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元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~
2024.05.05
クソ台じゃないよ! ちょっとしくじっただけ! 元ホール店長が語る「ゴールドX(ミズホ)」のしくじり物語。
元・店長カタギリ 元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~
パチンコ屋は何故、潰れてしまうのでしょうか。
簡単に言えば「出玉への信頼感を失い、お客さんが減り続けたから」でしょうね。よりシンプルに表現するならば「ボッタクリ過ぎた」となるかもしれません。利益を取り過ぎてお客さんが減った結果、まともな利益が取れないレベルまでお客様が減ったから潰れるのです。出し過ぎて潰れたパチ屋はありません、百人一首にもそんな札があった気がします。
では何故、今もなお潰れずに頑張り続けているホールが存在するのか。特に小規模ホールが現在まで生き残るのは至難の業。では、どうやって戦ってきたのでしょうか?
私は、こう思うのです。「自らの過ちを認め、軌道修正を行ってきたから」だと。それが出玉のみならず店舗そのものに対する信頼・安心・期待・満足といった居心地の良さに繋がり、結果的に生き残れたのではないか、と。数多くの失敗の中で「お金を得るためには信頼を失わないこと」を最重要視したからこそ、生き残れたのではないかと。つまり、己の失敗を認めること。同じ過ちを犯さないこと、そして失敗に気付いたら素早く対処すること。逃げ出さないこと。それが一番大事マンブラザーズバンドなのです。
今回の『しくじり機種』は、その真逆パターンのお話。自らの過ちに気付きつつも対応を誤ったために大騒動になってしまったエピソードのご紹介です。多くの学ぶべき教訓の詰まった逆・幕の内弁当のような機種をご覧いただきましょう。
★今回のしくじり機種は『ゴールドX(ミズホ)』
▲ゴールドX(ミズホ)
前年に導入された『ミリオンゴッド』に検定取消処分が下され、ホールから完全撤去となったのが2003年10月で、本機の導入時期が同年6月。言わずもがなホールのドル箱機種となっていた初代ゴッドの射幸性を抑えた後継機としてのホールデビューでした。液晶演出、リール配列、AT中の純増は初代とほぼ変わらず、プレミアムゴッドを含めたATのゲーム数が初代より少なくなっているのが大きな特徴。出玉性能こそマイルドになったものの引き続きホールから高稼働・高粗利を期待されて導入された本機が、さらなる騒動の幕開けになるとは導入時には誰も想像していませんでした……。
しくじりポイント1.簡単手順で大幅ベースアップ! 簡単過ぎた攻略打法。
初代ゴッドには順押し以外で遊技した場合に『警告』という物騒な画面が表示されて、順押しを要求されると同時に以降の5ゲーム間はAT無抽選&プレミア役の当選が無効となる厳しいペナルティが存在。常に順押し厳守、ハサミ・中押し、逆押しでの遊技は完全にご法度でした。
ところが新生ゴッドことエックスちゃんで順押し以外の遊技を行った場合のペナルティは、プレミア役を含むATのゲーム数が3分の1に減少するのみ。さらには天井までのゲーム数も減算ストップされない、という大きな特徴がありました。
ま、ここまでなら「せっかくGOD揃いや赤7(SGG)を引いても損するので、順押し厳守で遊技しましょうね」で済む話だったのですが、問題はここからです。なんとエックスちゃんは「順押しとハサミ打ちを駆使すると15枚役の出現率が大幅アップ、さらにGODやSGGを獲得しながら天井も目指せちゃうマシン」だったのです。
攻略打法のカギとなるのは左リール停止時の出目と液晶画面に表示された数字。その結果によって順押しにするか、それともハサミ打ちで打つか。この打ち方を繰り返すだけで15枚役の出現率が大幅アップ、エックスちゃんは通常時にもメダルをほぼ減らすこと無くプレミア役や天井を狙える「追加投資ほぼ不要マシン」へと早変わりしてしまうのです……。
初代ゴッドの後継機である以上、売上と利益の双方に大きく貢献してくれるであろう。そう期待していたホールの思惑は一転、シマにスタッフを配置しての監視強化、あるいは稼働停止の判断を下すホールが続出する激熱演出へと発展したのでございます。
……ふと思ったのですが、今でも順押し推奨機で中押ししている年配の方をたまに見かけるのはもしかすると本機の攻略打法が多少なりとも影響しているのかもしれませんなあ。
しくじりポイント2.それ、やっちゃダメなやつ! しくじり過ぎた攻略法対策。
この騒動を受けてメーカー側はホールに対して『液晶画面の左に表示される数字を隠すためのシール』を送付いたしました。取り急ぎシールで液晶画面の数字を隠しちゃえばお客さんは順押しせざるを得ないでしょ、後は新しいサブ基板を送るから交換してね、そう言わんばかりの大雑把な対応にご立腹されたのが全日遊連の皆様。この事態はメーカーに対しての訴訟問題へと発展、激熱リーチ経由のクライマックスエピソードリーチが展開されることになりました。
ま、取り急ぎとはいえ無承認変更を誘発させるような大雑把な対応ですから、当然の流れでしょうね。当時、私も店に送られてきたシールを見て「何の冗談だろ、これ。まあ確かに効果はあるけど……」と困惑した記憶があります。液晶画面にシール貼っただけの対策が行われた台を打たされるユーザーと、雑な対応を指示されたホール、どちらも小馬鹿にされた気分になりますよね。
★元店長カタギリとゴールドXとツジ店長
攻略打法の存在が主にインターネット経由でユーザーとホール、双方が知るに至った2003年7月某日。当時の私もまたホールでの対応に苦慮するハメとなりました。
その日は朝から見慣れぬ方々がひとり、またひとりとエックスちゃんのシマへと集結。皆様、オリンピック選考会のような雰囲気の中で、黙々と順押しとハサミ打ちを繰り返していらっしゃいました。 当然ながら私は簡単に作成した注意書きの貼り紙を指さしつつ「スミマセン、変則打チ禁止デス……」と廃棄寸前のロボコップみたいな口調でお願いすると、大半のお客様は「まあ、そうなるよね」といった感じでメダルを流して即、退店といった流れとなりました。
ところが昼頃には「客がどんな打ち方をしようが関係ねぇだろ?」と凄んでくる揉め事上等だよ、とでも言わんばかりの見た目の男性や、声掛け完全無視で遊技し続けるキラーマシーンのような兄貴などが続々と参戦し、瞬く間に最終ダンジョン級のデンジャラスゾーンが完成。アア、ボクハモウダメデス……。
そこに現れたのが当時の店長であったツジさん。
オーナーにも噛みつくバリバリの武闘派であった彼が、これ以上は考えられないぐらい面倒くさそうな表情を浮かべつつ、シマの中でもっともタチの悪そうなボス級の男性を店外に連れ出してから、わずか数分。無表情で戻ってきたボスが、連れと思わしき連中に何やら耳打ちすると、彼らは続々とメダルを清算して一斉にシマから姿を消し、瞬く間にゲームオーバーとなったのです。
その後、私を叱り飛ばすでも励ますでもなく、無言で事務所へと戻っていったツジ店長の後ろ姿をぼんやりと目で追いながら、この時は主任だった私は有難いよりも情けない気分で胸が一杯になったことを今でもハッキリと覚えております。と同時に、普段の言動が1ミリたりとも尊敬できなかったガラの悪いツジ店長も、やはりこういう時には物凄く頼りになるなあ、と感心させられたことを思い出すのです。
ツジさん、今は何をやっていらっしゃるのでしょうか。特殊詐欺とかで捕まっていなければ良いなあ。
★まとめ~ゴールドXから学ぶべき教訓~
仕事で失敗した場合に大事なのは謝罪と是正。エックスちゃん騒動でも「やっちゃいましたスミマセン! ホールさんに補償しますから稼働停止でお願いします!」といったアナウンスが迅速になされていれば、他方面から余計な怒りを買うことはなかったのに。
結局のところ、この騒動は攻略打法の存在を知りつつもホールに稼働させようとしたメーカー。そして稼働を停止させなかった一部のホールの双方がよろしくないですなあ。不具合のある台を輩出したメーカーと、そんな台を設置し続けたホール。そのどちらに対しても一般ユーザーは不信感を抱くはずです。目先の利益を優先させた結果、最も大事な信頼を失ってしまう。遊技人口の減少は、まさにこのパターンの繰り返しのように思えます。
ユーザーが安心して遊技できない台は即、稼働停止。目先の利益より優先すべきは自社の信頼。それこそが結果的に被害を最小限にとどめ、ユーザーを不安にさせない最善策なのではないでしょうか。……ボクハ、ソウオモウヨ。
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- 元・店長カタギリ
- 代表作:しくじり店長
シルバ〇アファミリーみたいに小さなパチンコ店の責任者から一転、 雑巾がけがメインの業務となってしまった事務員へとグレードダウン。 そんな設定①のスランプグラフのような半生を、隔週水曜日に連載させて頂いております。 タイトルは「しくじり店長」。 パチ屋の店長が平社員へと降格していく逆サクセスストーリーを、 海物語シリーズの泡リーチを見つめるような気分でお読みください。
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