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元・ホール店長カタギリのしくじり店長
2017.11.01
しくじり店長・第56話『想い出のサクラ大戦3』
これまで幾度と無く書いてきた、遊技機の機種選定。パチンコ・パチスロ共に新台の価格は、1台あたり概ね4~50万円。その金額に加えて設置に関わる人件費、告知に必要となる販売促進費、細かなところでは所轄に提出する書類の申請費用などを含めると、たった1度の新台入替にも莫大な経費を要することは、容易にご理解いただけるだろう。
どんな機種がヒットするのか、それは誰にもわからない。だからといって市場にリリースされる全ての機種を導入する訳にもいかない。それ故にホール関係者は自店に導入すべき新台を念入りに見極めるべく、新台発表会やショールームの事前試打へと頻繁に足を運ぶのである。だが、それがいかに難しいか。今回は、そんなお話です。
平成23年のパチスロシーンは、波乱の幕開けとなった。新年一発目の新台入替で導入されたサミーの『パチスロサクラ大戦3』が、その騒動の発端である。想定を遥かに上回る出玉率、つまり利益が全く取れないという声が全国のホールから続出、最終的にはメーカーが導入店舗に営業補償を行い、代替機との交換によって幕を閉じた一連の騒動。しかしながらこの出来事、自店には全く影響の無い話だったのだ。我が社が導入した『サクラ大戦』は、わずかに1台。それも、低貸し&低交換率の店舗への導入だった為である。
時は遡って平成22年も終わりに近付いた頃、私とクマダ店長はメーカーのショールームの一室で互いに無言のまま、年明けに導入される真新しい台の目の前に座っていた。エウレカセブンのゲーム性を踏襲したA+ART機、それが本機のセールスポイント。営業マンの熱弁と実際に目の当たりにした数々の演出、そして見た目も華やかな帝国華撃団のメンバーが描かれたパネルに心を奪われた私は即座に自店への導入台数を何台にすべきかと頭を悩ませていた。
だが、その帰り道でクマダ店長は意外なことを口にしたのだ。
「サクラ大戦は(利益が)取れないから無理だな、ウチに入れるのはヤメましょう」と。
不思議なことにこの時、私も全く同じことが気になっていた。だからこそ、普段から対立気味の彼の発言を無下にする気にはならなかった。ホールにとって機械が稼働することはもちろん大切だが、それは利益が取れるという大前提があってのこと。いくら稼働する機種でも全く利益が取れない台に、高いお金を支払う訳にはいかないのだ。クマダ店長がポツリと言い放った予言のような、小さくとも決意に満ちた断言。それはいつまでも、私の頭の片隅にひっかかっていた。
果たして彼の言葉は現実のものとなり、その後の騒動は前述の通りである。こうした予感を感じたホール責任者が、果たしてどれぐらい存在したのかは知る由もない。しかしながら事前に目を通していた出率表だけでなく、実機を見た上で導入しないことを決めた店長さんは、ほぼ皆無だっただろうと断言できる。クマダ店長の一言には、業界を長く生き抜いてきた人間だけが持った、類稀なるセンスを感じずにはいられなかった。
その一方でこの時期に、私が強く希望して導入した新台もあった。サクラ大戦3から遅れること一か月強、オリンピアからリリースされた『真・三國無双』である。純増枚数は1.2枚と控えめながら、ART中の上乗せ演出の派手さにヒットの予感を抱いた私は、「これは絶対に稼働するから、是非とも入れさせて下さい!」と店長に強く言い切ったのだ。思えば、その時もクマダ店長はあまり良い顔をしていなかったが「……まあ、そこまで言うなら何も言わないです」と渋々、了承してくれたのである。
しかしながら6台も導入した新台の『真・三國無双』の稼働は私の予想を覆し、伸び悩んでしまった。自分がこれまでで最も強く希望して導入した最新台、当然ながら設定状況も全く違うにもかかわらず、である。利益完全度外視で土日でも全台設定3以上、平日であれば常に6を投入。さらに月イチのイベント日は5と6を3台ずつ使用するという大盤振舞。メールでの機種名を出した煽りや、このシマだけドル箱を多めに用意するという露骨な手段を取っても、それらの努力が数字として報われることは無かった。
一体、何が良くなかったのだろうか。
ほぼ利益を取れないままで減台を決定したその日、 私は若手スタッフにその原因を尋ねてみた。給料の大半をパチスロに投じる生粋のスロッター、彼ならば明確な答えを導き出してくれるかも知れない。すると彼は即座に、さも当たり前だよと言わんばかりに、こう告げたのである。
「そりゃ、あの台は目押しが必要ですからね。今の時代は押し順ナビですよ」と。
その一言は、私に衝撃と後悔を与えた。山佐が2007年に出してヒットした『パチスロ戦国無双』のイメージ、つまり戦国時代のゲームをモチーフにした、目押しによって自力でメダルを増やしていく感覚が味わえる面白さを持ったパチスロだから人気が出るだろう、私はそう思い込んでいたのだ。
言われてみればその通り。4年近くの時を経て主流が押し順ナビとなった現在、ART中にメダルを増やすために目押しという労力を強いられる台が、人気となるはずも無い。時代遅れの発想であることを痛感させられた私には、彼に言い返す言葉など持ち合わせてはいなかった。
しかしながら、これらの出来事によって私はクマダ店長の意見にもしっかりと耳を傾けるようになった。俺は俺、私は私というスタイルを共に貫き、冷え切った関係の中で数年間を過ごしてきた両者は、仕事以外での会話も頻繁に行うようになり、互いが屈託の無い笑顔を見せ合うようになったのだ。
そうなれば職場の雰囲気も必然的に明るいものとなり、様々な問題解決もスムーズになっていく。パチスロの調整だけにしか感じられていなかった仕事の面白さの幅が、一気に広がっていった。もっともっとこの店を良くしてやろう、そんな意気込みに満ちていた。
ところが、そんな矢先の出来事である。私は珍しくオーナーから直々に呼び出され、本社の社長室の扉をノックすることになった。ああ、今回の『真・三國無双』の件でお叱りの言葉があるのかな、それともたまに勤務中にアダルト動画を閲覧しているのがバレたのかしら、悪い予感ばかりが頭の中でグルグルと回転、手のひらは汗まみれという緊張状態の中で私の耳に飛び込んできたのは、想像を大きく超えた驚くべき一言だったのである。
「カタギリ君さ、ちょっと系列店で店長をやってもらえないかな?」
カタギリ・今週の1枚
導入初日に打ってきました『CRエヴァンゲリオン12』ですが、 今作は疑似連の騒がしい、良くも悪くも今時のパチンコに仕上がっていましたね。
期待感を維持しながら遊技できると言えばそうなのですが、往年のファンからすれば、 ちょっとエヴァのパチンコらしさが足りないな、という印象を受けました。 ま、虹保留が出た時は全てを吹き飛ばす衝撃を受けましたが。
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- 元・店長カタギリ
- 代表作:しくじり店長
シルバ〇アファミリーみたいに小さなパチンコ店の責任者から一転、 雑巾がけがメインの業務となってしまった事務員へとグレードダウン。 そんな設定①のスランプグラフのような半生を、隔週水曜日に連載させて頂いております。 タイトルは「しくじり店長」。 パチ屋の店長が平社員へと降格していく逆サクセスストーリーを、 海物語シリーズの泡リーチを見つめるような気分でお読みください。
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あれだけの騒動になりながらも、身近で勝ちまくっていたという話を全く耳にしないのが不思議で仕方ありません……。
等価営業店舗が減少した現在なら、全く同じ出率でも大した騒動にはならなかったんじゃないかと勝手な想像をしてみたり(笑)。
おお、実機持ちとは羨ましい!
様々な思い出と共に、いつまでも大切にして欲しいです!
根強いファンの支持を裏切らず、今でも設置しているホールさんには本当に頭が下がりますね。
楽しく負けられる台、まさに名機の条件ですよ!
いわゆる「事故っちゃう」頻度が高かったからホールが抜けなかったのだと思います。
言い換えれば、事故らせなければ甘さは体感できませんよね。
ヒキの強い人は良い思いをしていたのかなあ。
このあたり、当時この機種でバカ勝ちした人の話を聞いてみたいですねぇ。
その時代における流行って、実は非常に大切なんだなと痛感させられた出来事なんですよね。
導入するホールだけでなく、開発するメーカーさんもその見極めが大切なんだなと改めて思います。
副店長が嘆いていたのを覚えています。
でもなぜか僕はサクラ大戦で勝てませんでした!(´;ω;`)
記事に取り上げて貰えて凄い嬉しかったです。
ストックbyストックさえ引ければかてますが、やはり設定1だと…ね?(笑)
今でも打てるホールがあるので、負け楽しく続けております(゚ω゚)
いいえ。2桁に近いくらい負けました。
でもそんな事は気にしなかったんですよ。
好きな台ってプライスレスですから。
革命チャンスもデートタイムも全く引けず。
でも嫁は簡単に引いて5000枚とかポンポン出す。
それを横でただ見ている事を思い出してちょっと泣いてきます。
でも、ビタが必要な台は打つってゆなんとも不思議な……
うーむ、難しいですね…ホール経営って。