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サクラの花道 表通り1
サクラの花道 表通り1
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咲夜 一咲(サキヤイッサ)さん
月一ペースでコラム書いてます 偏見もあるので生暖かく見守って下さい - 投稿日:2016/09/10 09:21
朝はだるい
それは、どんな仕事でだって言える事だろうが
管理職は楽できる、なんて、そんな事はない
雇われ店長のような中間管理職なら、なおさら
パチンコ屋の開店する3時間前には店舗に着いていなきゃならない
そこから電源を入れたりデータのチェックをしたり、と開店前の業務をしなきゃならない
1時間ほどで開店前業務を行い、他のアルバイト店員が来るまでの30分ほどを休憩室でコーヒーを飲みながら朝刊に目を通して、のんびりするのが私の日課だ
ぼーっとしながら新聞に目を通していたら、ある記事が目に付いた
『ホームレスに集団暴行か?50代男性死亡』
普段なら、あまり見ないと思うが、何故か妙に気になり記事を読み始めた
「---昨日未明、○○公園敷地内で倒れている男性を散策中の男性が発見。救急搬送されるが搬送先の病院で死亡が確認された。死亡した男性は身分証等から住所不定無職『桜田 道夫(57)』さんとみられ、警察は---」
半分ウトウト気味だった私の頭は一気に覚醒した
桜田道夫……
数年前、このお店に混乱と恐怖、そして、集客をもたらし、今の繁盛店の基礎を作ってくれた
謎のサクラ打ち子
彼の行方が、ずっと気になっていた
当時、過疎店舗だった、このお店に唐突に現れ、そして、サクラでありながらお店を繁盛店に導いてくれた謎の男
彼の電話に、繋がるのだろうか……
数年ぶりに彼の電話に電話をかけてみる
少し震えてる手を、落ち着けと心に強く言い聞かせながらスマホを操作する
prrrrr prrrrr
「はい、こちら、桜田道夫さんのお電話です」
「あ、わ、私、桜田さんの知人で、土屋、と申します。あの、新聞で見たんですが桜田さんは?」
「残念ながら、既にお亡くなりになっております」
「そうですか」
「土屋さんは桜田さんのご友人で、よろしいでしょうか?」
「友人、というか、昔の同僚といいますか」
「ただ今、確認中ですが桜田さんの遺書が発見できない場合、こちらの自治体で葬儀等を執り行いたいと思います。その場合、遺骨と財産処理のための相続人を探しますが、土屋さんにお願いする事もある事を、ご了承ください」
「は、はい」
「何か、他にございますか?」
「い、いえ、今は、まだ」
「そうですか。では、何かありましたら、次からは○○署へ、お電話ください」
「はい、分かりました」
死んだ…
桜田が…
最初は、とんだ疫病神だ、と疎んだ
今でも凄く悲しい、とは感じない
ただ、胸の奥がざわつく
彼は本当は何を思っていたのか
あの後の彼は、どのようにしていたのか
それを知る義務が私には有る
そんな気持ちが、ふつふつと沸いてきた
とりあえず、今日の業務を、しっかり行わねば
出勤してくる他の店員には、なるべく知らせない方がいいだろうな
とりあえず朝刊を、どこかに隠そう
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咲夜 一咲(サキヤイッサ)さんの
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