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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2023.05.16
パチスロライターに“なってしまって”episode.18(名機! 美川〜さそり座のサラリーマン〜)
「初期5号機も○○(機種名)とか面白かったですよね」
ライター同士ではよくある会話ですが、特に私はマイナー機を愛しすぎるが故に他人と機種名がカブることが多くはありません。読者の皆さまの想像する通りです。
もう10年前くらいになるでしょうか。いつものようにマイナー機の名前を挙げたら、初めて会ったライターさんが「ああ、あれは最高です」と食いついてきたことを思い出します。その機種名は『美川〜さそり座のサラリーマン〜』。そのライターさんは、あしのさんと言います(笑)。
▲『美川〜さそり座のサラリーマン〜』(オーイズミネオ:2006年11月)
新たなアイデアが使われていないか? そう考えながら打つのも楽しいですが、そんな緊張感の連続では心が休まりません。2006年の年末から2007年の初頭にかけて、もっぱらプライベートで打っていたのが『美川〜さそり座のサラリーマン〜』でした。
馴染みのない機種でしょうから軽く解説。もちろんのことボーナスを主体にメダルを増やしていく機種です。ボーナスは3種類。赤7揃いは純増約240枚+100GのRT・青7揃いは純増約174枚+50GのRT・「赤7・赤7・BAR」揃いは純増約102枚のREG。RTはありません。
ポイントとなるのはRT。途中でボーナスが成立しても、規定ゲーム消化した後に揃えたほうがお得な完走型RT となっていました。RT消化中にリーチ目が出まくってボーナスが当選していると分かってしまうほど興醒めなことはございません。リーチ目が出なければ種なしと分かってしまいますから。なので『美川〜さそり座のサラリーマン〜』には明確なリーチ目がございませんでした(スベリでの察知など特殊な条件では分かる)。
この特徴を通常ゲームに利用すると超面白かったのです。
本機は、5号機より認められたボーナスと小役の同時当選が強めの機種。レア小役後に「REG→青7→赤7」と狙っていけば、ハズれるごとに偉いボーナスの可能性が残ることになります。まあ、大体は赤7もハズれて単なるハズレのレア小役だったのか〜で終わりますが(笑)。
▲中押しが最高に楽しい
通常ゲーム中(RT中も同じだけど)に狙うのは、中リール10番のダイヤだったっけかな。その辺りです。中リール中段まで13番のチェリーがスベってきた時は強弱の1枚役が成立。抽選確率が高い「赤7・チェリー・BAR」の弱1枚役を狙います。ハズれれば「青7・チェリー・BAR」の強1枚役だったということ。
ここで連続演出に発展した場合、コインロスをしますが同じ手順を1Gだけ繰り返します。ボーナスが成立しているか分かりたくないからです。で、次のゲームは逆押しで右リール中下段にBARを押します。そのまま停止したら「赤7・赤7・BAR」揃いのREG。青7までスベってきたら青揃いのMIDボーナスを狙います。
どちらも揃わなかった場合、赤7揃いの偉いBIGかハズレです。ここで最初の1Gを捨てた効果が出てきます。BETボタンを押した瞬間に「おだまり〜」などの逆転演出が発生すれば、見事に赤7BIG確定となります。1G捨てずに最速で揃えようとすると逆転演出の前に揃ってしまいます。見られません。
REGでも青7でもないで発生する逆転演出。これがたまらなく愛おしかったんですね。そう。この機種は出目で見抜けないから面白いんです。
また演出もバカバカしくて良かったんですよね。メーカー名のオーイズミネオとは、平和・オリンピアが開発して、オーイズミの販売ルートも使う形式。取材の際など、オーイズミで「美川面白いっすよ」と言っても「ふ〜ん」という感想になりますが、平和・オリンピアで同じように言うと喜ばれました(笑)。
というわけで、開発は平和・オリンピア。『アントニオ猪木という名のパチスロ機』以降、演出の幅が広がったというか。本来は悔しいはずの失敗パターンとなる演出も「美川憲一がサラリーマンなんて、無理に決まっているでしょ」と思わせてくれて悔しくないのです。ここで怒るようなら心が狭い。原作では完全無欠のヒーローが失敗の連続となるのは興醒めなので「そりゃ失敗するわな」と思わせて欲しいものです。この方向性は平和・オリンピアに一日の長があるかな。最近、鳴りを潜めているような気がしますけど。
★2006年暮れ、それ以外に主戦とした機種。
▲『サンダーVスペシャル』(エレコ:2006年12月)
2006年暮れに主戦とした機種は、他に『サンダーVスペシャル』と『アクアビーナス』。
『サンダーVスペシャル』は、元々『サンダーV』信者だったのもありますが、ユニバーサル系がノーマルをそのように発展させていくかに興味と期待があって、注目のタイトルだったのもありますね。
▲1リール確定小役のチェリー周りに注目
この5号機初期に問題となっていたのが1リール確定小役。確か日電協加盟メーカーの特許だっただけに「それを使わない」という選択肢は想像しにくかったような。しかし、その1リール確定小役があるばかりに、その周辺にボーナス図柄を置いてしまうと「リプレイの次にボーナス揃いを優先」「ボーナスが揃った時にメダルの払い出しがあってはならない」という2項目をクリアすることが困難になります。
そこで『サンダーVスペシャル』が選んだのは、チェリー近辺のボーナス図柄をダミー図柄とし、ボーナス確定のリプレイや小役とすることでした。今では1リール確定小役を廃止し「チェリー・リプレイ・ベル」のような並びでメダルを払い出すのが一般的となっていますが、そこに到達するまでには様々な紆余曲折があったわけです。もうね、アクロスの『ハナビ』とか芸術ですよ。
▲『アクアビーナス』(平和:2006年12月)
あとは『アクアビーナス』ですかねえ。ボーナスは主にリプレイと同時成立。ボーナス成立後はリプレイ確率がアップするものでした。従ってリプレイが続けば続くほどボーナス成立の期待度アップ。
普通はリプレイ4連でも「もらった」となるものですが、リプレイ7連してドヤ顔でドル箱にメダルを移したにも関わらず、すべて1/7.3の自力だったらしく、ボーナス未成立のことがありまして。ええ、恥ずかしくてそのまま帰りました(笑)。そんな経験もするくらいには打っていました。低設定域の出玉率も優秀でしたしね。
惜しむらくは、ハズレ時のリール制御でしょうか。2リール目を止めた時点で、ボーナス告知もされずにリプレイもテンパイしないことが多かったんであすね。ビタ押しを駆使すれば“なんちゃってリプレイテンパイ”は作れましたが。リプレイが続いた後に、リプレイすらテンパイしないのは絶望なんですよ。ただ、大昔に前兆モノの裏モノを打っていた古参として、今後に似たようなシステムを使う場合は、そこだけは改善を要望します。
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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