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設定6の台が見えるようになった男の話
設定6の台が見えるようになった男の話
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むぎめしさん
Twitter→6gime4 - 投稿日:2020/05/22 23:20
「また負けた…」
トボトボとパチンコ屋の出口へと向かう。
俺の名前は麦飯太郎。今年31歳になるパチンカスだ。
「毎日毎日朝一天井!やっと入ったATも単発!もうパチスロ辞める!」
いつもの口癖。寝て明日になればまたパチンコ屋にいることだろう。
「牛丼でも食べて帰ろ…」
これもまたいつもの。ちなみに牛丼は勝っても負けてもいつでも美味い。
住んでいるアパートまで徒歩5分。足取りは重い。
「……力が…いか…」
アパートが見えたあたりで脇道から声が聞こえた。
「…力が…欲しいか…」
声の方に目をやると、怪しげな男が一人佇んでいた。
「力が…欲しいか…」
周りには誰もいない。どうやら俺に話かけてきているようだった。
「パチスロで勝つ…力が欲しいか…」
なんとも怪しい。変な商品を売りつけられるかもしれない。
俺は無視してその場を離れようとした。
「設定6の台を見えるようにしてやる…。今この場でだ…」
その言葉に立ち止まってしまった。普段ならこんな与太話、聞く耳も持たないだろう。
だがここ最近ずっと負けっぱなしで辛かった。勝ちたいなと思っていた。こんな怪しげな男の話に耳を傾けてしまいたくなる程に。
「…本当に見えるようになるのか?」
「なる…。だが見える代償として6以外の台は打てなくなる…」
代償?6以外打てないことに何の問題があるだろうか、最高じゃないか。
「頼む!俺に設定6の台が見える力をくれ!」
怪しんでいた気持ちはどこかへ。俺は男にそう叫んだ。
「…よかろう…しかし設定6の台以外を打った…その時は……」
男の声が段々と遠のいていった。気付けば自分の部屋のベッドにいた。
スマートフォンで時間を確認するともう朝だった。
「昨日のあれは…夢だったのか…」
情けなくなる。パチスロで負けたその日にあんな夢見るなんて。設定6が見えるなんてありえないのに。
自虐的な独り言を言いながら起き上がり顔を洗った。
時刻は10時。いつものように俺はパチンコ屋へと向かった。
抽選はいつからか受けなくなった。打つ台も自分が好きなのを適当に打ち散らかしていた。
そりゃ勝てない訳だよなぁと思いながらも、今更台の知識をつけて立ち回るなんて無理だった。
今日もとりあえずクレアの乳でも拝むかとスロットの島へと足を踏み入れた瞬間、眩む程の光を放つ台が目に飛び込んできた。
その台は導入されて以来このパチンコ屋にいる軍団が独占していたリゼロだった。
いつだかパチンコ屋の横にある食堂でご飯を食べていた時に聞いたことがあった。
軍団が独占しているリゼロには毎日設定6が入っている。あいつらはいつも勝っていると。
十数台あるそのリゼロの中で5台がずっと光を放っていた。
後ろを通りながらさりげなく台を見る。まだ開店して間もないというのにもうATを消化していた。
昨日の男の話を思い出す。もしかして俺は…。
俺は本当に設定6の台が見えるようになったのか…?
やった!これで負けないぞ!!勝てるんだ!
男の行方は、誰も知らない。
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むぎめしさんの
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このコラムへのコメント(8 件)
もう完結したんだよなぁ…
アマチュアになった…
ファイナルファンタジー
はよ寝ろ
続きが待ち遠しいです!