。微増でコインを増やしながら、その間にボーナスを自力で引くのが大事だったのです。
その後にリリースされた『ドラキュラRX』は、プチストック機だった記憶。ボーナス成立後もボーナスを抽選してくれるのは、本当に画期的なんです。もちろん、5号機や6号機では許されておりません。コインの増えるボーナスを搭載している機種は、いち早くボーナスを察知して揃えましょう。コインロスだけでなく、その間にボーナス抽選機会も失うのです。
ちなみに『ドラキュラRX』。当時所属していた雑誌で、10万円投資までボーナスを揃えないように打ち続け、最後に1G連チャンさせまくる企画をしたのを思い出します(笑)
いずれにせよ、ストック機の創成期は、自分で貯めて自分で刈り取るゲーム性となっていました。
☆初のシークレットストック機も登場!
2001年は本当に恐ろしい。そこまで登場していたストック機は、ボーナス成立や、ストックタイムの告知がされるものでした。そんな自家発電型ではなく、他人が貯めたボーナスを刈り取れる。下手すると自分がボーナスを残してヤメてしまう。次のステップへとストック機は進化していきます。
▲『スーパーリノ』(山佐:2001年9月)
ボーナス成立時にRTとなり、その間は圧倒的にリプレイ確率がアップ。しかし、リール制御によってボーナスもリプレイも揃わない。強制的にボーナスをストックする区間を作り出したのが、この『スーパーリノ』です。外見では、ボーナスが成立してストックタイムに入れさせられているのか、ボーナス自体が成立していなくてハマっているのかわかりません。
そして、ボーナスを揃えられると連チャンのチャンス。ストックがあった場合、5G以内での放出率が極めて高い設計となっていました。
とりあえず、ハマっている台を当たるまで打って、連チャンしなければヤメ……くらいは誰もが考えるでしょう。その発想は今だからサッとできるもの。当時は、まだまだノーマル機がホールの大半です。ハマリ台は低設定の可能性が高く敬遠されるのが当たり前。噴くかも? とハマリ台に座るのは裏モノくらい。そう裏モノとして3号機を代表する『リノ』の名を継ぐのに相応しいシステムだといえるでしょう。
ストックあり時の放出率が高すぎたため、ストック切れとなっている台が多かったこと。そして、設定変更だけでストック0個となってしまうこと。これらの要因もあり、稼働はイマイチだったのは否定できません。しかし、ここから調整を重ねて『キングパルサー』の大ヒットに繋がるのです。 みなさんが思うストック機のルーツは『スーパーリノ』にあります。
☆ストック機を実現したのはRT!
『獣王』のようなAT機は、演出として小役のナビが発生します。“演出は出玉に影響を与えない”という解釈をされていました。それでやりたい放題になったのですが、ストック機はそういうわけにはいきませんでした。しっかりとメイン基板で管理されているのです。そもそもボーナスの抽選ですからねえ。
では、どのように作られていたか? 5号機世代でもお馴染みの機能が使われていました。『スーパーリノ』のところで答えを書いてしまいましたが、RT(リプレイタイム)です。ボーナスのストックを複数持っていたとしましょう。そこでボーナス終了後の挙動がどうなるのか、軽く解説してみます。
ボーナス終了時に、次回のRTゲーム数を決定します。BIGを放出してやろうとか、一切そういうことを機械は考えていません。RTのゲーム数だけが重要です。
RT消化中は、リプレイ優先のリール制御にすることによってボーナスを揃えさせません。そしてリプレイも1/7.3前後になるようリール制御で調整します。このRT消化中にボーナスのストックを増やしていきます。
規定RTゲーム数が終了すると“純粋な通常時”に移行せざるを得ません。今まで邪魔をしていたリプレイの確率が大幅にダウンするので、ボーナスを揃えられるようになるだけなのです。
パチスロで未来の抽選に影響を与えられるのは2種類しかありません。1つは、規定ゲーム消化後に純粋な通常時へと移行させるRT。20G後などカウンタを使って発動させられるフリーズ機能。そして、何でもありのサブ基板です。サブ基板は5.5号機から何でもありでなくなったので、現在はフリーズのカウンタを使っています。4号機時点では3種類ですね。
時限爆弾のようにセットしたフリーズでATなどは発動させられますが、リアルなボーナスをそこで抽選することはできません。サブ基板も然り。よって、ストック機はRTを使っていたと逆説的に分析することも可能です。当時はそんなこと考えていなかったですけど。いまの知識で昔の機種を分析するのも楽しいものです(笑)
☆2001年そのほかの目立った機種。
▲『ナイルパニック』(高砂電器:2001年4月)『極』(テクノコーシン:2001年9月)
どちらも新たに生まれたATと昔からあったSINの集中を融合した超強力なモンスターマシン。SINが揃っただけで払い出しがあり、さらに1枚がけで15枚を払い出すJACゲーム。このSINが集中に入ると通常時の10倍の確率(法律上の正式名称は、十倍役物)で当選するのです。ユーザー計算だとSIN消化まで1G換算となるので。1Gあたり13枚近くとトンデモナイ数値になる機種も多かったです。
『ナイルパニック』は、BIG確率が1/2500とか。集中も低い設定では1日打ってもお目にかかれず。雑誌の企画実戦で12万8000円負けという自己最大負け額を記録しました。『極』は、集中に入ったところで通常時のリプレイハズシ(敢えての取りこぼし)をすると小役ナビも発動するという一風変わったシステム。集中1回の期待値は2000枚超。それ以外にATもあり、その最大は255連。
非大手(失礼!)でもこういった機種をどんどん出してきました。そりゃ、みんな感覚が変わっていきます。特にホールです。設定を1つ上げようかなどノーマルタイプの運用は難しいものがあります。低設定報知でも誰かが爆発させてくれれば見栄えがする。この2機種のセールスはそれほどでもありませんでしたが、このような機種を追い求める時代へとなっていきました。
いずれにせよ、爆裂AT機やストック機で、ますます攻略ライターの腕の見せ所がなくなっていきました。いくら打ったって詳細はわからんよ。解析全盛時代の到来です。パチスロの盛り上がりで多くの雑誌が作られるようになって活躍の場は増えたんですけどね。私も最盛期は5誌掛け持ちとか。ただ、やっていたのは解析人から送られてくるエクセルをどうやったらページに詰め込めるかというパズルでした(笑)
さて、次回は6号機のとある機種を解説することになるのかな? イレギュラーな更新となるような気がします。それこそ、この原稿で書いた機種と同じ名前だったり……。書き出しで偏屈な好みを書きましたが、ゾーン中の消化が面白かったでよ〜。
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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