パチスロライターに“なってしまって”episode.33（5.5号機以降の規制時代）

佐々木真パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

5.5号機〜5.9号機の規制は、パチスロ環境を大きく変えたと思う方も多いことでしょう。簡単に言えば、ホールの苦戦・遊技人口の減少・雑誌の更なる衰退……という負の連鎖です。その渦中にありながらも「時代は繰り返すもんだな」と他人事のように思っていたのが正直なところです。

4号機が終わる時と同じなんですよ。あの時は中小の雑誌が休刊（という名の廃刊）の憂き目に遭いました。そこから時代も変化し、そもそもユーザーの雑誌離れが加速していきました。もう中小は潰れきっています。その苦境を大手も被ることになっていきました。

4号機から5号機への変遷期。雑誌という古いメディアは淘汰されることに。それで業界が回復傾向となってきた時、WEBや動画といった新たなプラットフォームの媒体がそこに割り込むような形になったのです。

今の6号機やスマスロのタイミングかは分からないですけど、業界全体が良くなってきたら、また新しい手法の媒体が登場してくるんじゃないかなと思っております。

さて、5号機時代も進んできて、いろいろと規制されることになりました。その中でも大きかったのは押し順ペナルティの禁止・純増傾斜値2.0枚でしょうか。

AT機を作れないことはありません。ただ、どの押し順でも高ベースとなってしまいます。パチスロの出玉設計は「ベース＋初当り確率＋初当り時の平均出玉」から成り立っています。ベースが低ければ、その分の出玉を初当りや一撃性に回せます。逆にベースが高ければ、初当りや一撃性を削るよりほかありません。

つまり、押し順ペナルティの禁止は、AT出玉の抑制にそのまま繋がるのです。「AT機自体は禁止しないよ。でも、出玉設計が大変だよ」ということです。私はAT機以外の創意工夫が再開するのではないか。そうあって欲しいと思っていましたが……そうはなりませんでした（笑）。

時代が繰り返すのはメディアの栄枯盛衰だけではなく。度重なる規制の後に遊技機規則の改正（号機の変更）が待ち受けているのも4号機時代と同様でした。そんな中で新たなシステムなど創意工夫が進むことは考えにくいです。スペックダウンを余儀なくされてもAT機にしがみつくメーカーのなんと多かったことか。

そして規制は続いていきます。有利区間の概念を持った5.9号機の登場です。またAT自体に設定差を持つことも禁止されました。この時代が長ければ、もっとリアルボーナスが復権する時代に変わったかもしれませんが、一気に遊技機規則の改正（6号機へ）と変わっていきます。これも4号機から5号機へと変わっていった時代と同じです。

そりゃ5.9号機を作りませんがな。開発中の機種でも、ATに設定差を付けられる6号機に作り直しますわ。

▲『クランキーセレブレーション』（アクロス：2016年10月）

そんな5.5号機以降に身も心も捧げたのが『クランキーセレブレーション』。正直、リール制御に関しては前進機の『クランキーコレクション』のほうが好きだったりしますが（汗）、この機種の特筆すべき点はボーナス確率の軽さ。ノーマル系は「まずは当たること」が大事であり、BBの枚数を250枚と抑えたことによりそれを実現させていました。

これは後から思ったことですが、この機種に慣れていたお陰で、6号機の300枚出ないBBにも違和感がなかったです。すぐ慣れました（笑）。

『クランキーセレブレーション』と『リノ』ばかりを打っていたせいで、あんまり5.5号機以降だとか意識しなかったんですよね〜。

★6号機時代へ。

2017年7月11日。警察庁が6号機への風営法(風適法)施行規則の改正案を発表します。パブリックコメントを経て、2018年2月に施行されるのを待つことになりますが6号機時代の到来です。

正直、6号機の遊技機規則はまったく評価しておりません。5号機と文面が同じなんですよ。出玉率など数値が書き換えられただけで。要は5号機の遊技機規則の劣化版です。その後にAT関連は内規で緩和されていますが。

前の遊技機規則とほぼ同じで数値だけ悪い方向に書き換えられたのは2回目。前は2号機から3号機の時でした。結果どうなったか。普通の3号機を入れる意味がないと「裏モノとして違法にチューンナップ」された機種が横行したのです。しかし、時代が変わってそのような違法機が蔓延る世の中ではなくなっています。つまり、どうにもならないのです。こういう歴史を知らない人が書いたんだろうな〜。そう思いましたとも。

結果的に2018年1月に内規処理として、ATの純増枚数の自主規制（5.0号機では3.0枚まで）の撤廃、ATに設定差があって良いなど5.9号機よりも緩いものとなったんですがね。ATなど小役ナビに関しては。

ボーナスはダメです。遊技機規則に書かれていますから。「それが変わる＝7号機になる」ので、6号機のうちに純増枚数が300枚を超えることはありません。よって、各メーカーとも5号機と同様のATを発展させるしか手段を選びにくい状況となっているように思います。

スマスロとか、6.5号機で更にAT機能で認められることは増えていますが、内規で処理できるのはAT関連がメイン。それ以外の大きな変化は遊技機規則の改正（7号機へ）を待つしかないというのは変わらないです。

★以降は、皆さんに託します。

以降は、最近のことなので。私のスタンスや気持ちは変わっていないというか。それどころでないと判明してしまいまして……。

何を持ってパチスロが復活するのか、その時にメディア関係も増えるかもしれもしれませんが、新たな表現する場はどこになるのか、どういった形になるのか。パチスロ界の今後を見届けられなさそうなので、これを読む皆さんに託したいと思います。

以上、私が歩んできたパチスロライフでした。その間パチスロは、小銭を握りしめて近所の中小ホールで遊んでいたものから、大金を持って遠くの大型店に行かねばならないものとなりました。違う価値観を持つ新たな人たちが、ここからの歴史を作っていくことになると予想しています。

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佐々木真: 代表作：パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。