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2020.04.23

全6。下皿にメダル。天井から現金。奇跡と夢の大企業グランドオープン。書き手:あしの

あしの あしの   パチ7自由帳・匠

▲不二子2(平和/2002)

田舎ならではの都市伝説。

小学校低学年の頃に流行った都市伝説に「人面犬」というのがあった。爆発的に流行してたのは1990年頃なので今の若い子は知らんかもしれんが、その後も何だかんだ色んなエンタメ作品に登場し続けてるので意外とご存知のかたも多いかも知れん。

これは簡単に説明すると「人間の顔をした犬」だ。それだけでもまあまあイヤだけど、なんとコイツは人語を解す。当時の愛読書・コロコロコミックにて俺が読んだ時は、人面犬の口癖は「放っといてくれ」だった。

んでまあそういった(子供の間で流行る)「妖怪」や「物の怪」「幽霊」というものは後付でどんどんキャラが付け足されていくのが世の常で、「トイレの花子さん」の本名がいつの間にか決まってたり、「ターボばばあ」がテレポーテーションするようになったりとかの例に漏れず、この人面犬も気づいたら「つくば学園都市で生まれた遺伝子操作兵器」みたいなバックグランドが勝手に付け足されて行ったのだった。

まあ100歩譲って遺伝子操作で生まれたモンスターだとしても、人面である意味はない。むしろ兵器として有用性を考えたらふつうに犬面の方がバレないし良いと思う。「あ、あの人の顔したワンチコは敵国の兵器だから撃てェい」ってなったら無意ナッシングだし。いくら「放っといてくれ」っつった所でロケラン撃ち込まれて一撃死だもの。活躍できない。犬面にしようぜ、つくばの人よ。

……ともあれ。この「人面犬」には実はひとつ面白いエピソードがある。

なんとこいつ、「意図的に生み出された人工妖怪」という説があるのだ。さんざんコスられてる話題なんで今さら説明する必要もないかも知れんが、これに関しては出どころが2パターンある。

ひとつは俳優の的場浩司。そしてもうひとつが爆笑問題の田中だ。どちらも「自分(や関係者)が流した噂が爆発的に広がった」と主張してるのだけども、特に田中の方が面白い。曰く、大学の「都市伝説研究サークル」が小学生のコミュニティ内での噂の広がりを検証するために「人面犬」という怪異を創作し、町中の小学生に「この辺で人面の犬を見なかったか」と聞き込みしまくった結果、日本中に速攻で広がったそうな。んで実際にその噂を流したのが爆笑問題のラジオを担当してた放送作家であるとの事。ホントかネタか知らんが、もし事実なら非常に面白いと思う。こういうの好き。

んでだ、都市伝説というと俺はどうしてもひとつ思い出してしまうエピソードがある。2003年頃。オラが街、長崎県某所にいよいよ、日本最大規模のとあるパチンコホール企業が突如新規出店を表明した。

……今回は、そんな話である。
 

風営法回避のためにお金をぶら下げる!?

「おい、あしの。○○町にダイナムが出来るらしいぜ!」

俺にその情報を持ってきてくれたのは、Y君という男だった。Y君はめちゃくちゃ貧乏な家庭に育っており、幼き頃にクリスマスパーティに呼ばれた時はマジで「砂糖がぶっかかっただけのパスタ」みたいなのを食わされて死にそうになったりしたのだけども、パチスロを打つようになってからは金回りが良くなってよく一緒に飯を食ったりしておった。

「ダイナム?」
「そう。ダイナム。あしのも知ってるっしょ」
「いや、知らん……。凄い店なの?」
「凄いらしいよ。マジで!」
「全6とか?」
「そう! 全6だって。毎日」
「毎日!?」
「マジで。凄くない? ダイナム」
「すげえじゃん! なにそれ。どうやって利益取ってるの?」
「知らん。でもホントらしいよ」
「……誰から聞いたの?」
「○○君から」

○○君というのはパチ屋で知り合った、俺とYくんの共通の知り合いなのだけど、以前「島唄」のビタ攻略を真っ先に仕入れて来ては日がな一日それを試しまくり、どうみても効果がないというかむしろマイナス食ってるのにも関わらず「何でお前らもやらないんだよォ! めっちゃ美味しいよこれ!」とかなんか言ってたドリーマーだった。

「○○君……。ガセじゃねぇのそれ……」
「いや、でもみんな言ってるよ?」
「みんな……?」

噂話において「みんな」という単語が出てくるといよいよ嘘くさい。心理学の授業で「確証バイアス」という単語を習ったばっかりだった俺は咄嗟に手を振った。

「ないない。ないよそれ」
「そうかなぁ……」

翌日だった。大学の喫煙所でタバコを吹かしてると、パチスロ仲間のA君という男がやってきてまたこういった。

「あしのくん、ダイナム凄いらしいよ!」
「……ああ、らしいねぇ」
「毎日6だって!」
「ンー。ウソだろそれ。無いよいくらなんでも」
「でもマジなんだって」
「誰から聞いたの?」
「Y君から……!」

つまり、この時点で噂は○○君からY君を経てA君くんに伝播していた計算になる。そんなにパチスロ仲間が多い方ではない俺の耳にすら入ってくるくらいだから、この噂はかなり広がっているのだろう。

「それねぇ、出どころは○○君だから。たぶんウソだよ」
「えー。マジで。みんな言ってるよ?」
「そのねぇ、みんなっていうのがねぇ……。あれお前心理学とってたっけ?」
「とってる」
「じゃあほら、確証バイアスってあったじゃん。マルチ商法とかのサンプルでやったやつ。あれと同じでさー……」
「いやいや、そういうのいいから。あしのくんも行くでしょ。ダイナム」
「まあ並ぶけども……」
「じゃあさ、当日一緒に行こうよ!」
「うん、わかった……」

ダイナムオープンまではまだ結構な時間があった。その間に俺は「毎日全6」という話を色んな人から100回は聞いたし、そしてその話は微妙に信憑性がある方向にどんどん軌道修正されていき、最終的には「オープンから3日間は全6」という、いかにもありそうな話に落ち着いていた。

ある日の事である。バーで普通に飲んでる時に、隣に座った一見のお客と意気投合した。互いの趣味の話になり、俺がパチスロを打つという話をした所食いついてきた。

「お兄さん、そういえば今度できるダイナム知ってます?」
「何がですか?」
「あそこ、凄いらしいですよ。無料で打てるらしいです」
「……は?」
「なんか、もう下皿にメダルが最初から俵積みになってるらしいんですよ」
「へぇ……。そりゃまた……。それ誰から聞いたんですか?」
「みんな言ってますよ」
「……なるほど」

信じられんかもしれんが、その日この話を聞いてから、同様の話を一気に耳にするようになった。多少差異はあるものの、「入り口で軍資金をくれる」とか「サンドに始めからお金が入ってる」など、そういう話がちょいちょい耳に飛び込んできた。中でも最も良く聞いたのがY君も言ってたこれである。

「ねぇあしの、ダイナムさ、なんと全部の台に、1万ずつぶら下がってるんだって」
「……ぶら下がってる? どうやって?」
「天井から紐で。吊るしてあるんだって」
「……何でよ」
「よく分かんないけど、風営法のからみらしいよ」
「どういう事よ」
「なんかね、直接現金を配ったら駄目なんだけど、上から吊るして、店内装飾にしてるのを勝手にお客が取るのは違法じゃないんだって」
「それ、誰から聞いたの?」
「みんな言ってるよ! 凄くない!?」

繰り返すが、もう17年も前の、しかも九州の片田舎の話である。今より世界はもっとおおらかで、そして希望に満ちていた。なんとその時俺は、「あ、それはあるかも」と思ったのだった。ンな馬鹿な、と思うかも知れんが、無知な権威主義者だった俺は「風営法」とかそういう単語に弱かった。いかにもアリそうに思えたのだ。

「すげえ! マジかよダイナム。とんでもねぇ店だなぁ!!」

 

噂の真相。まさか当事者にお会いできるとは……!?

そして、オープンの日がやってきた。たしか並びは3時間くらい。めっちゃ長蛇の列が出来ていた。なんせ現金が文字通りぶら下がっておる上に全6である。「俺は今日軍資金を持ってきていない」と豪語するオッサンとかも普通に一杯並んでた。そう。件の噂は、市内の中でももはや「常識」になっていたのだ。

抽選を終え、いよいよ入場が始まる。

先頭からつぎつぎに店内に飲み込まれる列を見ながら、いやがうえにも高まってゆく期待感。鼓動が早鐘のように響く。早く入りたい。そして打ちたい。初めて見るログハウス調の建物はいかにも他のパチンコホールとは一線を画しているように感じられた。そしてこの規模のお店にしてはありえないほどの並び人数。どう考えても全員は座れないし、そもそも抽選はもうとっくに終わってる。にもかかわらず、みんな並び続けている。ダイナムさんなら。ダイナムさんならきっと何かがある。どんな状況でも、きっとなんとかしてくれる。

並びのお客さんはみんな目がキラキラしていたし、全員、とても良い笑顔で笑っていた。きっと俺も、凄くいい顔をしてたと思う。いらっしゃいませ。店長らしき人が入り口で出迎えてくれた。何を言ってるんですか。こっちこそいらっしゃいませですよ。ようこそ、俺たちの街へ。今後ともよろしくおねがいします。

一礼して入店する。

天井にお金はぶら下がって居なかった。店内がざわついている。おもてたんと違う。皆の表情がそう言っていた。実際、店員さんに確認してる人もいる。あれ、現金はどこすか。マジで質問してた。しかも複数名。夢から覚める、とは正にこの事だ。実際、配るわけがない。が、何故か知らんが俺も信じてしまっていた。そうなると途端に信じてた自分が恥ずかしくなり、人の性として「いや俺は最初から信じてなかったし」みたいに振る舞い始めるのである。着座した『不二子2』。運良く並びで隣に座れたY君が言った。

「あるわけないじゃんねぇ」

俺は大きく頷いてこう答えた。

「ね。ぶら下がってるとか馬鹿じゃんねぇ。はは! 見てみてあの爺さん、めっちゃ店員さんに確認してるよ」
「えー。ださーい。バカねぇ!へへ!」
「ウケるねぇ! ウケるねぇ!」

断言するけども、二人共入店するまで完全に信じてた。にもかかわらず、さも最初から信じてなかった風を装うこの感じが大変おもしろく、ぶっちゃけ今思い返すとめちゃ良い思い出になってる。

しかもあの日、不二子はたぶんホントに全6だった。まだまだアツくて若い頃の記憶だ。

──で時を経て去年。なんと、この時新規オープンしたまさにその店の関係者の方(既に退社済)と、東京で偶然お会いする機会があった。聞けばオープンの日もお店に居たらしい。これホントに奇跡的つながりで超びっくりしたんだけども、折角なんで長年気になっていた「お金ぶら下がりの噂」について、ご本人に直接聞いてみた。

「ああ、そうですよ。なんか全然意味わかんないんですけど、お金ぶら下がってるとか色々噂が流れてて……。並びの段階からめちゃくちゃ質問が来てました。噂流した人に対して、ホント怒ってましたね。あの時は」

そして俺は知っている。あの噂を流した男を。たぶん○○君である。○○君自身が後に白状したからだ。「あれは俺が言い始めた事だぜ」と。

「でもまあ、面白い時代でしたよね」

笑いながら、懐かしそうに目を細める元関係者の方。俺も頂いたコーヒーを飲みながら頷いた。おおらかで、むちゃくちゃで。いまよりも少し馬鹿な、とても楽しい時代だった。

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あしの
代表作:インタビュー・ウィズ・スロッター(稀にパチンカー)

あしのマスクの中の人。インタビューウィズスロッター連載中。元『セブンラッシュ』『ニコナナ』『ギャンブルジャーナル』ライター。今は『ナナテイ』『ななプレス』でも書いてます。

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