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若年性パチンコ研究脳
2021.10.15
研究#16-3:『2005年は百花繚乱! 史上最大のリリース数』新機軸が続々登場!”普通の確変機”があった最後の時代。CR機の足跡を辿る連続企画~過激化編~
どうもこんにちは。会社の後輩で唯一パチンコを打つ男に貯玉数を聞いてみたら「勿体ないから貯玉とかしたことないっすねー」と屈託無い笑顔で言われてカルチャーショックを受けたraraです。
さて、今回は連続企画『第3回CR機の歴史を振り返る』です!
前回はパチンコ史上最大の規制緩和となった”04基準”がスタートした2004年までを取り上げました。スペックの自由度が大きく向上し、今まで出せなかったようなスペックもリリース出来る様になった”04基準”ですが、2004年の年末から始まった基準。2004年段階ではまだまだ特殊なスペックのリリースは少なめ……というより、そもそも総リリース数があまりないという状態でした。詳しくはコチラをどうぞ。
それでは早速本題に参りましょう。激動となる2005年のパチンコ事情です。
★04基準を手放しに歓迎できない”みなし機撤去問題”
最大の規制緩和である04基準ですが、良いことばかりではありません。代償として、それまでなあなあに設置され続けていた設置期限3年or6年が終了済みの台、いわゆる”みなし機”を撤去しなければならないという状況になってしまいました。要するにどんな名機でも、設置期限が過ぎたものは撤去しなければならない、ということです。
そのうえ、同時期2005年にはパチスロ5号機が登場。それによって4号機の撤去も進めなければならず、ホールが大量入替を迫られていた時期です。……なんだか、CR機と5号機を撤去しなければならない2021年現在と被るところがありますね。
現在と違うのは、業界全体の体力です。当時のパチンコ業界はまだまだ元気があった時代。現在の倍近い店舗数があり、総設置台数にも大きな差がありました。入替の需要は莫大なものになります。出せば売れる……とまでは言わないまでも、新台を出す絶好の機会なのは間違いありません。
ということで2005年のパチンコ総リリース数は驚愕の397機種(※rara調べ)!
今も破られていない歴代最高記録です。総設置台数が減ったうえ、塗り替えられることは一生ないであろうアンタッチャブルレコードですね。
そしてコチラが、その397機種のデータベースです!
(とんでもなく大きいデータなのでリンク先にて公開中。マニア向けデータの為見なくても下の記事を読むのには影響ありません。)
★パチンコ史上、最も初当りが重い『重量級』の時代
ここからは様々なデータを見ていきましょう、まずは『大当り確率帯』です。
ミニマム (1/1~1/59) |
2機種 |
甘 (1/60~1/139) |
20機種 |
ライトミドル (1/140~1/239) |
14機種 |
ミドル (1/240~1/339) |
83機種 |
ハイミドル (1/340~1/369) |
48機種 |
MAX (1/370~1/399) |
98機種 |
超MAX (1/400~1/499) |
101機種 |
特殊 | 2機種 |
リリース数トップは僅差で『超MAX機』の101機種。1/400よりも重い台は全て超MAXと記載しているものの、おおよそ25%の台が『初当り確率1/499』という恐ろしい状態になっています。
また、1/350近辺がメインだった04基準以前の台と交換する需要が大きかったためか、ミドル~MAXまでのリリースが非常に多くなっています。1/340~1/369までと狭く定義してしまったハイミドルのリリースも多く、このぐらいの確率帯が重すぎないで”丁度いい”扱いだった時代を反映しています。
近い確率帯で複数のスペックを作ったり、今となっては甘デジでしか使われなさそうな版権が、堂々と超MAXで出てきたりするのも前年と同じ傾向。マルホンが『CRガーフィールド』というめちゃくちゃユルい題材から、超MAX帯で4スペックも出したりしています。
一方、総リリース数の多さからマイノリティに甘んじてはいるものの、ライトミドルや甘のようなスペックも販売されるようになってきました。
甘デジの先陣を切ったのが奥村の『CR黄金ハンターSTF』です。
▲キャラ人気も根強い黄金ハンター。華牌みたいに復活しないですかね……
ミドル以上のみで複数のスペック出すのが当たり前なこの時代に、超MAXから甘まで幅広いスペックで登場しました。この台を皮切りに、奥村はほぼ全ての台で甘デジスペックをリリースするようになり、”甘デジの奥村”という異名を取るほどに定着していきます。
また、初当り確率が甘デジよりも軽い”ミニマム”や、近年で言う餃子の王将のように確率は軽いものの”回す”こと自体にハードルがある”特殊”タイプも初リリースされています。
▲一瞬で只者じゃないと分かる胡散臭いオーラを持つ変態スペック組
初の特殊タイプであるマルホンの『CRファイブドラゴンA72/Z83』(画像左)は、直接抽選を受けられるヘソがありません。まずスルーを通し、電チュー開放抽選に受かって、電チューに玉を入れてから初めて大当り抽選を受ける事ができるという、いわゆる”2段階抽選タイプ”です。
ハードルを設けている分、電チューに入ってしまえば1/40というミニマムに匹敵する超高確率で大当りを抽選! このタイプは今後も頻出します。
一方、初のミニマムであるサンセイの『CRセブンズロックGH/HQ』(画像右)は、通常通りのヘソで抽選を受けられるにも関わらず、GHの大当り確率が1/54.9。HQに至っては1/42.7と破格の数字となっています。一見すると超マイルド台ですが、その実態は超連チャン機であり、1度電サポに突入すると時短100回転以内に引き戻す限りループし続けます。
時短は100回転までという枠組みを活かすための軽い大当り確率で、実質的にはST機のような存在と言えるでしょう。出玉性能的にはミニマムの範疇にありませんが、”通常通りのヘソで抽選が受けられること”、そして”非電サポ時の大当りにも必ず出玉があること”から、今回の連載ではミニマムという枠組みに分類させていただきます。
さて、変なスペックが次々登場して絶好調の04基準機ですが……この2005年の末には早くも1回目の規制が行われていました。初当りの下限が1/499から1/399へと改められたのです。ということで超MAX機が登場するのは今回まで。1年ちょっとの短い生涯でした。
昨今の情勢を鑑みるに、二度とこんな大当り確率は登場しないんじゃないでしょうか……といっても、今の1/319引いて50%は単発300発なんて台は実質初当り1/640といっても過言では無いんですけどね。
★まだまだ確変機の時代。こっそりと『一種二種混合機』登場。
続きましては『ジャンル』ごとの分類です。
確変機 | 339機種 |
ST機 | 10機種 |
リミット機 | 11機種 |
転落機 | 14機種 (うち突入率が100%ではないもの4機種) |
一般電役 | 4機種 |
一種二種混合機 | 2機種 |
羽根物 | 6機種 (うち直撃大当りありが3機種) |
普通機 | 3機種 |
確変機の割合が約85%を占めており、変わらず圧倒的。この数字は単なるリリース数ですので、実際の設置台数シェアで考えると、85%どころでは無い占有率だったと思われます。ですが、04基準の特徴であるスペックの多様性が花開き始めたののが2005年です!
後に確変機に取って代わりメインジャンルとして君臨するST機。2021年現在では最早豊丸産業以外のメーカーからはリリースされなくなってしまったものの、辛うじて生き残っている一般電役。04基準による変化を全く受けない、一切の抽選機能を持たないジャンルである普通機。
従来からあるこの3ジャンルが04基準が始まってから登場しました。
(過去回で一般電役の解説をしていますので、気になる方は是非!)
そして、確率による大当り抽選をする”一種”デジパチと、役物内のV入賞による大当り抽選をする”二種”羽根物。04基準で起こった革命”種別の撤廃”により産まれた、2つの要素を併せ持つ『一種二種混合機』が遂に登場します!
……といっても、2021年現在主流となっているデジパチをベースにした混合機のリリースは、わずか2機種にとどまっています。この時期の一種二種混合機は羽根物としての存在がメインで、羽根物でありながらデジタル抽選を搭載することで役物を経由しない”直撃大当り”を採用した機種が登場しています。
また、時短を搭載した羽根物もこの時に初登場しています。これまで出玉性能的には地味な存在であった羽根物ですが、時短さえ使えばどこまでも荒くする事が可能です。……が、それを活かした機種が登場するのはもうちょっと後のお話です。
また、CR機のまとめである今回の調査対象外の存在ではありますが、現金機のリリースもわずかながら存在。
(備考)
現金デジパチ:2機種
現金羽根物:4機種
現金普通機:2機種
普通機や羽根物に関してはCR機と全く同じ性能の現金機が複数リリースされています。04基準前は”現金機のみ”という台も数多く出ていましたが、04基準移行はCR版を出すついでみたいな扱いに。
また、確変が搭載できないうえに、時短回数が制限されてしまった現金デジパチも一応2機種リリースされています。現金機を大事に守り続けたホールであっても、従来の台を強制撤去した上でこのリリース数では、設備を維持し続けるのも厳しかったのではないでしょうか。
★継続率と出玉の等価交換『突通(突然通常)』誕生。
続けて『確変の継続率』に関して見てみましょう。
49%以下 | 6機種 |
50%~59% | 73機種 |
60%~69% | 176機種 |
70%~79% | 46機種 |
80%~89% | 33機種 |
90%以上 | 2機種 |
この時代にメインであった確変機の継続率がこちらです。圧倒的に70%以下の割合が高いことが分かります。
昨今の確変継続率65%の規制があった時、「甘ならともかく大当り確率1/319のミドルで継続率65%以下なんて無理ゲー過ぎる」みたいな意見を何度も見かけたのですが、この時代は大当り確率1/499で継続率68%の時代です。そしてこの時代のスペックは決して無理ゲーではありません。
全ての大当りに1800個程度の出玉があり、確変が次回まで継続して、時短も100回付いてくる。という当時のスタンダードだったスペックだと初当りが1/499でも、継続率68%で限界ギリギリの数値なんです。ちなみに1/399であれば60%ぐらいで限界値。
そんななか、異彩を放っていたのが『CRウルトラセブンL77』です。大当り確率1/479でありながら、継続率は破格の81.67%!
▲今もなお続く京楽ウルトラシリーズの第一弾にして超革命機
従来の確変が持っていた概念を変えてしまった台で、通常大当りは全て出玉無しの通常、いわゆる突然通常、略して突通となっています。確変終了時は必ず突通ということが特徴で、確変大当りを引けば最低2回は出玉が貰える……という従来の確変機からは完全に逸脱。
それに加え、大当り時のラウンド振り分けも搭載。大当り=フルラウンド獲得という常識も壊しました。そうやって大当り出玉を削ることによって実現されたのが、当時としては圧倒的な高継続率です。
冷静に考えてみると、1/479のを初当りを引いても約1/5で出玉もなしに即時短からスタートと考えると恐ろしすぎるのですが……それらのリスクは全て確変に偏った時の爆発力へと還元されています。
従来の確変ループタイプと比べて、とにかく荒いウルトラセブンのスペックは圧倒的な支持を受け、以後突通を搭載した機種が増加していくことになります。
究極系はこの年の年末にサンセイから登場した『CR影』です。初当り1/498.5のほぼ限界値でありながら、その20%が突通なうえに、初当りで引くと時短も無し! 一応時短が付いてきたウルトラセブンと違い、いよいよ完全に無意味な大当りが誕生してしまいました。
また、セブンと同時期の台から突通搭載機以外でも、従来より高継続な機種が目立ち始めます。前年度に販売された突確付きのエヴァが人気になったことで、突確の存在がメジャーになっていったのが要因です。
★出玉無し大当り搭載機が急増! 継続率も急上昇! でも実態は……?
ということで、続いてのデータは『出玉無し大当りを搭載している機種の割合』です。
搭載 | 88機種 (うち突通あり10台) |
非搭載 | 289機種 |
2004年の時点では、エヴァの一部スペックにしか搭載されていなかった出玉無しの大当りは、2005円の1年間で総リリース数の1/4に搭載されるほどメジャーな存在になっていました。ヘソと電チューでラウンド振り分けに差をつけるという概念が存在していないこの時代における出玉無しの確変は、”1回休み”のような、結論を先延ばしにするだけの存在です。
確かに、通常時から突然確変が始まるのは嬉しいことです。ですが、その後即通常を引いて時短に突入したとしたら……初当りで通常を引いたのと、出玉的には何の違いもありません。もし、突確から出玉ありの確変へと繋がったとしても、初回に出玉あり確変を引いたのと何ら差は無いのです。
さらに言えば確変中に引く突確に至っては、文字通りの1回休みであり、本格的に意味がありません。そんな出玉無し確変ですが、コレを搭載すると出玉性能は据え置きで”見た目の”継続率を向上させることができます。1回休みであろうと、確変継続には違いありませんから。
ということで、継続率が高い台が出始めたと言ってもセブンなど一部の突通搭載機を除くと、実質的な性能は特段変化していませんでした。
ですが、この年の年末に出玉無し大当りの概念を大きく覆す歴史的な1台が登場します。ダイイチの『CRテレサ・テン』です。
▲ピンク・レディーの流れを汲む歌姫シリーズ。ピンク・レディーと中森明菜に挟まれてしまいちょっと地味めの扱いに……
『CRテレサ・テンKM2』のスペックがこちら。
大当り確率 | 1/399 |
確変突入率 | 70% |
大当り出玉 | 2000発 (払い出し換算) |
時短 | 出玉あり大当り後100回 |
……と、これだけだととんでもなく甘いスペックになってしまいます。が、当然出玉無し確変を搭載しており、確変70%のうち25%は出玉無しの大当りとなっています。突確を除いた実質的な継続率は60%。60%と聞くと厳しく感じてしまうかもしれませんが……出玉が2000発オーバーで時短も100回ついてくることを考慮すると、まだまだ甘すぎるぐらいです。
ではどこでバランスを取っていたのか? 答えはこの台から搭載された新機能”潜伏”です。テレサ・テンは通常時に出玉無し確変を引いても電サポはつきません。
1/39の確変中大当りを自力で引くまでヘソで回すことになります。潜伏中に突確を引いても電サポは付きませんので、25%のヒキによっては当たっているのに一切出玉無しのまま、延々追加投資を迫られる可能性さえあります。潜伏によって削られる出玉を他に回した結果が、上記の甘く”見える”スペックを生み出しています。見た目しか変わらない突確と違い、出玉性能にも影響を与えるのが潜伏です。
かつて2回ループ機が人気を博したように、市場はいつの世も出玉性能の派手な台を求めています。甘い台とは限らないのがミソです。
出玉無し大当りに”潜伏”と”突通”という新しい概念が追加されたことで、パチンコのスペックは加速度的に派手な方向へと変化していくことになります。長くなってしまいましたので今回はここまで。次回は”突確全盛期”こと2006年からのスタートです。
(補足:データベースの中で「サポ抜け突通あり」と記載されている機種は確変でも電サポが途中で終了してしまう可能性がある台を指しています。テレサ・テンが画期的だったのは、初当りから一切の電サポ無しに潜伏してしまうことでした。)
★余談~2005年に発売されたST機の継続率~
2005年に10機種しかリリースのなかったST機ですが、なんと継続率60%超えの台が1つも出ていません。
1番高い『CR岡本夏生の幻の雀神麗華D』でさえ56%で、10機種中8機種が継続率50%以下となっています。
▲「失礼ぶっこきマンボ」という名言で高名な岡本夏生さんタイアップ。なんとまさむら遊機の遺作です。
この頃のST機は殆どがライトミドルか甘デジでのリリースで、かつて現金機においてリリースされていた”時短機”の発展型ぐらいの扱い。まだまだメインスペックの”ついで”でリリースするマイナーチェンジ版という扱いだったことが伺えます。
今や確変機を抑えホールの主役となっているST機ですが、その人気が定着するまでには長い下積みの時期があったのです。
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北海道に蠢く24歳のスロパチ好き。珍古店を探して全国を駆け巡ったり、大きいホールに一台だけ置いてあるマイナー台を打って、悦に浸ったりするタイプの人。最近のマイブームはパチスロミルキィホームズ。
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