パチスロライターに“なってしまって”episode.28（広告規制が始まっていく）

佐々木真パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

いよいよノーマルが冬の時代を迎えた。そう思ったのは、とある機種が登場した時のことでした。もう撤退したメーカーなので書いてしまいますが、SNKプレイモアの『スカイラブ3』です。

▲スカイラブ3（SNKプレイモア：2011年6月）

『スカイラブ』シリーズといえば、初代も続編（〜2）もボーナス＋ループ式のRTがウリでそこが評価されていました。しかし『〜3』は、ボーナス＋ART機。以降もARTやATが中心となってまったくの別物となっていきました。初代から『スカイラブ』好きとして認識されていたのでしょう。広報さんにこのようなことを言われました。

「ラブがこんなことになってすみません。普通のノーマルを軸としたゲーム性は難しいのが現状。客滞の短い（ガンガン吸い込んで、稀に跳ねる）機種しか社内の稟議を通りません」と。

SNKプレイモアといえば『スカイラブ』以外にも、多くのボーナス主体タイプを発表して存在感を示していました。そのメーカーが……です。

また『モンキーターン』のヒットによって、ボーナスがない＆もしくはあっても存在感の薄いタイプが受け容れられていったのも大きいですね。この年の残るヒット機種は『押忍！番長２』（大都技研：2011年10月）や『北斗の拳～世紀末救世主伝説～』（サミー：2011年12月）でした。

▲『押忍！番長２』（大都技研：2011年10月）『北斗の拳～世紀末救世主伝説～』（サミー：2011年12月）

『押忍！番長２』にリアルボーナスはありますが、プレミアム的な存在。ほぼARTを軸としたゲーム性でした。『北斗の拳～世紀末救世主伝説～』も“塵と砕けよ”はJACイン成立でそれを拒否してRT に突入させて……など細かいことをやってもいますが、ボーナス消化すらART中のように見せていたのです。

★今一度考えたい。広告規制とは何だったのか。

東日本大震災での不謹慎狩りなどをきっかけに遊技機自体のテレビCMが自粛されるなど大きく見直され、この時期あたりからいわゆるライターイベントができる県やできない県など、広告規制が強まっていきました。私はライターイベントをやらない人間として、当時はこのようなことを思っていましたね。

常連のお客様あってのパチンコホール。どういう形にせよ、その常連のお客様が喜ぶものであって欲しい、と。

詳しくは「パチスロライターになってしまうまで」に書いていますが、元々はホームとなるホールがありましたし、そこで人間関係も作ってきました。いろいろなことがあって壊してもしまいました。単に需要がないという話もありますが、非常に難しいので行きたくないと思ったのが本音です。それならば売れっ子ライターが東京を留守にする間、書けなくなった無記名原稿を少しでも引き受けられれば。そう思っていました。餅は餅屋です。

なので、ライターイベントをやっていなかったのは、単純に“嫌い”なのではなく、自分には向いていないと思っただけのこと。

他のライターさんが来店するところに行くこともなかったですけどね。実情を知らないもので、これは当たりイベントとお墨付きと思われても困りますし。大体、そこで出したら「教えてもらっていただろ」とか疑われるだけ。負けたら「だっせ〜」と思われるだけ。いすれにせよ何も得がありません。関係ないホールで打っているほうが気は楽です。

そんなライターイベントばかりの世の中になるずっと前、実は一度だけ“1日店長”なることをやったことがあるんです。お世話になっていたライターの先輩のお誘いで断れなくて（笑）。

その時、バラエティコーナーにあった『アントニオ猪木という名のパチスロ機』に設定6を入れてもらったんです。掴んだ人は、最初苦戦していましたが、分かって粘り切ってくれて嬉しかったなあ。

でも、出す台があれば抜く台も必要になります。設置機種だけを伝えられた私は、沖スロコーナーを低めにさせてもらいました。しかし、そここそ常連のお客さまが集うシマだったのです。

その人たちの悲しそうな顔を見て「やっぱり私は向かないな」と思った次第です。そういうもんでしょとサバサバはできませんでした。逆にいろいろな経験をしていなかったほうが気楽にできたかもしれませんね。

しかし、一体広告規制とは何だったんでしょうね。あくまでもそういうところと縁のない個人的な意見ですけど。ますますややこしくしただけだったような。

今後、警察はこういうのを取り締まっていきますよ。そう言われれば、長くこの業界に根付こうとしている会社はちゃんと言いつけを守ります。ですが、儲かるうちはやるけど、儲からなくなったら撤収という腰掛け的な立ち位置のところとか、大手がルールを守ってできないことが多いのを良いことに好き勝手できたような気がします。「素人だから」と装って追求も回避。

個人的には、そういうところも公平に取り締まらないと「大手な分、名前がある分だけ損。その輪に入るメリットを感じられない。小さくて腰掛けならば、逃げやすく後のことは知ったこっちゃない。ルールが追加された時にはもうこの業界にいないし、やった者勝ち」このような思考回路となって、ルール違反をしているところが表面に出にくくなるだけと感じました。

まあ結果的に。パチンコ・パチスロ好きが遣ったお金が、関係ないところに流れやすくなっただけ。それを助長してしまったのかなと。

★私が勝手に思っていること。

ライターイベントばかりとなったちょっと後のこと、問題も発生しました。予想通りというか、時間の問題というか、いつか誰かがやらかすだろうなとは思っていましたが。

10年近く経った今でも粘着されるなどして、私もその人と一緒にやってみたい仕事などに支障をきたすこともありました（お会いしたのはずっと後に1回きりですが）。もういい加減許してあげたら？そう思いますね。人にだけ責任を負わせて代理店が出てこない。

それから今に至るまで、儲かるという理由だけの軽い気持ちでパチンコ・パチスロに携わり、業界の事情などを無視して無茶苦茶やったり、やらかして通過していった人や会社、たくさんいるじゃないですか。でも、その人はこのような状況になってもパチスロを好きで居続けてくれています。イベントをやる人は数多おれど、やらかした経験を持った人は滅多におりません。なぜ失敗してしまったか。語れる人は限られているのです。その機会を閉ざしてしまうことこそ損失ではないでしょうか。

成功事例の模倣が好きな業界ですけど、失敗しようと思って失敗する人はおりません。失敗事例の分析と改善こそ成功のヒントとなる気がしますけどね。それこそPAA（ぱちんこ広告協議会）とかクローズドな場でもお呼びして話を聞けば良いのに。そう思います。あ、事柄の性質上、表には出ないでしょうし、既にやられていたらすみません、

この件に触れるか触れないかは別として。そうなってもパチスロを好きで居続けていてくれている人ですから。今でも発信は続けられていますが、セカンドチャンスは大いにあって然るべきかな。そう思っています。

うん、勝手に思っていることでした。ご本人は余計なことをしないでそっとしておいてとか思っているかもしれませんが。

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佐々木真: 代表作：パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。