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元・ホール店長カタギリのしくじり店長
2017.04.05
しくじり店長・第41話『ハネモノしくじり』
コジマ店長の手腕によって好調な稼働を維持していたパチスロのフロアとは対照的に、避暑地のように安定した静けさを誇るパチンコフロア。誰も見向きもしないデジパチがずらりと並んだ店内の片隅に、数少ない常連客たちが盤面に飛び交う銀玉の行方に一喜一憂する、緩やかな時間の流れる場所が存在した。
『ハネモノコーナー』
パチンコ部門の責任者である私が日々、地道な調整作業によって築き上げたその一角だけは、浮き沈みの少ない勝負を楽しむ老練なユーザー達の憩いの場となっていた。 役モノ内に飛び込んだ一発がVゾーンに吸い込まれ、軽快な音楽と共に羽根が連続解放する。
繰り返される大当りによって地道に玉を増やしていく老女。突然のスランプで大幅に出玉を減らす中年男性。次から次へと人が入れ替わっていく回収台。タバコの火種で焼け焦げた下皿。それらの光景は、まるで人生の縮図のようだ。ささやかに華々しく、大袈裟にみすぼらしい。
そんなある日、私の店に最新のハネモノが導入されることになった。
『CR志村ワールドGP』
志村けんが演じる『バカ殿様』の動きがコミカルな1種2種混合機だ。 ハネモノの最新台で稼働アップを狙おう、それが会社の意向であったと思われる。 そして通常であれば最新台の調整を担当するのはコンサルのトオヤマさんだったが、今回は私がゲージを構成させてもらうことにした。ハネモノコーナーの稼働を維持してきたという自負が、そうさせたのだ。もう、彼の力に頼りたくはなかった。彼の指示通りの仕事をしたくなかったのだ。
入替前夜、導入された新台を1台、また1台と念入りに仕上げて試打を繰り返す。何度も何度も同じ作業を繰り返して、万全の仕上がりでお客様をお出迎えする舞台を整えたつもりだった。 しかしながら、結果は思わぬ数字となった。入替初日は想定を遥かに上回る出率での大赤字。1台残らず2万発オーバー、3万発オーバーも2台という大盤振る舞いである。
その数字に慌てた私がその夜、時間を費やして調整した翌日も、ほぼ同様の大放出。さらにその次の日も、お祭り状態の大出血サービスとなってしまったのである……。
普段は見かけないパチプロ集団がシマを占拠してドル箱を積み重ねるその光景に、オーナーはもちろん大激怒。お前が調整できないのなら他の人間にやらせろ、おっしゃるとおりである。 すべては自らの力量不足が招いた結果。私はどうしても頭を下げたくない相手に泣きつくことになってしまったのである。
「カタギリさぁ~ん、ボクが調整したらお客さん飛んじゃうけどホントに良いんですかぁ~?」
わざとらしく浮かべた心配そうな表情とは裏腹の口調で、トオヤマさんが言い放った。 「……スミマセン、お願いします」 私は、そう返答するのが精一杯だった。
導入4日目にして、ようやく黒字となったハネモノの新台。パチプロ連中の姿が消えて誰もいなくなったシマと、平均稼働を大きく下回ったデータを残して、私の挑戦は終了となった。
調整とは、パチンコ台の釘を叩くことではなく、稼働と利益のバランスを図ることを指す。少しでも長く遊んでもらいつつも、目標通りの数字が達成できるような仕上がりを要求される。良い経験をさせてもらった、と言えばそれまでだが、私にそんな労いの言葉をかける者は、誰もいなかった。台の調整すら満足にこなせない責任者。それが、自分の背中に押された烙印である。
以前と変わらぬハネモノのシマにぼんやりと佇みながら、穴の開いたかのような新台ジマを見つめる。またしても自分は期待に応えることができなかった。自責の念に押し潰されそうになりながらも、空虚な日々は音も無く流れてゆく。
私は『CRレレレにおまかせ!』を真っ赤な顔をしながら叩いている年寄りに声をかけた。 「スミマセン、台を叩いての入賞は無効になりますので、ご遠慮ください……」 年寄りは悪びれる様子も無く、皺だらけの顔で口元を歪めながら毒づいた。
「うるせえよ! こんな糞みたいな台を置いて恥ずかしくねぇのか! ふざけんな!」
私よりも遥かに長い道程を歩んできた老人の、晩節を汚すような罵りにますます気が滅入る。勢い良く弾き出された玉が虚しくハズレ穴へと消えていくのを黙って見つめるのが耐え切れずに、この老人は自らの手で勝利をつかみ取ろうと足掻いているのだろうか。自らが主役であるはずの人生を、ただ傍観しているような自分が許せなかったのだろうか。
「気持ちはわかりますが、台を叩いて入賞した場合は台の電源を落としますから」
不貞腐れた顔で遊技を続行する老人の左腕を、背後で漫然と眺める無能店長。程なくして彼は覚束ない足取りで店を出ると、背中を丸めながら駐輪場に唾を吐いた。その影がますます小さく消えて行くのを見届けながら、ぼんやりと考える。
思い通りに行かない人生を誰かのせいにしてはいけない。結果の伴わない理由は、すべて自分の努力不足だ。すべての世界に勝者と敗者が存在するならば、あの老人も私も等しく後者なのだ。 それに気付いて、自分を変えていかない限り。
ふと『CR志村ワールド』の大当り台から、「アイーン!」という惚けた台詞が虚しくホールに鳴り響いた。 その声は、もっと賑やかな場所で聞いているはずだったのに。
カタギリ・今週の1枚
現在パチンコ5連敗中ですが、原因は間違いなくガルパンの甘デジ。
私が打つと何故か大ハマリが連発するのですが、これが私のパチンコ道……
当てさえすれば勝つんです、諦めたら負けなんです(万札を挿入しながら)。
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- 元・店長カタギリ
- 代表作:しくじり店長
シルバ〇アファミリーみたいに小さなパチンコ店の責任者から一転、 雑巾がけがメインの業務となってしまった事務員へとグレードダウン。 そんな設定①のスランプグラフのような半生を、隔週水曜日に連載させて頂いております。 タイトルは「しくじり店長」。 パチ屋の店長が平社員へと降格していく逆サクセスストーリーを、 海物語シリーズの泡リーチを見つめるような気分でお読みください。
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ま、これは悔しいけれど私の未熟さが原因なので仕方ないです。
それにしても悔しい出来事でした……
時期的には同じぐらいですかね、こぶ茶バンド。
ウチには入っていませんでしたが、もしもあの時期に志村よりも加藤を入れていたらまた違った人生になって……
……いや、そこまでの影響は無いな(笑)。
先日ようやくアンツィオ戦のリーチを見られて満足しました(笑)!
ガルパンはスロもパチも面白いのに、もうちょっとホールが良い扱いにしてくれたらなぁ……
こちらは平均年齢60歳の『超熟女』の皆様と机を並べて仕事をしているので、間に合っています(笑)!
パチンコの収支表をちょっとした日記としても併用していたので、昔の出来事を思い返すのにとても役立っていますね。
あと私、異常に昔の記憶力が優れているのかどうかわかりませんが、
小学校1年生の時のクラスメイト、半分ぐらいフルネームで覚えているんですよね。
脳の特殊な病気なのかしら……?
羽根の釘調整はホントに難しくて、自分がいかに井の中の蛙だったかを思い知らされましたね……。
それにしても懐かしい思い出ですわ(笑)。
私の好きな言葉のひとつに『腕力より胆力』というのがありまして。
大きなお金が動く世界では胆の力がとにかく大切だな、ということを学びましたね。
ま、胆力のある人はだいたい腕力も兼ね揃えてますけどね(笑)。
レレレはホント、ドツキ祭りでしたね~。
後年に設置されたレレレの、振動検知で台が止まるタイプは本当に素晴らしい機能だと思いましたよ。
ドツいたオッちゃんがしぶしぶ呼び出しランプを押して、大人しく店員を待っていましたからね(笑)。
戦車のパチは私でも1度しか手を出してないい…!!
全員画面はすばらすぎるぅ…
ささやかに華々しく、大げさにみすぼらしい、ここの言葉がとても素敵な、ひょうげんだなぁとおもいました(*´ω`*)