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パチンコ好きの爺さんが死んだ話
パチンコ好きの爺さんが死んだ話
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マグさんさん
初めての20スロはクレアちゃん2でした。クレアちゃんの可愛さを知れました。いやあ、クレアちゃんかわいいですよねえ。 - 投稿日:2023/11/30 01:14
パチンコ好きの爺さんが死んだ。
一緒にパチンコに行こうという約束を果たさないまま。
癌に体を苛まれながら、緩和治療の末、去年の夏に亡くなった。
■□■□■□
小学生の夏休みは、毎年のように母親が栃木にいる爺さんの家に連れて行ってくれた。
何をしたかはぼんやりとしか覚えていない。
週末になると山や川に連れて行ってくれた覚えはあるが、
「夏なのに山の中は涼しい」とか「川釣りが楽しかった」とかぼんやりとしか覚えていない。
そんなボクがハッキリと覚えていることが一つだけある。床に散らかっていたパチンコ屋の新聞広告。
タクシー運転手だった爺さんは昼間はお客さんを運び、夕方になるとよくパチンコ屋に行っていた。
癌だった婆さんを放っておいて。
わざわざ兵庫から来た娘と孫を放っておいて。
婆さんは何年、何十年も同じことの繰り返しだから日常だったのかもしれない。
娘である母親は呆れていた。せっかく娘と孫が来たのにって。
孫のボクはパチンコ屋のチラシを見ていた。
色とりどりのパチンコ台をよく見ていたことを覚えている。
もしかしたら、その時からパチンコにハマっていたのかもしれない。
■□■□■□
それから約10年後。
ボクは社会人になりパチンコ・スロットを打ち始めた。
一方爺さんは体調を崩し、医者からは癌と診断された。
癌だった婆さんはボクが中学校の時に他界しており、
一人で暮らすのは厳しくなった爺さんは娘がいる兵庫県に移住した。
中学校になってから栃木に行く機会は無くなり、
兵庫に移住してから、年に一回程度しか会う機会は無くなったが、
パチンコを打ち始めてからは、より深い会話が出来た気がする。
「姫路の人はパチンコが下手だ」
「教えてやるから一緒にパチンコに行こう」
「ところでお前、(小指を立てながら)これは出来たか?」
「お前は小学生の時と比べていい子になったな」
毎年のように同じことを聞いていたと思う。
爺さんは親戚連中からは好かれていた。
長年のタクシー運転手という経歴から世渡りが上手だったのかもしれない。
柔和で容姿にも気を使っているというイメージだったそうだ。
ボクにとっては、パチンコが好きな爺さんというイメージでしかなかったが、
なんとなく誇らしい気持ちになっていた。
癌を診断されても元気に過ごす爺さんを見ていると、こんな時間がまだまだ続くと思っていた。
母親はパチンコ・スロットを毛嫌いしていた。
姫路に来てからも近所のパチンコ屋に通う爺さんを「こんなことにお金を使って」と言っていたような気がしていた。
母親に何か言われるのも、ましてや落胆させるのも嫌だったボクは適当な返事をしていたような気がする。
ただ、その適当な返事なせいで、爺さんとパチンコ屋に行く機会は失っていた。
あの時、爺さんを誘ってパチンコ屋に行けば、今も、こんな後悔はしていなかったと思う。
■□■□■□
数年後、2022年の夏。
爺さんは死んだ。
緩和治療を受けていた爺さんであったが、症状の改善はすることはなかった。
最期には一人で歩くこともままらならず、外に出ることはなかった。
爺さんが死ぬ数ヶ月前。
ボクはようやく爺さんに言えた。
「少し、元気になったらパチンコ屋に行こう。」
家の近所には大型のパチンコ屋があった。
きっと、爺さんはこのパチンコ屋に通っていたのであろう。
「おう、お前にパチンコを教えてやるよ。
姫路の人はパチンコを打つのが下手だから、皆カモだよ。」
これが最期の会話だったと思う。
シワだらけ顔は少し微笑んだようにも思う。
その頃は食事もままならなかったのに。
母親から息を引き取った旨を聞いた後、忌引を貰い、姫路に帰った。
そこから慌ただしく数日が過ぎたと思う。
残された者に感慨深く感じる暇を与えることなく、爺さんは火葬され骨だけになった。
そして、その夜、ボクは爺さんが通っていたであろう近所のパチンコ屋に行った。
親戚の食事会中に抜けだしたことを覚えているから、多分、喪服のままだったと思う。
今日行かないと意味がないと思ったのだ。
■□■□■□
爺さんが吸っていたタバコ、なんだっけかな・・・
小学校の時は吸っていたと思うけど、ここ数年はどうだったろうか。
多分吸うことも出来なかったんだろうな。
記憶を頼りにコンビニのタバコの陳列棚を見た。
ラッキーストライクの11mg。
あの年代の人が好むタバコは多分これだろ。
うん、こいつでいいや。
ライターとラッキーストライクを持ち、パチンコ屋に向かった。
確か...海物語が好きだったはず。
あー、、、もう紙タバコってパチンコ打ちながら吸えないんだっけ?
喫煙室で一本吸った後に、大海物語4に着席し、打ち始める。
ごめんな、爺さん。一緒にパチンコ行けなくて。
よくわかんないけど、四十九日まではこっちにいるんじゃない?そういうことにしておいてよ。
大海物語4。爺さんはどう思ったか知らないけど、最近打ち始めた若造でもまぁまぁ面白いと感じているからさ。
今日はこれで勘弁してくれよな。モード?今日だけはラグーンでやるよ。
姫路の人はパチンコが下手だなんて言ったけど、爺さんの隔世遺伝でどうにかならないかな。
■□■□■□
しみったれたパチンコは、1時間と少しの時間で終わりを迎えた。
1回当たったが大してプラスにはならなかったと思う。
爺さん、そりゃないよ。
でもよ、ここから四十九日は一心同体みたいなものでしょ。
守護霊として頼んだよ。
そう思い翌日、姫路から大阪に戻った。
爺さんが死んでからの四十九日。
ボクが勝ったか負けたか...はボクと爺さんだけの秘密にしておきたいと思う。
爺さん、あんた大したことなかったな(笑)
一緒に行けていたら本当に良かったよ。
後悔先に立たず。
後悔した人にだけキチンと刺さる言葉なんだと痛感しました。
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マグさんさんの
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このコラムへのコメント(7 件)
(´;ω;`)
ウチはかみさんも子供たち2人も打たないんで、孫が打つことになったら、もう狂喜乱舞だねw
まあ、あと16年くらい必要だけども
僕の中では大賞てす