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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

2021.01.19

明暗分かつ大一番~ルパン禁止令~

ラッシー ラッシー   パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

電車のドアが開くと、まだ冷たさが残る風が一斉に車内に押し寄せ、そこでやっと額にも汗が滲んでいることを自覚した。身体をギュッと引き締め、しっかりとした足取りでホームに降り立つ。

半年ぶりに巡ってきたチャンスだ。逃すわけにはいかない―――。

人の波をかき分けるよう、早足で階段を上った。通い慣れた……とまでは言えないが、何度も通った道だ。実戦店までの道順は、完璧と言っていいほど頭に入っている。改札を出たらスグに右に折れるが……その前にとトイレへと駆け込んだ。

――「………(クソが!!)」

トイレの中には長蛇の列。十人近い男たちが、余裕の無さそうな表情で並んでいる。カタカタと貧乏ゆすりをしている者も少なくない。内心で舌打ちし、即座に踵を返した。

――「マジこの駅、利用者数と個室の数が釣り合ってねえよ」

小さくひとりごち、改札へと急いだ。
 

落とせない一戦。

公衆トイレの古びた手洗い場には、ハンドソープも石鹸もなかった。ピリピリと痛みを感じるほど冷たい水で、奥歯を噛みしめながら手を洗った。

この街は東京都内において田舎だと馬鹿にされがちだが、田舎育ちの俺からすれば十分すぎるほど都会だった。いかにもヤンチャそうな男や、日に当たることを諦めたような女も多いが、その少し粗野な雰囲気が逆にイイ。

しかし不思議なことに、この街に来ると必ず腹痛に見舞われる。理由は判然としないが、必ず街に降り立った瞬間からトイレを探すことになる。おそらく街のせいではない。この街を訪れる動機が、番組収録だからだろう。

あまり自覚はしていなかったが、やはり動画出演は苦手だったのかもしれない。

動画に出演せず原稿だけを書き続ける選択肢もあったが、先輩方は動画出演によりどんどん活躍の場を広げている。もはや動画出演は、ライターを続ける上で欠かせない仕事になっていた。

手を洗い終え、ヒビの入った鏡を見ると、少しだけ生気を取り戻した顔があった。濡れた手で顔をほぐし、気合いを入れ直す。

――「あと一戦。この一戦だけ乗りきろう」

この日の収録はトーナメント番組の決勝戦だった。この番組は上位番組への登龍門的な存在で、優勝すればリーグ戦への出場が約束される。これが俺にとって極めて重要だった。

「そんな番組に出演する意味なんてない」

そう嗤う同業者も少なくない。たしかに、たった1戦で立ち回りや知識の優劣を決するなどナンセンスだ。いかに周到に用意し、考え得る最高の立ち回りをしたとしても、運次第で負けることもある。それが一発勝負のトーナメントだ。

仮に優勝したとて、優れたライターとは言い切れない。しかし、そこを乗り切りリーグ戦へと昇格できれば、1シーズンは6ヶ月だ。6ヶ月もあれば立ち回りの実力も披露できるハズ。

そして「レギュラー番組を持つ」という事実も大きい。トーナメント戦はいつ敗退してもおかしくないため、どれだけ出演しても「レギュラー」ではナイ。しかしリーグ戦なら紛うことなきレギュラー番組だ。

俺のような末端のライターにとって、レギュラー番組を持っているか否かは重要なポイントだった。

さらにこのリーグ戦は、我が攻略誌「H」の先輩たちが出場する憧れの番組。俺も放送開始からずっと観てきた。ここからスターへと昇りつめた先輩も少なくない。あの先輩方と一緒に戦ってみたい。そんな気持ちが強くあった。


学生なら運動部でも文化部でも目標とすべき大会がある。しかし大人になれば何も無い。たとえそれが意味のない優勝だとしても、頂点を目指して戦えるという環境に、少しばかり張り合いのようなものを感じていた。
 

木村。

実戦店に着いたが人影はなかった。どうやら1番乗りらしい。正面入り口に置かれた番組収録を告知する巨大なポップが、余計に緊張を煽る。が………

――「は? 何コレ?」

【本日実戦収録】
ラッシー木村 vs L(対戦相手)


――「ラッシー木村って誰!!?」

告知ポップのライター名、思いっきり間違ってるじゃねーか! 木村て!! 仮に俺が本当に木村姓だったとしても、この業界で「木村」はおいそれと名乗れない。いや、名乗ってはいけない。

俺が驚愕していると、そこに番組プロデューサー(P)がやって来た。

P「おう、おはよう!」
――「お…おはようございます」

P「どうした? 緊張してんのか?」
――「まあ、緊張もしてるかもですが」

巨大ポップを指さす俺。

P「な、なんだコレ!? ラッシー…木村?」
――「はは、どこから木村来たんすかね」

P「なに笑ってんだお前!」
――「え?」

P「お前の大事な誌上ネームじゃねーか!!」
――「はあ…大事…まあ、そっスね」

本人より熱くなっているプロデューサーに、若干引いてしまった。

P「これはダメだ! 直してもらう!!」
――「えええ!? いやいや、いいスよ。気にしてないし」

P「いや気にしろよ!」
――「いや、無名の俺が悪いんス」

P「んなわけあるか! すみませーん、開けてくださーい!!」

おもむろに店員を呼び始めるプロデューサー。

――「ちょ、ヤメてくださいよ。開店前は忙しいんだから」
P「そうは言ってもだな」

――「いやいや、こうやって収録させて頂けるだけでありがたいじゃないですか」
P「そうだけどよ…じゃあ開店後に直してもらうわ」

――「いやいや、いいって!」

驚きはしたものの、全く怒ってはいないんですがね。そんなこんなしている間に、他のスタッフ陣や対戦相手のLさんも合流し入場抽選が始まった。
 

裏ルール。

抽選人数は200人弱。抽選結果次第では、ここで勝負が決まってしまうが………

――「う…ウソだろおい!?」

まさかの1番!

選びたい放題ではあるが、打ちたい機種は決まっている。このトーナメント戦は、ずっと「ルパン三世~ルパン一族の秘宝~」で勝ち上がってきた。設定推測の熟練度も相当高い。ガチで勝ちに行くならコレしかない!

しかし、ここでディレクター(D)が俺の元へとやって来た。

D「ラッシーさん、ちょっと…」
――「ん? どうしたの?」

D「今日はルパン禁止で」
――「は???」

突然のルパン禁止令! 過去の放送で、何か平和から怒られたのだろうか?

――「なんで? ヤです!」
D「ラッシーさん、ルパン打つと強すぎるんだもん」

――「な・ん・じゃ・そ・ら!?」
D「番組的に盛り上がらないので禁止で」

――「……ウソでしょ?」
D「いや、マジっス」

冗談っぽく「あれ打たないでください。編集面倒なんで」などと言われることは珍しくない。そんな場合なら無視して打っても構わないが、今回はニュアンスが違う。彼の目がマジなのである!

つまりはこういうことだ。番組上、表立って「ルパン禁止」とは明記しないが、裏の縛りとしてルパンを打たないでほしい…と。

俺にとっては何一つメリットがない裏ルールだが、「番組的に盛り上がらないから」と言われてしまうと、逆らうこともはばかられる。

――「そんな…」
D「ルパンじゃないと勝てないんスか?」

――「ほ~、言うじゃねーか」

このディレクターとは数年の付き合いだ。彼が新人ADとして入ってきた頃から知っている。まさに「デカくなったな小僧!」状態だ。

――「誰が負けるって? 上等だよ!」
D「それでこそラッシーさんです」

対戦相手のLさんは、飛ぶ鳥を落とす勢いで人気ライターへの道を爆走している女性ライターだ。立ち回りの堅実さで言えば、彼女のほうが上。 しかし、対人戦の勝率は概ね50%。

相手がいかに手練れであろうと、逆にエンジョイ勢であろうと、勝率は等しく約50%なのである。不思議に思うだろうが、バトル形式の実戦番組に出演を続けると、誰もがほとんどこの結論に辿り着く。

たとえ予定通りに設定6をツモっても、相手が設定1で事故を起こし敗北…ということが当たり前に起きる。パチスロとは、それだけ不確実性の高いゲームなのだ。
 

出演者の憂鬱。

いざ開店――

店員「1番のかた~」

カメラを引き連れ正面入り口に向かうと、予想通り「おおっ!」っとどよめきが起こった。動画の出演者が1番に入場するのだ、勘繰りたくなる気持ちも分かる。そしてパチスロフロアに到着するなり通路の端に寄り、他の客の入場を待った。

――「まあ収録でたまにお邪魔する程度なんで、しっかりとした傾向は掴めてません。まずは焦らず常連さんの動きを見ましょう」

もちろんガチの抽選で1番を確保したのだから、堂々と素直に座って構わない。しかし動画の出演者が1番に入場し、真っすぐ確保した台で大量出玉を獲得したらどうだろう。必ずあらぬ疑いをかけられる。

「指定台だ! 入場抽選もヤラセだ!!」

まず間違いなくそう書かれる。事実がどうであれ、ネットではそういうことになってしまうのだ。これは実戦店にも大きなマイナス。だからあえて、なるべく自然な形で遅めに台を選ぶ必要がある。

そして10人ほどの背中を見送ったあと、常連客の着席している位置や台番を参考に台を選んだ。だいぶ時間を置きすぎたが、Lさんにこれぐらいのハンデはくれてやろう。

堅実な立ち回りでは分が悪いが、トーナメント戦の経験値なら俺のほうが上のハズ。 勝つのは俺だ―――!!
 

育成枠。

数時間後――
Lさん「というわけで、優勝はわたくしLです!」
――「おめでとうございま~す」

完敗だった。Lさんはきっと決勝でも堅実に立ち回るだろう。そう予想していたが、彼女が選んだのは荒めの機種。そして、彼女の目論見通りに事が運んだというわけだ。

いつもの堅実な彼女になら、ある程度の出玉さえ確保すれば勝てると思っていた。が、勝負に出た彼女は俺の予想を上回る出玉を獲得したのである! 気持ちイイほどの完敗だった。

D「じゃあ、まずは準優勝のラッシーさんからひと言」
――「はい。いや~、今回は優勝できると思ってたんで残念です。憧れのリーグ戦に昇格できないのがホント残念で…」

D「あ、ちょっと一旦ストップで」
――「はい? なんかマズいこと言いました?」

D「いや、今回は2人入れ替えなんで、ラッシーさんもリーグ戦に昇格です」
――「え? マジで?」

D「じゃあ、また頭からお願いします。3、2、1…」

こうして俺は準優勝という中途半端な結果にもかかわらず、上位番組への出演権を獲得! なんとも気持ちの悪い形だが、それでも胸中は達成感で満たされていた。


十数分後――
Lさん「それでは、次回トーナメント戦もお楽しみに。サヨナラ」
――「さよなら~」

D「ハイ、OKです。お疲れさまでしたー!」
――「お疲れさまでした~」

D「いや~、ラッシーさん惜しかったっスね~」
――「いやいや、今日のLさんはマジ凄かった。負けたけど清々しさすら感じたもん」

Lさん「そんなことないですよ~」
D「あ、そういえばルパンなんですが…」

――「お、全然見てなかったけどどうだった? 出てた?」
D「僕ヒマだったんで空き台座ったら、6千枚出ちゃいました」

――「あ? マジで言ってんの?」
D「あれ甘いっスねマジで」

――「ちょ~、ざっけんな!!」

実際、実戦番組の優勝者なんて肩書に価値などナイだろう。ただの自己満足と言われれば、その通りかもしれない。それでも俺にとっては、ぜひとも手にしたい肩書だった。

ただの遊びとも言えるパチスロ。その遊びで一等賞になりたかった。

かくして俺は憧れのリーグ戦へ。あのスターだらけのリーグ戦で、何かを残すことなどできるだろうか。下部のトーナメント戦すら準優勝の俺に。

育成枠でギリギリ拾われた。言うなれば、そんな気分だった。
 

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ラッシー
代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-

山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。

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