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元・ホール店長カタギリのしくじり店長

元・ホール店長カタギリのしくじり店長

2018.05.02

しくじり店長・第69話『最後の一日』

元・店長カタギリ 元・店長カタギリ   元・ホール店長カタギリのしくじり店長


その日は早朝から、静かな小雨が降っていた。

約30年の歴史に終止符を打つことになる老舗ホールの最後の1日は、まるで約束されていたかのように凍てついた空気を纏いながらやって来たのだ。春の訪れを待たずに、ただひっそりと。砂時計の砂が尽きるように、名も無い小さな花が人知れず蕾のまま枯れてしまうように、今日でひとつのパチンコ店がこの街から消えてしまう。


誰に言われた訳じゃない。頼まれた訳でもない。今日だけは、13時間の営業を全て見届けなければならない。そんな気がして私は着古したダウンジャケットの袖に腕を通し、通い慣れた駅前の商店街をただ黙々と歩き続けた。


視界の遠く向こうでは、街路樹が新しい春を待っている。 もう少し頑張っていれば、桜の花びらが舞う美しい景色を眺めながら、穏やかな気持ちで仕事に向かえたのだろうか。もっと器用に立ち回っていたら、清々しい春の風に吹かれながら、堂々とこの道を歩んでいたのだろうか。


考えても仕方の無いことばかりを頭の中で巡らせているうちに、いつの間にか辿り着いた小さなホールは、静かな空気に包まれながら、最後のお客様を待っていた。
 

 

最後の仕事。

出勤してくるはずの4名のスタッフのうち2名が無断欠勤したため、結果的に残った2人と私の3人で最後の早番勤務に臨む事となってしまった。やっぱり早く店に来て良かった、最後までホールで走り回る方が私にもお似合いだ。潰れてしまう店になんて用は無い、と見切った2人を責める気にはならないが、最後まで付き合ってくれないのは少し淋しいものだ、と思わず愚痴をこぼしてしまう。


そんな私を「仕方ないですよ、頑張りましょう」と大学生のマナブ君が励ましてくれた。フリーターのコウジ君も「最後だから気合い入れるだけですわ」と笑い飛ばしている。その笑顔に救われたよ、ありがとう。イイ奴だな、お前ら。頑張れるだけお客さん来るかね、つーか、コウジ、いつも気合い入れとけよ、飛び出したのは、そんな言葉が精一杯だった。それ以上を口にしてしまえば、想いが溢れ出しそうだった。


本当は、心から礼を言いたかった。君たちの居場所を奪ってしまった私にさえ、優しく接してくれた感謝を込めて。
 

 

呆気ない幕切れ。

遅番の社員にホールを引き継いでタバコに火を付けると、ようやく気持ちも落ち着いてきた。当然といえば当然だが、店内を走り回るほどお客さんが来た訳でもない。ホールコンピューターに吸い上げられたデータの数々も、ただの数字の羅列にしか見えない。もう、一喜一憂する必要も無いのだから。そして店内も、もはや華やかな遊技場の姿では無かった。別れを惜しむ涙も労いの花束も無い空虚な空間は、時間を浪費するだけに存在していた。


やがて流れてきたのは、いつもと変わらぬ閉店を告げる音楽だった。だが、もはや店内には一人のお客様の姿も無い。この日のために用意していた、長きに渡る感謝の想いを綴った手紙。誰の耳にも届けられなかったその言葉は、クシャクシャに丸めてホールのゴミ箱に投げ捨ててしまった。


今日まで本当にお疲れ様、ありがとう、良かったらこの後、飲みに行かないか。そんな誘いにも一様に困った表情を浮かべた社員と遅番スタッフ達に慌てて手を振った後で、私はたった一人で事務所に残り、最後の報告メールを作成した。


これでもう、本当に終わり。 私のパチンコ店の責任者としての仕事は、これにて終了となったのである。
 

 

別れの挨拶。

たった一人、残された店内に立ち尽くしていた。馬鹿みたいな自分の姿に気が付くと、パチンコ店らしからぬ静寂に包まれた店内を改めてグルリと一周してから、この店での役目を終えた遊技台の電源を一斉に落とした。


この瞬間に私はまた、彼らの居場所も奪ってしまったことを思い知らされる。それぞれが、ここでは無い場所へと運ばれていくのだ。系列店舗での更なる稼動が約束されている定番機種。中古業者に引き取られて、新天地での活躍が期待されている人気機種。二束三文の値段で買い叩かれて、廃棄処分を待つだけのかつての最新台。


私と同じように彼らの居場所はもう、ここには無い。 私がもっと頑張っていたなら。優秀な人材であったなら。君たちの面白さをより多くのファンに気付かせてあげられただろう。もっともっとホールで長く愛される台として存在することが可能だったはずだ。申し訳ないという気持ちは、スタッフに対してだけではなかった。数々の遊技台に対しても、同じ気持ちで胸が張り裂けそうだ。


ごめんなあ、みんな。本当にごめんなあ、みんな……。


こうして最後の1日は、最後の1ページが破り捨てられた小説のような、言葉にならない淋しさや物足り無さや、ほんのわずかなぶつけようの無い怒りといった複雑な思いを抱えて静かに幕を閉じた。ハッキリとわかっているのは、たったひとつ。私が店長として働いたこの店にはもう、お客様が足を運んでくださることは無い。その歴然たる事実だけが、冷たく固いホールの床に横たわっているだけだった。
 

 

カタギリ・今週の1枚

バーサス以外でなんだかんだと打ってしまうのが、こちらの『まどマギ2』ですな。

高設定と思しき挙動の台で撃沈してみたり、低設定丸出しの挙動なのに噴いちゃったり。

悔しさも気持ち良さも味わわせてくれる、良く出来た台だと思います。
 

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この記事へのコメント(2 件)

プロフィール画像
銀チャ
投稿日:2018/05/08
カタギリさんのお店で働いていたら、色んな事を感じたんだろうなぁって思います。

ただ、ただ、お疲れ様でした。
プロフィール画像
トリオレの三男
投稿日:2018/05/02
カタギリさん今までお疲れ様でした!
第69話目だったので、得意なピンク話しと思いきや…
閉店を迎えたホール、寂しそうですね…

元・店長カタギリ
代表作:しくじり店長

シルバ〇アファミリーみたいに小さなパチンコ店の責任者から一転、 雑巾がけがメインの業務となってしまった事務員へとグレードダウン。 そんな設定①のスランプグラフのような半生を、隔週水曜日に連載させて頂いております。 タイトルは「しくじり店長」。 パチ屋の店長が平社員へと降格していく逆サクセスストーリーを、 海物語シリーズの泡リーチを見つめるような気分でお読みください。

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