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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

2018.05.01

『クズからの脱出』~アラジンA

ラッシー ラッシー   パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-


フタを開けると、刺激臭が鼻をついた。僅かに湿気を帯びた葉を摘まみ出し、白くて薄い紙に巻いていく。次いでティッシュをちぎり、小さく丸める。それを棒状に巻いた紙の端に付ければ完成だ。

ティッシュを付けていないほうの先っぽに火を点け、ゆっくりと吸引する。タバコの味はするものの、お世辞にも旨いとは言い難い。フィルター代わりのティッシュは加減が難しい。厚すぎれば味が薄くなるし、薄すぎるとむせてしまう。俺は壁にもたれながら、昇っていく紫煙を眺めていた。

――「フィルター付きのタバコが吸いたい」

そう、このときの俺はフィルター付きのタバコが買えないほど窮地に追い込まれていた。つい先日、奨学金が振り込まれたばかりだというのに…。金欠の原因は明白だった。

あの「赤き悪魔」。

「アラジンA」である。
 

▲4号機「アラジンA(サミー)」

2002年にサミーからリリースされたA+AT機。数多の名機が生まれた4号機の中でも、ひと際大きな輝きを放つAT機の名機である。ATの純増は約+11.9枚/G。基本のAT「アラジンチャンス(アラチャン)」は10G継続と短めだが、状態による強力な連チャン性を有していた。また、アラチャン中のハズレを契機に抽選される「スーパーアラジンチャンス(SAC)」も、爆裂を生み出す一因となっていた。

アラジンAの出玉性能は極めて高い。状態によるAT連チャンを期待できほか、SACの超ロング継続(最大5000G継続)も珍しくない。設定6の出玉率は119.9%とされていたが、実際は150%弱だったと言われている。

しかし、その代償として通常時のベースは低かった。1000円あたりのメダル持ちは、小役狙いを完璧にこなしても26G程度。とにかく回らないのである。大量出玉獲得の夢はあるが、相応に投資のリスクも高い。とても学生の身分で打てる機種ではなかったが、俺はすっかりその一撃性に魅せられていた。

キングパルサーで立ち回れば、プラス収支を維持することは難しくなかった。しかしながら当時の俺は幼く、堅実な立ち回りよりも爆裂AT機による一撃を追い続けた。キンパルを打つヒマがあるなら、アラジンAと対峙したい。そんな考えだから必然的に、窮地へと追い込まれてしまったのだ。

また、アラジンAが登場したタイミングも悪かった。専門学校の3年生になった俺は、助監督や音声として3本の卒業制作に参加。ロケと整音作業に追われ、とてもバイトをするヒマなどなかったのである。たまの休みは昼くらいまで寝て、午後からはアラジンA三昧。せっかくの休みなのに、ストック機で手堅く立ち回るなどゴメンだ! そんな風に思っていた。そりゃ当然負けますわ。
 

 

クズのお手本

自作のフィルターぎりぎりまで吸ったタバコを灰皿でもみ消し、充電中のケータイを取り出した。掛けた先はもちろん…… 

――「あ、俺」
母親「ああ、どうした? 最近連絡ながったげど」

――「卒制で忙しくてよ」
母親「ちゃんと食べった?」

――「まあね……」

チラリとテーブルに目をやると、カップ麺の容器が塔のようになっていた。

――「それで……相談なんだげど」
母親「なにや?」

――「卒制の製作費が足んねくて、みんなでカンパさんなねなよ。ちょっと送ってもらわんにぇ?」
母親「いぐら?」

――「う~ん、5万ぐらい」
母親「しょーがね~な~。明日街さ行ぐがら、そんどぎ振り込んでおぐったな」

――「ごめんね」
母親「夏休みは帰って来るいな?」

――「たぶん今年は無理だな」
母親「……んだがしたん。体、無理すねでな」

――「ありがど。じゃあ、まだな……」

ケータイをベッドに放り投げ、そのまま床へ横になった。フローリングと呼ぶにはおこがましいビニール製の木目の床が、少しだけひんやりと冷たくて気持ちいい。

――「明日か、明日になれば…」


翌日――

夕方に銀行へ行くと、たしかに5万円が振り込まれていた。それを躊躇いもせず全額引き出し、原付に跨った。向かった先は言うまでもない。

B店はその日も閑散としていた。客の数は店員の数を僅かに上回る程度。人気機種である「アラジンA」と「サラリーマン金太郎」も、それぞれ1台ずつしか稼働していない。ほとんど意味はないが、データ表示器を見て回る。

当時のデータ表示器は、今よりずっと情報が少ない。A+AT機でもAT回数は表示されず、BIG回数・REG回数・総ゲーム数・現在のゲーム数が見られる程度。もちろんホールによっては高性能のものもあったが、中小店舗のデータ表示器は概ね既述した通りだった。

肝心のアラジンAの空き台は…どれも回っていないから分からない。せめて1番BIGが当たっている台に座ろう。そう思い座ろうとした瞬間、店員Nに声を掛けられた。以前、この店で俺とモメた武闘派の店員である。


N「ちょ、待てって」
――「なんだよ」

N「お前4日前くらいにエラい負けてなかった?」
――「ああ、9万負けたよ」

N「金、大丈夫かよ」
――「……まあ、何とか」

口は悪いが、どうやら俺を心配してくれているらしい。

N「おいおい、大丈夫ってツラじゃねーぞ」
――「客に対して失礼だろ」

N「なあ、ぶっちゃけ言うわ。アラジンに設定は入ってねーよ」
――「ぶっちゃけすぎだろ」

N「キンパルにしとけって。設定はたぶん入ってねーけど、神に誓ってストックは飛ばしちゃいねーぜ」
――「その神すら欺くのがホールだろ?」

N「マジだって! アラジンはイベント日にでも狙えばいいだろ」
――「……次のイベント日に打ちに来られるか分からないし」

N「いいか、アラジンは学生が無計画に打っていい台じゃねえ」
――「そうかもしれねーけど」

N「借金こさえて死んじまうぞ」
――「たしかに怖い台だけどさ」

Nの表情から、決して冗談で言っているのではないことが分かる。事務所に連行されて以来、ある種の友情のようなものが芽生えたのかもしれない。

――「でも、アラジン打ちてぇ~んだよなぁ…」
N「ったくしょうがねーな。じゃあ良いこと教えてやろう」

――「良いこと? 設定?」
N「んなもん教えられるか! 俺だって知らねーし」

――「チッ…」
N「ウチのアラジンで勝つヒントだ」

――「アラジンで勝つヒント?」
N「そう。アラジンのシマのデータ表示器を見てみろよ」

――「さっき見たけど、特に参考には…」
N「ポンコツかよ。よく見てみろって」


Nのススメで渋々データ表示器を見て回る。設置は5台で、稼働中なのは右角の1台のみ。左から4台を順に見ていく。

左角  総ゲーム数219G BIG1回 REG0回
左2  総ゲーム数 49G BIG0回 REG0回
真ん中 総ゲーム数682G BIG2回 REG0回
右3  総ゲーム数139G BIG0回 REG0回

これといって気になる点はないように見える。どの台も少しだけ回されて放置されている印象だ。

N「前日・前々日も見てみろって」
――「見たって何の参考にもならねーよ」

促されるまま前日・前々日のデータを見てみるが、今日とさほど変わりはない。基本的には数十ゲームだけ回されて放置され、1~2台が数百ゲーム回されている。

N「ウチの客層にアラジンは合わねーよ。都内の大型店みたいには稼働しない」
――「高設定狙いの若者がいないし…」

N「投資速度に耐えられるお客さんもいない」

常連客の多くは年配層で、プレーンなAタイプを好む。欲を出したとしてもAタイプの大量獲得機くらいで、AT機は不人気だった。

N「それなのに…なぜだろな。朝だけはちょっとだけ動く」
――「まあ、そりゃ朝は誰だって夢を見て…」

N「ほら、今日も朝イチだけ稼働してる。ヒラ日なのに」
――「ヒラ日の朝イチでも…」

N「お前、最近昼からしか来てないだろ?」
――「ああ」

N「だから何か見落としてんじゃねーか?」
――「ま、まさか――」

 

立体思考

アラジンAの設定変更時は高確移行を期待できる。
約1/36で高確Aへ。
約1/8で高確Bへ。

高確中は約1/20と文字通り高確率でアラチャンが当選するため、滞在中はアラチャンの連続突入を期待できる。高確AとBの違いは転落率だ。BはAより転落率が低いため、ひとたび移行すれば長い連チャンが期待できる。

高確別平均アラチャン回数
高確A 1.6~2.4回
高確B 8.6~10.4回

ちなみに高確滞在中はドット演出の法則性や発生頻度が変化する。簡単に言えば「ザワつく」ため、仕様を知らないプレイヤーでもヤメずに回す場合がほとんどだ。

――「連日設定変更してるってことか…」
N「さあ、俺の口からは言えないなぁ」

Nはニヤリと笑った。明言はしないものの、その笑顔が答えだった。



数日後――

前日の遅くまでロケをしていたが、眠い目をこすって開店前のB店へ。相変わらず並び客は少ない。前に並んでる3人はパチンコの常連客だ。つまりパチスロ、アラジンAは俺が独占できる。 いざ開店! 店内に入るとNが笑って出迎えてくれた。

N「お客さま! 朝イチからのご来店、ありがとうございます」
――「さて、騙されてみよっかな」

N「フハハ…どうぞお楽しみください」

案の定、アラジンAのシマは貸切だ。とはいえ1時間もすれば、変更と知らない客でも打ち始めるだろう。そして高確挙動があれば粘られる。なるべく早くカニ歩いて「当たり」を見つけねば。 1台目・2台目は高確挙動を確認できずスグにヤメ。そして3台目を打ち始めると、スグにドット演出の「ラクダ通過」が頻発。10Gほど回すと、ラクダ+鳥通過で月星(6枚役)が入賞した。ラクダ+鳥通過はラクダ揃い(シングル)対応なので、法則崩れで高確確定だ! そこから毎ゲーム気合いを入れてレバーを叩いていると、レバーONでドットにアラジンが出現し、第3停止で魔人竜巻ルーレットに発展。出目はごく平凡なハズレ目(シングルこぼし目)だ。

魔人竜巻ルーレットは完全ハズレorボーナスorAC発動なので、高確中らしき今の状況ならば…。勢いよくMAX BETを叩くと、リール窓左上のアラチャンランプが点灯し、脳を沸騰させるBGMが流れ始めた。

「23番台のお客さまアラジンチャンススタート! おめでと~ございま~す!」

人気の少ない店内に、Nのマイクパフォーマンスが響き渡る。俺はシマの端でマイクを構えるNに視線で礼をし、レバーを叩いた。


昔のデータ表示器は今ほど親切ではなかったが、それでも得られる情報は少なくなかった。「なぜソコが回されたのか」、脳内で情報を補完し立ち回りに活かす。そういったデータ表示器の見方や、設定変更の有無を予想する術を学んだのがこのときだったように思う。

 

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ラッシー
代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-

山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。

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