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全国パチンコパチスロホール店長インタビュー

全国パチンコパチスロホール店長インタビュー

2020.03.20

優良店おもしろホール発掘列伝#01『BBステーション日暮里:ぴぃ店長』

あしの あしの   全国パチンコパチスロホール店長インタビュー


栄枯盛衰は世の習い──。最盛期に約18,000店あったぱちんこホールも、2019年末には約10,000店ほどにまで減少している。およそ半減といって良い。のめり込み対策。広告規制。みなし機撤去。受動喫煙対策。高射幸機撤去問題。ホールはその都度、対応を迫られ、それを御しきれなかったホールは、近隣に住まうファンの達の無念と共に断腸の思いで廃業を決めていったのだろう。

だが、失われし店があれば、逞しく発展し続けるホールもまたある。彼らは如何にして困難を乗り切り、ユーザー達の支持を得て来たのだろう。そこには同業他社にとっても、あるいは我々ユーザーにとっても、ヒントになる何かがあるはずである。 この記事では、そんな「逞しく生き残るホール」の舵取りを、この瞬間にも行っている現役店長をお招きし、ホール運営についてのお話を伺いながら「なぜユーザーに支持されて来たのか」の正体を探るものである。
 


聞き手はご存知、天草ヤスヲ──。

熊本県天草市に生まれし漫画家である。パチスロ7誌では『苦愛』シリーズ、パチ7上では『ブッコミ回胴記』を連載。さらにガチ勢達によるホール徹底調査企画である『ちゅんげーリサーチ』のボスとしても活動している。特に『頑張っているホール』に対するアツい思いは尋常ならざるものがある事で知られており、その理念の元に取材や創作に日々取り組み続けている漢である。

そしてそんな天草ヤスヲが今回唸ったのはこちらのホール。東京都荒川区、日暮里駅前に店舗を構える『BBステーション日暮里店』さんだ。
 

【BBステーション日暮里店】
住所:東京都荒川区東日暮里5-51-12 (JR日暮里駅・京成日暮里駅南口から歩いて1分) 電話:03-5850-3491
営業時間:10:00~22:45
パチンコ:4円110台
パチスロ:21.74円155台


店長はSNSやブログでもお馴染みの『店長ぴぃ』氏。我らがパチ7編集長が定期的に調査に訪れることでも有名。パチ7とは何かと縁が深く、勝手知ったるユーザーからは愛を込めて『日暮里の悪魔』の異名で呼ばれているとかいないとか……。

──果たして『BBステーション日暮里店』がユーザーに支持される理由とは。営業を続ける上での気付きや学びとは。早速見ていこう。

 


 

まずはジャブ。『ホール店長』というお仕事について。

2002年、就職氷河期真っ只中でBBステーション運営会社・株式会社大善に入社したぴぃ氏。以来18年間ホール運営の現場で奮闘する氏が生まれて初めてハマったパチスロは、大学在学中に打った『アステカ』だったという。


「あとは『大花火』とか。あの時代のあの辺の機種ですね。めちゃくちゃ打ってたんで、その頃から既に『ぱちんこ屋さんで仕事をする』というのが自分の中で自然な流れになってた気がします。なので就職活動の時期になってもあんまり気にせずに、ずっと打ってました。それで、新卒で今の会社に入社して……」

──なるほど。最初から決めてたんですね。ちなみにこの業界に就職する! というのに対して、ご両親から何か言われたりしましたか?

「いやぁ……。あんまり言われなかったですね。大学もしっかり卒業しましたし、第一、親もパチンコを打つ人だったんですよ。ちっちゃい頃に両親に連れられてホールで『ゼロタイガー』を打ってた記憶もありますし、なのでその辺の理解はしっかりあったんだと思います」


新入社員時代はまさしく『北斗の拳』が登場する直前。4号機が絢爛の絶頂時代を迎えた頃だ。ぴぃ店長が言うには、超氷河期とまで言われていた就職難の当時に於いても、ぱちんこ業界へのリクルートはあまり難しくは無かったらしい。


「あの頃は特に試験とか無かったんですよ。面接の時に社長から『うちの会社に入りたい?』って聞かれて、それに『入りたいです』って答えたら受かりました。それで就職浪人まで経験して、他業界に行った同年代よりもお給料が高かったので、僕の選択は間違ってなかったなと。まぁそこから先、他業種では味わえない大変なことも沢山ありましたけどね」

──店長ってどういう経緯でなるものなんですか?

「会社にもよると思いますが、うちの場合は『考課』(※成績を元に昇進・降格を行う制度)があって、年2回、結果に対して点数がつくんですね。それで規定の成績を出して店長に……と言う流れです。いろんな店舗を回ったんですが、日暮里店で店長になり、それから現在に至る感じですね」


いろんな店舗──には高田馬場や池袋、渋谷など今は無き店舗も含まれていた。当時を知る天草ヤスヲが懐かしさに手を叩く。聞けば上京した直後にスロプロとして立ち回っていた頃、実際にそれらのお店でも打っていたらしい。もしかしたら、当時ホールでお世話になっていたかも知れないですねと言いながら、互いに笑い合う。


──ホールスタッフさんって、どの立場くらいから『設定』とかに携わるようになるんですかね

「通常だと主任くらいからですかねェ。もちろん法人によっても違うと思うんですけど」

──主任というと、店長のすぐ下? ですか

「そうですね。あくまでも弊社の場合はですが、一般のスタッフの上にサブリーダー、次にリーダー、その上に主任。その上はもう店長ですね。で、主任くらいからそういう『設定』を組むというのがちょいちょい出てきて──。ちょっと組んでみ? みたいな」

──そんな柔道の練習みたいな……!


実際に設定を組むのは店長かもしれないが、ユーザー目線でいう所の「打ちたくなる設定」を組むためのカンや経験則は一朝一夕では決して育たない。故に主任時代から、あくまでシミュレーションとして設定表を組む練習はしていたそうだ。ならばそうやって培った「設定を組む能力」は、実際の所どうなのだろう。修行は現在、生かされているのだろうか。それについてぴぃ氏は少し考えてこう答えた。


「いや──。実際自分の采配が完璧に当たったとか、そういう手応えはまだ感じた事がないんですね。この2年くらいはある程度自分の思う通りに行くようになったなァ、という感じはするんですけど、まだまだ……」

──確かに。以前よりBBステーション日暮里店さんの名前はよく聞くようになりましたもんね

「ありがとうございます。でもこう……バチィッ、ズドーン、よしコレやってやったぜ! みたいなのは無いですね」

──じゃあこの先、さらに腕を磨いて成長、みたいな……

「先かぁ……。常に崖っぷちみたいな気持ちでやってるんですけどね(笑)」

 

『設定』と『お客様の種類』  お店が醸すカラーについて。

設定の話が出た所で、やっぱり誰しも気になるのが『設定を組む上で気をつけている事』だろう。それに関しては、ぴぃ氏はこう答えた。


「総差枚では決して大手に勝てないのは分かってるんですが、その分、ひとりでも多くのユーザーさんに刺さるように努めています

──それすごくわかります……。無理しすぎない。他に影響が出るから。でもしっかり『やりおった』みたいなのを作りたいってことですよね。僕覚えてるんですけど、以前……まだ都内で『ちゅんげーリサーチ』をやってた頃、ぴぃさんに言われたんですよね。ちゅんリサは怖いって(笑)  ウチのお店には合わないかもって。なぜなら、並びが増えすぎてパンパンになっちゃうと、常連さん──例えばお年寄りのお客さんが座れなくなるかもしれない。そういうのは望んでいないと。

「あ、それ会社に言うと怒られちゃうやつなんで補足していいですか?(笑) もちろん並びが増えるのは嬉しいんですよ。嬉しいっちゃ嬉しい。でもウチの規模(パチスロ155台)だと違うかなァと思うんですよ。自分のお店が例えば500台とか、そういうお店だったらまた考え方も変わると思うんですけどね」

──僕が言うのも変かもしれないけど、たとえば150台のホールに300人400人の行列を作ってすごいすごい!って、そういう時代が続いてるじゃないですか。全員入れないんですよもう。でもそれが正義とされたし、誰も異を唱えなかった。なのにぴぃさんは異を唱えて、しかも昔からブレてないんですよね。僕は来店とか取材って、道具だと思ってます。例えば包丁とか車だって、使い方によっては便利にも使えるし、凶器にもなるじゃないですか。それと一緒で、道具そのものは悪くなくて、要は使い方だと。だから僕はぴぃさんの『自分の店には要らない』っていう考えはすごい腑に落ちたし、納得したんですよね。

「……はい。多分、ブレてはないと思います。とはいえ、そういうのを使わないわけじゃなくて、うちも自分たちに合った手法で色々やってはいるんですよね。ただやりすぎるとどうしても何もない日と見え方が……例えば表に出る数字とかが変わってくるじゃないですか。お店を運営していく上で、どうしても落差がある日が出ちゃう。それでお客様から色々ご指摘頂く事もあって。なのでそこをどうするか。──日々頑張っていくしかないんですけども、大きな課題ですよね」


平日に人を呼ぶ。これは日本全国あまねく全てのホールが抱える根源的なテーマだろう。それぞれのお店が違ったアプローチでその難題に挑んでいる。では、ぴぃ氏のアプローチはどんなものなのだろうか。 


──僕の意見ですけど、BBステーション日暮里店さんは個性的ですよね。設定の入れ方が。ザ・王道みたいなやり方じゃなくて、バラエティだとか、他ではあんまり目立たないような台に入れたり。これはもう見る人が見れば一発で『ファンを付けようとしてるんだろうな』というのが伝わってきますよね。

「うちは大手と同じ方法でやると難しいんですよ。例えば今だと『番長が全台6でしたァ!』とかやっちゃうと、他で割食って身動きが取れなくなっちゃう。その方向で大手と消耗戦になったら勝てないんです(笑)


大手に勝てないです。サラッと出た言葉だが、このワードチョイスは見逃せない。『負ける』のではなく『勝てない』のだ。ただの自虐ではない。ここには勝つべき部分はしっかり勝っていくという意思が見える。ではぴぃ氏が思う、自分のお店が大手に勝てる部分とはどこだろう。それについて氏はこう続けた。


「ユーザーさんの種類がまず違うと思います。なんだろう……パチンコ・パチスロと適度な距離感を持っている人が多い。Twitterとかで見てても、ハマり過ぎてない。お店との読み合いを楽しんだり、台を楽しんだり。必然的に、自分の設定の組み方もそういう方を楽しませたり、存分に遊んでいただけるようにしていってたり。そうなるとパチンコ・パチスロのファンというよりも、お店のファンになって下さって──。すごい有り難いです」

──ああ、たしかに。なんというか、愛されてるというか。ユーザーさんの想いみたいなのは強いお店ですよね。僕は今後この業界では、そういう部分がもっと重要になっていくと思うんですよ。お店のカラーって言ったらいいのかな。そこはもう大手より中小ホールの方が絶対出しやすい部分だと思いますし。そういうのってやっぱり意識されてますか? お店のカラーを出していくぞみたいな。

「もちろんですね。意識してます。それで言うと、うちの会社って結構『現場に任せてくれる』部分が大きいんですよ。そこも中小の強みだと思いますけども、自分たちが筋道を立ててこうしたいですって言うのを認めてくれるので、そこはすごく有り難いですね。こういう会社なので、やっぱりどんどんカラーも出して行けてるんだと思います」

──なるほど。それでその『カラー』が好きでお店に来るお客さんがいて、適度な距離感で遊んでくれて──。確かに、それで言うと『大手と同じこと』とは、ある意味で逆ですね。地域の雰囲気とか常連さんのレベルとかにあわせてお店を作っていく。これは確かに凄いなァ……。あと、僕ちょっと思ったんですけど日暮里店さんって、いわゆる『軍団』みたいな人も少なめな感じがしますね。やっぱり対策はされてますか。

「もちろんしてます。けど、実は自分は『軍団』というのは決して悪じゃないと思っていて──」

──へぇ! そうなんですね!

「はい。そうなんですよ……。例えば天草さんなんかよく分かると思うんですけど、自分らが打ち始めた時代って、そんな人たちが一杯いたじゃないですか。ただ、その人たちは決してお店に迷惑をかけないようにひっそり活動してた。何人かで来て狙い台を決めて、他のお客様の邪魔もせず静かに……。それだったら変な話、他のお客さんと一緒なんですよね。あとはもうお店とその人達の読み合いなんで。お店のルールを守ってくれればいいんですけど、一人で楽むために来てくださってるお客様のご迷惑になるようだと、どうしてもねぇ……」

──ひとりで楽しむ為に来てくださってるお客様……。そこをやっぱり、大事にしていきたいと。

「それはもちろんですよ。顔を知ってるお客様の声が大事ですし」


店舗を知るユーザーさんの間で『日暮里の悪魔』と呼ばれる事もあるぴぃ氏。いわずもがな、これは悪口ではなく愛称だ。ファンと店舗店長の間でのコミュニケーションがある程度成立していないと、この関係性は作れない。例えばBBステーション日暮里店では、朝イチに配布する島図にぴぃ氏からの直筆メッセージが付記されている事が知られている。クスっと笑えるエスプリの効いた短文。寒い朝でも思わず心が暖かくなる気の利いたおもてなしだ。こういった『ユーザーとの交流』は一体なぜ行われているのだろう。コレについても少し探ってみよう。


「もともとお客様とのコミュニケーションは好きなんですよね。だからホールでも話をしたり。あとはスタッフがお客様とどんな話をしてるのかも興味があるので、『今日どんな話した?』みたいな事を聞いたり。昔からそういうのはありますね」

──やっぱり、お客さんの顔とかバッチリ覚えてますか?

「大体分かりますね。今日いっちゃん負けてる人だれだ……とかカメラで見て。あぁ、あのお客様だァ……なんで今日に限ってそっちに……。みたいな(笑)」

──へぇ! やっぱそうなるんですねぇ……。ちなみにユーザーさんのTwitterとかは見たりしますか?

「自分個人でやってるTwitterでフォローしてる方のは見ますね。あとはお店の名前でエゴサーチしたり……。と言っても結構自分気にしぃなんで、そこでボロクソ言われてるとガツンと凹む事はありますね。文字って感情が乗ってない分、ストレートに抉って来るんですよ」

──最近は特にね。中身が何にも無いただの悪口みたいなつぶやきも増えてきてますしね。もちろんしっかり使いこなしてるユーザーさんが大半なんですけど、そうじゃない──ただストレスの発散のためだけに使ってる人もちょっとずつ増えてきてると思います。

「はい。そう思います。あと、Twitterは文字制限があるんで、こうした方がいいと思う! みたいな前向きな意見じゃなくて『ここが駄目だ!』って批判で大体完結しちゃうんで、それも自分的にはズドンと来るんですよね。……特に、大手の掲示板はもう見ないです自分。アレみると3日くらいご飯食べれなくなっちゃうんで5年前から見てないッス(笑)

 

勝ち負け以外で損はさせない! 店長ぴぃ氏の運営理念。


──お店の運営理念について伺いたいのですが、何か気をつけてる事とかありますか?

「この仕事はお客様に『勝った負けた』がどうしても出てくるものなんですよね。勝った人が楽しいのは当たり前だし、負けた人が嫌な気分になるのも仕方がない。でも勝ったのに嫌な気分になったり、負けた人が勝負以外の部分で、さらに嫌な気分になるのは絶対駄目だと思っていて。それを避けようと思ってます」 

──それは接客……ということですか?

「そうですね。入り口はまず接客だと思います。例えばディズニーランドがディズニーランドたり得ているのはキャストがああだからなんですね。あの人達が能面で仕事してたらもうそれはディズニーランドじゃない」

──ゴミも落ちてないですしね。ディズニーはスタッフのレベルがめちゃくちゃ高い。

「そうです。ディズニーランドに来てる人に、ディズニーランドを感じさせるのがキャストなんですよね。それと同じで、ホールに来る人はホールで出来ることをやりに来てるんですよ。勝負かもしれない。娯楽かもしれない。暇つぶしかもしれない。まあ目的は色々だと思うんですけども、そのお客様に目的以外のところで嫌な思いをさせたくないなと……」

──そういう意味では、従業員さんに気をつけて貰ってる所とかってありますか?」 

「よくやってるのが『自分が打ちに行った時に嫌だった事』とかをヒアリングして、それを共有して、じゃあその時、向こうのスタッフはどうすれば良かったんだろうねって話し合って──。朝終礼の短い時間ですけど、ディスカッションしながら……。もちろんその日実際に起きたトラブルに関しても共有して、再発を防ぐにはどうしよう。みんなで話し合う。この辺は接客業全般に言える事かもしれませんが、当然やってますね」

──僕は全接客業の中でも、ホールの接客レベルは高い方だと思いますよ。

「あ、自分も思います。やっぱり大きな現金を扱っている商売だからこそだと思うんですけどね。ただ、この業界の難しい所がやっぱり『玉』ありきな部分なんですよ。もうテコでも出さないお店だと、幾ら神レベルの接客でもあんまり意味ないんですよね。両輪と一緒で、右のタイヤが出玉……左のタイヤがそれ以外の部分。両方のバランスが取れてないと走らない

──高級な料理店とかもそうですよね。味が良くても運んでくる時に指入ってたら『美味しかった!』って言いづらい(笑)

「確かに。めちゃくちゃ美味い街の中華屋とかなら許せるかもしれないんですけど。やっぱり高額の商品だったりサービスになると、それなりの接客はマストだと思います」

──あと他に、運営で気をつけてる事はありますか?

「あとは、お客様が台じゃなくて『店長』に勝った負けたって思ってもらえるような店舗を目指しています。店長vsお客様……じゃないですけど『あいつに勝った』とか『あいつに負けた』って面白いじゃないですか。今回はヤラれたから、次はあいつをギャフンと言わせてやろうとか。僕自身、自分で打ってる時に似たような経験があって、勝った時に『やった!』って思ったんですよね。それが凄い楽しくて」

──わかります。それがあると、単純にパチンコ・パチスロで勝つのに、プラスでワンポイントありますよね。

「はい。極論すると、パチンコとかパチスロで勝って得られるのが、普通に考えると『モノ』なんですよ。でもこの業界は遊技産業なんだから『コト』(※経験・思い出・エピソードのこと)を提供したい。あの台であの時どのくらい出した……って記憶はただの数字なんですけど、あの時あいつのクセをこう読んで、バチッと勝ってやったぞ! ってエピソードは、もう死ぬまでずっと残っていく。そっちの方が絶対楽しいじゃないですか。天草さんはすごくその辺共感して下さると思うんですけど──」

──もちろん! やっぱり読み合いも含めてパチスロですからね。ここずっと凹んでるからそろそろ入れて来るんじゃないのとか。ここの店長裏をかこうとするから、もしかしてこれ据え置いてんじゃないみたいな。それが当たって勝つのは、もう醍醐味ですよね。

「ね。そうなんですよ。本当にそう思います。ただ、これは実は会社としてはあんまり良くないんですよね。属人的になるというか──。企業としてはもっとシステマチックにやった方が間違いがない。それはすごく分かってるんですけど、でも大事にしたい所でもあるんですよね」

──会社によってはそういうのを絶対駄目って嫌う所もありますね。まあでもそこはさっきの『カラー』じゃないですけど、ユーザーさんに支持されているというのは事実だし、やり方の一つとして決して悪い事じゃないと思います。ちなみになんですけど、読み合いとか、あいつに勝ってやろうとかになると、表に出ざるを得ないじゃないですか。その辺はどうでしょう。僕は常連さんたちにとっては『設定入れてる人の顔が見える』っていうのはすごく大事な事だと思ってるんです。だって直接文句言えるじゃないですか(笑)

「まあ面と向かって言う人はそんなにいないんですけど、ホールに出た時にこう……悲しそうな目で僕をみるお客様とか居ると、うわー……。ごめんなさいってなりますね」

──ハハハ! そういう事もあるんですねぇ」

「ああそうだ……ちょっと思い出したんですけど、まだ広告規制が厳しくなかった時代──僕『店長実戦』っていうのをやってたんですよ。オフの日に自分の店で打つ! っていう。もちろん広告の一貫なんで交換はしませんし、あくまでショーなんですけども。その時はねぇ、話しやすいんでやっぱりお客様が色々言って下さるんですよね。もうね。生の声ですよ。なので結構凹むこともあるんですけど、そういう時に勝ってる常連さんがコーヒーくれるんですよね。これが癒やされたり(笑)」

──面白そうですねぇそれは。そういう形で店長とコミュニケーション出来ると、お客さんとしても店に愛着が湧きますよね。古き良き……みたいな」

「そうですね……。古いものが何でも良いわけじゃないんですけど、良い部分で今はなかなか出来ない事もあって。時代の流れなんでしょうけど……。そういう良い古さみたいなのは、雰囲気だけでもいいから『残しときたいな』と。それも運営理念としてはあると思います」

 

バラエティに力を入れる理由。衝撃の『第二候補でも良い』発言。

──あと今日ちょっと聞きたかった事があるんですけど、BBステーション日暮里店さんで遊んだ人の話を聞くとしょっちゅう『バラエティ』って単語が出てくるじゃないですか。データとかを見ても、力を入れてらっしゃるんだろうな、というのは分かるんですけど、なぜバラエティなんですか?

「バラエティは時代に左右されないんですよ。例えば『あそこの店は絆だぞ』とか。『まどマギすげえぞ』とか。一時的に話題になったとしてもそれはいつか無くなるんですよ。でも『あそこはバラがいいぞ』ってなると、それはもう店が存続する限りずっとあるんです。だって機種は関係ないから。だからバラを盛り上げたいなと思ってて。それでやってる感じですね」

──なるほど……。バラ。確かにバラはそういうのもありますし、あといろんなユーザーさんを取り込める可能性がありますよね。

「おっしゃる通りです。いろんな属性のお客様に来ていただけるんで──。バラに力を入れるっていうのは、ちょっと前までは珍しかったんですけども、高射幸機撤去からだんだんバラエティに力を入れていく! と宣言する店も増えてきてますね」

──増えましたね! 最近めちゃくちゃ聞きます。でもそれって一朝一夕で出来ないじゃないですか。早くやっといたお店の先行者利益。

「はい。そうなんですよ。先にやってて良かったなぁって思います。もう自分、2年くらい前からやってるんですけど最近は結構定着してきてて、バラが最初に埋まる日も出てきましたね。先頭の方に並んで下さってるお客様がみんなバラに……みたいな」

──それで言うと、どうでしょう。例えば『絆』『ハーデス』みたいな機種が撤去された後って、やっぱり稼働が下がったりしましたか? 僕が色々話を聞くホールではガクッと下がったとか色々聞くんですけども、バラに力を入れているお店はどうなんだろう。

「稼働は正直変わらないです。売上はどうしても下がりますけど。じゃあ『絆』『ハーデス』のかわりに何処が埋まるか。これはもうバラ。その次にアクロス」

──ああ、やっぱり。もうそれはホントにホールの個性ですよね。全然いいですよね。それがカラーなら全然あり。……ちなみになんですけど、新台とかどういう風に使ってますか?

「新台は……。一通り設定は使ってみるようにしてます。全国の設定ごとのデータも手元にあるんですけど、実際に一回使ってみないと分からない部分もあって、試行錯誤は必要なんですよね。6号機の場合は設定示唆もあって、上の方を使ってれば普通に出るんですけど、じゃあそれがどのくらい出るのかとか、解析を見ながらまた色々試して──」


ぴぃ氏が言うには、諸々勘案した結果『北斗天昇の3は良い』との事。「あの台の3はいいんですよ! 隣に5を置くとなおいい!」と熱弁を振るうぴぃ氏。今日イチの笑顔だった。天草ヤスヲと、そして同席した編集長は苦笑いを返した。『日暮里の悪魔』の片鱗が垣間見えた瞬間だった。


──そういうのも、大手のホールではなかなか出来ない事ですよね。小さなホールだからこそ細かく工夫して、結果として常連さんとの読み合いとかが成立する。

「ありがとうございます。……なので例えば大手の並びで疲れたお客様とか。そういう人にぜひ来て欲しいと思ってます。第一候補じゃなくていいんですよ。第二候補でも全然いい。並びに漏れてどこに行こうか……ふらっと立ち寄ったお客様が打って、天昇の3以上確定トロフィーが出たらどう思うかですよね。おい隣はキリン柄出てるぞ! みたいな。もしかしてこれやってるのか! みたいなね。まあ実際は3と5なんですけど、これ凄く面白いじゃないですかっ!」

──それ面白いというか、えー……。確かに笑っちゃうかもしれない(笑) でも第一候補じゃなくていいって言えるのもまさに強みですよね。別に第一候補でもいいわけじゃないですか。でも第二でもいい。大手だと一番じゃないと絶対駄目だみたいな。これはある意味で自由というか、お客さんとしても気楽ですよね。居酒屋とかでも二軒目に行きたい所ってあるし。とかいうと言い過ぎですか?(笑)

「ンー。あんまり言うと会社に怒られちゃうかもしれないんですけど、自分はそれでも良いと思ってますね。もちろん一番がいいに決まってるんですけど(笑)」

──でも、色々お話を聞いて思いました。今色んな規制があってお店の個性が出しづらくなってる中で、やっぱり個性を持ってるお店だなって。それはもうユーザーさんの反応を見たりこうやってお話を伺っても分かりますよ。なるほどなって……

 

最後に。現役店長ぴぃさんに色んな質問をぶつけてみた!

──今こうやって話をしてて、時間が大体80分くらいです。ぴぃさんがどんな人なのか。BBはステーション日暮里店がどんなホールなのか、大体見えてきたのですが、実は今日は他にも色んな質問を用意してて。それらを一気に聞いてみたいんですけどいいですか?

「あ、もうそんな経ったんですね。どうぞ、何でも聞いてください」

──自分のお店以外で、ここは良いお店だなって思う所ってありますか

「えー……。良いお店……。難しいですね……。どこだろ。池袋の『パーラー富士』ですかね」

──あー! 西口の!

「そうです。ただ、これもその日のシチュエーションで違うんですよね。こういう時はこのお店、みたいな。今それでパッと思いついたのが富士さんで……」

──へぇ……! いやぁ……。意外な答えでした。なるほど……。ええと、じゃあちょっとこれズバッと聞いてしまいますが、駄目なお店のサインとかって何かありますか

「スタッフさんを見れば分かります。パッと見ても分からないんですけど、ジッと見てれば良いお店のスタッフさんはいい顔してるんですよ。……ってコレちょっと気持ち悪い事言ってますか?(笑)」 

──いえ全然! 確かに好きでやってるのか、お金貰えるからやってるかではぜんぜん違うと思います。それこそぴぃさんがおっしゃってたみたいに、嫌な気分にさせない接客って事ですよね。

「そうです。というか、台の事はデータ見れば分かるんですよ。でも接客はその店の空気を吸いながらじゃないと分からないんで。ちゃんとバランスが取れた店かどうかは、やっぱりスタッフをみるのが一番手っ取り早いと思います」

──確かに。お店の良し悪しはそうですよね。出玉だけじゃ分からない。もちろん出玉ありきなんですけど、それプラスでね……。じゃあ次の質問。検定・認定切れした機種。なんでも良いです。もしひとつだけお店にまた置けるとすると、何を選びますか?

「え、なんでも良いんですか……? 4号機でも?  となると、そりゃ初代『ミリオンゴッド』でしょう(笑)」

──それは自分が好きだったからですか? それとも運営的な意味で。

「両方ですね。もし置けるならですよ? ゴッドが駄目なら『アラジンA』かなぁ。これたぶん現役店長に聞いたらほぼ全員同じ答えになるんじゃないかな……」

──パチンコだとどうです?

『必殺仕事人』の二代目(※必殺仕事人激闘編)すね。真剣フラッシュの信頼度がめっちゃ高いヤツです。これは単純に自分が好きだったんで」

──では最後の質問なんですが、もし自分のお店『BBステーション日暮里店』にキャッチコピーを付けるとすると、何になりますか? 

「キャッチコピーですか……。なんだろう。そりゃもう『磁場が悪いお店』ですかね。これはもともとパチ7の編集長が付けた名前なんですけど、何だかんだ定着しつつあるんで、そのうち法廷で会おうと思ってます(笑)」 

──あ、その時は僕は傍聴します!(笑)

「むしろ、キャッチコピー制作費ください」
 



普段何気なく通うホールのひとつひとつ、その舞台裏には必ず、楽しくも死にものぐるいで舵を取る店長がいる。諸々厳しい局面に立たされているこの業界において、今なおユーザーに支持されるホールには、理由がある。ユーザーの皆さまの視点からも、または同業他社の方々の視点から見ても、何か気付きやヒントのようなものがあればこれ幸いである。

最後に、今回の対談で天草ヤスヲが特に唸ったポイントをまとめてみよう。



★総差枚では決して大手に勝てないのは分かっているが、その分ひとりでも多くのユーザーさんに刺さるように努めている。

★大手にはやりづらい小回りが効いた設定の組み方。それにより台のファンよりもお店のファンを作る。また、台との戦いではなく店長との戦いを楽しんで貰いたい。

バラエティへの注力で高射幸機撤去後の全体稼働もそんなに落ちず。最近は朝イチの稼働がバラから埋まる事も。

★提供したいのは『モノ』より『コト』。一生に残る勝負の思い出を提供したい。

 



以上! 現役店長ぴぃ氏に自身が運営するホール『BBステーション日暮里店』について伺った内容のレポートでした。次にヤスヲが唸るのは、あなたのホールかも知れない……。

 

▲店長ぴぃのTwitterアカウント

▲BBステーション日暮里のデータサイト



 

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あしの
代表作:インタビュー・ウィズ・スロッター(稀にパチンカー)

あしのマスクの中の人。インタビューウィズスロッター連載中。元『セブンラッシュ』『ニコナナ』『ギャンブルジャーナル』ライター。今は『ナナテイ』『ななプレス』でも書いてます。

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