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元・ホール店長カタギリのしくじり店長
2017.03.08
しくじり店長・第39話『面接』
アルバイトスタッフの補充。
それは多くのパチンコ店が頭を悩ませる、避けて通れぬ問題だ。 特に学生アルバイトの多い店であれば、春先は退職や休職者の続出する卒業・就活シーズン。複数の求人媒体へ広告を掲載し、まだ見ぬ新戦力からの電話を待つ日々が続くのである。
応募の電話そのものは、決して少ない訳ではない。パチンコ店の時給が他業種より高いのは、皆さんもご承知の通り。その魅力につられてまずは面接を、そう気楽に考える若者の気持ちは理解できる。しかしながら、採用する側としては、どうしても慎重にならざるを得ない。
重いドル箱を運ぶことによって腰を痛める者が続出する重労働。タバコの煙や台からの騒音といった、不慣れな環境下でのストレス。遊技客からの厄介なクレームの連続によって受ける、精神的ダメージ。それらが重なった結果わずか数日、あるいはたった1日だけ勤務した翌日に無断欠勤してそのままフェード・アウト。そんな若者を何人も、いや何十人と目の当たりにしてきた。
だからこそ、根性のありそうな人物や他店での経験者を。いや、それは贅沢だ。ある程度、見た目や喋り方が普通の人物を採用したいのだ。しかしながら、現実はそうはいかない。
「ウルセーなぁ、いまバイトの面接中だよ、電話かけてくんな!!」
小動物のシッポのようなストラップを大量にブラ下げたケータイ電話を片手に、受話器の向こう側の人物に向かって怒鳴り声を上げる、悪役女子プロレスラーみたいな金髪ギャル。この娘を採用したら、バイト初日に常連さんにブチ切れてそのまま帰宅してしまうことだろう。
「ヤル気だけはありますから、何とか採用お願いできませんでしょうか……」
とりあえず病院に行きなさい、と真顔でアドバイスしたくなるような、寒中水泳の直後のように真っ青な顔をした、白髪だらけの20代後半の男性。彼はドル箱をふたつ持ち上げた瞬間に、心臓発作でブッ倒れてしまうに違いない。
「……あ、今は友達んトコに住んでて住民票は無いッス、ダメっすか?」
まだ肌寒い季節だというのに上半身はタンクトップ1枚、おまけに足元はサンダル履き。ロシアの重量挙げの選手が近所にタバコを買いにきたついでに面接に来ました、そんな雰囲気を漂わせるストロングスタイルの若者。確かに経済力はともかく、体力だけはありそうな見た目は合格点だが、大昔ならいざ知らず、従業員名簿すら作成できない住所不定の彼もまたアウトである。
パチンコ・パチスロが好きだから、家から近いから、時給に惹かれて。学費を支払うため、生活費を賄うため、そして自分の夢を叶えるため。面接にやってくる若者の理由と目的は、実に多彩だ。ならば、パチンコが好きでこの世界に飛び込んで、責任者になる夢も実現した私は、この先にある未来を、どんなふうに転がっていくのだろう。そんなことをぼんやりと考えていたところに、目の前の電話から呼び出し音が鳴り響いた。
相手は、人事部のシゲタ部長である。
「カタギリ君、アンタは求人広告を出すのにいくらかかってるか知ってるの?面接に来た人は、よっぽどのことが無い限りは採用しなさいよ。使ってみてダメだったら、その時に考えなさい」
ごもっとも、だ。
その声で私の頭は目の前にある現実に引き戻され、考えを改めた。思えば自分も高校時代の制服にパンクな靴という、奇抜なファッションでパチ屋の面接に挑んだ身。見た目ではなく大切なのは中身、そう、人物像である。最初から優秀な人間なんて、どこにもいないのだ。何も知らない若者をイチから育てるのもまた、大事な仕事のひとつだろう。
考えを改め、採用のハードルをミニウサギでも飛び越えられるレベルまで下げた結果、採用したのは5名。
何らかの理由によって歯の本数が著しく少ない、元ヤン感バリバリのタカシくん。
バンドでドラムをやっている、ただ一人だけ見た目がまともなソウイチくん。
推定体重48キログラム、ベテラン予備校生みたいなルックスのコージくん。
履歴書の顔写真にプリクラを貼ってきた、ビジュアル系バンドのボーカルも真っ青になる厚化粧なコギャルの進化系女子、ノンちゃん。
19歳の子持ちバツイチ、まだ若いのに異常なまでにメスのフェロモンを放出しているサチヨさん。
ここに訳アリ特戦隊、とも呼ぶべき5人のニューヒーローが誕生したのですが、この時点でもう私、嫌な予感しかしていません……。
そして、数か月が経過。あの時、感じた予感はホンモノでした(プリンセスプリンセスの『ダイヤモンド』より引用)。
元ヤンのコージ君がコギャルのノンちゃんを妊娠させた挙句に、バツイチのサチヨさんとも交際していたという、昼ドラ顔負けの事件を巻き起こして一気に3名が脱落。
ソウイチくんはしばらく戦力として活躍した後、バントの活動が忙しくなったことで退職。
誰もが大穴と予想したコージくんだけが、予想外の大活躍。
4万発のドル箱タワーをブッ倒してボールに銀玉の津波を巻き起こしたり、休憩中の台を別のお客様に開放したりという『マジかよチャンス』を連発させつつも、長期に渡ってホールで小活躍を見せてくれたのである。
ちなみにソウイチくんはその後、音楽活動が大成功。
なんと紅白歌合戦にも出場した有名バンドのメンバーとして現在も活躍中ですが、それはまた、別のお話でございます。
夢に向かって一直線に生きることが何よりも大切で、夢の成就はゴールではなく、スタート地点に過ぎない。そのことを理解した上で、より遠くの未来を見据えていないと、人生はどこかできっと、しくじってしまうんだろうなあ。
共に日々を過ごした多くの若者たち、そして採用に至らずに交わることのなかった人々に思いを馳せると、私はそんなふうに思うのです。
カタギリ・今週の1枚
またまた古い写真で恐縮ですが、おわかりいただけるでしょうか?
ヘソの命釘(左)が、根本からバキッと折れているのが……!
経年劣化による釘折れ、営業中にこの状態になると左から流れてきた玉はヘソに入り放題。 アッという間にお宝台の出来上がりでございます。
根本に残った釘を抜いて、爪楊枝を突き刺して穴を塞いで、新たな釘を打ち込む。 閉店後にそんな感じで修理するのが、ホントに面倒だったなぁ……。
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- 元・店長カタギリ
- 代表作:しくじり店長
シルバ〇アファミリーみたいに小さなパチンコ店の責任者から一転、 雑巾がけがメインの業務となってしまった事務員へとグレードダウン。 そんな設定①のスランプグラフのような半生を、隔週水曜日に連載させて頂いております。 タイトルは「しくじり店長」。 パチ屋の店長が平社員へと降格していく逆サクセスストーリーを、 海物語シリーズの泡リーチを見つめるような気分でお読みください。
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ああ、自分も経験ありますね!
怖いオジサマ達が店に乗り込んできて「○○ってヤツ、いるか!?」って。
確かに、そんな話はほとんど耳にしなくなりましたね。
たぶんホールと同じように、貸金業界もマシになったんでしょうね(笑)。
違いますね、もう少し下の世代になるのかな?
パチンコ屋はスタッフの雰囲気が出来上がっているので、そこに溶け込めるかどうかも非常に重要ですね。
新人さんは慣れない環境で仕事をするだけでも大変なのに、休憩時間も気の合わない同僚と一緒に過ごすなんて息が詰まりますからねぇ……
設置期間が長い、高稼働を維持している、台数が多い等の理由で海シリーズの釘折れは目立ちますね。
よく言われますけど「人材」ではなく、「人財」ですよね。
RADでもないっすねぇ。
当時はメガネかけてましたけど、事務所の方針でコンタクトに変えたらしいです。
そしたら意外とイケメンで驚いた記憶がありますよ。
残念、違いますっ!
樽美酒だったら文章内でもうちょいヒント出してたと思います(笑)
パチ屋の恋愛禁止、と言いつつ社員同士で付き合ったりしてますからね。
ムチャクチャでしたねw
最近はホント大変です、履歴書ナシでもいいからとりあえず面接に来てくれりゃいい、みたいなノリになっちゃってますから。
ですね!
この子はすぐにヤメるな、と思っていたヒョロヒョロのお兄ちゃん、今年でバイト歴8年目ですからね。
ま、それはそれで不安になりますけど……
釘折れ、昔は気付かれないまま長期間放置パターンがありましたからねぇ。
記憶に新しいところですと、アタッカー横の釘が折れてるのに「そのまま打たせてくれ!」と懇願してきたオジさんがいましたね。
本来あるべき釘が折れてそこからポロポロ玉がこぼれて出玉がメッチャ少ないのに気付いてからは諦めてくれましたけどw
その頃と比べると今のホール企業って大分マシなのかなって思っちゃう今日この頃です。