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  4. しくじり店長・第59話『不正』

元・ホール店長カタギリのしくじり店長

元・ホール店長カタギリのしくじり店長

2017.12.13

しくじり店長・第59話『不正』

元・店長カタギリ 元・店長カタギリ   元・ホール店長カタギリのしくじり店長


ホール勤務歴、25年。顔全体に深く刻まれた無数のシワと、ツルリと禿げ上がったゆで卵のような頭頂部。御年63歳となる大ベテラン社員のサダさんは、いつも濁った眼をギラつかせながらホールの片隅で肩を怒らせていた。

先代のオーナーの元では副店長。かつては地域一番の繁盛店だったこの店で辣腕を振るっていたに違いない彼も、今ではすっかりお荷物となったヒラ社員。遅刻の常習犯、わざとらしい咳をしながら体調不良を電話で訴えての当日欠勤、そして数少ない常連客以外は全く相手にしないという彼の勤務態度は、私の悩みの種のひとつであった。そして相手にされていなかったのは、私もまた同じだった。


「サダさん、今日も遅刻ッスか? せめて開店時間には店に来て下さいよ!」

当たり前のように2時間以上の遅刻をブチかまして悪びれた様子も無くホールで睨みを利かせている彼の元に歩み寄り、もはや定番となったワンパターンの説教開始。自分の息子よりも年下の若造の叱責など胸に響く訳が無い、半ば諦めつつも苦言を呈する私の声に苦笑いを浮かべて返答するサダさん。


「いや~、ゴメンゴメン、昨日も飲み過ぎたわ、次から気をつけるわ!」

ワンパターンのやり取りの繰り返し、それがサダさんと私の日常的な光景だった。  

そんな当たり前の日々の中に非日常的な一日が月に何度かあることに気付いたのは、日々のデータを見返していた、とある月末の夜だった。月に数回の私の公休日、その当日と翌日だけは遅刻魔のサダさんが朝早くから出勤しているのをタイムカードで確認できた。

そして私の公休日には、まばらな数字の並ぶ調整表の中でも極端に稼働の高い台が1台だけ存在した。突出した数値を刻んだ疑惑台のスタート値は、全て私の想定の範囲を超えていたのである。


「これって、サダさん……」

脳裏をよぎった悪い予感は、すぐに確信へと変わった。私の公休日の録画データを確認すると、高データを叩き出している台を誰もいない店内で朝早くから調整するサダさんの姿がバッチリと写し出されていたのだ。その台を朝イチから狙ってくるのは、見知らぬ高齢の男性。素性のわからぬ男が優秀台を打ち切った翌日は、私に気付かれないようにヘソのサイズを元に戻す。それがサダさんの手口だった。

私はこの事実に気付いた直後、深夜にも関わらずオーナーに直接連絡を入れた。報告を聞き終えた二代目社長は深い溜息を吐き終えた後で、苦渋に満ちた覚悟を感じさせる一言を私に告げた。


「……うん、サダさんね。わかった、明日の開店時間にはそっちに向かうわ。サダさんが来たらホールに出なくていいから、事務所で待機するように伝えてくれ、いいな。カタギリ君も悪いけど明日は必ず開店前に店に来てくれ。あと、これからそっちに部長も向かわせるから。」  

本来であれば翌日は私の公休日。そうなればサダさんの行動パターンは読めている。数時間後、高速を飛ばしてやってきた部長に一連の報告を終えると、普段は陽気な部長の表情からも血の気が失せていた。その日、既に早朝を迎えていたシャッターは普段より重く、冷たく閉ざされた。

予想通り翌日、私の姿を見たサダさんはあからさまに動揺していた。


「あれ、あれカタギリさん、今日ってお休みでしたよねぇ? どうしましたか、何かトラブルですか? 今日は俺、店長が休みだから昨日は酒も飲まずに早く来たんですよ?」

明るい口調とは裏腹に、その濁った瞳は普段以上に冷静さを欠いて大きく見開かれていた。人は嘘を付くときや、疚しいことがあるとき、必ず普段とは違う表情を見せる。激怒する者、真面目な顔をする者、明るく饒舌に振る舞う者。普段は私とロクに会話もしてくれないサダさんは、最後者のパターンだ。


「そうなんスよ、ちょっと急用を思い出しましてね、あ、サダさんは事務所でゆっくりしていて大丈夫ですよ、ついでに開店準備も自分に任せてください、終わったらすぐに帰りますから。」

我ながら白々しい台詞を吐くものだ、今日はすぐに帰れるはずなんてないのに。冷静を装いつつも、真面目な顔でそう告げた。サダさんの顔は見なかった。きっと、私も嘘つきの表情になっていたのだろうから。

ふと振り返るとサダさんは、まだそこに立っていた。何か言いたそうな、どうして良いのかわからないような、困り果てた表情で悄然を立ち尽くす大先輩の姿を目にした時、私もまた彼の心情を慮ると、次の言葉が出なかった。

どうしてこんなことを、真意を問い質したいような、何をやっているんですか、叱り飛ばしたいような、これからどうするつもりですか、更生を促したいような。だが、そのどれもが自分の言葉にふさわしくないようで、 結局は何も言えなくなってしまったのだ。


「……とにかく、大丈夫ですから事務所にいてください、開店してからで大丈夫です」

何が大丈夫なのか自分にもサッパリわからないまま、サダさんを急き立てた。ふてくされたような表情を浮かべながら事務所へと向かう彼と入れ違いのタイミングで、オーナーと営業部長がフラリとホールに現れた。何かの覚悟を決めて来た、そう感じさせた表情はおそらく、昨日の電話の時と同じ企業のトップとしての顔なのだろうと思わされた。傍らに立つ営業部長は私とアイコンタクトだけで互いを労う挨拶を交わした。


「サダさん、事務所にいるよな?」

詳細は既に部長と確認済みであるはずオーナーは、怒りを押し殺した口調で私に問いただす。その言葉に深い頷きで応えた私の姿を見届けた二人は、事務所へと消えていった。


数少ないスタッフ達が出勤し、普段はめったに姿を見せないオーナーの来訪に緊張感を漂わせつつ開店業務に勤しんだ数時間後、客もまばらな店内をガックリと肩を落としたサダさんが歩く姿を見た。サダさんが仲の良い数名の常連客に何やら声をかけると、年輩の常連客達は皆、驚いたような反応の後に悲しそうな表情を見せた。ひとりひとりに大きく礼をしたサダさんは、最後に店内の入り口の前に立ち、振り返るともう一度、大きな一礼をした後で、私には見せたこともない最高の笑顔を浮かべて去って行った。もちろん、私とは一度も目を合わせることなく、別れの言葉さえも無かった。


その後、私は事務所に呼ばれて今回の顛末と今後の営業に関する相談があるだろうと身を固くしていたが、しばらくしてホールに顔を見せたオーナーと部長は私に対して、

「サダさん、今日でヤメることになったから。しばらくシフト大変だろうけど、頼むわ」

という簡単な一言だけを残して本社へと戻っていった。


私に残されたのは、例えようのない疎外感だけだった。この店の責任者でありながら、誰からも頼りにされず、期待もされていない存在。売れ残ったケーキに添えられた、明かりの灯されない蝋燭みたいだと不貞腐れた気分で、その日は朝から晩まで悶々としていた。

常連客に愛され、鋭い目付きで一見客を睨み付けていたサダさん。しかしながら彼のホールでピンと背筋を伸ばして毅然とした姿勢を保っていた姿と、最後に見せた最上級の笑顔。

彼には彼なりの威厳と、この小さなホールに対する長年の深い愛情があったに違いない。

お前にはそれが無いだろう、だからお前の言葉なんて響かないし、真面目にやる気も起きねえんだよ、そんな想いがあったのかもしれない。

当然ながら、不正は許されるべきではない。とはいえ、不正を行えない環境を作り、人を教育していくのも店長としての大事な責務なのだ。かつて活気のあったホールにはきっと、無秩序ではあれども深い愛情に溢れた空間だったに違いない、何が正しいのか、それはホールに足を運んでくれるお客様の数で決まることのような気がするのだ。

そして、サダさん亡き後のホールは、より閑散として退屈な空間にしか見えなくなっていた。

 

 

カタギリ・今週の1枚

ホル調に遊びに行って描いて頂いた、2枚の似顔絵。

右がダンナくん、そして左が『漫画版・しくじり店長』を執筆中のチャーミングじろうちゃんに描いて頂いたものになるのですが、カッコ良くデフォルメしてくれたダンナくんに対して、じろうちゃんの似顔絵は極めて写実的。

どちらも非常に気に入っております!
 

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この記事へのコメント(6 件)

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元・店長カタギリ
投稿日:2017/12/26
トリオレの三男さま。

おねえちゃんを狙っている時は、鼻の下に注目して下さい(笑)!
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元・店長カタギリ
投稿日:2017/12/26
銀チャさま。

パチンコ業界の不正は外側からだけでなく、内側にも存在するんですよね。
この他にも様々なケースの内部不正がありましたが、やっぱり後味の悪い記憶しか残りませんからね。
不正ダメ、ゼッタイ!
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元・店長カタギリ
投稿日:2017/12/26
ユイリィさま。

ユイリィさん、とてもイイことを言っています!
そして、ユイリィさんのゴトは良いゴトです!
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トリオレの三男
投稿日:2017/12/14
カタギリさん流石です。
少しの違和感を見逃さず、徹底して追求する…
飲み会などで時折見せるあの鋭い眼光は、おねえちゃんを狙ってるものではなかったのですね!
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銀チャ
投稿日:2017/12/13
インチキはヤダ。

だから、サダさんのした事はやっぱりわたしは嫌だなぁと。
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ユイリィ
投稿日:2017/12/13
常連客に信頼されている人でも、
お店に業務で貢献している人でも、
不正だけ絶対にしてはいけない...。

不正を行った人が居続けると、
今後の店舗経営及びグループに大きな影響になりますからね...。

スロットとカラダで稼ごうやみたいに...。


元・店長カタギリ
代表作:しくじり店長

シルバ〇アファミリーみたいに小さなパチンコ店の責任者から一転、 雑巾がけがメインの業務となってしまった事務員へとグレードダウン。 そんな設定①のスランプグラフのような半生を、隔週水曜日に連載させて頂いております。 タイトルは「しくじり店長」。 パチ屋の店長が平社員へと降格していく逆サクセスストーリーを、 海物語シリーズの泡リーチを見つめるような気分でお読みください。

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