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パチ7虎の穴
2024.12.08
【ロマンティックパチンカー】No.3 世界に一つだけの華
まだ世界にコロナが蔓延する前、年下の同僚と麻雀を打った。
そいつはかつて雀荘のメンバーとして働いており、腕はプロ級と噂されていた。だが、俺とて瀕死の状態から一索(鳥が描かれた牌)をツモって大逆転したことがあり、一瞬あだ名が「フェニックス」になりかけた男だ。お互い相手にとって不足なし、ということで近場の雀荘へと向かった。
それまで俺は基本的なセオリー、スジやカベなどを理解していれば、麻雀は結局のところ運ゲーなのではないかと思っていた。ならば俺の天運に勝てるわけがない、この生意気な小僧を叩きのめしてやる、と鼻息荒く卓を囲んだのだが、数時間後自らの浅はかさを知ることになった。
そいつはマジで強かった。降りるべきところはしっかり降りつつ、それでも流局になるとほぼテンパっていたし、リーチ合戦になると必ず負けた。途中イカサマを疑ったほどだ。
もはやなぶり殺しにされるのみ、と諦めたその矢先、反撃の狼煙を上げるに相応しい手が俺のもとに転がり込んできた。三色が確定しているタンヤオ、ピンフを、イーシャンテンまでこぎつけたのだ。奇跡的に赤ウーも三枚ある。これならば倍満は狙えそうだ。
貴様に吠え面をかかせてやるぜ、とほくそ笑み、虎視眈々とツモ順を待っていると、対面にいた奴がおもむろに千点棒を取り出した。
「リーチです」
殴りたい、強くそう思った。ミリオンゴッド凱旋で、1400Gから強レア役の連打を喰らった時より約8倍ほど不愉快な気分になった。
しかし、俺とて今日一番のチャンスを迎えている。降りるわけにはいかない。力強く危険牌を場に叩きつけた。
「セーフです、あ、ツモりました。四暗刻です」
そして、まさに「鳩が豆鉄砲を喰らっている」顔をしている俺の目前で、奴は驚きの行動に出た。役満を上がったにもかかわらず、浮かれることなくしっかりと裏ドラをめくったのだ。
麻雀を嗜まない方のために説明しよう。プレミア役をひいて、万枚が確定した。それにもかかわらず、一枚役はしっかり目押し、端玉でうまい棒を交換する。奴は、そんな行為をしたのだ。
「あ、のってますね。チップ三枚でーす」
この野郎…。
俺は、はじめて役満を上がった瞬間のことを、今でも鮮明に覚えている。ラス牌の「西」を掴み、雀荘に響き渡るほどの声で叫んだ。
「うわーい!!!国士上がったああ!!!」
卓を囲む三人に熱い抱擁と頬擦りを求めただけでは興奮が収まらず、隣の席で三麻を楽しんでいた見ず知らずのオッサンにも「チューして!ねえ、チューしてよ!」とキスをせがんだ(本当にしてくれた。タバコのフレーバーがした)。 役満を上がったからには、それくらい喜ぶのが礼儀というものだ。
それをこのガキは…。
「てめえの上がり方は麻雀に失礼だ!」
と、説教をきめたところで点棒の足しにはならず、しっかりトドメをさされた。
しかし、思った。きっと、麻雀牌はこいつよりこの俺に、役満を上がって欲しかったはずだ…。
20年以上前のことだが、俺は「通常時の小役確率が著しく悪いかわりに激しく連チャンする」謎のシオサイにどっぷりハマっていた。
来る日も来る日も、狂ったようにコインサンドに金をぶち込み続けていた。そのうちに、母の日にはカーネーションの代わりにハイビスカスの苗をプレゼントするほど沖スロの虜になってしまった。
いつしか謎の基板が撤去され、穏やかな波を描く5号機の時代が訪れても、あの赤い光を定期的に浴びないと俺の身体には発作が起こるようになっていた。
その頃、暇があると沖スロが誕生に至った経緯を空想していた。
「では、今日の会議はここまでにします」
「ひ、ひとつ、新しい企画を発表してもよろしいでしょうか」
おずおずと手を挙げたのは、入社2年目の田丸だ。田丸は普段から引っ込み思案な男で、自分から意見を述べたことなど一度もなかった。
「では、田丸君。お願いします」
先月係長になったばかりの野々村は、胸の奥から喜びが湧き上がるのを感じた。田丸には入社当時から目をかけていた。あいつには、常人が計り知れない才能があるのかもしれない、どことなくそう感じていたのだ。
「ボーナスが当選すると、ハイビスカスが赤く点滅するというのはどうでしょうか!」
何を言っているのだ、こいつは…。思わず野々村は天を仰いだ。どうやら買い被りすぎだったようだ。そんな台、売れるわけがない。もしかしたら、田丸に期待するあまり、無意識にプレッシャーをかけていたのだろうか。この会議が終わり次第、知り合いがいる精神科を受診するよう勧めよう。
「いいじゃないか、その企画を進めたまえ」
野々村の想いをかき消すようにそう発言したのは、社長の権藤だった。権藤は顎にたくわえた見事な白髭を撫でながら、野々村に微笑みかけた。
「沖縄といえば、ハイビスカスだろう。やはり、若い者は鋭いのお! わっはっは」
社長の鶴の一声により、田丸の案は採用された。
以上、人名含めすべて妄想であるが、名機シオサイが開発されるにあたって、こんな会議が行われたに違いない。
田丸の勇気、そして社長の懐の深さのおかげで、現在我々は沖スロを楽しめている。1分1秒とて、感謝の念を忘れたことはない。
それにしても、レバーを叩きハイビスカスが光ればボーナス確定。なんと潔い台なのだろうか。液晶付きのパチスロ機を否定するわけではない。しかし、俺は女性に愛の告白をして「考えるから少し時間を下さい」と言われると、「いえ、もし考えた挙句フラれるならその時間が無駄になるのでもういいです」と言ってしまうくらい「待つ」という行為が苦手な人間だ。
チャンス目を引き、液晶で派手なバトルが繰り広げられ、その間リプレイ確率が上がる。期待させられた挙句、数ゲーム後敗北してノーボーナス、という展開を喰らうならば、レバーを叩いた時点で生き死にが決まる沖スロのほうが、性に合っている。
このコラム、「ロマンティックパチンカー」の執筆にあたり、7年間絶っていたホール通いを再開した俺が、パチンコの復帰戦に選んだのが最も愛するトキオシリーズであれば、パチスロのそれはハナハナ以外考えられない。
あの時の麻雀牌のように、ハナハナは誰よりもこの俺にハイビスカスを光らせてほしいはずだ。そして、俺は世界一美しいハイビスカスを咲かせる自信がある。これ以上ハナハナを待たせるわけにはいかない。ネットで調べたところ、近隣に熱く華が打てそうな店を発見した。
決まりだな。
俺は、すぐさま家を飛び出し戦場へと向かった。
その店に到着したのは、午前9時ちょうどだった。この世に平日の朝イチからハナハナを狙うエキセントリックな感性の持ち主など、俺以外にいまい。そう思いつつ念には念を入れ、9時30分の抽選を受けた。これが華に対する誠意というものだ。
開店と同時に昔作ったオリジナルソング、「光れ!ハイビスカス!」を口ずさみながら一直線に沖スロのシマへと向かった。数人が沖ドキに走り、ハナハナ狙いは予想通り俺一人のようだ。上等だ。
実戦機種はハナハナ鳳凰、一瞬フェニックスと呼ばれかけた俺に相応しい対戦相手だ。よろしくお願いします。小さく頭を下げ、7年ぶりのバトルを開始した。
さて、パチスロを打つ俺は、いつものおバカさんではない。パチンコであれば極悪調整とて愛と勇気で乗り切れる、そんなマインドで戦っているが、パチスロの場合話が違う。平日のド通常営業ゆえ6は無理としても5、いや、贅沢は言わないが3は欲しい。
5号機時代、ハナハナにおいて俺が心の拠り所にしていたのがREG、BIG中スイカ、そして通常時ベルの3点セットだ。この内2つが納得できる数値であれば全ツッパ、そんなマイルールを設定し、そこそこの収支を残すことが出来ていた。
これさえあれば6号機とて恐るるに足らず、そう信じて移動すること3台目、1Kで60回転と、驚異的なやる気をみせる台と遭遇した。こいつには何かがあるはずだ、とレバーを叩くこと90ゲーム、ついに待ち望んだ瞬間が訪れた。7年ぶりにハイビスカスが点灯したのだ。
まず、20秒ほど瞬きをせずに華を見つめた。そして、瞳を閉じ、瞼の裏側に残った赤い残像を愛でた。細胞の一つ一つにハイビスカスが染み込んだことを確認し、おもむろにボーナスを揃えようとしたところ、背中に痛いほどの視線を感じた。
振り返ると、沖スロのシマにいた全員が俺をガン見していた。
人々のプライバシーを尊重した結果、地域社会の希薄化が社会問題となっている現在において、こんな光景は沖スロかJ(ジャグラー)のシマでしかお目にかかれない。
これだ。ハナハナはこうでなければいけない。
興奮とともに揃えたボーナスはREGで、その出玉はペロリと呑まれたが、狂ったように降り注ぐベルに、高設定への期待は高まるばかりだ。
この台、本当にあるのかもしれない。
ハナハナは、ある意味チームスポーツだ。
高設定台が優秀な選手ならば、その才能を余すところなく引き出すのが、監督たる俺の役割だ。
右手で叩いたり左手で叩いたりアッパーカットをしてみたり、どうにかしてより多くのボーナスを引こうと試行錯誤した結果、この日は「左手に数枚コインを握りつつソフトタッチ」で叩くと光りやすいことを発見した。
それからは、まるで修行僧のように、一切フォームを乱さず一心不乱にレバーを叩き続けた。
その甲斐あってか、1000ゲーム到達時点で、出玉のグラフは順調に上昇カーブを描いていた。
BIG、REG、小役全ての数値が高設定を物語っている。
これなら一安心、と胸を撫で下ろしたのだがパチスロにはハマりがつきものだ。
そして、他のノーマル機と違い、演出のないハナハナではそのキツさが数倍となる。
そんな時には、あえてチェリーは無視して白7を狙うと良い。揃わなくともそのテンパイ音には周囲の客を威嚇するとともに、ハイビスカスを目覚めさせる効果があると言われている。
信じなくても結構だが、この技の直後、50ゲーム以内で2回BIGを引いたとだけ言っておこう。
それでもハナハナは退屈、という方にとっておきの秘策を伝授しよう。
まず、コインを普段より多めに、30枚ほど投入する。
そして、目を閉じる。
レバーを叩く。
ベットボタンを押す。
レバーを叩く。
これを繰り返す。
俺と同じような残念な感性の持ち主ならお分かりになるだろう。
目を開いた時、ハイビスカスが光っている期待度は、5ゲームなら5倍、10ゲームなら10倍になる。
俺はこの技を「界王拳」と呼んでいる。
かつて、12倍の界王拳を放ったときには興奮しすぎて手が震え、しばらく目を開けることができなくなった。
10倍以上の界王拳は心に負担がかかりすぎるようだ。
この技を使う時にはご自身の体調、精神と相談し、自己責任でお願いしたいと思う。
その後もメダルを増やし続けていたのだが、一つだけ懸念材料があった。
サイトによって数値は違うが、鳳凰のBIG中スイカ確率は6で1/30、1では1/50程度とかなりの差が設けられており、6回のBIGでスイカの出現はゼロだった。
BIGを消化するたび、胸に墨を落としたように不安が広がっていく。「もしかしたら6号機のハナハナはサイドランプでレア小役のナビが禁止されたのだろうか」と思い、毎ゲーム小役狙いをしたが、揃うのはベルばかりだ。
そして、嫌な予感は的中するものだ。まずは通常時のベル確率が落ち始め、それに誘われたようにREGも引けなくなった。順調なのはBIGのみだ。
「これは…もしかしたら低設定のまぐれ噴きなのだろうか」
そんな想いが脳を支配する。決断を迫られたのは、3000ゲーム到達時だった。BIG15(1/200)は6をはるかに上回るが、REGは6(1/500)、BIG中スイカは1/52と全てが1を指し示している。 あれだけ揃っていたベルも、全く落ちない。
このままつっぱるか、ひくか…。迷いを抱えながらレバーを叩き続けると、おしべだけが光るプレミア告知が発生した。 もちろんBIG確定だ。
「お前…これ以上無理するなよ…1なんだろ?」
思わず台に語りかけた。
「ウン…デモボク、アナタニヨロコンデホシカッタノ」
幻聴かもしれない。 しかし、俺の耳にはハナハナのか細い声が、確かに聴こえた。
無茶しやがって…。俺は、天を仰いだ。 これ以上こいつに無理をさせるわけにはいかない。直ちにコールランプを押し、メダルを流すことに決めた。
以下、データである。
1台目 53回転 投資2K
ノーボーナス
2台目 72回転 投資2K
ノーボーナス
3台目 3398回転 投資9K
BIG16回
REG6回
BIG中スイカ7回
回収1232枚(46枚貸し)
店員にドル箱を託した瞬間、風のように次なるチャレンジャーが現れ、その台を確保した。 あだ名をつけるとしたら「ミスターツーブロック」、そんな風貌をしているガテン系の若者だった。
きっとその台は1だ。 しかし、俺の読み間違いで盛大にホラれても構わない。 一人でもハナハナのことを好きになってくれる奴が増えればそれでよい。 心から、そう思った。
少額とはいえ勝ちは勝ちだ。散財せねばハナハナに失礼だ。7年ぶりの勝利を派手に祝おう。
店を出たその足で、近隣の人気鮮魚店に向かい、一番高い鯛のお頭つきの刺身を買った。あぶく銭でなければこんな買い物はできない。 ハナハナ様様だ。
重い刺身を抱えつつスキップしながら帰宅した俺は、庭を眺めた。春になったら、ここにハイビスカスの種を蒔くのはどうだろうか。今後、俺はLT機やスマスロと戦うことになる。なぜならパチ7の新台情報で、「スマート沖スロ超華祭」や「ネオモンスターハウス」の存在を知ってしまったからだ。これは打たずにいられない。
赤いハイビスカスの花言葉は「勇敢」だ。危険な戦いに挑む俺の心に、勇気を授けてくれるであろう。
そう信じている。
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- ダスト
- 代表作:ロマンティックパチンカー
ルパンでパチンコを覚え、アステカでパチスロを覚え、ミリオンゴッドでギャンブルを覚えました。子供が生まれた時に一旦現役から退きましたが、先日7年ぶりにパチンコ屋に行き、再び悪い心に火がつきました。リハビリ感覚で、ハネモノ、遊パチから始めようと思います。
プレイスタイルはロマン打ち、愛があれば確率なんて超越できると信じています。嫌いな言葉は下ブレです。
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Jで界王拳を使うと「ガゴッ」の時ひいい!となるので自分はマイジャグでのみやっています。
界王拳中に生入りさせちゃうとスランプグラフか急降下するような気がします。
本当に、キスの瞬間ファーストラブが流れました。
突然の宇多田ヒカルやめて
読んで頂きありがとうございます。
所詮オカルトだと笑うやつもいます。
そういうやつには、「あなたは二度と初詣にいかないでください」と狂気に満ちた眼差しを送ることにしております。
てか、ほんというとこの台、やめてよかったのかどうかいまだに悩んでおります
ケイゾク率云々に振り回されるよりSPE C以上の動きに対話する風情みたいなものも、打ってて高まる瞬間ですよね、
あくまで私の好み、ですが
沖ドキの花、デカすぎるんですよ。
オウパイもそうですが、でかければいいと思うなよ、と言いたいわけです。
でも、ホント言うと、沖ドキの連チャンは大好きです
あと、シオサイの方が華の形が好きです
沖ドキも光れば嬉しいですが
ハナハナほどの吸収力はないですよね‼️今度出るハナハナはジャグラーに寄せて作っていると噂を聞いてます。私はアンチ派ですが打つと思います。
まじでいまさらなんですが、6号機も打てますねw
BIGの枚数少なくても通常時めっちゃ回るんで、それだけで楽しかったです。
ほんと、スイカがもうちょっとマシなら閉店まで全然打てましたね。
下手したら社長かも笑
幻覚といえばですね、この実戦中一瞬違和感感じたんですよ
はは、疲れたのかなあ、と思いつつレバーオンしたらピカりまして、こいつ、プレイボーイ並みの違和感演出を搭載しとるな、と確信したわけです。
はっきりいってめっちゃ面白いのでエウレカでやられた後にでも打ってみて下さい!
シオサイ32ゲームverは打ったなあ
幻覚で光ってるように見えちゃったもんね