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あのときオレはクズだった~田中の回胴回顧録~
2015.10.02
あのときオレはクズだった 第38回 ~第2部ガイド編
田中(クズプロ田中→クズ田中→田中) あのときオレはクズだった~田中の回胴回顧録~
歌舞伎町との決別と、新たなギャンブル生活の始まり
パチスロ必勝ガイドを辞めようと、普通の男の子に戻ろうと、ホールの中央にそっとレバー玉を置く覚悟で編集長に辞意を告げたものの、しめ鯖と芋焼酎の素敵なマリアージュに魅了されて辞めることを忘れるほど酔っ払ったあの日を境に、気がラクになった。
これまで入ってきた仕事はすべて受けないと失礼になると考えていたけれど、それが負担になって好きだったはずの原稿仕事まで辞めることになるのは本意ではない。というわけで、そこからはいわゆる地方のイベント仕事はお断りして、原稿とデータ取りをメインに活動をしていくことを決めた。
もちろん収入はガクンと落ちたが、まあ、守るもののない男の独り身。そんなものはどうにだってなるわけで、かまわない。というか、自分はそもそもお金がないことに興奮を覚えるタイプの特殊な人間なので、下手にお金が入ってくる環境にあると、パチスロも生活も、あまり楽しくなくなってしまう。とはいえ、これまでのように歌舞伎町で週4も飲んでいれば破滅することくらいはわかるので、その環境を断ち切るべく、新宿から遠く離れた足立区に引っ越しをすることにした。近くにいながら自制をするのは、クズには無理。問題解決のために元を断ち切るというのは、ガイドを辞めようと思ったときとまったく同じ発想である。
というわけで、それからはデータ取りにいって、それをもとに原稿を書くという、初心に戻った生活を始めることになったわけだが、そうなると必然的に家にいる時間が増えるわけで、息抜きの時間が必要になってくる。家で息抜きができるのなんて、ゲームかテレビくらいなもの。そんな考えから何の気なしに地域のケーブルテレビに加入したわけだが、そこに大きな魔物が潜んでいたわけだ。
JLCというものをご存じだろうか。日本レジャーチャンネル。平たく言うと、ボートレースの中継が行われるチャンネルなのだが、ケーブルテレビにこのJLCが含まれていたのである。
いまでこそ多くのパチスロライターがボートを熱心にやっているけれど、あの当時にボート、ボートと騒いでいたのは自分と鈴虫くらいのもの。そんなところに当日の全レースが視聴できるJLCと、家にいながらにして投票することができるテレボートなるネット投票システムがあると、どうなるか。もうおわかりだろう。原稿を書きながらレースへの投票を行う、二刀流生活が始まるわけだ。
ボートレースは全国に24のレース場があって、だいたいその半分弱、10場くらいが稼働する仕組みとなっている。で、1日にそれぞれの場で12レースあるわけだから、12×10で120レースが行われている。
で、だ。ボートレースには各場に番組マンという人間がいて、その人が対戦する人の組み合わせや枠順を決めるのだけど、いわゆる客集めの意味も含めて、あえて当りやすいレースというものを意図的に組むことがある。それが1日に4つか5つ程度はあるので、それだけを手堅く買っていれば、働かなくても日当が出てしまうのである。
ボートレースの還元率は75%。簡単に言えば総売り上げから主催者(胴元)が25%の寺銭を抜いて配当を出すのだから、機械割100%オーバーを狙い続けているスロッターじゃなくとも、やればやるほど負けることは理解できるだろう。だけどもそれは手あたり次第レースに手を出した場合の話で、しっかりとレースを絞って買えば、安定して勝てるのだ。
ド本命のレースなんて、1着と2着を当てる二連単の配当は200円くらい。当たっても2倍にしかならないが、絞り込めばこれが7割方当たる。仮に5レース1万円ずつ買って、4レース当たれば投資5万円で、配当は1万円×2倍×4レースで8万円だからプラス3万円。3レースしか当らなくても1万円×2倍×3レースでプラス1万円と、生きるお金は十分に稼ぐことができる。
朝イチにスポーツ新聞ですべての開催レースに目を通し、その中から絞り込んだレースにベット。そのまま原稿を書いて、買ったレースが始まる時間になったら観戦。終わったらまた原稿に戻り、寝る前には必ず、その日に行われた120レースのリプレイをすべてチェックして、明日の参考にする。これだけで当初はもりもり勝つことができたし、実際にボートの勝ち金だけで車も買った。
だけど、またしてもクズの虫が騒ぎだすのである。設定変更の読める店をツマらないと捨ててきたクズの虫がこうささやく。
勝てるレースだけ選んで勝負? そんなものは勝負でもなんでもなくて、こつこつ働いてんのと一緒だろ。もっと、腹の底から震えるような勝負をするのがギャンブルってもんだろ。結果が見えないからこそアツいんだろ?
はい、ごもっとも。ギャンブルというのはつまるところ、いかにシンプルか、いかにヒリヒリできるかがすべて。だからこそ自分はバカラがギャンブルの王様だと信じて疑わないし、勝てるだけのギャンブルを作業と感じてイヤになってしまうのだ。お金がほしいだけなら、働いたほうがよっぽど効率がいい。
そんなこともあって、当るかどうかもわからない大きなレースにどんどん手を出すようになった結果、年間の収支がマイナスに転落することになった。その年は1年の途中からテレボートを初めて、総投資が648万円で、回収が646万円。回収率99.6%だった。
結論。ボートも頑張れば食えるはずだけど、やっぱり勝つのはパチスロが一番。そして、クズは死ななきゃなおらない。
同じこと何回やってんだよ、オレ……。
あのとき打っていた 「CR闘牌伝説アカギ-闇に舞い降りた天才-狂気編」 |
【メーカー】奥村遊機 【販売年月日】2008年11月 【タイプ】MAX
この時期、狂ったように打っていたのが奥村遊機の『CR闘牌伝説アカギ-闇に舞い降りた天才-狂気編』。自分がこれまで打ったパチンコの中で最高に面白かった機種なんだけど、まったく人気が出なかったのが信じられなくて……。ああ、いろんなことを思い出してきたので、次回はアカギを稼働した日々のお話を書くことにします。
クズの成績表:★★★★☆(また飽きたか) |
ほんとにギャンブル好きなんですなぁ。
お金を増やすことではなく、ヒリつきたいがためにギャンブルをする。勝てるギャンブルは飽きる。負けの快感ってやつもあるんでしょうな。
それにしても田中氏はギャンブル上手いんだろうけど、単純な運はないんでしょうな。パチスロにせよ、ボートにせよ、勝てる方法を見つけることは出来る。でも飽きる。んで見えない勝負に身を投じると負ける。
ん? 田中氏が「僕は飽きるからダメだけど、みんなだったら勝てるギャンブル講座」とかやれば、もしかして流行るのか?
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- 田中(クズプロ田中→クズ田中→田中)
- 代表作:あのときオレはクズだった~田中の回胴回顧録~
パチスロ好きが高じて21歳の時にパチスロ必勝ガイドにてライターデビュー。若手時代は勝ちキャラだったものの徐々にクズっぷりを発揮し、昼はギャンブル、夜は酒をモットーに活動を行う。30歳で思い立ってフィリピンに英語留学へ行き、2012年の2月より世界の子ども支援を行うNPO法人セブンスピリットを設立。フィリピンのセブ島でNPO活動をしながら執筆も行っている。
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