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元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~

元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~

2022.03.03

『パチコンって知ってますか?』スマートパチンコを先取りしすぎた『パチコンGIGA』のしくじり物語。

元・店長カタギリ 元・店長カタギリ   元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~


皆様ごきげんいかがですか、私は最近パチンコで負け過ぎて少し不機嫌です。とはいえ、短時間で大量出玉を獲得できるパチンコは実に面白いですね。

先月はエヴァで17連チャンして帝王のような気分で帰宅しましたが、翌日には単発2回(うち1回はST駆け抜け)で勝ち分を全額返納してホール内で気絶するかと思いました。カタギリさんは来月で40代最後の年齢となってしまいますが、やっていることは10代の頃とまったく変わっていません。 


話は変わりますがパチンコ・パチスロメーカーの大事なお仕事って何でしょうね? 

もちろん「ホールに自社の台を売ること」が大前提ですが、当然ただ売れば良いわけではありませんよね。面白い台を、時代のニーズに合った機種を世に放ってユーザーに支持される。結果としてホールが賑わう。それがメーカー・ユーザー・ホールの三者にとっての幸せなのです。

私が大好きな最新エヴァ未来も、シリーズを遡ってみると名機からイマイチなナンバリングまで実に様々。誰もが幸せになる面白い台の開発の難しさは素人である私にも伝わってきます。 今回の『しくじり機種』は、まさにそんな台。新時代の到来を感じさせる仕様を数多く搭載しながらもユーザーからの支持を得られず、ひっそりホールから消えていった不思議なマシンでございます。

パチンコとパチスロを融合させたゲーム性を持つ『パチコン』、その珍しい「しくじり方」を検証していきましょう。

 

★パチンコとパチスロの融合。パチコン『GIGA』

▲パチコン『GIGA』(瑞穂)

名前だけ聞くと端玉で取れるチョコレート菓子を連想しますが、これが『パチコン』第一弾となった機種の名称。メーカーは瑞穂製作所(現:ミズホ)です。

ミズホと言えば4号機時代にタコスロやワードオブライツ、5号機でも絆2やハーデスといったパチスロの名機を世に送り出したメーカー。つまり、盤面の大型リールは後の名作パチスロのヒントになっているに違いありません! ……いやスミマセン、たぶん違います。

このパチコン『GIGA』、見た目はパチンコですが中身はかなり違います。相違点を列挙すると長くなってしまいますので特徴的な部分を4点ご紹介しましょう。
 

パチコン特徴:スタートチャッカーに『ヘソ釘』が存在しない

デジパチのスタートチャッカー上部には『ヘソ釘』と呼ばれる2本の釘が存在しているのは、皆様ご承知の通り。ホールの担当者が最も多く触れる釘であることも、これまた多くの方がご存知のはず。

ところがこの『GIGA』にはヘソ釘が存在せず、台が一定の回転数を維持するように内部で調整を行っているのです(回転率が下がってくると電動チューリップが開放して入賞をサポート、スタート回数を上げる仕組み)。

これによってホール側の釘調整が不要になる、というのが本機のセールスポイントのひとつだったのです。
 

パチコン特徴:6段階の『設定』が存在する

「調整が出来なかったらホールはどうやって利益をコントロールするの?」という疑問が生じますが、そこがパチコンのもうひとつのセールスポイント。面倒な調整は不要、パチスロ同様に6段階の設定で出玉率をコントロールしてくれます。

大当り確率は設定1で390分の1、最高設定6だと222分の1。大当り回数の多い台が狙い目というパチスロ同様の立ち回りが出来るのもパチコンならではの特徴といえるでしょうね。
 

パチコン特徴:『Vゾーン』が存在しない

当時のデジパチにはアタッカー内にVゾーンが存在していました。つまり、ラウンド毎にVゾーンに玉が入らなければ大当りはその時点でパンク(終了)する仕組みとなっていました。当時は当たり前だったデジパチのVゾーンも、本機には権利(特許)の関係で非搭載。これもまた時代を先取りしていますね、結果的に。
 

パチコン特徴:パチスロのような『プレミア』も存在する

16384分の1で突入するチューリップパニック、その名の通り電動チューリップが頻繁に開放することで持玉が減らなくなり『実質、次回大当り確定』となるプレミア役を搭載。さすがはパチコン、パチスロらしい面も見せてくれます。

が、このプレミア状態も突入時にファンファーレが鳴る、盤面や台枠の色が変わる等の演出は無く、単純に電チューが頻繁に開放するだけ。2022年のミズホさんだったら絶対にありえない仕様ですな。


このように様々な新機能を搭載したパチコン『GIGA』なのに、何故ヒットしなかったのでしょう? 

 

じくじりポイント:中身は斬新でも、見た目と仕様があまりにも普通。

パチコン『GIGA』のホールデビューは1991年。平成初期のホールは文字通りの一発勝負となる一発台から7セグ、ドット式、ドラム式といった多種多様なセブン機、ハネモノでは大量獲得タイプ、さらには権利物や一般電役機、アレパチに至るまで実に多彩なラインナップでした。

ユーザーはその日の気分や懐具合に応じて、多種多様なマシンの中から勝負台を決めることができたのです。パチンココーナーには1回の大当りで約2,300発の出玉、かつ保留玉連チャン機も期待できるデジパチがズラリ。パチスロコーナーには香ばしい連チャンに期待の出来る「ひっくり返っちゃった」マシンがこれまたズラリ。そこへ突如としてホールデビューした見た目はパチンコ、中身はパチスロ、でも出玉性能なごく普通のマシン。

調整が不要というホール側のメリットだけが存在するノーマルパチンコ台、果たして誰が打ちたいと思いますかね? 例えるならヤンキーだらけの高校に転校してきた大人に気に入られるのだけは得意な高校デビューの少年、みたいな感じですかね。見た目はなんとか大丈夫、でも中身が環境に馴染めなかったのです。そう考えるとパチンコにはビジュアルが非常に大事なのがよくわかりますね。そりゃ台枠も飛び出してくるわ……。

 

じくじりポイント:パチンコユーザー困惑のパチスロ的ゲーム性。

ハンドルを握って玉を弾く台なのですからゲーム性の主軸はパチンコです。事実、パチコン『GIGA』はパチンコのフロアに設置されていたため、必然的に多くのパチンコユーザーが目にすることになります。

しかしながら中身はパチンコのような保留玉連チャンも無ければ、パチスロのような確率を超越した不可思議な連チャン性能もナッシング。安定した回転数があっても結局はホールが利益を取るために設定を1にしてしまえば、中身は回るだけの大当り確率390分の1のノーマルパチンコ。もう一度だけ言いますが、果たして誰が打ちたいと思いますかね? 

後に大ブームを巻き起こした設定付きのCR機がヒットした最大の要因は『確率変動による大連チャンへの期待』という出玉性能にありました。そう、時代に先駆けて設定を搭載したパチンコといえども、出玉の魅力が無ければ誰も見向きもしないのです。出玉性能、それが一番大事。それは2022年現在のパチンコシーンを見れば言うまでもありませんね。

 

じくじりポイント:調整不要、そのメリットこそ不要?

前述の通り、本機では回らなくなると電動チューリップが作動して回転率をサポートしてくれる機能がございます。これこそが調整不要の画期的なシステムなのですが、この機能はライトユーザーが見ると「何故か、ときどきチューリップが開く台」という違和感を与えてしまいます。

電サポによって回転率を上げる機種としては内部システムこそ違うものの、2014年にも大人気シリーズの某機種に搭載されていましたが、大量導入した当時のウチのお店では回るには回るけどムラが酷い、言うほど回らない、辛い機種だからもっと回せるだろといった不満の声が続出しました。

この機種の25年前に登場した『GIGA』のシステムも、安定して回るが故に生じる不満をユーザーが感じてしまったのではないでしょうか? 調整が不要のパチンコであれば回転率はどこのホールに行っても同じ。非常に平等な話に思えますが、お客さんの立場にしてみればどの店に行っても「全く回らない台も無い反面、非常に良く回る台も無い」状況になります。

釘を見て台の優劣を判別していた猛者からはもちろん、打ってみて回転数が悪いからやめる普通のユーザーからも評価をされない台になってしまった、という訳ですね。そもそも調整不要はホール側にとってのメリット。ユーザーには関係のない話ですからね。

 

★元店長カタギリと『GIGA』との出会い。

私がパチコン『GIGA』との最初の出会いとなったのは、京王井の頭線・渋谷駅近くのパチンコ激戦区。あ、もちろん当時の話で今は大手チェーン店が何店舗か営業しているエリアですね。何店舗もパチンコ店が密集していた、とあるホールの地下にひっそりと設置されていたのが『GIGA』でした。

果たして大当りを体験できたのか、それとも当たらずにヤメてしまったかの記憶は定かではないのですが、通常時にも関わらずチューリップが開いて回転数をサポートしてくれる新鮮な体験も慣れてくると「遊ばされている」ように思えてきて、妙に白々しい気分になったことだけはハッキリと覚えています。

結果的にこの最初の出会いが本指名に繋がることはなく、一度だけ少し遊ばせてもらってはい、さよなら。私と同じようにパチンコを「打たされているような」気分になった方も少なくなかったのではないでしょうか。他にも面白いパチンコ台が山ほどあった時代に、この台を選択し続ける理由が少なくとも私にはありませんでした。

 

★まとめ:パチコンGIGA

調整不要の設定付きパチンコ。ここだけ聞くと近い将来に導入が噂される封入式パチンコ(スマートパチンコ)のように思えてしまいますが、当時導入された『GIGA』の評判は決して芳しいものではありませんでした。その大きな理由は前述の通り、普通過ぎる出玉性能。大きく勝てる台、少なくともそう感じさせる台でなければヒットしないのは、パチンコの長い歴史を振り返れば一目瞭然。パチコン『GIGA』は、その長い歴史の初期の台。この「しくじり」は後年に良い教訓となったに違いありませんね。

メーカーはホールに台を売る。故にユーザーよりホール側のメリットを考える。ええ、商売ですから理解できます。が、メーカーがホール側のメリット「だけ」しか考えなければ遊技台がユーザーの支持を得ることは難しいでしょう。ホールにとっての最大のメリットは導入台の大ヒットなのですから、やはりメーカーにはホールよりもユーザーのニーズに目を向けて、長期稼働の見込める台の開発に注力していただきたいですね。

新時代のパチンコがどう進化していくのか、私も楽しみで仕方ありません。

 

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元・店長カタギリ
代表作:しくじり店長

シルバ〇アファミリーみたいに小さなパチンコ店の責任者から一転、 雑巾がけがメインの業務となってしまった事務員へとグレードダウン。 そんな設定①のスランプグラフのような半生を、隔週水曜日に連載させて頂いております。 タイトルは「しくじり店長」。 パチ屋の店長が平社員へと降格していく逆サクセスストーリーを、 海物語シリーズの泡リーチを見つめるような気分でお読みください。

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▲3店舗を潰した『しくじり店長』の人生録をお楽しみください。(完結)

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